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2013年04月29日

アップルは「壮年期」への曲がり角?
?今年創立30年を迎える日本法人

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

いよいよゴールデンウィーク(GW)。GW期間の国内・海外旅行者は約2,300万人と過去最高になると予想されています。4月27日?5月6日まで、連続10日間の大型連休を楽しまれる方もいるようですが、皆さんはどんな過ごし方をされているのでしょうか。

アジア11地域における消費者ブランドイメージに関して2回目の「ブランド・アジア2013」調査結果が日経BPコンサルティングより4月18日に発表されました。

この調査は昨年10月から今年1月までに、インドや中国、東南アジア諸国など日本を含めた11の国と地域で1万5000人の消費者を対象に実施したもの。

各地域共通の60のグローバルブランドと地域ごとのローカルブランドの計100のブランドについてイメージを聴取。業種はIT(情報技)、自動車、家電、インターネット関連などの9分野となっています。

■東南アジアで存在感を示す「アップル」
親しみやすさや革新性、卓越性などの総合力では、「アップル」がスマートフォン(スマホ)やタブレット端末の普及を背景に日本、中国、シンガポールの3地域で首位になり、その存在感を示しました。

また、アジア新興国の購買力向上を背景に、自動車メーカーも上位にくいこんでいます。タイのトップ4はBMW、メルセデス・ベンツ、トヨタ、ホンダの順で、いずれも自動車メーカーが占めました。

マレーシアでもホンダ(2位)、トヨタ(3位)、メルセデス・ベンツ(4位)とそれぞれが上位を占めています。

消費者が評価したブランド力のトップ4はアップル、グーグル、ユニクロ、ユーチューブで、ユニクロの健闘がひかります。逆に日本の電機メーカーは、パナソニックが前回調査の7位から14位に後退、シャープは54位、キヤノンも62位とブランド力の低下が目立つ結果となっています。

■アップルが10年ぶりの減益
米アップルが4月23日発表した2013年1?3月期決算は、売上高が11%増の436億300万ドル(約4兆3,340億円)であったものの、純利益が前年同期比18%減の95億4,700万ドル(約9,490億円)となり、2003年4?6月期以来の10年ぶりの減益となりました。

この発表を受け、日本経済新聞シリコンバレー支局の岡田記者は次のような記事を送ってきています。

「米アップルの高成長路線が大きな転機を迎えた。主力のスマートフォン(スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)の販売は引き続き好調だが、1?3月期は利益率の低下が響き、約10年ぶりの減益となった。新製品の投入サイクルや株主対応など経営姿勢にも変化がうかがえる。アップルは『壮年期』に入った可能性がある。」

また、岡田記者は青年から壮年への移行期なのか、再び若さを取り戻すのか。利益率を高め、収益拡大ペースを回復するには、まず「驚くような新製品」が不可欠になると、アップル社ティム・クックCEOのコメントを引用しています。

「驚くような新製品」については、腕時計型端末やインターネット接続テレビなど、各種新製品の噂が流れていますが、この件に関してクックCEOは、一切のコメントを避けているようです。

アップルの株価は収益拡大の勢いが鈍化するとの懸念が強まった昨年9月以降、約4割下落。現在の株価は400ドル程度で推移しているようです。

アップルがNASDAQに上場を果したのが1980年12月12日。私が経営する井之上パブリックリレーションズは、この年の5月にアップル本社とパブリック・リレーションズ(PR)のコンサルテーション契約を結んでいました。

その関係で当時、アップル本社と次期PR計画の打ち合わせのためシリコンバレーに出張していた私は、同社の歴史的ともいうべきIPOに立ち会うことになります。

早朝、現地のパートナーであったジェームス・今井さんからのアップルのIPOを知らせる電話で起こされ、時差ボケで眠たい目をこすりながら地元の証券会社に急行し同社の株式を購入したのを懐かしく想いだします。

IPO時の株価は3.59ドルだったかと思います。約4割下落し、現在の株価は400ドル程度といっても、数多くのスプリットを繰り返しながらIPO時の110倍以上。年間売上高は、IPO当時の1億1,700万ドルから2012年12月期は約1,565億ドルと驚異的な伸長を示しています。

カリスマ的な存在であったスティーブ・ジョブズ氏が亡くなって1年半。インテルやマイクロソフトなどの米IT企業をみると、異例の高成長を達成した後で安定成長に移行しています。アップルもひたすら利益を稼ぐ「青年期」から、収益拡大の勢いは鈍るものの経営の安定さが高まる「壮年期」への曲がり角にあるのでしょうか。

写真:アップルジャパン設立記者会見(ホテルオークラ「星雲の間」)左からビル・ションフェルド氏、福島正也社長、筆者

アップル社の創業は1976年4月1日で、NASDAQ上場が1980年12月12日。そして、日本法人(アップルコンピュータジャパン株式会社)の設立は1983年6月21日ですから、日本法人は今年30周年を迎えることになります。

写真は、アップルジャパン設立に先立って、1983年5月8日に催された記者会見の様子を伝えるものです。初代社長に就任した福島正也さんも米本社から日本市場のマーケティング責任者として来日したビル・ションフェルドさんも既に故人となっています。

両氏とも、まさにアップルの「青年期」を支えた功労者でした。アップルジャパン設立30周年を機に改めて福島さんやションフェルドさんのご冥福をお祈りします。

投稿者 Inoue: 11:12 | トラックバック

2013年04月22日

ネット選挙解禁、若者だけでなくシニア層にも恩恵
?重要になるPR戦略

皆さんこんにちは井之上 喬です。

桜前線の北上は続き、先週末は東北地方南部が満開だったようです。今年は大河ドラマ「八重の桜」の舞台となる会津若松などGWに東北地方を訪れる観光客が増えそうですね。

先日長野を講演で訪れたとき、桜で有名な同県高山町に行きました。湯つづきの里、信州高山には約20本のしだれ桜があり、その半数は樹齢二百年の老樹。半日そこで満開の桜を楽しむことができ、贅沢なお花見を満喫しました。

四季折々を楽しめる、日本の自然の素晴らしさを改めて実感するとともに、この島国に生まれたことを感謝せずにはいられません。

■7月の参議院選挙はネット選挙
4月19日にインターネットを使った選挙活動を解禁するための改正公職選挙法が国会で成立しました。

この7月の参議院選挙から政党や候補者が電子メールを使って選挙運動ができるようになるほか、だれでもホームページや、フェイスブック、ツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を使っての選挙運動が可能になります。

SNSを普通に使いこなしている若い人たちに、政治に関心を持ってもらえるようにとの意図があり、結果として投票率の向上につながり若い層の意見も政治に反映されるようになることを期待したいものです。

選挙のたびの街宣車による候補者名の連呼、駅頭などでの街頭演説などこれまでの選挙風景が様変わりするかもしれません。

ネット選挙時代の到来で問われるのが政党の発信力。企業のパブリック・リレーションズ(PR)でトップのストーリーテリングが重要であるのと同様、各党党首の発信力が問われることになります。

4月20日の朝日新聞朝刊には「始動ネット選挙 発信力勝負へ」とする記事があり、その中で各党党首のSNSなどのネットを利用した発信力を分析していました。

それによると安倍首相、日本維新の会の橋下共同代表は「強み」、民主党の海江田代表は消極的と評価。安倍首相のフェイスブックはほぼ毎日更新されフォロワーは30万人を超え、橋下共同代表もツイッターのフォロワーが100万人を突破しているなど、ネットを通じて積極的にメッセージを発信しています。

一方の海江田代表は、ツイッターもフェイスブックも開設しておらず、記事では周囲には「毛筆が一番好きなんだよ」とこぼし、SNS利用には消極的としています。

現時点ではネット選挙で安倍さんと橋下さんが大きく先行、大外から海江田さんが追い込む、といった状況でしょうか。実際の選挙結果に注目したいところです。

■度を越した誹謗中傷や「なりすまし」に注意
ネット選挙解禁の懸念材料もありますね。電子メールの送信については、候補者本人を装う「なりすまし」、度を越した誹謗中傷の横行などを懸念し、政党と候補者だけに限定しています。

朝日新聞の記事でもセキュリティー大手マカフィーの佐々木伸彦さんが、サイバー攻撃の可能性を指摘しています。

そして心配な点として、政党や候補者のメールやツイッターによる発信やホームページ制作に必要なIDとパスワードを盗み、事実無根の内容や中傷の書き込みなどが考えられる、と指摘しています。ネット選挙のセキュリティーには万全を期してもらいたいものです。

しかしネット選挙の解禁では、若い層への影響だけがクローズアップされていますが、可処分時間の多い高齢者にとってもプラスに働くのではないかと考えています。

総務省が4月16日に発表した2012年10月時点の推定人口によると、日本の総人口は1億2751万5000人で初めて2年続けて減少し、減少数は過去最大の28万4000人。

その一方で数値発表を開始した1950年以降で初めて65歳以上の高齢者が3079万3000人と3000万人を超え、その理由として1947年生まれの団塊世代が65歳になる時期を迎えたことを挙げています。

このような団塊世代の多くは、これまで苦労しながらも会社でパソコンに立ち向かい、仕事をしてきたのではないでしょうか。

これからはパソコンだけでなくスマホやタブレットを使いこなすネット感覚を持った元気な高齢者?が増えるように思います。

ネット選挙時代では、いかに相手のニーズをくみ取り、適切なタイミングで素早くメッセージを発信するかがより重要になってきます。

私が経営する井之上パブリックリレーションズでも、これまでの国内外の企業、団体とのPR経験を活かし、ネット選挙に対する最適なPRコンサルテーションを提供していきたいと考えています。

投稿者 Inoue: 12:12 | トラックバック

2013年04月15日

国内の宿泊旅行費用が過去5年で最高に
?外国旅行の支出では中国が世界一

皆さんこんにちは井之上 喬です。

30年前(1983年)の4月15日に、東京ディズニーランドは千葉県浦安市に開園しました。以来、延べ入園者は5億6,700万人を超え、その人気とともに日本を代表するレジャー施設としての地位を築いてきました。

このブログ読者の中にも今度のゴールデンウィーク(GW)に東京ディズニーランドへ出かける予定の方もいらっしゃるかと思います。今回はGWを前に、「旅行」をテーマに採り上げました。

日本交通公社は毎年、国内の観光旅行が好きで旅行頻度も高く、情報に詳しいオピニオンリーダー的な対象からサンプル抽出を行い、旅行意向を調査しています。

■コミュニケーション重視の旅行形態へ
2013年の旅行意向が日経MJ(4/3)の紙面で紹介されました。その調査(サンプル:1,104名)によると、旅行は「増える」と回答した人は40.4%で、東日本大震災からの回復の見られた昨年の調査結果(35.9%)に比べて5%近く増加。

宿泊観光旅行の1回当たりの費用についても、32.0%が増えると回答しており、昨年の26.6%から増加し、過去5年間で最も高い水準となっています。

今後の旅行で重視したい点についての上位3項目は「気分転換・リフレッシュ」(84.1%)、「おいしいものを食べること」(81.4%)、「休養、リラックスすること」(76.1%)の順となりました。

また、昨年と比べ「同行者と一緒に楽しむこと」、「趣味の活動を楽しむこと」「旅行先の人々とのふれあい」などのポイントが上がり、コミュニケーションを楽しむ旅行が重視される傾向にあるようです。

こうしたコミュニケーション重視の旅行形態が増加する中で、オピニオンリーダー層での交流サイト(SNS)の役割が大きくなってきているようです。彼らの約3分の2が何らかのSNSを日常的に利用していて、このうち51.0%が旅行に出るきっかけになったと回答しています。

SNSのうち最も利用の高かったのはフェイスブックで、次いでミクシイ。同じ趣味のユーザが集まるコミュニティ機能が、旅行を決めるきっかけに影響を与えているようです。

■国外旅行の支出ランキングでは中国が世界一 
国内から海外旅行市場に目を向けてみましょう。

国連世界観光機関(UNWTO、本部マドリード)は4月4日、中国人(香港を除く)観光客による海外旅行先での昨年の支出額がドイツ、米国を抜いて世界一になったと発表しています。

中国の年間支出額は、史上最高額の1,020億ドル(約9兆8000億円)となり、前年比41%の大幅増。中国人観光客は2000年の時点で1,000万人だったのが、昨年は8,300万人まで
増え、世界市場の10%を占める勢いです。2位のドイツは838億ドル(約8兆円)でした。日本は281億ドル(約2兆7,000億円)で、8位という結果でした。

UNWTOは中国の急伸について、「国外旅行の規制緩和と、可処分所得の伸び」が要因とコメントしています。

中国人の海外旅行の主な目的地をみると、香港・台湾を除くと東南アジア、日本、韓国の順となっています。しかし最近は、尖閣諸島をめぐる日中政府の対立の影響もあって日本よりも韓国を選択する中国人観光客が増加しているようです。

韓国観光公社は、「航空便により入国する外国人を基準とした場合、今年1?2月に訪韓した中国人は前年同期比約41%増の延べ37万5100人に達した。入国者全体に占める中国人の比率は、昨年2月の18.8%から今年2月の29.5%に上昇した」と発表しています。

現在、日本では訪日外国人旅行者数を将来的に3,000万人とすることを目標とした「訪日外国人3000万人プログラム」の実現に向け、観光庁が中心になった海外プロモーションが展開されています。

観光庁は、2016年までに1,800万人、2020年までに2,500万人とする中間的な目標達成を目指しているようです。対象国は中国をはじめとする東アジア諸国(中国、韓国、台湾、香港)及び米国を当面最重点市場(5大市場)と位置づけているようですが、私は、これらに加え、対日感情もよく急成長するタイ、ベトナム、インドネシアなどのASEAN諸国が有望であると考えています。

海外プロモーションを効果的に実現させていくためには、パブリックリレーションズ(PR)の役割が、ますます重要となってきています。

一方、旅行とは無関係に見えますが、前記の「2013年の旅行意向」を紹介した日経MJ(4/3)の同じ紙面でオリックス銀行が全国の20?60代の既婚男女各250人を対象とした「へそくりの実態調査」結果が掲載されていました。

この調査によると44.6%が配偶者に内緒のお金があると回答しています。男女別では男性が45.6%、女性は43.6%とほぼ同数で、へそくり額の平均は男性が135万円、女性は141万円でした。

へそくりの使い道について、男性は「家族でのレジャー・旅行のため」が39.5%で1番(複数回答)。女性は「子供のため」(39.4%)が1番で、「家族でのレジャー・旅行のため」(30.3%)は2番目にランク。

へそくりを持たない私にとって、予想以上の額が既婚男女のへそくりになっている事実だけでなく、それが旅行やレジャーの財源に活用されていることを知って、新鮮な驚きを感じました。

投稿者 Inoue: 19:40 | トラックバック

2013年04月08日

成長を持続する企業の人材戦略とは
?女性の登用がますます重要に

皆さんこんにちは井之上 喬です。

新年度がスタート、ビジネス街では研修に向かうのでしょうか、新入社員らしき集団を目にすることが多い1週間でした。

ニュースでは企業の入社式や式典でのトップの新入社員へのメッセージが紹介されていますが、今年の特徴としてはアベノミクスによる景気回復期待が高まる一方で、国際競争力を高めるためにグローバルで活躍できる人材に育ってほしい、と世界的な視野を意識した訓示が多かったようです。

いくつか拾ってみますと楽天の三木谷社長は、社内公用語化した英語で「積極的に学び、会社をさらに強くしてほしい」と呼びかけたほか、日立製作所の中西社長は「グローバル市場に挑戦する決意で、あらゆる機会で自分のスキルに磨きを」、スズキの鈴木会長兼社長は「国際的に通用する人間になるため、何か一つ外国語を覚えよう」、住友化学の十倉社長は「異なる考え方や文化を持つ人々と理解しあう姿勢を持ち続け交流を深めてほしい」など、グローバル人材が変化の時代に必要となることへの企業トップの意識の表れが読み取れました。

人材育成とともに企業トップにとって、いかにして働きやすい会社にするか、信頼される会社になるかは大きな経営課題になっています。これらに関連した最近のデータを見てみましょう。

ここでは週刊東洋経済3月30日号の「CSR企業ランキング」と日経WOMAN 5月号の「女性が活躍する会社 Best 100」をご紹介します。

■人材活用ではトップはソニー、東芝、3位富士通
週刊東洋経済の「CSR(企業の社会的責任)企業ランキング」は、上場1073社、未上場55社を対象にCSR分野の人材活用、環境、企業統治、社会性、財務の総合ポイントで評価しています。

ランキングのトップはトヨタ自動車で2年ぶり2回目の首位を獲得しました。2位にはなんと0.1ポイントの僅差で前年トップの富士フイルムホールディングス、3位には前年の9位からランクアップのNTTドコモ。

4位にソニー(前年3位)、5位に日産自動車(同29位)、6位富士通(同4位)、7位東芝(同12位)、8位デンソー(同6位)、9位NEC(同21位)、10位富士ゼロックス(同7位)と続いています。

トップのトヨタは環境分野で高いポイントを得ており、工場での風力・太陽光発電システムの導入などが評価されたようですが、プリウスやアクアなどの環境に配慮したハイブリッドカーの販売も好調で、本業を通じてのCSR活動展開で成功している良い例ですね。

一方、このランキングのCSR分野の中で人材活用を取り上げてみると、トップがソニーと東芝で100ポイント、3位が富士通、東レ、第一生命保険が97.3ポイントで並んでいます。

人材活用分野の評価項目には、女性社員比率、外国人管理職人数、女性管理職比率、女性役員の有無、ダイバーシティ推進の基本理念などが含まれています。

総合トップのトヨタも、人材活用分野で前年の24位から18位にランクアップしていますが記者は「女性登用では後れを取る。女性管理職0.8%、女性部長職0.4%と低い水準。世界有数のグローバル企業としては、今後の大きな課題だろう」と苦言を呈しています。

ただ女性登用で日本の抱える問題は、女性の社会での活躍を支える保育所など子育て環境が整備されていないことも要因のひとつではないかと考えます。

■女性活躍度第4位のノバルティス新社長は女性
日経WOMANの「女性が活躍する会社 Best 100」は、東証(1部・2部)、大証、名証の上場企業と従業員数100名以上の新興市場上場企業、外資系を含めた有力未上場企業4329社を対象に調査を行い489社からの回答結果を集計しています。

評価指標は管理職登用度、ワークライフバランス度、女性活用度、男女均等度となっており、ランキングは第1位が3年連続で日本IBM、2位が資生堂、3位が第一生命保険、4位がノバルティスファーマ、5位が住友生命保険と続き、金融関係が10位以内に6社登場しています。

また、全回答企業の女性管理職比率はこれまでの6.9%から8.4%に高まっており、企業経営の中で女性の登用が重要であるとの認識が高まっていることの表れだと思います。

特にトップの日本IBMは、理事を含む女性役員数は29名に達していますが、さらに女性活用を推進する目的で全員が営業職の女性で構成する「ジャパン・ウィメンズ・カウンシル」を設置するなどのユニークな取り組みも評価されています。

ここで注目されるのは4位にランクされたノバルティスファーマ。同社は、4月1日付けで日本でのグループ持ち株会社であるノバルティスホールディングジャパン株式会社の代表取締役社長に石川 裕子(いしかわ ひろこ)さんが就任しました。

恐らく大手製薬会社では初めての女性社長誕生ではないでしょうか。

石川さんは1997年のノバルティス ファーマの設立時に取締役人事・広報本部長に就任、2005年からは同社の常務取締役人事・コミュニケーション本部長を務めていました。

ノバルティスホールディングジャパンの社長就任後もノバルティス ファーマの取締役副社長 人事およびコミュニケーションの担当役員を兼任するようです。

ノバルティス本社の経営方針は積極的にダイバーシティを進め、女性だけでなく、さまざまな国籍の従業員の登用を全世界で行っているようです。日本法人はまだその途上にあると言われていますが、世界第二の製薬市場である日本での女性社長誕生はその努力の結果といえます。

石川さんには早稲田大学京都大学での私の講義でもたびたび特別講師としてお話しをいただいていますが、若い頃世界最大のPR会社であるバーソン・マーステラでのキャリアを持ち、その講演内容や人を引き付ける人柄に毎回受講生は感銘を受けています。

パブリックリレーションズ(PR)はグローバルビジネスのインフラストラクチャー。
これからはPR感覚を持った新しい時代の経営者が増えていくことを楽しみにしています。

投稿者 Inoue: 12:37 | トラックバック

2013年04月01日

家族力大賞 ’12
?豊かな地域社会を支える「家族力」

家族力大賞 ’12
こんにちは、井之上喬です。

今日4月1日は、私の会社も含め多くの日本企業にとって新会計年度のスタートとなる日です。また、学生の皆さんにとっても新学期、新入学などの時期と重なり、気の引き締まる想いを感じる人も多いのではないでしょうか。

さて、7回目を数えすっかり恒例となった社会福祉法人の東京都社会福祉協議会(古川貞二郎会長:元内閣官房副長官)主催による「家族力大賞’12」(エッセイ・コンテスト)の贈賞式が3月19日、京王プラザホテル43階「ムーンライト」で催されました。

平成19年度から始まった「家族力大賞」。今回も「家族や地域の『きずな』強めよう」をテーマに身のまわりでおこった体験談を募集しました。多くの心あたたまる応募作品の中から15作品が入賞。

私はこの家族力大賞のコンテストの第1回目から運営委員としてずっと関わってきていることもあり、毎年の贈賞式で作者と出会えるのを心から楽しみにしてきました。「あのエッセイを書いた人がこのひとなんだ」と一人ひとり納得しながら入賞者(時として、同行した登場人物にも会えます)とお話しできるのが最高の楽しみです。今回は、15作品の中から私の心に強く残ったいくつかの作品を紹介します。

■息子の意志が繋ぐ命の灯
私が最も感銘を受けた作品、『ドナーとしての息子を見送って』を先ず紹介します。これは、佐々木直子さんの作品で、運営委員会委員長賞を受賞されています。

佐々木さんの息子の実さんは、「明日は休日出勤する」といって夕食卓に向かい、その日、食卓に出された「みる貝」の酢みそ合えを晩酌片手に「美味しい、美味しい」と沢山召し上がった直後のことでした。

突然、息子さんがせき込んでおう吐し、そのうち黙りこくってしまったので佐々木さんはどうして良いのか迷い、救急車を要請しました。

「明日は休日出勤する」といっていた息子のために通勤カバンと靴などをもって、救急車に同乗して郊外の医療センターに向かいました。

「食べた貝が詰まっていて取り切れず窒息酸欠、脳死のような状態で助かる望みはない」と医師からまったく予期していなかった宣告を受けます。佐々木さんは、あまりの突然の出来事にまさかまさかと耳を疑い、みる貝を出した自分を責め、悔い、眩いで倒れそうになります。

そんななか妹さんが、お兄ちゃんがドナーカードをつくっていたことを思いだします。息子が登録したカードを始めてみる佐々木さん。ドナー・コーディネーターの説明を聞き、佐々木さんは腎臓であれば2人の命を助けられるかもしれないと決断して息子さんの腎臓を提供することに同意するのです。

佐々木さんは文末で今度の出来事について、こう締めくくっています。「見知らぬ人から授かった命の灯が喜びと感謝で元気に燃え続ける。かたや、提供した方の遺族も、この広い空の何処かで命を受け継いで元気に暮らしているであろう人の喜びを自分の喜びとし心の支えとして生きる。」

そして、「打算と欺瞞に満ちた現代、ある意味でこれほど純粋なことがあるだろうか。」と。

まったく想像だにしなかった愛息の死を前に、佐々木さんが下した苦渋の決断。まして腎臓の場合は、死後30分以内に摘出しないと使えなくなるので、臨終の悲しみに浸っている余裕すらありません。

こうした出来事を通して佐々木さんは、大病院でもドナー提供は極めてまれだということです。反面、大きな緊急病院でもドナー受け入れ態勢が整っていないことを憂慮しています。

ちょうど1年前の今日が「通夜」だったという佐々木さんは、作品の冒頭に「息子から沢山の事を教わった」と記しています。そして最後に、「早くからドナーカードと献血手帳の束をもっていた息子を誇りに思い、『頑張ろう』と誓う毎日である。」と結んでいます。

写真中央がドナーのご遺族のお母様
(佐々木直子さん)と妹の陽子さん。
左は古川貞二郎会長で右が筆者。

■コミュニティこそが大家族
ケイコさん(本名:岩田恵子、東京都港区在住の71歳)は、東アジア系留学生のサポートを軸に、子育て支援や街づくりのお手伝いを通して、2007年自らたち上げたNPOで活動しています。

街中の整骨院で、ガーナからやってきた留学生アンポンサ・エフィアさんと知り合います。2006年に20歳で日本にやってきた彼女は、日本看護師国家試験と保健師国家試験に合格(2011年)するための勉強だけでなく、結婚、出産、離婚も経験します。

ケイコさんとエフィアさん母娘(エッシー1歳)とは、バス停や街中での接点が重なり、親しさも深まり、運命的な関わりを実感するようになっていきます。

「みんなのおばぁちゃん」を自認するケイコさんの思いは「血のつながり」はさして重要ではないようです。コミュニティこそが大家族であり、互いが支えあうことこそ「家族力」の原点だといいます。

岩田恵子さんの「コミュニティこそ家族力」(東京都社会福祉協議会会長賞)は、外国人が登場し、この「家族力大賞」の国際化を感じさせる作品でした。

特に私の印象に残った作品を紙面の関係もあり、駆け足で紹介していきます。

夫の転勤で東京に引っ越し、孤立した子育てに陥った母親が、地域の自主保育グループに出会い、自らも子育てグループの活動に参加するようになった合田美江さんの「『自主保育』地域で子育て」(最優秀賞-東京都知事賞)。

自分の家が町会の班長になったことから地域とのつながりを考え、互いが知り合うことで摩擦が無くなることを繊細な観察力で表現している中学生、矢部茜さんの『地域とのつながりとは何か』(優秀賞-東京新聞賞)。

障害を持つ子を里親として育て、後に養子縁組をして、その子がスペシャルオリンピックスに出場した話をまとめた中谷義人さんの「親になるということは」(東京都社会福祉協議会会長賞)。

故郷からの電話で、30年前に離婚で家を出た父の死を知る当時中学生の末娘。いまは大学生と小学生の母でもある彼女が住む東京で、亡くなった父を火葬場で見送ってくれた3人の元職場仲間から父の足跡をたどることで、人と人とのつながりや絆を感じる高橋ライチさんの「離れていても、つながっている」(運営委員会委員長賞)。

紹介した受賞作以外にも、生きていくことの喜びや力強い作品が見られました。そして、私たちがリレーションシップ・マネジメントと呼んでいる家族や地域社会との絆(きずな)を築いていくためのヒントが沢山ありました。


*上の写真の作品集『家族力大賞 ‘12?家族や地域の「きずな」を強めよう』には、15 編の作品が紹介されています。社会福祉法人 東京都社会福祉協議会 東京ボランティア・市民活動センターが発行元です。非売品ですが、20冊程度であればプレゼント可能だそうです。興味をお持ちの方は連絡してみてはいかがでしょうか。

東京都社会福祉協議会
東京ボランティア・市民活動センター
家族力大賞事務局
Tel:03-3235-1171
Fax:03-3235-0050
E-mail: info@kazokuryoku-gp.jp

投稿者 Inoue: 19:10 | トラックバック