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2013年02月25日

中国大気汚染で日系空気清浄機の人気爆発
?日本では立体マスクの需要が急拡大

こんにちは井之上 喬です。
冬将軍(シベリア寒気団)の勢力が強く、まだまだ厳しい寒さが続くようです。

先日、現在在京メディアの北京支局に勤務する大学の教え子が久しぶりに帰国しました。話題はもっぱら北京を連日襲う濃霧のこと。「この分野で日本の技術支援が期待できるのに」と、尖閣問題がさまざまなところに影響を及ぼしていることを知らされました。

先週19日の 毎日新聞朝刊1面トップでは「PM2.5高濃度で外出自粛」という見出しで、中国からの飛来が懸念される「PM2.5」について、次のような記事を載せています。

「環境省は18日、大気中濃度の測定局を整備する自治体に、新たな財政支援を検討することを明らかにした。また、一定濃度を上回った場合に住民に外出などを自粛するよう注意喚起する暫定指針を今月中に策定する。」

同日の産経新聞朝刊1面トップでも「PM2.5日本は監視体制強化」という記事が載せられていました。この「PM2.5」については、TVニュースなどでもしばしば報じられていますので、皆さんもご存じのことと思います。

■日系空気清浄機の人気が家電製品にも好影響
日本国内での最近のPM2.5高濃度現象について国立環境研究所は、2013年1月から2月初めにかけて、日本各地において観測されたPM2.5の高濃度現象を入手可能な観測データとシミュレーションモデルをもとに調査しています。

その結果、全国の一般環境大気測定局における環境基準値超過日数(1日平均値35μg/m3を超過した日数)は16日間あったことなどを公表しています。

発表の一部は、2013年2月13日に開催された環境省の「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合(第1回)」の資料として使用されています。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)は、アジア通信社(徐静波社長)と連携し、中国語による情報サイトである「日本新聞網」を通じて日本の経済、政治、文化情報の発信やビジネス・マッチングなど多角的な事業展開について協業しています。

またアジア通信社では、中国の経済情報を日本にダイレクトに伝える「中国経済新聞」(日本語)も発行しています。

その紙面で、「有害濃霧問題が深刻、日系空気清浄機の人気が爆発」という見出しで、有害な濃霧が中国北方130万平方キロの区域(この面積は日本の国土3つ分に相当)に降り敷いて、北京の可視範囲が200m以下となり、北京首都空港における100便以上のフライトが欠航になった」と厳しい論調で伝えていました。

こうした環境のなかで中国の空気清浄機市場では、尖閣諸島問題で軒並み販売を落としていた日系ブランドのパナソニックやシャープが急速に人気を回復。日系空気清浄機の人気が、副次的に日本の他の家電製品にも好影響を及ぼしていると報じられています。

■需要が拡大する立体マスク
インフルエンザの流行やスギ花粉の大量飛散予報を受け、マスクの需要が拡大しているとのこと。私事ですが、今年は風邪が長引いて私も随分とマスクのお世話になりました。

マスク市場でも「立体マスク」から「超立体マスク」、そして「超快適マスク」へと技術革新をめぐる熱いシェア争いが展開され、価格競争もますます激しくなってきているようです。

2月11日の日経MJ(流通新聞)では、日経リサーチがスーパー143社を対象に行ったマスクに関する「ヒット分析バイヤー調査」の結果を紹介しています。

ユニ・チャーム、白元、小林製薬、そして興和の4社9ブランドを対象とした今回の調査では、つけ心地にこだわったユニ・チャームの「超立体マスク」が首位に立ち、「超快適マスク」の分野でも3位とユニ・チャームの健闘ぶりが目立っています。

ユニ・チャームは、昨年秋に耳にかける伸縮素材を刷新。かけた後のたるみを5割強少なくして、顔に長時間フィットし続けるよう改良したそうです。こうした品質向上の取り組みが評価され、全13項目のうち「使用感」(64%)や「リピート購入率」(61%)など7項目でトップになっています。

2位の白元「サニーク快適ガードプロ」は鼻との密着性を高めており、「花粉やウイルスを含む飛沫99%カット」が特長。

小林製薬の「のどぬ?るぬれマスク」は、マスク内側のフィルターにある水分が呼吸によって蒸気となり、のどを潤すという仕組みは最高の評価を得ています。

興和の「クリーンラインコーワ 三次元マスク」はダブルフィルターを採用。「空気中の微粒子を99%カット」するというのがセールスポイントだそうです。

風邪や花粉対策で需要が多様化し、市場が急拡大している立体マスク。

通勤電車の中でもマスクをかけている人が本当に目立つようになりました。マスクはもはや生活必需品というレベルにまで消費者の身近な商品。

今回、日経MJを読んで、特長や機能の異なる立体マスクのブランドがこんなに沢山あることに、一消費者として驚きました。

風邪や花粉の症状に合わせて、どのようなマスクを用いたら良いかなど、パブリック・リレーションズ(PR)で正しい普及を図りたいものです。

投稿者 Inoue: 11:37 | トラックバック

2013年02月18日

グローバルビジネス学会 全国大会のプログラムが固まる
?数々の講演と10件に及ぶ学会内研究成果を2日間にわたり発表

こんにちは井之上喬です。

世界経済の発展に寄与する人材の育成を目的とした学術団体グローバルビジネス学会は先週、来月3月16日と17日の両日にわたって開催される第一回全国大会(統一テーマ:多極化におけるグローバリゼーション)の実施プログラム概要を発表しました。

昨年4月にこの学会が設立されて初めての全国大会は、早稲田大学の国際会議場で開催。早稲田大学が会場に選ばれたのは、戦後のグローバルビジネスを体現したソニー創業者井深大が寄贈した、井深大記念ホールで開催することでその精神に触れることができたらと考えたからです。

実行委員長には、会場が早稲田ということもあり前早稲田大学総長の白井克彦氏(放送大学学園理事長)が就任。委員長はじめ実行委員会メンバーには主催地大学のアカデミシャンが多く関わっています。
副委員長の太田正孝氏(早稲田大学商学学術院教授)、同じく森欣司氏(同理工学術院客員教授)、加えて中村清氏(国際学術院教授)、松田修一氏(同大学名誉教授)、元高知県知事の橋本大二郎氏(同大学院客員教授/慶大大学特別招聘教授)など。

そのほかメンバーには、原良憲氏(京都大学経営管理大学院教授)、木村東一氏、杉本孝氏(共に同大学経営管理大学院特命教授)、そして国際弁護士や公認会計士、国際ビジネスで活躍するビジネスパーソンも加わっています。ちなみに私は、副委員長として関わらせていただいています。

■特別セッションは、いまホットイッシュのTPP
第一回全国大会の統一テーマは、「多極化におけるグローバリゼーション」。

東西冷戦崩壊後の米国一極集中から、ITの進展や先進国からの投資などで経済力をつけた新興国の台頭により、国際システムは多極化への動きを強め世界はグローバリゼーションの真っただ中にいます。

多極化の中で加速するグローバリゼーションとはどのようなものなのか?私たちがグローバルビジネスを推進していく中で克服すべき課題は何なのかなど、2日間にわたって数々の講演とパネルディスカッション、そして10件に及ぶ学会内の研究成果が発表されます。

初日の16日には、10件の研究成果が発表され、「英国鉄道ビジネス参入への挑戦」や「水素エネルギー社会と水素自動車」、「国際取引と投資協定仲裁」、“Death and Rebirth of the Domestic Economy”などが当学会員により発表されます。

これらの研究発表はいずれも時宜得たテーマで行われます。中でも、「英国鉄道ビジネス参入への挑戦」は、長年英国鉄道への運輸車両納入を手掛けてきた日立製作所が、それまでの製品単品販売主義からシステム販売主義に方針転換し、大型受注を成功させたプロジェクトを検証したものです。

また、「国際取引と投資協定仲裁」は、大手国際弁護士事務所の中野憲一氏によるもので、グローバルビジネス環境下での国際取引上発生するさまざまなトラブルについて投資協定仲裁にフォーカスしてプレゼンテーションが行われます。

そして、16日午後一番から始まるTPP特別セッションでは、この方面の第一人者である渡邊頼純氏(慶応義塾大学教授)や近藤剛氏(早稲田大学特命教授/伊藤忠商事理事)らにより討議されます。

TPP(環太平洋経済連携協定)は、安倍首相が今週オバマ大統領とワシントンで会談を行う中で最も関心の高いイッシュ。このセッションではTPPとはどういったものなのか、その本質的な意味合いから始まり、何を日本にもたらすのか?どのような課題があるのかなどについて、パネルで議論を進めていきます。

渡邉教授と相対する近藤剛さんは、小泉政権で道路公団民営化のために総裁(2003?2005)として辣腕をふるった人ですが、伊藤忠のワシントン事務所長時代には当時のカーラ・ヒルズ米通商代表部(USTR)代表など豊富なホワイトハウス人脈を駆使してロビー活動を行っていた人です。在日米国商工会議所(ACCJ)のTPP関連の人も加わったセッションは参加者の関心を惹きつけることでしょう。

■基調講演とパネル、そしてさまざまな発表、講演
2日目の午前中は小島順彦氏(三菱商事会長)の基調講演とパネルディスカッションが組まれています。
総合商社として国際的な人材育成に注力する三菱商事トップからは、グローバル化がもたらすものはどのようなものなのか、またどのような人材育成が求められているのかなど、その語られる内容に期待がかかります。

パネリストには当学会理事長でもある小林潔司氏(京大大学院教授)、関口和一氏(日本経済新聞論説委員兼編集委員)、小林りん氏(インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団 代表理事)、アレン・マイナー氏(サンブリッジ会長)が参加(筆者のモデレータによる)。それぞれ異なったバックグラウンドをもち第一線で活躍するパネリストによる白熱した討議が期待されます。

午後からはまず3つの研究発表が行われます。最初は原良憲京都大学経営管理大学院教授による、「おもてなし革新のグローバル人材育成」 、続いて井之上喬による「グローバルビジネスのインフラストラクチャーとしてのパブリック・リレーションズ」。最後は小林潔司教授による「グローバル人材育成の必要性」がありますが、いずれも斬新なテーマで発表されます。

その後に、各界を代表する内外4名の有識者の講演が続きます。

最初の3名は日本のビジネス・エグゼクティブ。危機にあったIHIにあって7人抜き大抜擢人事で社長に就任し同社の立て直しに貢献した釜和明会長。続いて、日本はもとより、グローバル進出に力を入れ世界有数の不動産会社の三菱地所木村会長による話。そして中国、マレーシアなどで、数々の課題解決を通してアジアビジネスを成功に導いた、田中秋人イオン顧問(元専務執行役)。

最後にヨーロッパからは、アリソン・マリーEUビジネス協会(EBC)事務局長による今春から交渉入りが予定される、日本と欧州連合(EU)による経済連携協定(EPA)交渉についての話など、最新の講演内容になるはずです。

今回の全国大会開催についてグローバルビジネス学会の大竹美喜会長(アメリカンファミリー生命保険会社創業者兼最高顧問)は、「当学会では社会科学、人文科学、自然科学といった専門分野を越えてグローバルビジネスに関する有益な情報を国内外に発信していくことを使命のひとつとしている。この全国大会が国際的な連携をさらに深める機会になることを期待している」と語っています。

また17日の夕方から始まる懇親会には、理事長、会長、役員をはじめとして、アドバイザリーの方々にもお越しいただく予定です。経験豊富な皆さんとの積極的な意見交換が期待されます。

3月17日の私の発表にもあるように、グローバルビジネスを遂行する上でパブリック・リレーションズ(PR)はインフラストラクチャー(基盤)です。皆様のご参加をお待ちしております。

全国大会のプログラム詳細は:http://s-gb.net/news/628/をご覧ください


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グローバルビジネス学会「第一回全国大会」へ参加希望される方は
http://s-gb.net/nationalcon/からお申し込みください。

投稿者 Inoue: 11:23 | トラックバック

2013年02月11日

減少傾向が止まらない海外への留学
?パブリック・リレーションズはグローバル人材育成の基盤

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今日は建国記念の日で国民の休日です。三連休を楽しんでいらっしゃいますか?

昨日2月10日は旧暦の元旦で中国では春節。チャイニーズ・ニューイヤーで「今週前半は休暇」と言ったアジア系の企業も多いのではないでしょうか。あらためて新年が世界中の皆さんにとって良い年となりますように。

さて2月9日の日本経済新聞朝刊社会面に「海外留学 6年連続減」という見出しの記事が掲載されていました。

経済協力開発機構(OECD)や関係各国が公表した日本人留学生数を文部科学省がまとめたもので、それによると、2010年に海外留学した日本人は5万8060人となり、前年を3.1%下回り、6年連続で減少したとのこと。不況などで留学費用の捻出が難しくなっているほか、若者の間に「内向き志向」が広がっていることも背景にあるのでは、と分析しています。

2010年の留学者数をピークの2004年の8万2945人と比べると3割少ない水準で、文科省は「不況や就職活動の早期化などで留学を避ける学生が多い」とみているそうです。

留学先でみると、最も多いのは米国の2万1290人で、前年に比べて14.3%の減少。2位が中国の1万6808人で9.1%増加、続いて英国が3851人(同0.5%減)、オーストラリアが2413人(同10.7%減)となっています。欧米留学は減少傾向ですが、中国、台湾、韓国など東アジアは増加傾向にあるようです。

また、日本学生支援機構(文科省の外郭団体)の調べによると、2012年5月時点で日本の大学などに在籍する外国人留学生は13万7756人となり、前年を0.2%下回ったとのこと。

2011年3月11日に発生した東日本大震災や円高などの影響で、日本留学を敬遠する動きが広がったと分析しています。

出身国・地域別では中国が8万6324人で前年比1.4%減、韓国が1万6651人で同5.6%減となる一方でベトナムやネパールからの留学は増加しており、従来は中国、韓国、台湾が主だった日本への留学生の出身地に変化が起きつつあるようです。

■大胆な海外留学支援策の実行を
ちなみに留学生の受け入れ数が多い大学は早稲田大学が3771人でトップ、続いて日本経済大(旧福岡経済大学)が3135人、東京大が2873人と続いています。そう言えば、毎週講義で訪れる早稲田のキャンパスでは海外からの留学生の姿が目につきます。

このブログで私は、グローバル人材育成の重要性を繰り返し述べていますが、まずは教育現場でのグローバル化が喫緊の課題であると考えます。

小学校での英語教育もやっとスタートしましたが週1回にとどまっているようです。グローバルでのコミュニケーションを考えると、英語は、世界の最大公約数が使用している言語。

グローバル社会においては、英語は目的達成のためのコミュニケーションのツール。必須のものです。

小中学校での英語教育の充実、そしてできれば高校から海外留学の機会を実現できるような国の支援策が必要だと思います。

文科省は2013年度に、海外留学の費用補助に36億円を投じ1万200人の大学生、大学院生の海外留学を支援する方針です。

これは前年度に比べ16%増、対象者が1万人を超えるのは初めてだそうです。

■グローバル時代の重要なインフラはパブリック・リレーションズ
企業の成長戦略のキーワードの1つにダイバーシティ(多様化)があります。端的に言えばグローバル化の流れの中で多様性を持った組織が不可欠だということです。さまざまな人種、性別、宗教、考え方などを認めた集団が新たな時代を切り開くのだと思います。

今から142年前の1871年(明治4年)、岩倉具視を正使とした「岩倉使節団」が日本から米国、ヨーロッパ諸国に向け派遣されました。

そのメンバーは特命全権大使の岩倉のほか、副使の木戸孝允、大久保利通、伊藤博文、通訳として参加した新島襄など総勢107名で構成されていました。

その中には43名の留学生も含まれ、西洋文明や思想に直接触れた経験は彼らに大きな影響を与え、帰国後の留学生は政治、経済、教育、文化など様々な分野で活躍しいわゆる文明開化に大きく貢献しました。

岩倉使節団の留学生には中江兆民、金子堅太郎、団琢磨に加え満6歳であった津田梅子も含まれていました。海外経験者が新しい日本の建設の礎になったと言えます。

あれから百四十余年。日本を取り巻く国際環境は激変しました。いまや町工場や山奥の農家にまでグローバル化は進展しています。

パブリック・リレーションズ(PR)はグローバル人材育成のインフラです。多様でさまざまなステークホルダーとの関係構築が求められるグローバル社会にあって、日本の組織体が身につけていなくてはならない手法といえます。

多様な現地の文化や宗教、民族性、商習慣などとどう向き合っていけばいいのか、日本の組織体へのパブリック・リレーションズのシステム化が問われています。

相手との間で価値を共有するための「倫理観」、多様性を認め健全な相互関係を構築するための「双方向性コミュニケーション環境」、そして必要な時に自らを修正する「自己修正能力」、パブリック・リレーションズのこれら3原則がすべての組織体活動の基盤として求められています。

さまざまな課題に対処できるPR能力を身につける必要があると同時に、これを構築・維持できるコミュニケーション力や文化的、歴史的素養をもつ人間力ある人材の育成が日本のグローバル化に必要とされているのです。

投稿者 Inoue: 16:44 | トラックバック

2013年02月04日

日経-京大共催シンポジウム「グローバルリーダーの条件」から ?再認識されたパブリック・リレーションズ(PR)の役割

こんにちは井之上 喬です。

昨日(2/3)は節分でした。豆まきの風習は平安時代に起源をもつといわれ、季節の変わり目に邪気を払うために行うと考えられているようです。皆さんのお宅では節分をどのように過ごされたのでしょうか。

さて今回は、先月24日に催された京都大学経営管理大学院と日本経済新聞社の共催による
“The Nikkei Asian Review”(週刊英文経済誌)の創刊1周年を記念したシンポジウム「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」(会場:日経ホール)についてお話します。

このシンポジウムは、京都大学の有するビジネスリーダー育成に関する知見をベースに、アジアビジネスに精通している専門家を招き、グローバル化の進展のなかでリーダー育成とビジネスネットワーク構築のための課題などについて考えていく目的で催されたものです。

グローバルビジネス学会が国際協力銀行とともに、このシンポジウムを後援していた関係や京都大学経営管理大学院の特命教授を務めていることもあって、後半(16:30-17:50)のパネルディスカッションでは私がモデレーターを務めました。

■アジア経済圏の新たな統合化
翌朝の日本経済新聞の紙面(9面)ではこのシンポジウムについて、「参加者からは経済危機への抵抗力を高めるために、経済統合を通じたアジア経済圏の強化が必要との声が目立った。」と報じられました。

国内市場・経済が低迷する日本にあって、急拡大するアジア市場を中心とするグローバル市場への企業対応がまさに問われています。とりわけ経済成長で大きな潜在力をもつアジア地域において、ビジネス成功のためのネットワークの強化・拡大は日本企業にとってまさに喫緊の課題となっています。

また同紙では、基調講演を行ったフィリピンのアキノ政権のエコノミスト、カイェタノ・パデランガ・フィリピン大教授が2008年のリーマン・ショック後のASEANの動きについて、「東南アジア諸国連合(ASEAN)経済は内需を強めながら域内の結束を強めている」と伝えています。

駐英タイ公使で前タイ財務省ASEAN財務金融局長のケツダ・スプラディット氏も基調講演で、ASEAN10カ国と日中韓印など6カ国をひとつの自由貿易圏とする東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉入りに言及し、「地域の新たな統合が始まろうとしている」と地域経済の将来性を強調。

■PRはグローバル人材に不可欠な要素
私がモデレーターを務めたパネルディスカッションでは、「グローバルビジネスリーダーの条件とはどのようなものなのか?」についてそれぞれ異なったバックグラウンドを持つ6名のパネリストの方に登壇いただき討議を進めました。 

6名の方々(順不同)は、星文雄氏(国際協力銀行代表取締役専務)、北山禎介氏(三井住友銀行取締役会長)、大曽根恒氏(東洋エンジニアリング常務執行役員)、田中秋人氏(イオン中国・アセアン事業顧問/前イオン専務)、小林潔司氏(京都大学経営管理大学院教授/経営研究センター長)、そして太田泰彦氏(日本経済新聞社論説委員兼国際部編集委員)といずれも各界を代表し、グローバルビジネス分野で素晴らしいキャリアをもつ方々です。

(写真:左より、筆者、北山、星、大曾根、田中、太田、小林の各氏)

紙面の都合もあり80分にわたるパネルディスカッションの中から、6名のパネリストがグローバルリーダーに抱くイメージや条件、そしてグローバル化の課題などについて簡潔な紹介と、モデレーターとして私のまとめを行ってみたいと思います。

幼少の頃から海外生活体験を持つ星さんは、グローバルリーダーの条件について、英語でのコミュニケーションがとれること(可能であれば中国語、スペイン語などグローバルな言語をもう一つ)、出身国の政治や経済、文化などについて語れること、そして世界の政治や経済動向を理解して自分の考えを述べられることなどを挙げています。

リーダーに対する処遇は、日本国内とは異なる給与、要するに欧米先進国企業と同等の処遇を与えることが肝要であり、日本式経営を押し付けるべきではないとしています。

銀行マンとして米国やマレーシアなどでのビジネス経験を持つ北山さんは、コミュニケーション能力はローカルビジネスを展開していくうえでアジアに限らず欧米においても共通する普遍的な要件であると述べています。

タイなどで女性の活躍が目立っている現状を踏まえ、スタッフ拡充のため現地ナショナルスタッフに対し権限をいかに委譲していくかということと、ダイバーシティに配慮することが重要としています。

また、初等教育から高等教育の全ての段階における教育システムのブラシアップ、つまりコミュニケーション能力や倫理観を高めるだけでなく英語をツールしてグローバルに発言できるよう日本の教育システムを改革し、内なる国際化を進める必要があると述べています。

現地法人の社長も務めインドビジネスの経験が長い大曽根さんは、グローバルリーダーの条件として熱い情熱をもったジェントルマンであること、広い視野と好奇心をもつこと、そして基本的な語学力を挙げています。

また日本人リーダーに求めるものとしては、現地の歴史、文化、生活習慣などに対する理解や経営方針の明確化と伝達・理解の徹底。ローカルリーダーに求めるのは、世界的視野と理解力、向上心と改革力、そして後継者育成としています。

イオンのアジア進出に長年かかわってきた田中さんは、グローバルリーダーの資質として、3つ挙げています。一つ目は、ステークホルダーとの関係構築のためのコミュニケーション力(英語+現地語)です。日本人の文化である謙譲の美徳や陰徳を積むという行動は海外ではほとんど評価されない。情報発信力が極めて重要となるといいます。

二つ目は、高潔で包容力のある豊かな人間力(リーダーシップ)で、倫理感(公私のけじめ)や150%クリーンハンドの原則、同じ目線で対話できる資質について言及。

三つ目の斗う力については、交渉という戦争に勝つためには確かな戦略の下に周到な戦術が練られなければならない。そして戦斗に勝利するための備え、武器、弾薬や兵糧などの準備を万全にする必要があると述べています。

京大で教鞭を執る以前、IMFやOECDなどの国際機関で従事した経験を持つ小林さんは、グローバル人材にはロジカルシンキングが重要。理屈で攻めて合理的に説明できればビジネスで勝ちを得られる。そうしたタフネスがあるかどうかが肝要としています。

また日本にもっと「知的ゴロツキ」つまり欧米のように、博士号を持ち個人や自国の利益のために相手と丁々発止できるしたたかな人材を増やす必要性を説いています。

そしてコミュニケーションは受け手がするものという考えを変えなければならないとし、彼らと一緒に新しいものをつくるといった共感が必要で、こうしたポジティブな考えがあれば上手くコミュニケーションが取れると述べています。

最後に今年の4月から東京で開講する京大アジアビジネススクール開設に中心的役割を果たしてきた小林教授は、思い切った人材育成プログラムを発表しました。

太田さんは、ワシントンとフランクフルトで日経の駐在記者として米欧の政官界やグローバル企業を取材した経験から、グローバルリーダーはコミュニケーション能力が最大の要件。多国籍、多言語、多民族、多文化の組織を束ねるリーダーの力は、他者に伝わる明確な「言葉」と「理念」だと明言しています。

そしてTPPなど広域経済連携の時代に入り、企業の舞台は海外に一段と広がっているが人材が追いついていない。海外で人(日本人)を育てる必要があるとの提言もありました。

黙っていては伝わらない。文字で書いた文書でも伝わらない。太田さんは自分の言葉で語る大切さを強調し、記者としていつも「発言取材者に対してストーリー性を求めている」ことを強調。つまり企業トップが自らの哲学や生きざまについてストーリーテリングができないと読者を感動させることはできないとしています。

欧米の企業トップにとって自らのストーリーテリングはトップの務めになっていますが、日本人経営者の中にも少しずつその必要性について理解を示す人たちが増えつつあります。

(写真:筆者)


こうした6名の方々のお話に共通したのが「グローバルリーダーにはビジネス相手の説得や市場開発のため現地語と英語によるコミュニケーション能力が不可欠」ということでした。

コミュニケーションとりわけ双方向コミュニケーションパブリック・リレーションズ(PR)活動にとって、「倫理」「自己修正」とともに3つの基本原則を構成する一つです。

こうしてみるとパブリック・リレーションズは、グローバルビジネス人材に不可欠なインフラストラクチャーであることがわかります。さまざまなステークホルダーとの関係構築作りこそパブリック・リレーションズだからです。

例えばダイバーシティ(多様性)は、双方向コミュニケーションの環境の中で有効となり、相互理解のない異文化間の対立は自らの正しい修正に至らず、国家間の戦争にさえ発展しかねません。進出企業を取り巻く様々なステークホルダーとの倫理観に基づく良好な関係構築づくりを通してリレーションシップ・マネジメントが行なわなければなりません。

アジア地域には多様な国家や地域が多く、相互理解と受容性が大事になりますが、同時にその姿勢をステークホルダー積極的に伝えていくことも重要となります。

これまで欧米主導であったグローバルビジネスの重心がアジアに移行しつつある中、文化、商習慣、言語、宗教が異なるアジアで成功するリーダーシップと本社トップのもつリーダーシップでは求められる役割も異なってきます。こうした異質性について大学教育や企業研修を通して積極的な内なる国際化への努力が求められていると言えます。

このシンポジウムを通して、ASEAN10カ国と日中韓印など6カ国をひとつの自由貿易圏とする東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の深まりのなかで、パブリック・リレーションズの機能がますます重要なものになることを実感しました。

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グローバルビジネス学会が第一回全国大会を開催
「多極化におけるグローバリゼーション」を統一テーマに講演と研究成果を発表

グローバルビジネス学会は本年3月16日と17日の両日、第一回全国大会(実行委員長:白井克彦 放送大学学園理事長/前早稲田大学総長)を早稲田大学国際会議場(井深大記念ホールほか)で開催します。
全国大会初日は、TPPに関して慶應義塾大学の渡邊頼純教授によるセッションのほか学会員の優れた研究成果が発表されます。2日目には小島順彦氏(三菱商事会長)の基調講演をはじめ、内外で活躍する各界を代表する有識者の講演とパネルディスカッションが組まれています。2日目の大会後には懇親会も催されます。なお、学生は参加費無料(※懇親会のみ有料で3,500円)。

*第一回全国大会の詳細と参加申し込みは学会ホームページ(http://s-gb.net)から。

■本件に関する問い合わせは下記へ
「グローバルビジネス学会」第一回全国大会実行委員会E-mail:info@s-gb.net

投稿者 Inoue: 14:08 | トラックバック