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2013年01月28日

テレビ放送“還暦”を迎える
〜4Kから8Kへ、仕切り直しをする日本のテレビ産業

こんにちは井之上 喬です。

2013年が始まったと思っていたら早くも1カ月が過ぎようとしています。
皆さん年初の予定通り順調にスタートが切れていますか。

2月1日は日本でテレビ放送が開始して60年を迎えます。

1953年2月1日の午後2時にNHKがテレビ放送を開始、人間でいえばちょうど還暦を迎えます。

その後、8月には日本テレビが民放で初のテレビ放送を開始、ラジオ全盛時代から本格的なテレビ時代を迎えることになります

Wikipediaによると、テレビは「テレビジョン」の略でteleはギリシャ語の「遠く離れた」、visionはラテン語で「視界」の意味だそうです。テレビはまさしく遠くの出来事が目の前で同時に共有できる便利な、身近な家電として私たちの情報収集の大きな役割を担っています。

■1953年に国産第一号機
1953年1月にシャープが国産第1号のテレビを発売しましたが価格は17万5000円でした。

白米が10kg 680円、銭湯入浴料が15円程度であった時代、テレビは非常に高価であり、今は懐かしい、街頭テレビに多くの人だかりを作りながら大相撲やプロ野球観戦に興じていた時代もありましたね。

その後、1958年には東京タワーから放送開始、60年のカラー放送開始により64年の東京オリンピックでは一気に普及を拡げ皆がカラーテレビを楽しんだものです。

69年には日本のテレビ生産台数が世界1位になるなど産業としても大きく拡大してきました。三菱電機、東芝、シャープ、日立、松下、ビクター、ソニーなど、懐かしい名前が並びます。

その後もアナログハイビジョン試験放送開始(91年)、デジタルハイビジョン放送開始(2000年)地上デジタル放送開始(2003年)、そして2012年3月には東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県も含め日本全国で完全デジタル化が完了しました。

■4K放送が来年の7月スタート
先日のブログでも、インターナショナル・コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(International CES)の大きなテーマが、現行のハイビジョン方式の4倍の高精彩を誇る4K(3840×2160ピクセル)テレビなど超高解像度テレビであることを紹介しました。

1月27日の朝日新聞には「4K放送 来年7月」の見出しで総務省が次世代の高画質テレビ技術である4Kを使った放送を2014年7月から世界で初めて開始する方針を決めたとの記事が出ていました。

この分野で日本メーカーが世界をリードしていることを書きましたが、新たなテレビ需要を喚起するために、官民挙げて取り組む方針を明確にしたと考えられます。

また、朝日新聞の記事には次々世代の「8Kテレビ」に関しても実験放送を2年早めて2016年を目指すとの総務省の方針が出されていました。

私が若いころは、日本の家電メーカーが世界を席巻していました。その陰にはいつもNHKの放送技術研究所の存在がありました。NHK技研と日本のメーカーが連携し再び4Kや8Kそしてその向こうの16Kで世界を席巻してもらいたいものです。

そのためにはこれらを支える高度技術の外への流失にも気を付けなければなりません、一般に日本企業の危機管理は甘いと言われていますが、海外への技術流失問題は日本の産業政策上最重要課題といえます。

このところの日本のメーカーには、テレビ技術で世界をリードしていく積極的な取り組み姿勢が見られますが、素晴らしい画質を活かすためのコンテンツ産業の育成も同時並行的に進めるべきではないでしょうか。まさにNHKを含めた官民総力戦で取り組むべき問題といえます。

先日あるNHKの役員の方と話した時、昨年のロンドンオリンピックで実施した8Kのパブリック・ビューイングが現地で大好評だったとのことです。テレビ画面を感じさせない、本物の場面を見ているような臨場感と実物感があったそうです。

スポーツや風景などハイビジョンでは当たり前のコンテンツに加え、スーパーハイビジョンだから出来たコンテンツ、それも日本発のコンテンツが期待されるところです。

パブリック・リレーションズ(PR)でもテレビは非常に重要な媒体です。スーパーハイビジョン時代のコンテンツを使った画期的なPR、考えるとなんだか心が躍ってきました。

投稿者 Inoue: 12:29 | トラックバック

2013年01月21日

母から13歳の息子へ「スマホ18の約束」
?子どもへの保護者の愛情がなによりも大切

こんにちは井之上 喬です。
昨日20日は、1年のうちで最も寒さが厳しい日といわれる大寒(だいかん)でした。これから春に向けて日々、寒さも緩んでいくようです。

前回のブログで世界最大の家電見本市インターナショナル・コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(International CES)のホットな報告をしました。そのなかで“Two-Horse Race”、つまり2013年の民生機器市場はスマートフォンとタブレットPCがけん引するといった分析を紹介しました。

インプレスR&Dが昨年11月20日に公表した携帯電話の利用動向に特化した『スマートフォン/ケータイ利用動向調査2013』によるとスマートフォンの国内での利用率は、個人が39.8%、企業が41.7%と1年でほぼ倍増する勢いで拡大しています。また、13歳以上のインターネットユーザの4割が既にスマートフォンを使っているとのことです。

この13歳以上のインターネット利用者(男女個人)を対象にスマートフォンのユーザを世代別にみると、男性20代が58.9%、女性20代が58.5%、男性30代が53.7%、次いで男性10代が51.7%、女性10代が47.6%の順で若年層の利用率も高まっています。

■クリスマス・プレゼントがはじまり
米国においても同様で若年層でのスマートフォン利用率が高まるなかで、米国の母親が息子のクリスマス・プレゼントにスマートフォンを贈る際、独自に作成した「使用契約書」が米国内で話題になっています。

日本でも東京新聞が1月8日の朝刊(24面)で「米で話題、母から13歳息子へスマホ18の約束」という見出しでその内容を紹介しました。すぐにこの話題がオンラインメディアや個人ブログに飛び火して反響を拡げています。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)の社員も関口宏さんが司会するTBSのサンデーモーニング「風をよむ」(1月13日)でこの話題が紹介されたのを視聴して、「スマホを使うことで広がる世界よりも、使わずに広がる世界について愛情をもって息子に説明している母親の姿勢に感嘆した」と伝えてくれました。

生まれたときからインターネットや携帯電話がある環境で育った今の子どもたち。その子どもたちにインターネットの利便性と裏腹にあるネットへの過多な依存症や有害サイトへのアクセスといった問題は、日米共通のようです。

私も東京新聞の記事やマイナビニュースで契約書の全文(和訳)を読み感銘を受けました。

「この母親は、米東部マサチューセッツ州のジャネル・ホフマンさん。昨年のクリスマスのこと、五人きょうだいの長男グレゴリー君(13歳)に米アップル社のスマートフォン、iPhone(アイフォーン)をプレゼントした。」と、東京新聞ではその発端を紹介しています。

「『使用契約書』は十八カ条の規則からなる。このプレゼントを受理すると同時に、ルールや規則が付いてくる。『現代のテクノロジーをうまく活用できる大人に育たなければならない』と教えた上で第一条の『この電話は私が買ったものです。あなたに貸しています』から第一八条の『あなたが失敗した時、電話を奪います』まで続く。」

紙面で紹介された契約書の内容は、大別するとネット上などでの悪口、いじめに加担しないこと、直接、人と会話することの大切さなどを強調。「携帯電話は生き物ではないし、あなたの一部でもない」「時には携帯を家に置いて、散歩に行きなさい」とバーチャル社会にのめり込まないよう指導しているものでした。

契約書の全文(和訳)は下記マイナビニュースにアクセスしてみてください。
http://news.mynavi.jp/c_cobs/news/tokyodokujo/2013/01/iphone1318.html

引用元は:ABC NEWs「Mom Has Son Sign 18-point Agreement for iPhone」

■世界中に通用するルール
米国事情に詳しい放送プロデューサーのデーブ・スペクターさんのコメントも紙面に載せています。「米国中で話題だ。どのニュースサイトにも出ている。九割以上の人が内容に賛同している」。

「米国では、親がペットや中古自動車などを買い与える代わりに、さまざまな制約条件を付けるのが一般的だが、ここまで凝った『使用契約書』は見たことがない」とスペクターさんは述べています。


東京新聞が「スマホ18の約束」を掲載した翌々日(10日)、NTTドコモが小・中学生を主な利用者層に想定したスマートフォンを2月上旬から発売予定であるとの発表がありました。

このジュニア向けスマホの大きな特徴は、電話やメール、インターネット、アプリ、利用時間・通話時間などの機能を、保護者が設定して制限できる点にあるようです。

ネットが子どもに与える影響を研究している群馬大名誉教授下田博次さんは、ホフマンさんの使用契約書を「世界中に通用するルールだ」と、やはり東京新聞の紙面で絶賛しています。

また、下田さんは日本の現状について「ホフマンさんのような賢い母親は、私の知る限り日本にはいない。ネットのことがよく分からないまま、好き勝手に子どもに使わせている。文科省もネットの危険性を十分理解していない」と嘆いています。

そして、「米国では子育ての責任は家庭にあるとの信念のもと、子どもたちのネット・携帯電話利用問題を考えている。日本の親たちが、子どものメディア管理能力を養わないと社会全体に大きな禍根を残す」と警告しています。

子どもたちにジュニア向けスマホのようにフィルタリングサービス(有害サイトアクセス制限サービス)などのハード機能を利用する管理していくことも大事なことです。

しかしそれ以上に、スマホのようなモバイル端末が大人のメディアであることを熟知したうえで、子どもへの深い愛情と、勝手に使わせないという保護者の強い意思が何より大事なことだと、改めて実感させられました。

これからは大人も子供もスマホリテラシーの研究が必要になってきます。パブリック・リレーションズ(PR)で正しい普及を行いたいものです。

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日本経済新聞社は「The Nikkei Asian Review」の創刊1周年を記念して、京都大学経営管理大学院と「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」と題したシンポジウムを1月24日(木)、日経ホールにて共催します(後援:国際協力銀行、グローバルビジネス学会)。定員500名で参加費は無料。
私は、このシンポジウムのパネルディスカッション(16:30-17:50)でモデレーターを務めます。

参加を希望される方は、詳細を以下の日経サイトでご確認のうえ、お申し込みください。なお、定員を超えた場合は抽選となります。
http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00965

投稿者 Inoue: 11:30 | トラックバック

2013年01月14日

世界最大ラスベガス家電見本市 CES 2013レポート
?期待できる日本の家電メーカー

こんにちは井之上 喬です。
正月気分に浸っているまもなく、ビジネス界はいよいよ本格始動と言ったところでしょうか。

私のブログでも年明けの恒例になりましたが、世界最大の家電見本市インターナショナル・コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(International CES)が、今年も米国ネバダ州ラスベガスで8日から11日までの4日間開催されました(写真)。新聞やテレビでも報道されているので情報を入手された方も多いのではないでしょうか。

井之上パブリックリレーションズ(井之上PR)は、このCESの開催母体である米国家電協会(CEA)に対して、日本市場向けのPRコンサルテーションや開催期間中の現地への日本からのメディアツアーの実施などを行っています。今回は現地入りしている井之上PRスタッフからのホットな速報を交え報告いたします。

家電と言えば日本のお家芸と言われてきましたが、韓国や中国勢の勢いに押され日本メーカーが苦戦しているのは皆さんもご存知だと思います。そのような状況の中で開催されるCES 2013で日本メーカーがどのような発表をするのか個人的にも注目していました。

■けん引役はスマートフォンとタブレット
2013年の民生機器の目玉は何かといえば、大方の皆さんが予想しているようにスマートフォンとタブレットPCがけん引役とCEAも分析しているようで英語で言えば“Two-Horse Race”。

そしてキーワードを挙げるとモバイルとコネクティビティ。

スマートフォンやタブレットPCなどとブロードバンド・インターネット環境により家庭では冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの家電製品がネットワーク化され、情報とエネルギー管理が可能になってきたとされています。

そしてそれがハイブリッドカーや電気自動車に代表される自動車とも接続され、家庭から移動先までどこでも瞬時に必要な情報がやり取りされる時代が本当に目の前に迫っているようです。

CES開幕前日のプレキーノートはこれまでマイクロソフトのビル・ゲイツやスティーブバルマーが常連でしたが、今年はインテルの競合相手でスマートフォン分野に強いクワルコム社のポール・ジェイコブスCEOが登壇。

新しいモバイル向けプロセッサーを発表し、PCからスマートフォンなどモバイルデバイスに時代に移行していることを訴えたようです。

プレゼンテーションの中にサプライズでマイクロソフトのバルマーCEOが登場。クワルコムとMS両社の親密な関係を聴衆に印象付けていたそうでが、ウィンテル時代の終焉の象徴とも捉えることができます。

■4Kテレビで世界をリード!
CES開幕初日のオープニング・キーノートはパナソニックの津賀一宏社長(写真)。

ちょっと大げさに言えばこのスピーチは、今年の日本の家電業界を占う意味でも注目されていましたが、現行ハイビジョン方式の4倍の高精彩を誇る、印刷方式による4K(3840×2160ピクセル)の56型有機EL(OLED)TVの発表は大きな驚きをもって迎えられたようです。

サムスンやLGなどの韓国勢も大型高精細のLCDTV、OLEDを発表していましたが、4Kテレビではパナソニック、ソニーそしてシャープなどの日本メーカーが技術的に先行していることを大きくアピールできたようです。

家電の中心はやはりテレビ。特に米国でのテレビは日本で考える以上に家庭での存在は大きく、家電マーケットで戦う日本企業にとって、米国の巨大テレビ市場で認められることは世界に存在感を大きくアピールでき、米国市場攻略はビジネス成功の鍵となります。

また井之上PRの担当者は、これまで不振だった日本メーカーが、付加価値の高い技術力を生かしシェア奪還を強くアピールしていることに動かされたようで、日本企業に大いに期待が持てる今年のCESだったと報告しています。

日本でも今回のCES 2013について連日報道されていますが、こうした機会に各紙の論調を比較してみるのも面白いことです。

全般的な論調を見ると、家電分野では韓国企業の勢いの良さが感じられますが、「日本勢スマホで追撃」(1/10読売新聞)であったり、「ソニー、スマホで反攻」(1/9日本経済新聞)といったように日本企業に対するエールが紙面に認められます。

逆に朝日新聞では辛口な報道も目につきました。例えば、テレビ分野で日本を韓国と比較して「日本メーカーはすでに周回遅れの状況だ」(1/9朝日新聞)といった論調や米アナリストの「韓国メーカーの創意工夫が目立った。(中略)日本メーカーは昨年の発表から変化が見られなかった」(同)といったコメントの類です。

また、CESは本来的に最先端の製品や技術をお披露目する場であり、「タブレットの普及が小型テレビの普及に悪影響を及ぼしている」(1/9日本経済新聞)といった、出展に水を差すようなマーケティング的視点の論評も見られました。

今回のCES 2013のような舞台で、企業のトップがきちっとしたメッセージを世界に向けて発信できる機会はそう多くはありません。

絶好の機会を活かし世界に技術力をアピールしたパナソニックの津賀社長、そしてソニー、シャープなど日本企業のトップにさらなる頑張りを期待します。

企業ブランド、メッセージを発信するのにパブリック・リレーションズ(PR)は有効です。

グローバル市場で世界の強豪と熾烈な競争を続ける日本企業が、ブランド力を高め、世界で成功することが出来るように、今年も真剣にPRに取り組んでいきたいと改めて気を引き締めさせられた報告でした。


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日本経済新聞社は「The Nikkei Asian Review」の創刊1周年を記念して、京都大学経営管理大学院と「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」と題したシンポジウムを1月24日(木)、日経ホールにて共催します(後援:国際協力銀行、グローバルビジネス学会)。定員500名で参加費は無料。
私は、このシンポジウムのパネルディスカッション(16:30-17:50)でモデレーターを務めます。

参加を希望される方は、詳細を以下の日経サイトでご確認のうえ、お申し込みください。なお、定員を超えた場合は抽選となります。
http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00965

投稿者 Inoue: 16:56 | トラックバック

2013年01月07日

アジア諸国といかに協働すべきか?
?喫急の課題はグローバル人材育成

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

2013年の最初となる井之上ブログです。今年も皆さんとさまざまな問題や課題について一緒に考えていきたいと思います。

昨年暮れに行われた総選挙では、3年3ヵ月続いた民主党が大敗を喫し、自民党が復権しました。

第三極が乱立し国民に積極的には支持されない自民党が消去法で残ったと言われていますが、新政権誕生前から円安や株価上昇がみられ、長い間閉塞感に陥っていた日本社会は政権交代により、かすかな希望の光に久しぶりに明るい新年を迎えています。

構造的な問題を抱え低迷する日本にあって、グローバル市場への企業対応が強く求められています。

とわけ経済成長で大きな潜在力をもち変化の速いアジア地域において、いかにビジネスを拡大し成功させるかが問われています。そのために日本企業にはシステムの再構築が迫られ、ネットワークの強化・拡大やグローバル人材の育成は喫急の課題となってきています。

■アジアパワーを取り込む
とりわけ世界人口の60%近くを抱えるアジア地域には、異なった言語、宗教・文化・歴史を有する多くの国々が存在しています。

日本のグローバル化の流れは、1985年のプラザ合意による円高とITの進展にその始まりを見ることができますが、特に90年代に入り、多くの日本企業は円高対応によりアジア新興国・地域への工場進出をはかり、アジアを生産/製造基地として位置づけするようになります。

また現地政府の優遇政策による安価な人件費やサプライチェーンの確保、そして日本企業が同一の工業団地に工場を建設することによる裾野産業の現地化促進など、日本企業はひたすら効率化を図ってきました。

当時のアジア市場は未成熟で、もっぱら安価に生産された製品は欧米市場への輸出を目的としたものでした。

そんなアジア新興国・地域もこの数年で状況が一変します。日本や欧米資本の投資が進むにつれ、「世界の工場」から「世界の消費市場」としてのアジアが脚光を浴びています。

いまや、ASEAN諸国(10か国)に加えたASEAN+6(日本、中国、インド、韓国、豪州、ニュージーランド)のGDP合計は約20兆米ドルで、EU(約17.6兆ドル)やNAFTA(約18兆ドル)を上回るほどの勢い。

また世界的な情報化(ネット)社会が進展する中、人件費の高騰により購買力を身につけたアジアの新興国・地域における富裕層の台頭は競争原理が働く市場を形成し、消費者意識の高まりと共に、企業にきめ細かいマーケティング戦略そしてPR戦略の構築を求めています。

国の事情によって異なるものの、さまざまな規制緩和は、現地経済に新たな成長の機会を与えています。ベトナムのケースを例に挙げると、政府が実施した外資の小売流通業への進出解禁(2009年)は日本からはイオンなどの流通企業の現地進出にドライブをかけ、急速な「消費市場」化に拍車をかけています。

こうしたアジア諸国の変化を把握し、日本企業がいかにこれらの市場を取り込むかが今後の企業の盛衰に大きく影響を与えるのではないでしょうか。

これらアジア市場では、多様化を受け入れることが重要といえます。現地従業員やパートナーに現地および本社のマネジメントが日本型経営を押し付けていないか常にチェックすることが不可欠と言えます。

海外市場に進出する企業は、現地の商習慣や経済・産業・社会の状況を把握し、消費者や現地パートナーそしてその国の政府機関をはじめとするさまざまなステーク・ホルダーに対して、適切に対応しているでしょうか?

アジア地域は日本企業にとって他国の企業と比べ優位性を保っています。それは日本企業のイメージが良好であることからきています。

「フォーチューン」の企業ブランディング調査、「世界で最も称賛される企業」(2012)のトップ50のなかにはトヨタ(33位)とホンダ(50位)の2社しかランクされていません(トップ3は:アップル、グーグル、アマゾン)。しかし、同じフォーチューンの「アジアで最も称賛される企業」(2012)のトップ50では日本企業が実に30社(60%)ランクされ、首位のトヨタに続き、キャノン(2位)、SONY(4位)、本田(5位)と上位10社に5社がランクされています。

この数字が意味するものは、アジア市場での日本ブランドはまだ強くそのブランド力を背景に優位なビジネス展開が可能だということです。

しかし一方では、日経ビジネス年末合併号に紹介されているように、世界の就職人気ランキングトップ50に、日本企業は、SONY(15位)とトヨタ自動車(45位)の2社しか入っていないことが明らかにされています(トップ3は:グーグル、KPMG, P&G)。(出所:国際コンサルティング会社ユニバーサル社の2012年調査)。

原因の分析がありませんが、「日本企業の職場環境は息苦しすぎる」と不満をぶつける外国人社員が少なからずいることも理解しておく必要があるのではないではないでしょうか。

■グローバルビジネス人材の発掘と教育
このように急速なグルーバル化への対応が迫られる中で、日本企業の喫緊のテーマは、いかにグローバルビジネスを推進できる人材を確保し育成するかではないでしょうか。

先の日経ビジネスでは、日本企業によるさまざまな取り組みについて紹介していますが、中でも興味深いのは日産です。

同紙は、ゴーンさんが日産社長に就任してから社内にNAC(ノミネーション アドバイザリー カウンシル)という組織を立ち上げていることを紹介しこう述べています。「NACとは、世界各国の日産で働く優秀な従業員を発掘・育成し重要な仕事に登用する仕組みのこと。上司の推薦のほか、『キャリアコーチ』と呼ぶ人材発掘のスペシャリストが世界中を飛び回り、優秀な人材を見つけ出す。」とし、さらに同社が、ノミネートした人材一人ひとりに育成プランを作り、若いうちから重要な仕事を任せその成果評価を繰り返し行うことで重要ポストの後継者候補を育てるとしています。

グローバル人材育成のための研修を行っている日本企業に富士通があります。同社は10年以上前からGKI(グローバル ナレッジ インスティチュート)をスタートさせ、毎年30代後半?40代の社員20人程度を本部長推薦で選抜し、半年間にわたって自己研修とグループ研修を組み合わせて行っているようです。使用言語は原則英語で、期間中には数回の海外研修が含まれているとのこと。

日産や富士通の取り組みのように、企業内での人材発掘と研修制度は今後ますます重視されるでしょう。

日本人社員が海外での研修を通して、相互理解による現地の文化や商習慣などを学び、現地社員は日本本社での研修により企業文化やより深い技術の習得、そして社内ネットワークの構築など本社で学ぶ絶好の機会となるはずです。

日本のグローバル企業が日本人従業員だけ雇用していた時代は過去のものとなりつつあります。

有能な外国人雇用者の確保は将来の成長を左右するほどクリティカルです。自社を魅力的な企業にするためには組織構造や企業風土の見直しも必要になるかもしれません。ステーク・ホルダー(パブリック)との良好な関係を構築する、「倫理」「双方向」「自己修正」の3つの要素を抱合する、パブリック・リレーションズ(PR)の強化は必定といえます。


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日本経済新聞社は「The Nikkei Asian Review」の創刊1周年を記念して、京都大学経営管理大学院と「アジア新潮流・グローバルリーダーの条件」と題したシンポジウムを1月24日(木:14:00-18:00)、日経ホールにて開催します。定員500名で参加費は無料。
私は「アジア新潮流 グローバルリーダーの条件」(16:30-17:50)をテーマにパネルディスカッションのモデレーターを務めます。
参加を希望される方は、詳細を以下の日経サイトでご確認のうえ、お申し込みください。

http://esf.nikkei.co.jp/e/event.asp?e=00965

投稿者 Inoue: 17:40 | トラックバック