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2018年12月12日

年末に今年、そして「平成」の振り返りを
〜「乱」に象徴される時代に不可欠なパブリック・リレーションズ(PR)

皆さんこんにちは、井之上喬です。

師走に入りもうすぐクリスマス、年末年始を迎えます。
何かと気ぜわしい時期ですが1年の締めくくりと、新しい年の準備をしっかりしたいですね。

■2018年の振り返り、「そだねー」、平成の歌姫「安室奈美恵さん」
最近、気になったものをいくつか拾ってみます。まず今年流行した言葉を決める「2018ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、平昌(ピョンチャン)冬季五輪のカーリング女子日本代表で銅メダルを獲得した「ロコ・ソラーレ(LS北見)」のチームメンバーが試合中に使い話題となった「そだねー」が年間大賞に選ばれたことが挙げられます。

流行語大賞は、1984年にスタートし毎年12月上旬に発表されます。「そだねー」以外の上位には、対戦型のテレビゲームを「スポーツ」として扱う「eスポーツ」、サッカー・ワールドカップ ロシア大会で活躍した大迫勇也選手を称した「(大迫)半端ないって」、俳優の田中圭さん主演で話題となったテレビ朝日系の連続ドラマ「おっさんずラブ」、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」で“5歳の女の子”チコちゃんが使う「ボーっと生きてんじゃねーよ!」などが選ばれました。

また、日本経済新聞社は2018年の日経MJヒット商品番付をまとめ発表しました。それによると東の横綱には9月に引退した平成の歌姫「安室奈美恵さん」が、西の横綱には中国発SNS(交流サイト)アプリで日本では主に10?20代が利用している「TikTok(ティックトック)」が選ばれました。

東西の大関には、スマホでQRコードやバーコードを使い決済する「スマホペイ」、定額料金でサービスが使い放題になる「サブスクリプション」も、動画配信サービスから飲食店、家具など対象となる分野が広がり始めており、新たな消費のあり方を提案しています。これも時代の流れを反映したものといえるでしょう。

■激動の平成株式相場を表す漢字は「乱」
12月7日にスパークス・アセット・マネジメントが発表した調査結果も興味深いものでした。それは個人投資家1000人を対象に、平成30年の平成最後の日本株相場を表した漢字は「乱」だったそうです。平成30年間を表す漢字も、同じ「乱」(132人)で2位は「変」、3位は「低」という順だとのこと。

あなたはどう感じられますか?

振り返れば平成が始まった1989年の日本経済はバブルのピークでした。この年の年末には日経平均株価が過去最高の3万8915円を付けましたが、その後、バブルは崩壊し長期の低迷期に入ったのは皆さんご存知の通りです。

そして2008年にはリーマン・ショックで日経平均はなんと7000円台まで落ち込みました。現在は2万2000円前後の動きとなっていますからまさに「乱」という漢字が適当なのかもしれません。

スパークスの調査では、日本の株式市場の発展につながりそうな新元号の候補も聞いていますが、その結果は「上昇」と「飛翔」(いずれも19人)がトップだったようです。

世界景気の後退懸念や米中貿易摩擦などを背景に株価が乱高下する傾向の今を反映、安定した相場を望む声が多かったようです。

2019年春には幕を閉じる「平成」、あなたにとってはどのような30年だったでしょうか。

最先端技術に支えられAI(人工知能)IoT(モノのインターネット)などが現実のものになり世界がインターネットでつながる新しい時代になっています。

井之上パブリックリレーションズは、2020年に設立50周年を迎えますが、パブリック・リレーションズ(PR)を取り巻く外部環境はこの30年でテクノロジーの急速な進化により激変、新聞やテレビなどの伝統的なメディアに加えオンラインメディア、そしてSNSが一気に普及し情報の流れが地球規模で大きく変化しています。

そのような変化の中で、様々なステークホルダー(利害関係者)との「倫理観」に基づいた「双方向コミュニケーション」と「自己修正機能」をベースにしたリレーションシップ・マネジメント(関係構築)活動であるパブリック・リレーションズ(PR)の役割がますます重要になっていると強く感じています。

SDGs、ESG投資に象徴される地球規模での価値観の変化の中、サステナブルな営みを継続し素晴らしい未来を実現するために、パブリック・リレーションズ(PR)の視点を持った様々な立場の人が、子供から大人まで1人でも増えるように皆さんと一緒に来年も頑張ってまいります。



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先週(12/5)、日本外国特派員協会(FCCJ)が主催する拙著“Public Relations in Hype-globalization”を紹介するイベントBook Breaksが催されました。
Book Breaksは、外国特派員が関心を持つテーマを扱っている著書をFCCJライブラリーコミッティーが推薦して、実施されるものです。

私は、世界で進展するグローバリゼーションが、インターネットや破壊的技術革新によりハイパー化することで、予測困難な時代を創出し、リレーションシップマネジメントを主柱とするパブリック・リレーションズ(PR)の力がますます重要になると、いくつかの事例を通してお話させていただきました。

当日の参加者は、FCCJメンバーにゲストを加え30名を超え、質問も活発で、盛況な催しとなりました(写真)。

投稿者 Inoue: 18:11

2018年11月12日

インフルエンザ、今年も既に流行の兆し
〜国内メーカーが世界最速のワクチン製造技術を開発

皆さんこんにちは、井之上喬です。

今年も既にインフルエンザ流行の兆しがあり、東京都や大阪府などの大都市で休校や学級閉鎖が出ているようです。インフルエンザは例年、11月下旬頃から大きく増加し、2月頃にピークとなるといいます。昨季は推計患者数が2230万人を超え、99年の統計開始以来最多となった年でした。

■世界的に流行する「パンデミック」
インフルエンザは世界的に流行する「パンデミック」が過去に何度か発生しました。パンデミックとは、感染症の全国的・世界的な大流行をいうようで、爆発感染などとも表現されています。古くは、14世紀のヨーロッパにおけるペスト(黒死病)、19世紀以降7回にわたって発生したコレラの大流行などが挙げられます。

1918年から広がったスペイン風邪では世界で数千万人の死者が出たといいます。スペインかぜでは、4000万?5000万人、一説によると1億人の死者を出したともいわれています。

68年に発生した香港かぜ(香港インフルエンザ)なども、インフルエンザ・パンデミックに相当します。昨今は、ワクチンが開発されて感染や重症化を抑えられるようになったものの、近年になっても新型ウイルスが生まれていて、その対応に追われているのが、現実だとのこと。

新型インフルエンザウイルスは、動物、特に鳥類のインフルエンザウイルスが、遺伝子の変異などによってヒトの体内でも増殖できるようになり、ヒトからヒトへ効率よく感染するようになったものだそうです。

ほとんどの人類が免疫を持たないため、感染すると爆発的に広がり、健康被害だけでなく、これに伴う社会的影響も甚大なものになるとのこと。

■1?6のフェーズ(警戒段階)
世界保健機関(WHO)では、世界にパンデミックの脅威の深刻さや事前の対策計画の準備の必要性などを知らせるため、動物間に新しい亜型ウイルスの存在が確認された以降、1?6のフェーズ(警戒段階)を設けています。

フェーズ1:ヒト感染のリスクは低い
フェーズ2:ヒト感染のリスクはより高い
フェーズ3:ヒト?ヒト感染は無いか、または極めて限定されている
フェーズ4:ヒト?ヒト感染が増加していることの証拠がある
フェーズ5:かなりの数のヒト?ヒト感染があることの証拠がある
フェーズ6:効率よく持続したヒト?ヒト感染が確立(パンデミック期)

一方、日本経済新聞(11/7朝刊)は感染症を予防するワクチンの製造に約60年ぶりの技術革新が起きようとしていると次のように報じています。

「田辺三菱製薬は早ければ2018年度内に、タバコの葉を使って世界最速の1カ月で製造するインフルエンザワクチンの承認を米国で申請する。従来の6分の1の製造スピードだ。ワクチンは欧米の大手4強が9割近いシェアを占める寡占市場だが、独自技術で切り崩しを図る。」

ワクチンには事前に投与して発症の可能性を減らしたり、発症しても重症化を抑えたりする役割があります。ワクチン製造ではウイルスを培養して増やし、毒性を取り除くための期間として従来は1年以上が必要でした。

1950年代から続く鶏卵を使う手法は特別な環境で飼育した鶏と受精卵を確保しなければならず、1年以上かかるのが難点だったようです。

田辺三菱が開発したタバコの葉を使う手法は、流行するウイルス型と同じ遺伝子をタバコの葉の組織に組み込み、生育後にワクチン成分を抽出。米国で18年度中にも製造販売の承認を申請する見込みで、19年度の実用化をめざすとのこと。

TPCマーケティングリサーチによると、日米欧のワクチンの市場規模は2兆3000億円と成長が続いています。インフルエンザはそのうち3600億円程度だそうですが、世界的な大流行(パンデミック)が起きると市場はたちまち2?3倍に膨れあがるといいます。

日本政府はパンデミックに備えて非常用ワクチンを備蓄しており、有効期限は1年程度。期限が切れると廃棄することになります。

09年に新型インフルが流行した際に緊急輸入したワクチンもほとんどを廃棄したそうです。需要に合わせて量産できる体制が整えばコスト減につながり、田辺三菱の開発は各関係方面からの期待を集めています。

日頃から外出や人に会うことの多い、パブリック・リレーションズ(PR)パーソンにとって、インフルエンザは大敵です。

インフルエンザの予防には流行前のワクチンの接種が効果的です。手に付いたウイルスを取り除くためには、石けんを用いた手洗い、アルコールによる消毒、他にもうがい、マスクの着用、体調や適切な湿度管理など気をつけましょう。

投稿者 Inoue: 13:55

2018年11月01日

11月1日は「本の日」、あなたは本屋が好きですか
〜本屋さんに出かけてみてはいかが

皆さんこんにちは井之上喬です。

ちらほらと初雪の便りが届く季節になりましたね。

私は現在アジア中東を旅していますが、こちらはさしずめ日本の夏でひきかけていた風邪も治ってしまいました。

日本もこれから急に寒くなったりしますので、体調管理には留意され紅葉の秋をご満喫ください。

■減少続く本屋の数
2018年から11月1日が「本の日」に制定されたのをご存知でしょうか。
本棚に並ぶ本を見立てて(111)11月1日に指定したそうです。なるほど。「本の日実行委員会」のホームページ  https://honnohi.com/page-26/ もご参照ください。

全国の本屋さん(今日は書店ではなく本屋さんに統一します)それぞれが、お客様に喜んでいただけるような企画を考え行いながら本屋に足を運んでいただこうという活動とのこと。これに合わせて、全国の本屋さんでは総額500万円分の図書カードNEXTネットギフトが当たるプレゼント企画「11月1日は本屋へ行こう!キャンペーン」などを11月11日まで実施しています。

ひとりでも多くの人に実際に本屋へ足を運んでもらうためのキャンペーンを新たに展開する背景には、言われて久しい活字離れ、そしてインターネットによる書籍購入の普及など本屋を取り巻く大きな環境の変化があります。

毎日新聞の6月24日朝刊には「止まらない書店数の減少 このままでは寂しすぎる」とする社説が載っていました。記事を一部紹介しますと「手に取って本を選べる、街の中の「リアル書店」がどんどん姿を消している」から始まり、東京・六本木の青山ブックセンターや東京・代々木上原駅前で約40年間愛された「幸福書房」の閉店など特徴ある本屋の閉店を惜しむ話題が取り上げられていました。

また、厳しい本屋の経営環境を示すデータとして「1996年をピークに長く続く出版不況のなか、書店を取り巻く環境は厳しさを増している。書店調査会社アルメディアによると、今年5月1日現在の全国の書店数は、前年比500店減の1万2026店。10年前に比べ3割近い減少だ」とも触れています。

本屋に入って、ノスタルジーを感じるのは私だけではないと思いますが、減少を食い止めるためにできるだけ足を運びたいと思います。

■デジタル一辺倒からの変化も?
一方で電子出版市場の成長、そして「ネット書店」の隆盛の実態を上げながらも以下のような心情を述べています。「仕事や学校帰りに、ふらっと立ち寄った書店で、何気なく手にした本との幸福な出合いを経験した人は少なくないだろう。うんちくたっぷりの店主との会話を楽しむのも、リアル書店ならではの充実した時間だ。書店がもたらすのは、そうした暮らしの潤いだ」私も大きくうなずいた。

そして「米国では「デジタル疲れ」などで電子書籍の販売額が減り、紙の本の売り上げが回復しているという。発想とセンス次第で、リアル書店の活路はまだまだあるはずだ。」とも触れています。

実際日本でも経済情報をベースに世界規模で新たなメディア展開をしているNewsPicksが100万部を超す書籍を連発したり、デジタルオンリーと思われがちな企業のオウンドメディアで紙の雑誌タイプの動きが出てきたり、紙の本の良さ、楽しさを見直す動きも出てきているように感じます。

本屋は本を売るだけではなく、作品、作品の世界観、作家と読者を結ぶ空間であると思います。

私自身も今年は、パブリック・リレーションズの英語本をロンドンから出版したり、子供向けのパブリック・リレーションズの絵本「なかなおり」の監修をしたりしましたが、原稿を書いているときにイメージするのはデジタル本ではなく温かみのある紙の書籍です。

パブリック・リレーションズ(PR)の職業柄、様々な情報を肌で実際に感じるのに本屋さんは私にとって必要な場所ですし、本屋さんは個人的にはとても落ち着いて好きな空間の一つです。

「スマホを捨て、本屋に出かけよう」そしてお気に入りの1冊を見つけて秋の夜長を過ごすのはいかがでしょうか。

投稿者 Inoue: 10:00

2018年10月22日

ハロウィンの由来は古代ケルト民族にあり
〜X’mas商戦に次ぐイベントに成長

皆さんこんにちは、井之上喬です。

時候の挨拶では、この時期を「霜降の候」というそうです。あの熱暑がウソのように朝夕は冷え込み、深まる秋を感じる季節となりました。

秋のイベントとして年々人気が高まるハロウィン。でも、その由来や語源など案外と知られていないようです。今回のブログではハロウィンについてお話します。

■語源はキリスト教の万聖節「All Hallo Eve」
実は、ハロウィンとは二千年以上もの歴史があるお祭りで、その起源は紀元前古代ヨーロッパに広く居住していたケルト民族にまでさかのぼるといわれています。

古代ケルトでは11月1日が新年で、日本の大晦日にあたる前夜の10月31日から秋の収穫物を集めた盛大なお祭りが開かれました。またこの日には、死後の世界との扉が開き、先祖の霊が戻ってくるとも信じられていたようです。

ハロウィンの期間を10月の最後の一週間、あるいは10月31日?11月2日までといった説もありますが、ハロウィンはこの10月31日の1日のみを指すようです。

その後ケルト民族はキリスト教化していきますが、祝祭の習慣は残り、キリスト教会が11月1日を「諸聖人の日」を意味する「All Hallo」と定めたことから、その前夜=「All Hallo Eve」 が転じて、ハロウィンと呼ばれるようになったと考えられています。

ハロウィンには、先祖の霊だけでなく、悪魔や魔女、さまよえる魂なども死後の世界からやってきます。人々は、それらと同じ格好に仮装して仲間だと思わせ、身を守ったとのこと。魔女や悪霊の仮装やメイクなどは悪い霊から身を守るためだったようです。

■経済効果は推計約1,340億円
19世紀、ハロウィンは移民とともにアメリカ大陸へ渡り、娯楽性の高いイベントとして人気を博します。現代では宗教色はほとんど薄れ、完全な娯楽イベントとして、映画やマンガのキャラクターもコスチュームのネタとなっているのは皆さんもよくご存知のとおりです。

日本でハロウィンは、1990年代後半の東京ディズニーランドのイベントを筆頭として、各地でのハロウィンイベントの開催が増えたこと、さらに2000年代後半より菓子メーカーが相次いでハロウィン商戦に参入したことなどを契機としながら、2010年代中盤にはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の普及にも後押しされて市場規模を拡大していったようです。

日本記念日協会の発表によるとこの数年、ハロウィン経済効果は拡大の一途を続けています。平成28年にはバレンタインの経済効果を抜き約1,340億円と拡大しました。この数字は、クリスマスイベントに次ぐ2番目に高い額であり、今や日本を代表する記念日に成長したといえるようです。

ちなみに同協会は、 2018年の「ホワイトデー」の推計市場規模は前年比約10%減の約530億円、「バレンタインデー」は前年比約6%減の約1300億円、そして「母の日」は前年比約3%増の約1170億円と発表しています。

日頃から緊張感を強いられるパブリック・リレーションズ(PR)業務に携わっている皆さんも、秋の終わりに大人も子どもも一緒になって、ハロウィンを楽しんで気分転換されたらいかがでしょうか。

投稿者 Inoue: 12:37

2018年10月11日

九州でも大規模停電?どこかおかしい日本のエネルギー政策
〜止まらない地球温暖化に日本政府は積極的な取り組みを

皆さんこんにちは井之上喬です。

体育の日も過ぎいよいよ秋本番。運動会に汗を流した方も多かったのではないでしょうか。何をするにもよい季節になってきましたね。

今回は環境、エネルギーに関するニュースをピックアップしてみたいと思います。

■九州では太陽光発電などの「出力制限」の可能性?
まず北海道地震からはや1カ月ですが「ブラックアウト」から一転、電力供給量過多で大規模停電の恐れとの衝撃にニュースがNHKで流れ、不思議な感じを持ちました。

ニュースの要点はこうです。NHK NEWS WEBによると、「九州地方では秋に入って電力の供給が需要を上回って需給のバランスが崩れるおそれがあり、大規模な停電を防ぐために全国で初めて、太陽光発電などを一時的に停止させる「出力制御」が実施される可能性が出ています」

秋になって冷房を使う機会が減る一方で、太陽光発電先進地であることや原子力発電の再稼働などで電力供給が増えている九州地方では、電力の供給が需要を上回る状況が起きており、九州電力は電力の需給バランスが崩れて大規模な停電が起きるのを防ぐため、火力発電所の稼働を抑えるとともに、余った電気を本州や四国に送る需給調整を初めて行っているとのこと。

しかし、「こうした手段を講じても需要の少ない日には電力供給が過剰になるおそれもあるとして、九州電力が太陽光などの事業者に一時的に発電の停止を求める「出力制御」の実施を求める可能性が出ています」というもので、仮に「出力制御」が実施されれば離島を除いて全国で初めてとのことです。

太陽光発電で生まれた電力は現在、国の固定価格買取制度(FIT)に基づいて電力会社が買い取ることになっており、日照条件がよい九州は全国的に見ても太陽光発電などの導入が進んでいる地域で、九州では太陽光発電だけで8月末時点で出力が最大800万キロワット(原発8基分)に上っているとのことで、需要が少ない春や秋の晴れた日中には太陽光の発電量で需要の8割をまかなえるまでになっているとのことです。

一方で、原子力発電所が再稼働して、現在、川内原発と玄海原発の合わせて4基が常時400万キロワット以上を供給しており、九州では電力の供給が過剰になる可能性が出ているというものです。

電力は需給のバランスが崩れて周波数を保てなくなると、トラブルを防ぐため、発電所などが自動的に停止して大規模な停電が起きるおそれがあります。

北海道地震では苫東厚真火力発電所が停止し、供給力が急激に低下したことをきっかけにほぼ全域が停電する「ブラックアウト」に陥りましたが、今回は皮肉にも電力供給力が増えすぎて需給バランスが崩れることで大規模な停電が起きる可能性があるとのこと。

国は再生可能エネルギーを将来の主力電源の1つに据える方針で、電力構成として天然ガス、石炭などの火力発電に加え、原子力発電、再エネ発電などの、いわゆる電力ミックスの形で電源の多様化を進めています。

太陽光発電は再エネの中核エネルギーとなっています、太陽光発電の“泣き所”である出力の不安定さを解消するため、大容量蓄電池の開発や電力広域運用による電力融通の促進、また太陽光発電で得た電気で水を分解し、純正水素(CO2ゼロ)によるエネルギー備蓄などへの取り組みが緊急課題といえるでしょう。

■世界の英知を結集し地球温暖化に歯止めを
そんな中、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球温暖化がこのまま進めば、18世紀の産業革命前と比べた世界の平均気温は、早ければ2030年に1.5度高くなると予測した特別報告書を公表したと10月9日に各メディアが報道しています。

異常気象や生態系への深刻な影響を警告しており、具体的には1.5度に気温上昇を抑えるには2050年前後に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする世界的な大変革が必要であるとも指摘しています。

非常にハードルが高い困難な目標だと思いますが、それだけ事態は深刻だということです。

おりしも今月10月10日から11日まで東京では、日本政府主導で環境問題を解決するための国際会議であるInnovation for Cool Earth Forum(ICEF)が開催されています。https://www.icef-forum.org/jp/

今回が2014年の初開催から5回目を迎えます。世界のリーダーが一堂に会して技術イノベーションによる気候変動対策を協議、参加者だけにとどまらず、より幅広くエネルギー・環境技術におけるイノベーションを発信するとともに、日本をはじめ世界各国の最新動向に触れる場ともなっています。

おひざ元の日本政府には、世界の英知を結集し環境対策先進国としての大胆な政策に取り組んでもらいたいものです。

目的実現のために、様々なステークホルダーとのリレーションシップ・マネジメントを主柱としたパブリック・リレーションズ(PR)の活用が求められています。

投稿者 Inoue: 14:41

2018年10月02日

日本企業のガバナンスランキング
〜グローバル化でますます重要となる経営指標

皆さんこんにちは、井之上喬です。

台風24号の猛威が日本列島を駆け抜け、ホッとする間もなく25号が発生し日本上陸を狙っています。日本で巨大台風来襲が常態化するのでしょうか、地球温暖化対策は喫緊の課題ですね。

世界中の投資家が日本企業のガバナンスを測る目安として注目するジェフリーズ証券の2018年の日本企業のガバナンスランキングがまとまったと、先週(9/26)の日経電子版で紹介されました。

コーポレート・ガバナンスは、一般的に企業統治といわれていますが、朝日新聞掲載「キーワード」の解説によると、「株主などの利害関係者によって企業が統制される仕組み。ワンマン経営のもとでは業績悪化や不祥事に適切に対応しにくいとして、欧米で80年代から研究や制度導入が進められた。正しい財務報告をつくるシステムづくりを公開企業に義務づける『内部統制』もその一環」とあります。

■上位企業に共通する「指名委員会等設置会社」
日経電子版によると2018年のランキングトップになったのは前年に続いてエーザイと武田薬品工業で、それぞれ240点でした。3位は昨年4位の日立製作所が1つ順位を上げ、前年3位のソニーが4位に後退したとのこと。

5位に不正融資事件で揺れるスルガ銀行が入ったのは意外に感じますが、6月の株主総会で社外取締役を1人多い4人に増員。9月には創業家出身の会長ら5人の社内取締役が辞任し、取締役会での社外取締役比率が高まり、今後、経営陣の行動に対し正当なモニタリング(監視)機能を発揮することができるとしたことが要因のようです。

上位企業の多くに共通するのは、社外取締役が主導する欧米流の統治モデルである「指名委員会等設置会社」にあるとのこと。「指名委員会等設置会社」について簡単に言えば、経営の監督機能と業務執行機能とを分離したコーポレート・ガバナンスを有する会社であり、2003年4月の商法改正で初めて導入されたといいます(金融経済用語集)。

ジェフリーズ証券のランキングは(1)取締役の固定化(2)社外取締役の影響(3)社外取締役のスキル(4)女性や外国人などの人材多様性(5)株主との利害一致の5つの観点から分析されるとのこと。

今回調査対象となった主要500社(TOPIX500)の平均点は40点。昨年は34点だったので6点のアップ。しかし、同証券の採点はマイナス100からプラス240まで340点の幅があり、その中で6点の上昇率は2%にも満たない微増でしかないようです。

■企業の持続的成長と企業価値向上
日本企業のガバナンスランキングが国際的に注目されてきた背景として次のことが挙げられます。

第一は、企業の資金調達と機関投資家の活動がグローバルに広がったことで、経営側に強くアカウンタビリティ(説明責任)が求められるようになってきたこと。

また、機関投資家の持ち株比率が高くなり投資先の企業に変革を求めるアクティビスト(物言う株主)の影響力が強まったことも要因だといいます。

昨今、日本企業による不祥事が多発しています。企業不祥事には、製品の品質チェックの不正や不適切な会計処理における粉飾決算・横領、労働基準法に抵触する雇用問題など「倫理観」の欠如に起因するケースが多く枚挙にいとまがありません。

これらの不祥事は、顧客や取引先、従業員、株主・投資家などあらゆるステークホルダーの利益を損失し、経済・証券市場や日本社会に多大な悪影響を与えています。また、不祥事により経営危機に陥る企業も多く、主力事業の売却や不利益なM&A、倒産に発展しているケースも珍しくありません。

コーポレート・ガバナンスは企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に必要不可欠な経営指標です。コーポレート・ガバナンスのランキング上位の企業において「倫理感」「双方向性コミュニケーション」「自己修正」を統合するパブリック・リレーションズ(PR)がどのように機能しているか、興味深いところです。

投稿者 Inoue: 16:40

2018年09月21日

歳時記
〜春夏秋冬を代表する秋の多面性

皆さんこんにちは、井之上喬です。

ゲリラ雷雨には悩まされていますが、熱暑も一段落して身近に秋の気配が感じられる季節になりました。

スポーツの秋、読書の秋、芸術の秋、行楽の秋、睡眠の秋、食欲の秋など、春夏秋冬四季の中で“◯◯の”というフレーズが付くのは秋だけのようです。今回はいくつかの「○○の秋」について、その由来などについて紐解いていきたいと思います。

■「スポーツの秋」は東京五輪(1964年)に起因
実用日本語表現辞典を引くと「スポーツの秋」について、「秋はスポーツをするのに適した季節であるという意味の言い回し。由来は日本初のオリンピックである東京オリンピックが開かれたため、あるいは暑くもなく寒すぎもせず夏や冬より快適であるためなどさまざまな説があるが、実際はよくわかっていない。」とありました。

東京五輪が開かれた10月10日が「体育の日」として国民の休日となり、この日を中心に運動を楽しもうという風潮が生まれ、「スポーツの秋」となったようです。

話はそれますが、2020年東京オリンピックが異常気象の中で、高温多湿の猛暑の盛夏を選んだことは全く理解に苦しみます。開催時期を秋に移動するなど、出場する選手の立場(人道上)で再考すべきと思います。

さて、「読書の秋」の由来には、日本と中国からといった2説があるようです。日本では1918年(大正7)年9月21日の読売新聞朝刊5面の見出しに「読書の秋 図書館通ひの人々 読書と世間」と書かれた記事が初めての使用例だといわれます。

その後、1924年に日本図書館協会が11月17日から11月23日までを図書週間
に制定し、さらに1947年には第1回目の「読書週間」が11月17日?11月23日に行われ、これが「読書の秋」の由来とされているようです。
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一方、中国説では、古代中国の唐時代の詩人、韓愈(かんゆ 768-824)の漢詩によるという説が有力だそうです。それは学問の大切さを詠んだ「符読書城南詩」の中の一節に「灯火親しむべし」という言葉があります。

その意味は「涼しく夜の長い秋の夜は灯火の下で読書をするのに適している」ということのようです。それから、秋は読書にふさわしい季節であるというイメージが拡がったという説です。

皆さんは、日本説、中国説のどちらを支持しますか? 次は秋の表現の中でも一番身近な言葉として知られる「食欲の秋」について紹介しましょう。

■旬な食材とセロトニン
「食欲の秋」の由来には、これという定説はないようですが、私たちの主食となるお米をはじめ、沢山の美味しい食材が旬を迎える秋はいつもより食欲が増す、という考えから「食欲の秋」と呼ばれるようになったというのが有力な説のようです。

なぜ秋になると食欲が増すのか、ということですが精神状態を安定化するためのある神経伝達物質が大きく関係しているといいます。

それはセロトニンで、“幸せホルモン”とも呼ばれていて、食欲を抑える働きがあるそうです。この成分は、日光に当たる時間と比例していて、陽の光を浴びる時間が短いと減り、長ければ増える特徴を持ちます。つまり秋は日照時間が短いので、夏に比べて太陽の光を浴びる時間が短く、かつセロトニンの分泌量も減るので、食欲が増えるとしています。

冬は代謝がアップするため、それに備えてカラダはエネルギーを蓄えようとします。食欲が旺盛になり、体脂肪が多くなっていくようです。

頭と体の両方を使うパブリック・リレーションズ(PR)の実務家にとって、とりわけ秋は肥満に気を付けなければならない時期ともいえますね。

投稿者 Inoue: 13:22

2018年08月31日

始球式は大隈重信公に始まる
〜米国では第27代大統領の肥満から始まった

皆さんこんにちは、井之上喬です。
残暑お見舞い申し上げます。

日本列島が記録的な猛暑、台風やゲリラ雷雨に見舞われるなか甲子園の高校野球に次ぎアジア大会2018ジャカルタで熱闘が続いています。

日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕選手強化本部長はアジア大会2018ジャカルタではメダル目標を設定しないことをすでに明らかにしています。これは、2020年東京五輪の金メダル獲得目標を史上最多の30個に設定したことで、「2年後に迫った東京五輪の金メダルに絞って目標を決めた方がいいだろう」ということのようです。

アジア大会もいよいよ大詰め、今大会では30日現在で59個の金メダルを獲得し、既に仁川アジア大会2014の47個を上回る勢いです。この勢いが2年後の東京五輪に繋がれば良いですね。

さて、今回のブログではアジア大会ではなく、野球の始球式にまつわるお話を紹介します。

■「甲子園レジェンド始球式」
第100回全国高校野球選手権記念大会は、大阪桐蔭(北大阪)が金足農(秋田)を13-2で破り、史上初となる2度目の春夏連覇を達成し、8月21日に全日程を終了しました。その間、数々の感動が日本列島を包んだことは記憶に新しいことです。

第100回を記念してこれまで夏の甲子園で活躍した元球児による「甲子園レジェンド始球式」が試合のある全日程で行なわれたのも話題の一つでした。

開幕日は、高校最後の夏に「5打席連続敬遠」で敗れたという逸話をもつ松井秀喜さん(石川・星稜)が務めました。開幕試合となったのは松井さんの母校星稜(石川)?藤蔭(大分)でこの奇跡ともいうべき巡り合わせに球場は大きく揺れました。

レジェンドは様々な年代で活躍した18人。定岡正二(鹿児島実)、板東英二(徳島商)、金村義明(報徳学園)、中西太(高松一)、桑田真澄(PL学園)、佐々木主浩(東北)、太田幸司(三沢)など、いずれもプロ野球で活躍した選手で皆さんも良くご存知の方々でした。

始球式で投じられたボールは、レジェンドにサインしてもらった後、阪神甲子園球場内の「甲子園歴史館」に展示される予定とのこと。

■何故、空振りするのか?
1908年に早稲田大学野球部とアメリカ大リーグ選抜の親善試合が行われたといいます。この時に日本初の始球式が行なわれたようです。

その日本初の始球式でボールを投げたのは、当時早稲田大学初代総長であった大隈重信公。ソフト帽をかぶり、羽織袴を着たいでたちだったといいます。大隈氏が投球そしてバッターには早稲田の1番バッターの学生が入っていたとのこと。

「林先生が驚く初耳学」(5/24放送分)で野球の始球式でどうして必ず空振りをするのかを野球好きで有名な林修先生が解説していました。

「大隈公の投げたボールはとんでもない方向へいってしまい、バッターの学生は『大隈重信に恥をかかせるわけにはいかない』と慌てて機転を利かせてバットを振って空振りにしたそうです。」

それ以来日本では始球式というのはバッターがわざと空振りするようになったとのことです。

アメリカの始球式についても面白い理由があるそうです。アメリカで始球式が始まったのは、第27代アメリカ大統領ウィリアム・タフトの体重140キログラムを超える肥満が要因とか。側近が「この肥満では危ない。運動してもらおう」と少しでも体を動かすために始球式をやってもらったとのこと。1910年にワシントンD.C.にある地元球団『ワシントン・セネタース』の開幕式でのことでした。ちなみにアメリカの始球式ではバッターは打席に立たないようです。

まだまだ猛暑が続く気配です。体調管理に留意しましょう。

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投稿者 Inoue: 13:59

2018年08月21日

深刻さ増す世界規模でのプラスチックごみ問題に早急な対策を
〜政府に頼らずまず民間から

皆さんこんにちは井之上喬です。
残暑お見舞い申し上げます。

夏休みを利用し海や山に出かけた方も多いのではないでしょうか。

私は毎夏この時期に亡き母の故郷、愛媛県弓削島で休暇を楽しんでいます。美しい自然は本当に人の心を癒す力を持っていますが、その自然を人類の宝物として、次の世代に継承したいものですね。

夏の浜辺で目につくのは、岸辺に打ち上げられたプラスチックのごみの山。
今日は深刻な問題となっている、プラスチックのお話しです。

■「海洋プラスチック憲章」に署名しなかった海洋国日本
最近、世界規模でプラスチックごみ(廃プラ)による海洋汚染が問題になっています。アジアやアフリカなど世界各地で、浜辺を覆いつくすプラスチックごみの惨状がニュースでも流れています。

8月18日の日本経済新聞では、政府がプラスチックごみによる海洋汚染の深刻化を受け、年内にも数値目標を盛り込んだ削減に向けた対策に乗り出す、と報道しています。

政府は6月の主要7カ国(G7)首脳会議で削減目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」に米国とともに署名を見送るなど規制への対応は遅く、国内外から批判が強まっています。

日本は1人当たりの使い捨てプラスチックの発生量は米国に次ぎ世界で2位であるにもかかわらず、署名しなかった理由について中川雅治環境大臣は「産業界と調整する時間が足りなかった」と釈明しています。

そしていつもの通り、一部の産業界ではプラスチック製品の規制強化には代替品の調達が間に合わないなどの理由で慎重論が根強い、ということです。

経済協力開発機構(OECD)の試算では、廃プラによる環境汚染などの損害が年間約130億ドル(約1兆4000億円)に上るとしEUなどはすでに規制を強化しています。

プラスチックごみ問題解決への取り組みは今や待ったなしなのです。

この世界的な大きな流れに敏感に反応している民間企業もあります。外食企業などがプラスチック製ストローの使用を取りやめるなど具体的な対策を発表し動き始めていますね。

すかいらーくホールディングス(HD)は、8月17日に2020年までに全店となる約3200店でプラスチック製ストローを廃止、12月までにファミリーレストラン「ガスト」の全店となる約1370店で廃止する方針を発表しました。

パブリック・リレーションズ(PR)に関わる1人として、日本企業には珍しい戦略的な発表に正直驚きました。

スターバックスコーヒーも使い捨てプラスチック製ストローを2020年までに全世界で廃止、またマクドナルドは英国とアイルランドで紙製に切り替えるなど、プラスチックストロー廃止が世界の潮流になりつつあり、すかいらーくHDも素早く対応した形になっています。

代替品のコスト、顧客の反応など廃止に向けた課題も多いと思いますが、その挑戦には拍手を送るとともに一消費者として賛同したいと思います。

■国連のSDGs第14番目の目標は「海の豊かさを守ろう」
2015年に国際連合で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」のなかでは17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられており、そのなかの第14番目の目標は「海の豊かさを守ろう」となっています。

国連広報センターのホームページには、「やめよう、プラスチック汚染」の項目で以下の一文を掲載しています。

「ご存知ですか。実はプラスチックごみの9割が、リサイクルされていないこと。毎年800万トン以上のプラスチックがゴミとして海に流れ込んでいること。すでにその数は銀河系の星の数より多く、2050年には魚の量より多くなると予測されていること。

そして、一部は紫外線・海流・波で、マイクロプラスチックと呼ばれる細かい破片となり、有害物質が付着しやすくなり、鳥や魚がエサと間違えて食べ、その魚を私たちが食べていること。買い物で、飲食店で、あらゆるところで、不要なプラスチックを使うのはやめましょう。そのプラスチックは、使い捨てになるだけではなく、この地球を汚す可能性が高いのだから。」

プラスチックはリサイクルされている、と思っている方も多いのではないでしょうか。実態は全く異なり、地球環境に大きな負荷をもたらしているのです。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、世界の潮流になっているSDGsそしてESG投資に積極的に取り組んでいる企業や組織の情報発信を戦略的に支えるパブリック・リレーションズ(PR)のコンサルテーションを展開しています。

世界に向けて、本業に基づき且つSDGsに紐づいた活動を積極的に情報発信し新たな企業価値の創出に取り組んでみませんか。

この原稿を書いているうちにも、100回を迎えた、夏の甲子園の高校野球大会決勝戦で大阪桐蔭(北大阪)が史上初となる2度目の春夏連覇を達成して優勝。決勝で対戦したエース吉田輝星選手を擁する秋田の金足農業高校の健闘は、高校球史に残る大きな感動を全国の高校野球ファンに与えました。

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投稿者 Inoue: 16:36

2018年07月21日

スパコンの次は量子コンピューター!
〜世界2位じゃなくて、「世界一」を目指す

皆さんこんにちは井之上喬です。

7月なのに体温を上回るような記録的な猛暑が日本列島を襲っています。くれぐれも熱中症などにお気を付けください。

人工知能(AI)がもはやブームではなく、ビジネスなどへの応用が進んでいるなかAI、IoT(モノのインターネット)AR(拡張現実)VR(仮想現実)、5Gそして自動運転など、最先端技術に関するメディア報道はこのところ過熱しています。

これらの最先端技術を現実のものにしているのはコンピューティング能力の飛躍的な向上だと思います。かつてのスーパーコンピューターの能力が、今や私たちの手の平のスマホの中に実装されているのです。

■スパコンランキングで米国が5年半振りにトップに
ドイツのフランクフルトで開催された「International Supercomputing Conference 2018 (ISC 2018:国際スーパーコンピューター会議)」で6月24日(ドイツ時間)、スーパーコンピューター(スパコン)の処理性能ランキングである「TOP500」の2018年6月版が発表されました。

今回のTOP500ランキングでは、米国オークリッジ国立研究所(ORNL)に設置され、2018年6月より稼働を開始したIBM製AIスパコン「Summit」が1位を獲得しました。米国のスパコンが世界一を獲得するのは約5年半ぶりとのこと。

2位には、これまで4期連続 (2016年6月版から2017年11月版まで)首位を守ってきた中国National Research Center of Parallel Computer Engineering & Technology (NRCPC)の「Sunway TaihuLight (神威・太湖之光)」、米国勢は3位にも米国エネルギー省ローレンス・リバモア国立研究所の「Sierra」が新たにランクインと躍進しています。4位は中国の「天河2号(Tianhe-2)」。また、5位には日本の産業技術総合研究所の「ABCI」がランクインしています。

上位5システムのうち4システムが新規稼働もしくはアップグレードによる性能向上を果たすことで、高い性能を達成したとのことです。

これらの高性能スパコンを支えるのが半導体です。

7月10日から12日にかけて米国サンフランシスコで開催された半導体製造装置・材料関連の展示会「SEMICON WEST」に合わせ、主催団体のSEMIが発表した世界の半導体製造装置市場予測でも2018年は過去最高だった2017年に比べ約11%成長し627億ドルに拡大、その勢いのまま2019年も約8%増の676億ドルと予想しています。

地域別では国を挙げて半導体産業育成に取り組んでいる中国の躍進が目覚ましく、2019年には韓国を抜いて半導体製造装置販売額でトップに躍り出ると予測しています。

SEMICON WESTでの注目もAIだったようです。世界トップの半導体製造装置メーカーであるアプライドマテリアルズは、初めての試みとしてゲイリー・E・ディッカーソンCEOが登壇し「AI Forum」を会期中に実施、注目を集めたとのことです。

AIや5G、自動運転などを支える高性能半導体、そしてそれを製造するための半導体材料、製造装置の需要はこれまで言われてきたシリコンサイクルに依存するのではなく、社会基盤を支えるインフラとして確実に成長していくと予測されます。

■スパコンを凌駕する新しいコンピューターが日本上陸!
そんななか7月16日号の日経ビジネスでは「ついに来た!量子コンピューター Google、IBMの野望」との特集を組み、IBM製の量子コンピューターの頭脳となるチップを冷却するクリスタル細工のような装置が表紙を飾っていました。

特集のリード部分を引用してみますと「2018年、コンピューターの歴史が転換点を迎える。夢物語とされてきた量子コンピューターが、ついに実力を解き放つのだ。「超越性」を手に入れた機械は、世界最速のコンピューターを凌駕。IT業界だけでなく、製造業や医療、科学の世界に大きなインパクトを与える。・・・」

量子コンピューターの要素技術を開発したのは日本人ですが、カナダのベンチャー企業Dウェーブ・システムズが製品化、それが2019年にいよいよ日本に上陸することになるようです。

Dウェーブ製のマシンは通常のパソコンの1億倍の処理能力、圧倒的な省エネ性能などの特徴を持っており、さまざまな分野での高速ビッグデータ解析による新しいビジネスの創出が期待されています。

一方でこの夢のコンピューターを巡る覇権争いも一気にヒートアップしています。Google、IBM、マイクロソフト、ムーアの法則で半導体業界をけん引してきたインテル、そして中国政府をバックにしたアリババ集団などが研究開発投資、量子コンピューター関連ベンチャーへの出資を一気に加速しています。

日経ビジネスは、このような大きな可能性を持った量子コンピューター関連技術に投ずる日本政府の年間平均予算が45億円と米国の220億円に比べ1桁少ない、とお寒い現状を指摘しています。

また、かつて世界一の演算性能を実現した「京」の元開発責任者である井上愛一郎氏の興味深いコメントも載せています。

要点はこうです、「コンピューターの世界は技術の黎明期から取り組み、トレンドを生み出した企業が圧倒的に優位だ。先が見えない段階から始めておかないと、いざという時には手遅れになる。」

そして、「量子コンピューターはIT業界を確実に変える。新たなプラットフォーム争いで日本が「不戦敗」のまま終わって良いのか。改めて「世界一」を目指して取り組む必要がある」、と「量子コンピューターでも2位じゃダメ」と、国を挙げての研究開発への取り組みの必要性を訴えています。

2045年にはコンピューティング能力が人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)に到達するといわれて久しいですが、世界の大きな潮流をリードするような取り組みを日本が国策で緊急に実施することが必要だと思います。

まずはやってみる、そして中途半端な研究開発費ではなく世界中から優れた人材が日本に流入するような大胆な投資が量子コンピューターのような大いなる可能性を持った最先端技術の実現には必要ではないでしょうか。
私たちの未来のために、政府の英断をのぞみます。

技術革新には大きな波があるように思います。1980年代、井之上パブリックリレーションズがMITの人工知能研究所と関わりがあったことは以前このブログでも紹介していますが、天才的エンジニアのダニエル・ヒリスを開発責任者としてMITが1986年に発表した、世界初の6万4千個のCPUを繋げた並列処理コンピューター、シンキングマシンを同ラボで目のあたりにした時の感動と興奮が蘇ってくるようです。

投稿者 Inoue: 17:03

2018年07月02日

人類の宇宙(そら)への憧れ果てしなく
〜夏の夜空に思いをはせる

皆さんこんにちは、井之上喬です。

関東地方では過去最も早い6月中の梅雨明けとなりました。
猛暑と水不足が心配されますが、元気に夏を楽しみたいものです。

7月と言えば七夕、町のあちらこちらで短冊に願いを込めた七夕飾りを目にします。

澄み切った冬の星空を楽しむのも良いですが、涼を求め夏の夜空に目を向けるのもまた一興ですね。

■2つのニュースに宇宙への憧れを見る
宇宙関連では最近、明暗を分けるニュースがありましたね。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到達したことと、実業家の堀江貴文氏も設立にかかわったベンチャー企業インターステラテクノロジズの観測ロケット「MOMO(モモ)2号機」の打ち上げ失敗のニュースです。

ロケット開発スタートアップのインターステラテクノロジズ(北海道大樹町)は、6月30日の早朝にMOMO2号機を打ち上げましたが、直後にロケットは落下、炎上し残念な結果になったのは皆さんもテレビなどの報道でご存知かと思います。

民間単独で国内初の宇宙への到達を目指したプロジェクトは、成功が期待されていましたが、昨年7月に打ち上げたモモ初号機が高さ約20kmに到達したものの、飛行中に機体が破損し宇宙空間に届かなかったのに続き、今回も宇宙への夢は次回の挑戦に持ち越されました。

世界各国で民間のスタートアップによるロケット開発が加速していますが、ロケットの研究開発から事業化は非常に困難でビジネスで成功しているのは実業家イーロン・マスク氏が率いる米国スペースX社ぐらいなのも現実でしょうか。

■生命誕生の謎を探る
MOMO2号機に数日先立つ6月27日、JAXAは記者会見を開催し2014年12月に打ち上げた「はやぶさ2」が小惑星リュウグウに到着したことを発表しました。

はやぶさ2はこの日、リュウグウ探査の"ベースキャンプ"となるホームポジション(リュウグウから約20kmの地点)に到着したそうです。

JAXAのはやぶさ2プロジェクトのホームページも「リュウグウまであと0.00km」と到着を示しています。これでいわば往路は完走となり今後は、小惑星に関する様々な調査運用が始まることになります。

3年半もかけて小惑星を目指したのは、生命誕生の謎に迫る有機物や水を含む岩石があるとみられるからだそうです。

プロジェクトチームは、2020年末に岩石を地球へ持ち帰る「サンプルリターン」を目標にしているようです。

持ち帰った岩石から、我々人類の生命誕生のなぞの一端が示されるかもしれないと思うとワクワクしますね。

今後はやぶさ2は、リュウグウから20kmのホームポジションから、7月末には5kmまで近づき、水を含む鉱物が表面のどこにあるのか、太陽光が当たったときの温まりやすさで岩や砂利、砂地を見分けたりする調査を実施。

そして、9月から10月に予定される最初の着地では、あらかじめカメラで黒く見える場所などを探し、有機物の採取を計画しています。調査が順調に進むことを祈るばかりです。

宇宙、空へのあこがれは地球上の人間、誰もが持っている共通のものではないのでしょうか。

七夕に合わせ星空に目を向けるのも良い機会だと思います。

7月7日の七夕の日を中心にその前後に全国各地で天文や宇宙の講演会が実施され、日本天文学会主催の「全国同時七夕講演会」が計画されています。(共催:天文教育普及研究会、後援:日本学術会議)
http://www.asj.or.jp/tanabata/2018/

皆さんも最寄りの講演会場に足を運び、一緒に七夕講演会を楽しんでみてはいかがでしょうか。

未来には、はやぶさシリーズの後継機と天の川銀河の邂逅、などという夢物語りの実現もあるかもしれませんね。

そして夢と可能性には限界はないのかもしれません。

投稿者 Inoue: 14:19

2018年06月20日

AIの進展は雇用を奪うか
〜AI万能論のわなにはまらない

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

18日7時58分に発生したM6.1の大阪地震の余震が引き続き発生しているようです。被災にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。また、梅雨の時期と重なり二次被害の恐れもあり、このあとも十分ご注意ください。

さて、私のブログ(2018年06月01日)でも紹介したことですが、野村総合研究所によれば「10〜20年後、国内労働人口の49%に当たる職業が人工知能やロボットで代替される可能性が高い」と試算されています。

多くの仕事がAI(人工知能)に獲られてしまうのではないかと不安を煽るメディアの論調が目につく中で、「こうした懸念は杞憂に終わるだろう」と異論を唱える記事が日経ビジネス(6/18号)に掲載されました。

■Alが雇用を奪わない3つの理由
1つ目の理由として、Alが取って代われるのは、ある職業の一部の作業にすぎない。加えて、AIの導入で生産性が上がり、価格が低下することでその職業への需要が一層喚起されることになるといいます。

最終的には、明確な差を持って、機械が人間を超えるかもしれないが、AIが適用できる範囲はまだ当分、限定的なものにとどまるとしています。

2つ目の理由は、人間の仕事が持つ特質。表計算ソフトが登場してもなお会計士が失業しないのは、会計の仕事には数字のつじつまを合わせること以上のものがあるからだと例示しています。

3つ目は、自動化が進むことで需要が拡大することにあるといいます。AIが職を奪うかどうかより、特定の作業においてAIが人間の代わりを果たし得るかを
考える方が適切だと結んでいます。

同じタイミングで週刊東洋経済(6/13号)にも「AI万能論のわなにはまらない」
が掲載されました。

この記事の中で作家の佐藤優さんは、数学的な言語しか使うことのできないコンピュータが人間のコミュニケーションにおける意味を理解できないことと関係しているといいます。

他者の心を理解しなくてはならない仕事は、AI技術が進んでも残る可能性が高いが、現代人がどの程度、コミュニケーションにおける意味を理解する能力、言い換えると読解力を持っているかということだといいます。ここで深刻な問題が出てくるといった趣旨を述べています。

このコメントは、まさにリレーションシップ・マネジメントを主体とするパブリック・リレーション(PR)の重要性を示唆するものといえます。

■AIをテーマにグローバルビジネス学会が全国大会開催
長期的な視点からは、AIが雇用にどれほどの影響を与えるかは誰にも分からないといいます。

こうした背景もあって、私が副会長を務める一般社団法人グローバルビジネス学会が来る7月7日(土)8日(日)の両日、早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所の共催を得て、早稲田大学・井深記念ホールなどを会場に「AI(人工知能)時代に向けたグローバルビジネスのあり方」をテーマに第4回全国大会を開催します。

両日のプログラムなどの詳細は、学会HP( http://s-gb.net/news/2900/ )を参照いただければと存じます。主要な登壇者として下記の方々が予定され、AIに関して本年最大級の発表の場ともなっています。

稲見昌彦氏
(東京大学大学院 情報工学系研究科 教授)

井上智洋氏
(駒澤大学経済学部 准教授)

落合陽一 氏
(筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科 准教授・同大学学長補佐兼ピクシーダストテクノロジー株式会社 代表取締役)

鯉渕健氏
(トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 常務理事)

茶谷公之氏
(楽天株式会社 執行役員 AI 推進部 ジェネラルマネジャー)

名和高司氏
(一橋大学大学院 国際戦略研究科 教授)

鈴木晶子氏
(京都大学大学院 教育学研究科 教授)

根来龍之氏
(早稲田大学大学院 経営管理研究科 教授兼IT戦略研究所 所長)

松原仁氏
(はこだて未来大学副理事長、人口知能学会 理事)

<第4回全国大会実施概要>
【開催日】
2018年7月7日(土)・8日(日)

【会場】
早稲田大学キャンパス(井深記念ホール、11号館5階教室 他)

【主催】
一般社団法人グローバルビジネス学会

【共催】
早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所

【お問い合せ】
一般社団法人グローバルビジネス学会
東京都新宿区四谷4-28-4 YKBエンサインビル12F
TEL:03-5269-4745
事務局(担当)佐々木 E-Mail:sasaki.satoru@s-gb.net

今回の全国大会について、情報処理学会発行の『情報処理』(7月号)の巻頭コラム文末で簡単に紹介されています。下記リンクからご覧できます。
https://www.ipsj.or.jp/magazine/9faeag000000pfzm-att/IPSJ-MGN590702.pdf

昨日(6/19)、日本代表イレブンはロシアW杯初戦のコロンビア戦に2-1で勝利し、14年ブラジル大会の雪辱を見事に果たしました。おめでとうございます。



<お知らせ>
【きずな絵本シリーズ第1弾『なかなおり』発刊間近かに】
日本パブリックリレーションズ研究所、井之上喬所長が監修するきずな(絆)絵本シリーズ第1弾『なかなおり』(朝日学生出版社刊)が、7月中旬の予定で出版の運びとなりました。
きずな絵本シリーズは、グローバル社会のさまざまな人達とコミュニケーションすることで、きずなを広げ、目標を達成するパブリック・リレーションズ(Public Relations)のエッセンスとスキルをお子さまにもわかりやすく学んでいただくことを目的に企画したものです。

■推薦文

丹羽宇一郎
日本中国友好協会会長、元伊藤忠商事会長

「なかなおり」は希望のことばです。
世界にはさまざまな考え方を持った多くの人々がいます。 意見がぶつかりあったり、誤解による対立を乗り越えるためにもいまこそ「なかなおり」が必要です。


■この絵本に関するお問合せは下記へ
日本パブリックリレーションズ研究所
東京都新宿区四谷4-28-4 YKBエンサインビル12階
事務局:野元・宮田  TEL.03-5269-3040

投稿者 Inoue: 12:36

2018年06月01日

就活、大企業志向強まり「狭き門」
〜中小企業への希望者は求人数のわずか1割

皆さんこんにちは、井之上喬です。

2019年春卒業予定の大学生らの就職活動は、面接などの選考が6月1日に解禁され本格化します。

人手不足を背景にした「売り手市場」が続く中、学生の大企業志向が強まっているようです。

■大企業の求人倍率は0.37倍
リクルートワークス研究所によると、従業員5000人以上の企業を目指す19年卒予定の大学生・大学院生は昨年卒と比べ約12%増の13万8800人。ただ、採用枠は約5%増の5万1400人で、就職希望者1人当たりの求人数を示す求人倍率は0.37倍にとどまっているといいます。

逆に従業員300人未満の企業では、希望者数が求人数を大きく下回る状況が続き、19年卒の求人数46万2900人に対し、希望者数はわずか約1割の4万6700人。中小企業が敬遠される背景には「大手と比べ待遇面が劣っているイメージ」などがあるといいます。

一方、今年は売り手市場を理由に就職を楽観している学生が多いようです。「1学年上の先輩と比べ就職戦線が楽になる」と考える19年卒の学生は50.4%(昨年11月時点)と、18年卒に同様に聞いた際の約2倍にのぼるほどだといいます(ディスコの調査)。

明治大学就職キャリア支援センターの担当者は「売り手市場と聞き、『楽に決まりそう』『大手から内定をもらえそう』と考える学生が少なくない。出足の早い学生と遅い学生など二極化も進んでいる」とコメントしています。

■19年入社組は「仕事より私生活」
2019年春入社予定の学生向け調査でこんな職業観が明らかになりました(ディスコ調べ5/28発表)。働き方の理想として「仕事よりも私生活優先」に「近い」「やや近い」と回答した割合は78%と3年連続で上昇し、仕事より私生活を優先させたいと思う学生は年々増えているようです。

就職後のキャリアプランとして、「転職も考えたい」という考え方に「近い」「やや近い」と回答したのは前年調査より4.7ポイント増の31.0%に達したといいます。「その理由として入社後、想像していた仕事とのギャップや違和感から早々に転職する新入社員もいて、転職への抵抗感は薄れている」といったことが挙げられているとのこと。

一方、就職後のイメージを聞くと「やりたい仕事がある」に「近い」「やや近い」と回答したのは64.6%、「なりたい社会人像がある」は45.9%。「社会人生活に不安より期待」は45.6%と、売り手市場を受けて全体として前向きな学生が多い結果となったようです。

このディスコによる調査は17年12月から18年3月に、19年春卒業見込みの大学4年生と大学院2年生を対象にネットで実施。職業観は5671人から、職業観の一部と将来のライフプランは2426人から有効回答を得たといいます。この調査に関する詳細は下記を参照ください。

http://www.disc.co.jp/uploads/2018/05/Lifestyle_report_201805.pdf

野村総合研究所によれば、10〜20年後、国内労働人口の49%に当たる職業が人工知能(AI)やロボットで代替される可能性が高いと試算されているといいます。

就活においては企業規模の大小だけでなく、まず自身の職業観を明確にし、また将来、ロボットには代替えできないような職業の選択を考えておく必要もあるのではないかと思います。

また学生時代は、自分の適性、やりたいことは何なのか、最終的にどのような人生を送りたいのか、自らに向き合って目標を探索し、設定することも大切だと思うのです。設定された目標が合わなくなった際には熟慮し修正を加えることで自分に合った、より豊かな人生を送ることができるようになるはずです。

一大変革が進行し、20世紀型とはまったく異なる新しい社会・ビジネス環境、すなわち「ハイパー化するグローバリゼーション」の中でリレーションシップ・マネジメント(関係性の構築)をコアとするパブリック・リレーションズ(PR)の役割は、ますます重要さを増しています。

投稿者 Inoue: 13:18

2018年05月21日

日本の研究開発費の増額と効率化をのぞむ
〜人材育成も含め日本はIoT、AI時代に取り残される?

皆さんこんにち、井之上喬です。

新緑が美しい季節ですね。私が経営する会社(井之上パブリックリレーションズ)のオフィスに近い新宿御苑の緑も目にまぶしいほどの輝きを見せています。

近くにおお出かけの際は是非、お立ち寄りください。

■国際競争の激化と「日本製鉄」の社名復活の意図するものは
最近気になった報道記事をいくつか見てみます。
その一つは69年振りの「日本製鉄」の社名復活のニュースです。

新日鉄住金は5月16日、2019年4月1日に社名を「日本製鉄」に変更すると発表するとともに、傘下の日新製鋼を完全子会社化し、2019年4月に両社のステンレス鋼板事業を統合することも発表しました。新社名の英文表記は「NIPPON STEEL」、遅きに失した感はありますが国際競争に勝ち抜く姿勢を鮮明にしたとも取れます。

しかし、世界規模でみると粗鋼生産量で見るとまだまだ厳しい状況に変わりはなく、グローバルな戦略的なM&Aの流れから見ると何とスピード感のない動きと感じざるを得ません。

そんななか5月3日の日本経済新聞では、日本企業の研究開発費の伸びが海外企業に劣っているとのショッキングな記事がありました。

それによると、2007年から2017年まで10年間の研究開発費伸び率はアジア4.1倍、米国の86%増に対し、日本は僅か12%増にとどまり、AI(人工知能)などIT(情報技術)分野で米国勢を中心に投資が盛り上がり、第4次産業革命が進むなか研究開発の遅れが日本の産業競争力を損ないかねない、と指摘。まさにその通りだと感じました。

■AIへの研究開発投資に全力を
記事では過去10年の研究開発費を、東証1部上場企業と米S&P500種株価指数、欧州のストックス600、日経アジア300指数の構成企業で比較した結果、世界100位までに日本勢は17社と10年前の24社から減少し、かつ世界3位だったトヨタ自動車は研究開発費をドルベースで26%増やしたが、順位は10位に落ちた、と分析しています。

世界の研究開発費上位メンバーも10年で自動車や医薬品などからITに様変わりしたと指摘。世界最大の研究開発企業は米アマゾン・ドット・コムで226億ドルと10年前の28倍となっています。特にAI(人工知能)の開発人員は2017年に5,000人と1年間で5倍増の勢いだそうです。

さらにアジアでは、研究開発投資はこの10年間で4倍増で世界3位のサムスン電子(韓国)に加え、中国の電子商取引アリババ集団の伸びが目立ち、アリババは2017年、米中ロなど7カ所に研究施設を設置し今後3年で研究開発に合計150億ドルを投じると発表しています。

総務省によると、政府なども含めた日本全体の研究開発費は2015年に1800億ドルと、米国の5,000億ドル、中国の41,000億ドルに次ぎ世界3位となっており、国内総生産(GDP)比で3.6%と米国の2.8%、中国の2.1%を上回り、規模では日本は依然として「研究開発大国」となっています。

しかし、研究開発の土台、基礎研究では特に伸び悩みが顕著で懸念は多く、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などのキーワードが将来から現実のものになった時点の日本の研究開発体制の質量が懸念されてなりません。

我々がスマホで何の苦労もなく使っているサービスの多くは、長年の基礎研究に基づくものですし、それを支えているのは研究成果に基づく技術だと思います。

鉄腕アトム、ドラえもんがマンガで描いていた技術が現実のものになってきています。

私たちの国は本気でそして一刻も早く研究開発に、新しい流れに対応できる有意な若者を登用する仕組みを作らないと世界から後れを取ることになってしまうと思うのです。

一例として中国は、IoT、 AIそしてデータセンタ、クラウドを支える半導体分野に巨額の投資を表明しています。開発のための技術者は若者です。

潮目を的確に読み切って、どこに投資をするのか今まさに、未来に向けての重大な決断を下す時ではないでしょうか。私が関わる、グローバルビジネス学会の第4回全国大会(7月7日、8日早稲田大学国際会議場など)のテーマは、「AI」で、各界のAI専門家が参加し、将来の日本のAIの在り方について討議します。

既成の産業構造を一変させてしまうかもしれないハイパー・グローバリゼーション。その流れの中で、目的・目標達成のために様々なステーク・ホルダーとの良好な関係の構築は不可欠となります。パブリック・リレーションズ(PR)の主柱となるリレーションシップ・マネジメントの重要性はますます高まっています。

投稿者 Inoue: 09:49

2018年05月11日

交通渋滞は何故起きるのか
〜「渋滞学」の第一人者と渋滞予報士に聞く

皆さんこんにちは、井之上喬です。

ゴールデンウイーク(GW)はどのように過ごされましたか?
JTBはGWの宿泊旅行の動向調査では海外・国内旅行を合わせた総旅行人数が過去最高の2443万人になる見込みを発表。国内の旅行人数は前年比1.0%増の2384万人で、海外への旅行者数は前年比0.7%増の58.5万人を予測していました。

今年のGWでは最長9日の休みを楽しまれた方もいらしたかと思いますが、多くの方は前半3日、後半4日と分断された連休となりました。こうした日程の関係もあって旅行者数の大きな伸びにつながらなかったようです。

私は、今回のGWでは珍しくクルマを利用せずに新幹線で長野を往復しました。現地では合流した友人のクルマを利用でき、そのため往復の交通渋滞ストレスから解放されて、いつもよりリラックスした休暇を過ごすことができました。

■渋滞イライラ解消術
テレビ朝日(5/3)の「羽鳥慎一モーニングショー」を見ていたら、「渋滞学」の第一人者、東京大学の西成活裕教授を招き交通渋滞ストレス解消術について放送していました。私も大学時代からクルマのヘビーユーザで、休日や連休の交通渋滞には悩まされてきたこともあって興味深く視聴しました。

西成教授は、渋滞イライラを解消法の一つとして音楽を取りあげています。
1分間に70ビート前後の音楽は心拍数と同じで、リラックス効果とともにストレス解消ともなるといいます。最適な曲は平井堅の「瞳をとじて」だそうです。

オペラを歌うこともストレス発散になるようです。逆にドライブで危険な曲はワーグナーの「ワルキューレの騎行」で音数の多さなどで心拍数と血圧を上げる要因となるとのことでした。

そして渋滞解消のポイントについて「車間距離を開ける」ことを挙げています。実際、クルマを使った実験でも車間距離を開けることで最後尾の車は速度を保ち、早く渋滞を抜けることが出来たとのこと。必要な車間距離は最低40mだそうです。

また、西成教授の見解によると渋滞には2種類あって、1つは「起きなくてもいい渋滞」、もう1つは「どうやっても起きる渋滞」だそうです。後者はいわゆるキャパオーバーの状態でどうしようもなく、諦めるしかないようです。ただ、「起きなくてもいい渋滞」については対応の仕方で回避できるはずだといいます。

例えば、数年前に起きた東名高速の40キロ渋滞。この原因は、たった一台のクルマの追い越し車線への割り込みが原因だったといいます。

このクルマが無理矢理割り込んだ時に、追い越し車線の車がブレーキを踏んで、それが結果として40キロの渋滞になったとのこと。そのドライバーが割り込みをせずに我慢できていれば、渋滞は起きなかったかも知れないといいます。

■日本で史上最長の渋滞は154km
NEXCO東日本で「5代目渋滞予報士」を務める外山敬祐さんによると、高速道路における渋滞の定義は「時速40km以下で低速走行あるいは停止発進を繰り返す車列が、1km以上かつ15分以上継続した状態」とのこと。

ちなみに日本で史上最長の渋滞と記録されているのは、1995年12月27日に名神高速道路・秦荘PAから東名高速道路・赤塚PAにかけて発生した154kmだそうです。

渋滞予報士とは、気象予報士のようにオフィシャルな資格を持っているわけではないそうですが、名前の通り渋滞予測に関しては間違いなくエキスパートで、その予想的中率は80%にもなるといわれています。

外山さんは、渋滞の発生原因は様々だが、交通集中によって発生するものが最も多いのだといいます。その中でも、大半は「サグ」と呼ばれる箇所が発生地点になるといいます。

「サグ」とは、“たわみ”や“たるみ”を意味する言葉で、下り坂から上り坂に差し掛かる凹部のことを指します。ドライバーが上りに気付かない程度の緩やかな坂であっても無意識な速度低下は発生しがちであり、そこから渋滞が生まれるのだそうです。

対策としては、車間距離を常に確保することや、むやみな車線変更を控えることなどが挙げられています。高速道路では、混雑が始まると少しでも先を急ごうとするドライバー心理が働き、多くのクルマが追い越しをすることでさらに悪化させる場合も多いそうです。

西成教授と外山さんのお話から、ドライバーが車間距離を常に確保し、むやみな車線変更、割り込み、追い越しを避けることで、交通渋滞はかなり緩和されるとのこと。

簡単なことのようですが、たった一台のクルマの追い越し車線への割り込みが40キロ渋滞の原因となったように、渋滞解消のためにはドライバー全員がルールを守ることが条件となります。

今年もこれから夏休み、シルバーウィーク、そして年末年始休暇など交通量の増える時期が続きます。私も含め皆さんがこの渋滞解消のルールを念頭に運転することで、ストレスの少ないドライブが可能となるのではないかと思います。

投稿者 Inoue: 20:48

2018年05月02日

新緑の時期の楽しみNHK技研の一般公開
〜2020年に向けAI、ARなどとの融合が進む放送技術に注目

皆さんこんにちは、井之上喬です。

ゴールデンウイーク(GW)真っ只中、皆さんはいかがお過ごしですか?
何をするにもよい季節、9連休をとる方も多いのではないでしょうか。このチャンスを逃さず有効に過ごしたいものです。

■今年は5月24日から一般公開が開催
5月に私が毎年楽しみにしている、1つのイベントがあります。
それは緑豊かな砧公園の近くにあるNHK放送技術研究所(東京世田谷区砧)の一般公開です。この「技研公開2018」、今年は「よりリアルに、スマートに、あなたとつながる」をテーマに、より臨場感・実物感の高いコンテンツ制作、AI(人工知能)による番組制作支援、インターネットの活用など、新しい放送技術とサービスの創造に向けたさまざまな研究成果の展示・発表が5月24日(木)から27日(日)の4日間開催されます。詳しくはホームページ ( https://www.nhk.or.jp/strl/open2018/ )をご覧ください。

今年の12月にはNHK技研で20年以上かけて研究開発が進められていた超高精細映像システムが、4K・8Kスーパーハイビジョンとして本放送が開始され、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け弾みをつけると期待されています。

今年1月に公表されたNHK経営計画(2018から2020年度)では、放送を太い幹としつつ、インターネットも活用し、正確で迅速なニュースや質の高い多彩な番組を提供し、放送と通信の融合時代にNHKが「情報の社会的基盤」としての役割を果たしていくとしています。

■わくわく、感動を与える放送技術の創出を
2回を迎える今年の技研公開では、より臨場感・実物感の高いコンテンツを伝えるための「リアリティイメージング」や、インターネットを活用してユーザー体験を向上させる「コネクテッドメディア」技術、そしてAI活用でより効率的に番組を制作する「スマートプロダクション」技術などを展示、2020年以降を見据えた新しい放送技術とサービスの未来像も提案するとしています。

毎年注目している大型シアターでは、今年は講堂の8Kシアターでフルスペック8K対応レーザープロジェクターによる超高精細映像と、22.2マルチチャンネルによる3次元音響で、最新の8Kコンテンツを紹介するとのことです。期待したいと思います。

私たちに身近なメディアであるテレビは、発明から一貫して技術進歩を継続しています。

イロハのイから始まったテレビは、街頭放送から家庭の中心的存在へ、そしてカラーテレビの登場、ブラウン管から液晶、有機ELへの技術進歩による薄型化、大型化・高精細化などに見られるように、身近で最先端の情報発信ツールとして進化し続けています。

これからはインターネット、AI、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などさまざまな最新技術と融合し私たちに新たな体験をもたらすことでしょう。

何年か前に、NHK技研で初めて8Kテレビジョンを見たときの衝撃は今でも忘れられません。戦後一貫して世界のTV機器をリードしてきた日本の近年の凋落には目を覆うものがありますが、これを起爆剤に頑張ってもらいたいものです。

パブリック・リレーションズ(PR)の立場としては、こうした技術の進歩を上手に活用し、最終的には私たち人類に有益な情報発信の中核としてNHK技研が役割を果たしていくことを願っています。

NHK技研を中心とする日本の放送技術から、わくするような感動を世界中に伝える役割を担い続けてほしいと思います。その意味からも2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、スポーツのみならず技術競争の面での大舞台になるのは確実です。頑張れニッポン! 力が入ります。

投稿者 Inoue: 09:04

2018年04月10日

米大リーグ大谷翔平選手活躍の衝撃
〜新天地で頑張る皆さんに贈るパブリック・リレーションズの視点

皆さんこんにちは、井之上喬です。

新年度に入り街中には新入社員、新入学生と思われるフレッシュマンの姿がたくさん見られます。
新しい環境に戸惑うことも多いかもしれませんが、大いなる可能性に挑戦してください。

私は今ニューヨークに来ています。デトロイト訪問の機会を利用して、ボストンなど東部の友人たちと旧交を深めるために彼らとの再会を楽しんでいます。

■柔軟性と
新天地での挑戦と言えば、日本ハムから米大リーグのエンゼルスに移籍した大谷翔平選手が衝撃的なデビューを飾り、日本だけでなく米国でもニュースなどで衝撃的に紹介されています。

大谷選手は4月6日(日本時間7日)までの打者として3試合連続本塁打に加え、8日(同9日)のアスレチックス戦では本拠地で初先発し、なんと12三振を奪い、7回1安打無失点で投手として2勝目を挙げました。

その内容も7回先頭打者までパーフェクト投球という衝撃の内容で、160キロに迫るストレートとキレの良いスプリットで三振の山を築く圧巻の投球でした。MLB公式ツイッターが動画付きで速報するほどの衝撃だったようです。

ボールやピッチャーマウンドの状態の異なることもあったと思いますが、オープン戦で苦戦した大谷選手に対して、米国メディアは辛口の評価をしていましたが、周りの雑音も気にせず環境に合わせ自己修正をし、きちっと開幕に間に合わせた彼の柔軟さには舌を巻くばかりです。
米大リーグは9日(現地時間)、週間MVP(2?8日)を発表し、ア・リーグはエンゼルスの大谷翔平選手(23)が初受賞したと伝えています。投打の「二刀流」をこなす選手の受賞は、同リーグが週間MVPを選び始めた1975年以来、初めてのことだそうです。

シーズンはまだ始まったばかり。日本とは違う生活環境、野球環境のなかで体調管理も大変だと思いますが、是非、日米で“二刀流”で活躍してほしいと心から願っています。

■新入社員への社長からのメッセージ
新天地に飛び込んだ新入社員へ社長からのメッセージ、あなたの会社ではいかがでしたか。
新聞報道などから拾ってみますと、トヨタ自動車の豊田章男社長は「AI(人工知能)や自動運転の進化で今、車の定義が大きく変化している、次の100年も車が移動手段の主役であり続けるかはわからない」と危機感とともに、こうした時代を生きるため、トヨタのカンバン方式などに加え、自分らしさを磨いてほしいと新入社員に求めています。

また、楽天の三木谷浩史社長は英語で「AIやメディア、教育などあらゆる領域で社会が根本から変わろうとしていて、10年から15年後の世の中は全く違うものになっている」と変化の時代のなかで新入社員には「革新性、創造性、そして、起業家精神を持って一緒に走ってほしい」と激励していました。

ソフトバンクの孫正義会長は「これからは多くの変化がある。シンギュラリティが到来した社会では、今の仕事の多くがAIやスマートロボットに置き換わり、人間はもっとクリエーティブで、お互いが心を通い合わせ、感謝し合うような、より高付加価値のある仕事に取り組んでいくことになる。ソフトバンクグループが目指すのは、情報革命ただ一つ。同期の桜として一緒に素晴らしい人生を過ごしましょう」とちょうど満開の桜にたとえに新入社員の門出を祝っていました。

■「倫理観」、「双方向性コミュニケーション」、「自己修正」の3つのキーワードをあなたに
新天地に飛び込み頑張っている皆さんへ、私が経営する井之上パブリックリレーションズが考えるパブリック・リレーションズ(PR)に関する3つのキーワードを贈ります。この考え方は、個人や組織体に共通する普遍的なものだと考えています。

それは倫理観に支えられた双方向性コミュニケーションと自己修正機能をベースとしたリレーションズ活動である、という考えです。

経済、政治、文化においてハイパー化するグローバリゼーションが加速するなかで、民族や文化、言語、宗教、国境を超えてステーク・ホルダー(利害関係者)とのリレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズがグローバルビジネス、そしてグローバルな視点で挑戦し続ける皆さんにとっての基盤になると確信しています。

日本の組織内で繰り返される様々な不祥事は、パブリック・リレーションズが組織体に組み込まれていないことによると考えています。忖度や同調圧力などは、日本のハイコンテクスト文化に根差しているのはもはや明確です。

これからの日本社会を変革するのは若い皆さんです。3つのキーワードを頭に入れて、社会人として自らの信ずる道を進んでください。皆さんが豊かな人生を歩んでいくことができるよう心より祈っています。


投稿者 Inoue: 15:02

2018年04月02日

新年度スタート
〜今年の新入社員のタイプは「パシュート型」

皆さんこんにちは、井之上喬です。

先週は沖縄の石垣島に行っていました。
本島から400km離れた八重垣諸島にあり、長い日本列島の南西端にかくも広域にまたがる限りなく常夏の島々があることに驚きを禁じ得ませんでした。いずれも初めてのことでしたが石垣島に加えて、小浜島、西表島、竹富島、由布島などを訪ねました。

折しも、天皇皇后両陛下の沖縄訪問(3月27日?29日)とも重なり沖縄の歴史をかみしめながらの旅となりました。

東京に戻ったら既に桜は満開。今年の東京(靖国神社)の桜の満開は3月24日で、気象庁が統計をとりはじめた昭和28年(1953年)以降では、平成14年(2002年)の3月21日、平成25年(2013年)の3月22日に次ぐ3番目の早さでの満開だとのことです。

■桜前線「異状あり」
桜の季節が年々早まっているといわれます。今年は東京都心で平年より10日早く満開を迎え、花見ツアーに予約変更が殺到するなど関係者は対応に苦慮。開花時期はこの半世紀で5日ほど前倒しになっているようです。

気象庁のデータを分析すると、東京だけでなく開花時期は名古屋で6日、大阪で4日、福岡では7日も早まり、満開日もほぼ同様の傾向にあるようです。同庁担当者によると「全国的に10年で1日早くなっている」とのことです。

また、こんな懸念を語るのは九州大の伊藤久徳名誉教授(気象学)。「桜はつぼみが冬の低温にさらされて眠りから覚める休眠打破が引き金となり、春の気温上昇で一気に開花する。開花が早まっているのは地球温暖化が原因の一つ」と指摘。「さらに温暖化が進めば休眠打破が不十分になり、同じ樹でもダラダラと開花して一斉に咲かなくなる。満開の桜が楽しめなくなるかもしれない。」
入学や就職など、新生活や年度初めの風物詩として親しまれてきた桜ですが、その歳時記に異変が起きつつあるようです。

■日本生産性本部から産労総合研究所発表へ
いよいよ新年度、希望に満ちた新入社員、新入学生の姿を街のあちこちで見られるのは嬉しいものです。私の会社(井之上パブリックリレーションズ)でも新体制でスタート。パブリック・リレーションズ(PR)理論を備えた実務家集団としてコンサルテーション志向をさらに追求して参ります。

日本生産性本部は、新入社員を対象に就労意識をテーマとする調査を2003年以降実施し、その年ごとの新入社員の特徴やデータの経年変化を毎年3月に発表してきました。この時期の恒例の楽しみのひとつで、このブログでも取り上げています。昨年の新入社員のタイプはポケモンGOが大ブームだったこともあり「キャラクター捕獲ゲーム型」でした。

平成28年度の新入社員のタイプは「ドローン型」、平成27年度は「消せるボールペン型」、平成26年度は「自動ブレーキ型」といったように、時代や世相を巧みに切り取る表現を面白く感じていました。

実は、この本生産性本部が発表する「新入社員のタイプ」は残念ながら昨年で終了してしまいました。といった事情もあり今年度は、人事労務分野の情報機関である産労総合研究所の発表を紹介させていただきます。

同研究所が3月26日に発表した今年度の新入社員のタイプは、「SNSを駆使するチームパシュートタイプ」。

オリンピックで金メダルを獲得した女子チームパシュート。3人が順序を入れ換えながらリンクを疾走する姿が皆さんの記憶にも残っていることと思います。今春の新入社員は、「少数の仲間同士でSNSを活用し、綿密な情報交換で協力関係を構築し、内定というゴールをめざした」といった共通点から選ばれたようです。

チームワークは勿論大事なことですが、新入社員の方々には社会人として幅広い人たちとの良好な関係性を構築していく、すなわちリレーションシップ・マネジメントの能力を高めていって欲しいと思います。

投稿者 Inoue: 16:40

2018年03月20日

日本、女性の取締役登用で世界に大きな後れ
〜世界基準のESG投資の観点からも具体的な取り組み強化を

皆さんこんにちは、井之上喬です。

このところの温かさに誘われ、東京でも3月17日、桜(ソメイヨシノ)の開花宣言がありました。平年より9日、昨年より4日早く、観測・統計を始めた1953年以降で最も早かった2002年と2013年の3月16日に次ぐ3番目の早さだそうです。

皆さんの地域の桜の開花はいかがですか?

■女性取締役登用で54カ国中49位の中東並み
東京での桜開花宣言の前日、3月16日の日本経済新聞に、個人的に非常にショッキングな見出しが目につきました。「日本、女性取締役登用に遅れ 中東並みの低水準 女性取締役が1人以上の比率、54カ国中49位」というものです。

(この調査は、100社以上の上場企業のデータが取れる54カ国を対象に、取締役会に1人以上の女性取締役がいる企業の割合が高い順にランキングしたもの。)

記事のポイントを紹介しますと、日本経済新聞がQUICK・ファクトセットの協力を得て調査したところ、女性取締役が1人以上いる上場企業の比率は日本が20.2%と、54カ国中49位にとどまったとのこと。何と、女性の社会進出が制限されている中東諸国と並ぶ水準で、女性取締役の積極登用を求める社会的要請とは裏腹にお寒い現状が浮き彫りにされ企業は早急な対応を迫られていることを示しています。

ランキングをみると首位はノルウェーで89.4%。インドが88.4%、中国が86.2%、イスラエル84.3%と続き、役職の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入が進んでいる欧州だけでなく、中国やインド、タイなどアジアでも上位に入る国が目立っています。

日本は主要経済国では最下位で、日本より下位にはヨルダン19.8%、クウェート16.1%、アラブ首長国連邦14.0%など中東諸国が並んでいます。

日本で女性取締役の登用が遅れているのはこれまでも指摘されていますが、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたが、総合職で採用された女性の多くが離職した現実もあるのではないでしょうか。

■サステナブルな視点からも女性登用を急げ
女性取締役の登用は喫緊の課題になっています。グローバルで環境、社会配慮などに取り組む企業を評価する「ESG投資」の流れは一気に強まっており、米国の機関投資家は女性取締役がいるかどうかを議決権行使の判断目安の一つに採用しているとのこと。

ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。ESGに関する要素はさまざまですが、例えば「E」は地球温暖化対策、「S」は弱者や女性従業員の活躍、「G」は取締役の構成などが挙げられます。

その大きなうねりのなか、厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、投資するために企業の価値を測る材料として、これまでのキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報に加え、非財務情報であるESG要素を考慮するESG投資を重視しています。

2017年10月、GPIFは投資原則を改め株式にとどまらず、債券など全ての資産でESGの要素を考慮した投資を進めていく、と宣言し日本でも一気にESG投資が注目されているのはご存知の通りです。

しかし、今回の日本経済新聞の調査結果は政府の肝いりがあるにもかかわらず、まだまだ世界から評価されるには程遠い現実にあることをまざまざと示しています。

記事は非常に興味深い点も指摘しています。それは、女性取締役の登用と収益力には一定の相関関係があるとのこと。ボストン・コンサルティング・グループによると、女性取締役の割合が20%以上の企業は10%未満の企業よりも自己資本利益率(ROE)が4ポイント高いということです。その理由としては、海外に積極進出するなどして収益を伸ばしている企業ほど、女性取締役の登用に前向きなためとみられる、と分析しています。

日本経済が好調な今こそ、企業はサステナブルな企業経営の観点からもグローバル水準で高い評価を得られるような、大胆な女性登用策に取り組むことが求められているのではないでしょうか。

このような環境でもパブリック・リレーションズ(PR)を活用し、企業がステーク・ホルダーとの関わりを通して、取り組み成果をしっかり社会に伝えていくことが大切です。

投稿者 Inoue: 21:12

2018年03月12日

伊・ベネチアでの国際シンポジウムに参加
〜「地球温暖化と脱炭素社会」をテーマに開催

皆さんこんにちは、井之上喬です。

3月1日、2日の両日にわたり、アルカンターラ社とベネチア国際大学(VIU)の共催により「変化への対応:地球温暖化と脱炭素社会」(Coping with Change: Global Warming and Decarbonization)をテーマに開催された国際シンポジウムに参加しました。当地へは2015年以来2度目の訪問となります。

会場は、イタリア・ベネチア潟に位置するサン・セルヴォーロ島にあるベネチア国際大学のキャンパス。島までは水上バスで10分程度です。同大学は、1995年に創立されたコンソーシアム(共同利用施設)で、世界中から16の会員大学が参加し、加盟大学からの教員による授業はすべて英語。日本からは早稲田大学が加盟しています。

アルカンターラ社は、高級自動車のシートをはじめとした多様なブランド商品で使用されている素材を提供しているイタリア企業です。今回は第4回目シンポジウムで、2016年の第3回シンポジウム『サステナビリティと企業価値』は東京で開催されました。

当時日本で開かれた初めての国際サステナビリティ・シンポジウムで、日本経済新聞、ベネチア国際大学、早稲田大学の協力を得たものでした。

■世界から参画した有識者30名
今回も国際シンポジウムの講演者は、世界各国から、科学者、エコノミスト、研究者、企業経営者、サイエンスライターら約30人。地球温暖化と脱炭素化が人間の生活、企業の行動、情報発信に与える影響を考え、それらに対処するテクノロジーとイノベーションの役割について講演やパネルデスカッションが組まれました。

マッシモ・イングッシオ教授(イタリア学術会議プレジデント、ゲオルク・ケル博士(国連グローバル・コンパクト創立者、前エグゼクティブ・ディレクター、アラベスク・パートナー社会長)、ダニエル・クリンゲンフェルト博士(ポツダム気候影響研究所 所長室事務長)、そしてジョヴァンナ・メランドリ元文化財大臣(Human Foundation Giving and Innovating創立者会長、MAXXI財団チェアマン)ら多数の多国籍企業、国際的な専門家がその知見を述べ、地球温暖化や脱炭素化に関連する問題に対処するためのビジョン、投資例、技術的プログラムを披露しました。

日本からは、田中義和氏トヨタ自動車ミライチーフエンジニア)をはじめ、守谷隆史氏(本田技術研究所、FC開発シニアチーフデザイナー)、古谷博秀氏(産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所 可能エネルギー研究センター長)、千代亮氏(川崎重工業 水素チェーン開発センター シニアスタッフオフィサー)、大聖泰弘氏(早稲田大学、次世代自動車研究機構 特任研究教授/名誉教授)、山根公高氏(山根公高水素エネルギー研究所代表)、がキーノートスピーカーとして招かれました。

トヨタ自動車の田中義和氏は、水素ベースモビリティ構築に向けてのトヨタの取り組みを紹介。

「トヨタでは1992年から燃料電池電気自動車(FCEV)の独自開発を始め、2014年末に販売を開始しました。次のステップは導入コストを下げて、水素自動車の利用をさらにポピュラーにすること・・・」

そのほか日本からのスピーカーはそれぞれの立場から、将来の水素社会の到来を見据えた話が多かったように思います。

私は大会2日目午後のまとめのセッションでパネリストとして参画(写真右)。新技術や新しい運動を社会に伝えるコミュニケーションの役割としてのリレーションシップ・マネジメントの主柱となるパブリック・リレーシヨンズについてお話しました(写真右)。

閉会にあたりボラーニョ会長とウンベルト・ヴァッターニ学長は、今回のシンポジウムは意見交換を続けていくための、また学術界、科学者、世界的な専門家の交流を通じてソリューションを提案するための出発点と考えている、と述べて締めくくりました。

また今回のシンポジウムは日本のプレゼンスに関心が向けられました。日本からの参加者がまとまり、未来のエネルギー、水素(Hydrogen)について具体的に語ったことで世界の関係者に衝撃を与えたのではないかとの印象を持ちました。

左写真:右から3人目が筆者で隣は田中氏、そしてボラーニョ会長
写真右:左が筆者で隣はゲオルク・ケル博士、そして山田厚史氏(朝日新聞元編集委員)

短期的経営を強いられる世界企業にとって、長期的戦略に基づいた日本の参加企業の取り組み姿勢に高い関心が集まったように思います。

閉会翌日、前回乗れなかったゴンドラにようやく乗ることができました。

「グローバル市場ではブランドが競争力の一つとなっています」と前回のブログに記しました。サステナビリティはブランド価値として、また市場ポジショニングにおける差別化要因として、企業の重要な資産のひとつとなるものです。

アルカンターラ社はボラーニョ会長の強いリーダーシップのもとに、2009年以来継続して事業活動で発生したCO2の全排出量を測定・削減・相殺し、イタリア企業として初めて「カーボン・ニュートラル」認証を取得しています。

また、同社はブランド力を高め、世界で成功するためにリレーションジップ・マネジメントをコアとするパブリック・リレーションズ(PR)に注力するグローバル企業の一社ともいえます。

投稿者 Inoue: 13:36

2018年03月05日

「5G」がもたらすものは?
〜東京オリンピックでの実用化が前倒しに

皆さんこんにちは井之上喬です。


いよいよ弥生3月、春も目の前に迫っていますが、昨日まで私は、国際シンポジウムでベネチアに行っていました。

この季節には珍しく雪にみまわれゴンドラに乗る防寒服姿の観光客が印象的でした。

■MWCに見る次世代通信インフラの動向
この時期スペインのバルセロナで、恒例の世界的なIT関連の展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が、今年は2月26日から3月1日まで開催されました。ヨーロッパでもさまざまな報道機関が取り上げています。

世界規模でのIT関連の展示会は1月のCES、2月のMWC、6月のCeBIT(ドイツ・ハノーバー)、8月のIFA(ドイツ・ベルリン)そして10月に日本で開催されるCEATECの名を挙げることができます。

その1つであるMWCの2018年の注目は、CES同様にAI(人工知能)、ボイスインタラクション、コネクテッドカーなどですが、なかでも2019年に商用化が実現すると言われている5Gに大きな注目が集まっているようです。

「5G」

最近頻繁に目に、耳にするようになった通信規格用語ですが、第5世代移動通信のことで現在中心の4Gに続く新しい規格です。

日本でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックで実用サービスを計画していますが、最大通信速度は20Gbps(ギガビット/秒)。

4Gよりも40〜50倍も速く、また、遅延は1000分の1秒以下となり、遅れはほぼゼロという規格とされてます。

また、多数の通信端末との同時接続も可能になるなど、5Gインフラを活用したIoT(モノのインターネット)やコネクテッドカーなどの新しいビジネスの創出が期待されています。

期待のほどを象徴するかのようにMWCの開幕に合わせ、日本経済新聞は2月27日付けの1面トップでMWCにおける5Gの動向を扱っていました。リード文は以下です。

「世界の通信事業者や機器メーカーが次世代高速通信規格『5G』の2019年商用化に向けて一斉に動き出した。当初計画を1年前倒しする。スマートフォン(スマホ)向け高速通信のほか、あらゆるモノがネットにつながる『IoT』の進化やつながるクルマ「コネクテッドカー」の開発など、世界的な投資やサービスの高度化に弾みがつきそうだ」

記事では米国、中国、韓国、日本、欧州など各国の取り組み状況と各国の通信会社やノキアなどの通信機器メーカーの実用化に向けた取り組みに触れています。

■世界をリードする存在になるためには?
その方策として5Gに関しては、日本が過去最高のメダルを獲得した平昌冬季オリンピックでもさまざまな実験が行われたようです。

テレビでユニークな映像がいくつか流れていたのに気付いた皆さんもいたかと思いますが、映画マトリックスのような回転映像のタイムスライスや選手の視野から疑似体験できるオムニビュー、シンクビュー、ホログラム動画をリアルタイムで映し出すホログラムライブ、
またVR360といった新手法の映像が 日本でもテレビ放送の一部に取り入れられ、従来にない新しいスポーツ観戦の手法が始まっていることが感じられました。

このようにそれぞれの国や関連各社が実用化に向けた技術開発にしのぎを削っているのは明らかです。

次の技術競争の舞台は従来通りのスケジュールである2020年東京オリンピック、とこれまで考えられてきましたが今回はそうではないようで、事実5Gについては現時点でも1年前倒しされる勢いです。

莫大な先行者利益が見込める新しいビジネス分野での競争はますます熾烈になってきそうです。

東京オリンピックまでには、5Gをインフラとした画期的なサービスが実用化されるのは確実のようです。

その時、日本や日本の企業が世界をリードする存在になるような、ほかの国や企業を巻き込んだ世界戦略が必要になってくると思います。

まさにパブリックリレーシヨンズ(PR)の支柱である、リレーシヨンズマネジメントを駆使した戦略が求められてくるのではないでしようか?

ガラパゴスだけはなんとしても避けたいものです。

投稿者 Inoue: 10:07

2018年02月22日

日本企業の世界ブランド価値
〜産業の新陳代謝が進まない日本の経済構造

皆さんこんにちは、井之上喬です。

平昌オリンピックでの日本勢のメダル獲得数は冬季五輪史上最多の長野オリンピックを既に上回り、連日熱い報道が続いています。それにしても金メダルに輝いた羽生選手の演技、小平選手の滑走、パシュートの健闘は圧巻でしたね。

■相変わらず自動車や電機企業が上位独占
ブランドコンサルティング会社の米インターブランドは、「日本企業のグローバルブランド価値ランキング2018」を発表しました(2/15日経産業新聞)。

首位は10年連続でトヨタ。2位にホンダ(17年は2位)、3位に日産(同4位)、9位がスバル(同10位)と自動車メーカーが、トップ10に4ブランド入る結果となりました。

4位はキヤノン(同3位)、5位がソニー(同5位)、7位にパナソニック(同7位)と電機業界からのランクイン。他は6位にMUFG(09年はベスト10外)、8位にユニクロ(同ベスト10外)、そして10位に任天堂(同ベスト10外)となりました。

ランキングの公表を始めた09年当時から自動車や電機企業が上位を占め続けています。こうした状況に対してインターブランドジャパン(東京・渋谷)の並木将仁社長は「世界と比べ、産業の新陳代謝が進まない日本の経済構造が浮き彫りになった。世界と比べ産業の広がりが狭い」と指摘しています。

■アマゾンがグーグルを抜き1位に
同じようなタイミングで英国のブランドファイナンスが、企業ブランド力を数値化したランキング「ブランドファイナンス Global 500 2018」を発表(2/1)。アマゾンが、昨年1位だったグーグルと2位のアップルを抜いて首位に輝いたと伝えています。

調査では財務やブランドが消費者の購買に与える影響などを分析し、ブランド価値を金額に換算しているとのこと。財務も重視するため、業績が好調な企業が高い評価を得る傾向があるようです(岩戸寿さん談)。

1位のアマゾンのブランド価値は昨年比42%増で、1,500億ドルを超えたとのこと。2位は昨年と同じくアップルで、3位には昨年首位だったグーグルがランクイン。5位のフェイスブックは昨年の9位から順位を上げ、昨対比45%と飛躍。

アパレル関連企業では「ナイキ(Nike)」が昨年に続いてトップとなったが、昨年の27位から40位へと順位を下げたようです。また、「H&M」は72位で「ザラ(Zara)」が82位と上位100位以内にランキング入りしたとのこと。

500位以内には「アディダス(Adidas)」103位、「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」145位、「カルティエ(Cartier)」159位、「ロレアル(L'Oréal)」161位。日本企業ではユニクロが昨年の142位から202位と大きくランクダウン。資生堂は429位だったとのこと。

近年は中国企業の躍進が目立っており、中でも「アリババ(Alibaba)」12位、「テンセント(Tencent)」21位、「ウィーチャット(WeChat)」49位、「Moutai」56位、「バイドゥ(Baidu)」57位といった企業が牽引しているようです。

中国企業はベスト100社中23社がランクイン。これに対して日本企業はトヨタの16位をトップにNTT(20位)、三菱(43位)、ホンダ(52位)、日産(68位)、そしてau(91位)の6社のみ。

世界ではアップルやグーグル、アマゾン、フェイスブックなど新しい価値を生み出す企業が上位に出現。これに比べ日本企業の世界ブランド価値では、相変わらず自動車や電機企業が上位独占し、「ブランドファイナンス Global 500 2018」では低迷しています。

グローバル市場ではブランドが競争力の一つとなっています。世界の強豪と熾烈な競争を続ける日本企業は、さらにブランド力を高め、世界で成功するためには、何よりもリレーションジップ・マネジメントをコアとするパブリック・リレーションズ(PR)の活用が必須となります。

最後に、毎年こうしたランキングをみるにつけ日本企業にはハイパー化するグローバリゼーションのなかで自らビジネスモデルを考案し、それを事業に結びつけ、新しい産業を創造するといったダイナミズムが著しくかけているのではないかと思うのです。

日本が抱える深刻な問題として、パブリック・リレーションズを駆使した新しい国家戦略の構築が求められているのではないでしょうか?

投稿者 Inoue: 15:00

2018年02月12日

アジア大学ランキング、トップテンの8位に東京大学
〜「ハイパー・グローバリゼーション」のなか教育改革は喫緊の課題に

皆さんこんにちは井之上喬です。

いよいよ平昌冬季オリンピックが開幕、選手の皆さんには悔いのないようにベストを尽くしてもらいたいものです。

暦の上では立春も過ぎましたが、北陸地方を中心とする豪雪では大きな被害が出ましたが、これ以上被害が拡大しないことを祈りたいと思います。

この時期は入学試験もピーク、受験生の皆さんの健闘を祈ります。

そんななか、英国タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(Times Higher Education、THE)が現地時間の2月6日、アジア大学ランキング2018(Asia University Rankings 2018)を発表しました。

■アジア大学ランキング発表、総合1位は3年連続でシンガポール国立大学
それによると総合1位は3年連続でシンガポール国立大学、2位は清華大学(中国)、3位北京大学(中国)、4位香港大学(香港)、5位香港科技大学(香港)、5位南洋理工大学(シンガポール)、7位香港中文大学(香港)、8位東京大学(日本)、9位ソウル大学校(韓国)、10位KAIST(韓国科学技術院)(韓国)となっており、東京大学は2017年から1位ランクを落としています。

このランキングの評価基準は、THE世界大学ランキング同様に「教育の質・学習環境(教育力)」「学生と教員の国際性」「産業界からの収入」「研究の質(研究力)」「論文被引用数(研究の影響力)」の5分野13指標。

2018年はアジア25カ国・上位350大学(2017年は24か国300大学)の結果を公表しています。

全ランキングのうち、もっとも多くの大学がランクインした国は日本で、2017年の69大学から89大学に増加、中国63大学、インド42大学などとなっています。

東京大学のほか、総合トップ100位には京都大学が11位(2017年14位)、大阪大学が28位(同32位)、東北大学が30位(同26位)でその他では東京工業大学33 位、名古屋大学35位、九州大学48位など100位以内には11大学がランクインしています。

日本の大学のランキングに関し物足りなく感じるのは私だけでしょうか?
評価基準になっている、教育力、国際性、産業界との連携など日本の大学、そして日本の教育をグローバル視点で変革する取り組みは喫緊の課題だと思います。

■世界に通用する新しい日本の教育システム構築を
文部科学省の新学習指導要領により、2020年から小学校で英語が教科化、そしてプログラミング学習が必修化されますが、時代の趨勢に合わせ、従来の「読み書きそろばん」に加え「英語とプログラミング」が次世代の子供たちに不可欠といったところでしょうか。

インターネット時代を生きるこれからの子供たちは、ソーシャルネットに代表されるコミュニケーションツールの進化や人工知能(AI)など最先端技術の進歩により、これまでに私たちが経験したことのない「ハイパー・グローバリゼーション」のなかで世界規模の競争を生きていかなければなりません。

そのような時代には、単に知識を詰め込むだけでなく、知恵を使い、知識を使いこなすことで目標を達成するための実践教育を行うことが求められます。

そのためには自分を取り巻く様々な存在との関わりの中で、知恵や知識を自由に使いこなすことでステークホルダーとのコミュニケーションを通した良好な関係構築が重要となります。

日本はその大きな流れの中で遅きに失した感さえあります。国もやっと動き出したようですがそのスピードが気になるところです。

幼児教育から中等教育、そして高等教育まで一貫した新たな日本の教育システムを構築していかないとますます世界から取り残されてしまうかもしれません。
パブリック・リレーションズ(PR)の教育はその一つのソリューションとなると考えています。

投稿者 Inoue: 10:01

2018年01月22日

恒例の「CES」年頭報告
〜2018年のIT分野の最新トレンドを見る

皆さんこんにちは井之上 喬です。
2018年「犬年」が始まってはや20日が過ぎました。

インフルエンザが流行っているようですが、私も新年早々インフルエンザB型に感染し自宅療養を余儀なくされました。

皆さんも手洗いうがいを励行し感染しないようにお気を付けください。

■急速に進化し身近になったAI、IoT
このブログでは毎年恒例になっていますが、米国時間の1月9日から12日までの4日間、ラスベガスで開催された世界最大規模のIT関連見本市「CES 2018」の報告をいたします。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、2004年からCESの日本市場向けPRコンサルテーションと開催期間中の日本のメディアの招聘と現地取材の支援を継続しています。
今年もCES出張から帰国した社員の報告を中心に、CESと民生分野を中心とした2018年の最新技術動向を見てみましょう。

CESは従来のテレビやAVなどの家電中心の展示から、最近は自動車、スマートホーム、インターネット家電などIoT(モノのインターネット)に象徴されるような、私たちの生活に身近なインターネットに接続するさまざまな機器やサービスの展示へ急速に移行しています。

それを反映して展示会名も略称であったCESを正式名称にするとともに、主催団体の名称も全米家電協会(CEA)から全米民生技術協会(CTA:Consumer Technology Association)に2015年から変更しています。

今回、CESに初めて参加した社員は「まずその規模に圧倒された」と率直な感想を語ってくれました。

51回目を迎えたCES 2018の規模は、過去最大の展示フロアとなる東京ドームグラウンドの約20倍の275万平方フィート超の巨大な展示スペースに、世界各国から3,900社以上が出展、約19万人の来場者が訪れています。

それと音声アシスタントの「Alexa」と「Google アシスタント」が、数え切れないほどの電子デバイスを通じ家庭に入り込んでおり、消費者が意識しなくても最新のテクノロジーが身近なものになっていることを実感したようです。

日本からも多くのジャーナリストの皆さんがCESを取材していますが、その中の一人である日本経済新聞の関口和一編集委員によれば「今年のITトレンド」は、?クルマのIT化、?家電のIT化、?映像のIT化、?サービスのIT化、?金融のIT化、と語ってくれました。

このようなIT市場のトレンドのなかで、家電だけでなく自動車、半導体、インターネット関連など様々な分野の大企業からベンチャー企業も入り乱れて最先端技術を競い合っている場になっていたとしています。

■台頭するプラットフォーマー
AI(人工知能)やIoTに代表される最先端技術の進化は、IT市場だけでなく世界の経済にも大きな影響と変化をもたらしています。

一例をあげると企業価値を測る指標の一つである時価総額を見ると、最近は上位にアップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブックが顔を並べ、さらにはテンセント、アリババと言った中国企業も台頭しています。

このような企業を「プラットフォーマー」と呼んでいますが、その勢いには目を見張るものがあります。

この背景には技術の進化が、半導体のムーアの法則に代表されるような直線的な進化から、指数関数的な急カーブを描く進化に激変していることがあげられます。

技術の進化が新しいプラットフォーマーを誕生させ、AIやVR/ARなどを駆使した新しいサービスが現実のものにしています。

事実CES 2018でも、トヨタが自動運転EVを発表したり、SONYが自動車分野への進出を表明したり、Panasonicが家電の展示をなくしたり(近くのホテルで開催)、などの日本企業の変化を示す取り組みも見えてきたようです。

CESでのトヨタ

CTAシャピロCEOの基調講演

企業業績が好調な今こそ、日本企業は旧来の常識の殻を打ち破る創造的イノベーションを目指した経営戦略に積極的に投資し、ハイパー・グローバルな競争のなかでも成長を持続可能にするスピードを伴った経営に思い切って舵を切る必要があると思います。

“良いものを作りさえすれば売れる”時代から、良いもの、良いサービスを積極的に世界に情報発信し世界規模での新しいパートナーシップを構築、その結果として世界に通用する新しい製品やサービスを生み出す。そのためにもパブリック・リレーションズ(PR)は企業にとって不可欠な経営資源といえます。

投稿者 Inoue: 09:50

2017年12月21日

クリスマス・リーディング

こんにちは井之上喬です。

今年もクリスマスがやってきました。今から2000年前、ユダヤのベツレヘムで一人の幼子イエス・キリストが生まれました。

生まれたところが貧しい馬小屋の中であったことはいまや世界中の人が知るところですが、貧しく汚れのない、無力な幼子イエスが私たちと共にいてくださることに大きな慰みを得ることができます。

今の世界を見るとき「馬小屋」は紛争地や被災地、そして私たちのすぐ近くにも多くみられます。また「馬小屋」とは単に場所を指すだけではなく、人間の心にある、欲望や怒り、憎しみなどをも表していると見ることもできます。

25日のクリスマスはイエス・キリストの誕生日。その前夜をお祝いする日(24日)がクリスマス・イヴです。キリスト者にとってクリスマスは新しい一年の始まりを意味するお祝いの日。

聖書にはイエス・キリスト誕生前に書かれた『旧約聖書』と誕生後に書かれた『新約聖書』がありますが今日は、その誕生以来多くの人の心を癒し続ける新約聖書の中から、「ルカの福音書」にあるイエス誕生の記述部分(2章1-14)をご紹介します(フランシスコ会:聖書研究所訳)。


イエズスの誕生

1そのころ、全世界の人々を戸籍に登録せよ
という勅令が、ローマ皇帝アウグストゥス
2によって発布された。 この登録は、クレニオが
シリアの総督であったときに行なわれた最初のも
3のであった。 人々は皆登録のために、それぞれ
自分の町に帰って行った。 ダビデ家とその血筋
に属していたヨセフも、登録のために、すでに身
ごもっていたいいなずけのマリアを伴って、ガリ
ラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムという
6ダビデの町へ上って行った。ところが二人が
そこにいる間に、マリアはお産の日が満ちて、
7男の初子を産んだ。そして、その子をうぶぎにく
るみ、かいばおけに寝かせた。宿屋には、彼らの
ために場所がなかったからである。

羊飼いたちのイエズス訪問

8さて、羊飼たちが、その地方で野宿をして、
9夜通し羊の群れの番をしていた。すると、主
の使いが羊飼いたちのそばに立ち、主の栄光が
羊飼いたちを覆い照らしたので、彼らはひどく恐
10れた。 み使いは言った。「恐れることはない。
わたしは、すべての民に及ぶ大きな喜びのおとず
11れをあなたがたに告げる。 きょう、ダビデの町
に、あなたがたのために、救い主がお生まれにな
12った。このかたこそ主メシアである。 あなたが
たは、うぶぎにくるまれて、かいばおけに寝ている
乳飲み子を見るであろう。これがしるしである」。
13すると突然、み使いに天の大軍が加わり、

14「いと高き天においては神に栄光、
地においてはみ心にかなう人々に平安」

と、神を賛美した。




メリー・クリスマス!

今年も1年間井之上ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました。皆さん、良いお年をお迎えください。(新春第1回目は1月10日発行となります。)

投稿者 Inoue: 20:59

2017年12月01日

2年に1回のロボット展の熱気を産業育成に生かせ
〜AI、IoTなど高度なニーズに新たな発想で対応し新“ロボット大国ニッポン”を

皆さんこんにちは井之上喬です。

いよいよ師走、2017年の締めくくりと新年に向けた準備をしっかりしたいですね。

井之上パブリックリレーションズは、CES、CEATEC、Japan IT Week、SEMICON Japanなど国内外のさまざまな展示会のパブリック・リレーションズ(PR)活動を支援していますが、11月29日(水)から12月2日(土)まで東京ビッグサイトで開催されている「2017国際ロボット展(iREX 2017)」(主催:一般社団法人日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)はクライアント企業も何社か出展しており注目している展示会です。

■進化し続けるロボット産業
iREXは2年に1回開催されている世界最大規模のロボット関連の総合展示会で、今回で22回目。

今回のテーマは「ロボット革命がはじまった?そして人にやさしい社会へ」で、製造業などでの利用拡大はもとより、災害対応や介護、福祉、農業、教育など新たなロボットの応用分野の拡大をアピールしています。

皆さんもご存知の通りロボットの進化は著しく、それを反映し開催規模も前回の446社、ブース(小間)の数も1882から大幅に拡大し、出展社数は前回比166社増の612社、出展小間数は893小間増の2775小間と、いずれも過去最高を更新している、と発表しています。

来場者数も前回実績の12万1000人強から、13万人を目標にしているようです。

海外からの出展も増加しており、出展社数は80社、252小間で前回比23社、93小間増となっており、米国、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、ハンガリー、デンマーク、オーストリア、カナダ、スロバキア、中国、台湾、韓国の13カ国(地域)から出展、世界規模のロボット関連トレードショーとして認知されていると言えるでしょう。

その理由には、日本のロボット産業が工作機械に象徴される製造業分野を中心に世界をリードしているからにほかなりません。

■多様化するロボットニーズに柔軟な対応が不可欠
日本政府もロボットを成長戦略の柱にするべく、9月に未来投資会議を開き、2018年の成長戦略の改定に向けた議論を始めましたが、成長戦略の改定に向けての重点項目として、1)IoT、ロボット投資、2)自動走行、3)健康・医療データの活用、4)物流・建設・農業などの現場効率化、5)企業の新陳代謝の促進、6)人材の移動、7)規制を実験的に一時停止するサンドボックス制度の早期具体化、を挙げ重点的に議論する方針を示しています。

成長戦略の大きな柱になっているロボット産業は、今、大きな転換期を迎えています。

今回のiREXを見ても、従来の製造業向けの産業用ロボットでも人との協働型ロボットの展示や今回初の人とロボットが共同作業をするデモ、パワースーツなど多様な介護、福祉ロボット、自動田植え機などの農業用ロボットなど前回に比べ応用分野が飛躍的に拡大し、それらが体験できます。

この背景にはIoT(モノのインターネット)の実装、AI(人工知能)の急速な普及、データセンター、高度通信インフラに支えられたクラウド環境の進化、高性能半導体によるコンピューティング能力の飛躍的な向上、など同時並行的にさまざまな技術の進歩があってのことだと考えます。

このような状況は産業の進歩とともにメインプレイヤーに変化をもたらす可能性を示しています。事実、iREXの会場には多くの日本人のほかに中国や韓国などからの業界関係者も多く、熱心に説明員に質問する姿が多かったようです。

■ロボット大国ニッポン。
今後も日本のロボット産業が世界をリードしていくためには、基礎技術の研究開発にこれまで以上の投資を行うことはもちろん、AIなど最先端技術を積極的に取り込むこと、IoTの普及にともなうセキュリティ対策、多様化するロボットニーズに応えるためのベンチャーと大手企業などとの新しいパートナーシップ、そしてさまざまな規制緩和など、多くの課題を短期間で解決する必要に迫られていると思います。

ハードルは高いですが、iREX会場の熱気はさまざまな課題を解決し、新たな“ロボット大国ニッポン”を創造するための大いなる可能性を示しているともいえるのではないでしょうか。

投稿者 Inoue: 17:10

2017年11月21日

2018年はどんな節目の年?
〜明治維新・戊辰戦争150年、日本中から新たな世界への取り組みを

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

各地で紅葉が見ごろになってきているようですが、東京は真冬並みの寒さとなっています。
皆さん、風邪などひかないで2017年の締めくくりの準備をしましょう。

例年この時期になるとそろそろ今年の振り返り記事と来年の予測記事が出てきます。

■2017年の重大ニュースと2018年への思い
毎日新聞社が発行する小・中学生向けにニュースをわかりやすく解説する学習誌「Newsがわかる」の12月号でも、2017年重大ニュースが取り上げられていました。

皆さんはどんなニュースが入っていると予想しますか?

それによると1位が北朝鮮の核・ミサイル開発加速、2位が解散・総選挙で自民党が大勝、3位がアメリカのトランプ大統領就任、4位が中学生の藤井四段29連勝で将棋ブーム、5位が陸上100メートルで桐生選手が9秒98、以下はヒアリに列島警戒、重力波にノーベル賞、沖ノ島が世界文化遺産、東京五輪の次はパリ→ロス、そして日本のPKO終わる、となっています。

中国の政治体制に関するニュースは入っていませんが、日本を取り巻く国際関係そして内政問題が上位を占めており、小中学生の将来にとって影響を及ぼしそうなニュースが取り上げられていたと言えるでしょう。

ちょっと早いですが2018年に節目を迎えるニュースとして頭に浮かんだのは、明治維新150年と天皇陛下の退位と皇太子さまが新天皇に即位される日程が2018年に具体的になることです。

■すこし視点を変えて歴史を振り返ると
そのうちの明治維新150年に目を向けてみたいと思いますが、近代日本がスタートした大きな節目である明治維新について、高校の教科書で定番の山川の「日本の歴史」をベースにした「新 もういちど読む 山川日本史」(山川出版社)でも取り上げています。

それによると近代国家の成立のなかでの明治維新の項目は「戊辰戦争」の小見出しで始まっています。1868年(明治元年)1月、薩摩・長州を中心とする新政府軍と旧幕臣や会津・桑名を中心とする旧幕府軍による、京都近くの鳥羽・伏見の戦いが勃発、勝利した新政府軍は徳川慶喜を朝敵として追悼し、江戸へ軍を進めた。

その後皆さんもご存知のように新政府軍代表の西郷隆盛と旧幕府を代表する勝海舟が交渉、同年4月に江戸は戦火を交えることなく開城します。しかし、その後も会津藩などは白虎隊に象徴されるように抵抗、9月の会津藩降伏の後、翌1869年5月の榎本武揚らが五稜郭の戦いで敗れて降伏し、戊辰戦争と呼ばれる一連の戦いは終わり、日本は新政府のもとに統一されることになります。

この節目の年を迎え薩長土肥(鹿児島、山口、高知、佐賀)そして会津(福島)などでは記念の取り組みが進んでいます。

ただ表現の仕方が明治維新150年に対し戊辰戦争150年、とかなりニュアンス、思い入れは異なっているように感じます。

明治の前、江戸時代は全国の各藩がそれぞれの特産、産業そして人材を活かし独自性を持った政治、経済活動を展開、いわば地方分権で日本は成り立っていたともいえるのではないでしょうか。

その表れとして日本各地の特産物、伝統工芸など地場産業は江戸時代に発達したケースが多いと思います。

明治維新を機に日本は中央集権で国力を増強、第二次世界大戦などもありましたが現在に至っていると思います。

そして最近になって大きな課題となっているのが地方創生ですね。

さまざまな政府主導の取り組みが立案実行されていますが、まだまだこれからといった感があります。

■2020年東京オリ・パラ以降をにらんだ情報発信を
明治維新・戊辰戦争150年を機に、あの当時の情熱を見習い地方主体の新たな地方創生の取り組みが必要ではないでしょうか。明治維新と大きく異なるのは、2020年の東京オリ・パラを控え世界中の目が日本に集まっていることです。

世界の人々を日本各地に迎え入れ、日本各地の自然、文化、芸術、食そしてヒトを理解してもらい、新たな持続的な世界との交流を創る絶好の機会だと思います。

そこで重要なのが多様化しているメディア環境です。トラディショナルな新聞、雑誌、テレビなどの媒体に加え、世界中を一瞬で駆け巡るインターネットメディア、ソーシャルネットワークなどの特性を理解し、日本の情報を的確に世界に発信することが不可欠です。

そのためにも地方自治体、地方の企業やNPO法人など様々な組織体でパブリック・リレーションズ(PR)の機能が必要なのは明らかです。

PRの専門家集団として私たち井之上パブリックリレーションズは、この大きな潮目を読んで組織を取り巻くさまざまなステークホルダーとのリレーションシップ・マネージメントに関連するコンサルテーション業務に磨きをかけていきたいと思っています。

投稿者 Inoue: 08:16

2017年11月11日

『広辞苑』第七版が新年に刊行
〜総項目数は新たに1万を加え約25万項目へ

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今回は、私も利用している岩波書店の国語辞典『広辞苑』の改訂版(第7版)についてのお話です。

既にご存知の方も多いかと思いますが、岩波書店が『広辞苑』第7版を来年1月12日に刊行すると発表しました。

2008年に刊行された第6版から10年ぶりの全面改訂で、総項目数は新たに1万を加えた約25万項目になるようです(朝日新聞10/25朝刊)。

■人名では「トランプ」大統領が追記
報道によると今回の改訂では、基礎的な動詞や形容詞の説明刷新に力を入れたほか、「東日本大震災」「ブラック企業」「LGBT」「婚活」「スマホ」「ツイート」「炎上」「安全神話」「クールビズ」「コスプレ」「ドクターヘリ」「ブルーレイ」など、第6版刊行後の社会や技術の変化を受けた言葉が多数収録されたとのこと。

人名については、新たに米大統領に就任した「トランプ」をはじめ、「高倉健」「赤塚不二夫」「ジョブズ」「スピルバーグ」などが追加されています。

俗語では「がっつり」「ごち」「ちゃらい」など、社会に定着したと判断された言葉が採用されたようです。

時代と共に広がった語義も収録。「盛る」の説明に「おおげさにする」、「やばい」の説明に「のめり込みそうである」を加えたとのこと。

一方、「豊洲市場」については、候補に挙がったものの、都政の混乱で移転が不透明になったため掲載が見送られ、「給水ポンプ」「スーパー特急」など時代の変化で説明が不要になった言葉は削除されたといいます。

岩波書店によると来年6月30日までの完成記念特別価格(普通版9180円)での販売期間中に20万部の売り上げを目指すとしています。

発行部数は第3版の260万部を頂点に右肩下がりとなっていますが、岩波書店辞典編集部では、「何でも無料で検索できる時代だが、簡潔な言葉で正確に説明して欲しいという需要は減っていない」とコメントしています。


■欠如するPR関連用語
第7版のページ数は140ページ増の3216ページ。裏写りしないように用紙を工夫、改良することにより何と厚さは第6版と同一にしているとのこと。

『広辞苑』は1955年に初版が刊行され、すでに60年余を経ています。

この間、改訂版を送り出すたびに収録する言葉を精査するだけでなく、本の装丁などについても真摯に取り組んできており、こうした努力の積み重ねが読者から愛され、信頼を厚くし、いまや「国民的辞典」と言われるまでに成長した要因となっているようです。

東京新聞10/25朝刊には:

今年の5月に亡くなられた作家の杉本苑子さんは、随想『春風秋雨』で、「葬式も墓も無用、骨は海にでも撒いてしまってほしい」と書き、続けて、文学者の墓の自分の名の下に、「使い古した『広辞苑』を一冊、埋めてくれ」と遺言した、と記しておられます。

としています。

『広辞苑』(第6版)で「パブリック・リレーションズ」を引いてみると、「ピーアール(PR)」としか表記されていません。

今度は「ピーアール(PR)」を引くと「企業体または官庁などが、その活動や商品などを広く知らせ、多くの人の理解を高めるために行なう宣伝広告活動」と定義しています。

「『メディア』は媒体。手段。特にマスコミュニケーションの媒体」とありますが、「メディア・リレーションズ」の記載はありません。当然のことながら「リレーションシップ・マネジメント」の記載もありません。

残念ながらパブリック・リレーションズ(PR)は、これまでの『広辞苑』の世界では、いまだに宣伝広告活動と混同されているようで、この分野での日本の後進性を見事に現しています。

さて第7版ではパブリック・リレーションズについて、またPR関連用語について、どこまで収録され、どのように紹介されているのでしょうか。

いずれにしても『広辞苑』が時代の、また社会のセンサー機能をもつのであれば、パブリック・リレーションズ(PR)がまだまだ日本社会に定着していないことの証左ともなります。

日本社会へパブリック・リレーションズ(PR)を普及、定着させていく努力が、私たち実務家にさらに求められています。

投稿者 Inoue: 21:01

2017年11月01日

東京モーターショーに何を見るか
〜EV、自動化で産業構造が一変する可能性も!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

2020年の東京オリンピック開幕まで10月28日で1000日となりましたね。56年ぶりの東京オリンピック開催に向け、官民挙げて開催機運を盛り上げるさまざまなイベントが今後展開されることになります。

その前日、10月27日の日経平均株価が続伸し、終値で2万2008円45銭と1996年7月5日以来、21年3カ月ぶりに2万2000円台に乗せ、世界的な景気拡大にともなう企業業績の改善期待が株価を押し上げたようで、2020年に向け景気拡大に弾みがつきそうな話題でした。

■キーワードはEV、自動化、共有化
そんななか2年に1度の「東京モーターショー2017」が10月25日の報道内覧会に始まり、11月5日まで東京ビッグサイトで一般公開されています。報道合戦も華々しく、クルマ関連の記事が相次いでいます。

私もトヨタの燃料電池車MIRAIを運転する大のクルマ好きで、テレビや新聞報道に注目しています。

20世紀とりわけ後半の大衆社会は、機械文明を象徴する自動車とともにあったといえます。街にはエンジンで動くクルマがあふれ日米欧を中心に巨大な自動車産業を生みだしました。

しかし温暖化対策や人工知能(AI)などの先端技術の発展が、クルマの世紀を大きく変え、新時代をつくりつつあるようです。朝日新聞の報道によれば「自動車産業には三つの波が押し寄せる。「電動化」「自動化」「共有化」だとし、新しい自動車産業の到来を予感させています。

自動車がインターネットに接続するとともに、センサーやAI技術を搭載した自動運転が可能になり、私たちに身近なモバイル端末やコミュニケーション・ロボットのような存在に近づく日も遠い未来の話しではなさそうです。

事実、インターネットにつながることで、海外で普及しているスマホアプリを使った配車サービスの米国ウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行(ディディチューシン)などに見られる、ライドシェア(相乗り)のような新しい自動車関連ビジネスも急速に普及しています。

■日本の自動車産業も危機感を
トラディショナルな自動車産業の構造変化は、異業種も含めた新規参入の嵐を予感させます。最近も家電量販最大手のヤマダ電機、掃除機で有名な英国ダイソンの電気自動車(EV)への参入など、これまで考えられなかった業種の参入報道がありました。

EVといえば2010年秋、米ベンチャー企業のテスラモーターズCEOのイーロン・マスクが来日した際、日本に持ち込まれた「テスラ・ロードスター」に試乗したことがあります。ドライバーの胸を締め付けるほどの圧倒的な加速パワーには圧倒されましたが、テスラは今やEVメーカーとしての地位を不動のものとしています。

ここで注目したいのはEVで主導権を握ろうとしている中国とこれまでは自動車とは関係が薄かったIT企業を中心とした異業種組の台頭です。年間の自動車販売台数が2800万台を超える世界一の自動車大国の中国はまた、EV製造に必要なレアメタルの世界一の生産国。将来のEV・自動車産業は中国の影響を大きく受けるのは必定といえます。

異業種参入の可能性の一例として、私たちに身近なスマートフォン(スマホ)を見てみましょう。

出荷台数は、調査会社IDCの調べでは2017年に15億3480万台、それが2021年には17億7410万台に達するとしています。

このスマホ向け半導体で世界トップを快走するのが米国クアルコム。スマホメーカーが必要とする技術やソフトウエアを提供し、スマホを製品化しやすいプラットフォームをお膳立てすることで急成長しています。

スマホのクアルコムのようなプラットフォーマーがEV市場にも登場する可能性は大いに考えられます。

「日本の自動車産業はこれまで蓄積してきたノウハウもあるし、完成車メーカーを頂点とするすそ野の広いケイレツピラミッド構造はちょっとやそっとでは崩れない」と思っている業界関係者も多いのではないのでしょうか。

このような考えがいとも簡単に崩れ去ったいくつかの日本の産業を過去私たちは目の当たりにしています。

これまで考えられなかったようなスピードでAI、IoTクラウドなど最先端技術は進化していますが、新しいビジネスモデル、パートナーシップの可能性を模索しながら、まずは実行してみる、そんな英断が日本企業に不可欠になっていると感じます。

それにしても日産自動車やSUBARUの長年にわたる完成車検査に関連する不祥事には驚かせられますが、監督官庁が時代遅れの規則でメーカーを不必要に縛ることのないように、また官民同じく規則や慣習、制度の見直しを怠ることのないよう注意を払わなければなりません。

パブリック・リレーションズ(PR)の主柱となるリレーションシップ・マネジメントで様々な関わりを通して大きな構造変化や潮目を見る力を養わなければなりません。その活用を誤ると日本を支える産業が崩壊する危険性すら排除できなくなると深刻に危惧しています。

投稿者 Inoue: 06:34

2017年10月20日

3つの世界都市ランキング
〜東京は世界で最も安全な都市

皆さんこんにちは、井之上喬です。急に冷え込みが厳しくなりました。体調の管理には十分ご留意ください。

最近(10/16)の日経MJ紙面に「世界都市ランキング」が掲載され、目に留まりました。今回のブログでは、この「世界都市ランキング」と英エコノミスト誌の調査機関ザ・エコノミスト・インテリジェント・ユニット(EIU)が発表した「世界の都市安全性指数ランキング2017」、そして海外留学ナビによる「世界の留学生に人気の都市ランキング」を紹介します。

■2年連続で3位
東京は、2017年版の「世界の都市総合力ランキング」(森記念財団都市戦略研究所が発表)で2年連続の3位にランクされました。順位は前年と同じですが、「文化・交流」「交通・アクセス」の分野でスコアを伸ばし、2位ニューヨークとの差を縮めたとのこと。

この調査は、世界の主要44都市を対象に経済、研究・開発、文化・交流、居住、環境、交通・アクセスの6分野の計70指標を点数化。同研究所は、ニューヨークとは僅差で、20年に五輪を控える東京は近い将来、ニューヨークを抜き2位になる可能性も見えてきたと、分析しているようです。

東京が今後、世界1位になるためには、「GDP成長率」の低さや為替の円安といった「経済面」を改善していくこと。また、「居住性」や「社会の自由度・公平さ・平等さ」、「メンタルヘルス水準」で評価を高めていくことが重要だとしています。

首位はロンドン。2007年?2008年の世界金融危機以降、都市力を落としていたにもかかわらず、2012年のオリンピックを機に回復軌道に乗せ、五輪以降もスコアを伸ばしているとのこと。東京もロンドンと同じ成長カーブを描くことができれば、ニューヨークを抜いて2位となる可能性も見えてくるといいます。

「世界の都市総合力ランキング」ベスト10の4位以下はパリ、シンガポール、ソウル、アムステルダム、ベルリン、香港、そして10位がシドニーといった結果だったようです。

同調査は44の主要都市を対象に行なわれており、日本からは東京のほか、大阪、福岡も対象となっています。大阪は22位から26位へ、福岡は36位から37位と順位を下げたようです。

■世界都市としてのブランディング
英エコノミスト誌の調査機関ザ・エコノミスト・インテリジェント・ユニット(EIU)がまとめる「世界の都市安全性指数ランキング2017」も発表されています。

同ランキングは、49の指標をサイバーセキュリティー、医療・健康環境の安全性、インフラの安全性、個人の安全性の4カテゴリーに分けて都市の安全性を評価するもの。

1位は東京で、以下シンガポール、大阪、トロント、メルボルン、アムステルダム、シドニー、ストックホルム、香港、そして10位にチューリッヒがランクされています。

3つめの世界ランキングは、「2017世界の留学生に人気の都市ランキング」(海外留学ナビ調査)です。私のブログの読者の中にもこれから留学を考えている方もいらっしゃるかと思います。少しでも参考になればと思い記します。

第1位はモントリオールで、以下パリ、ロンドン、ソウル、メルボルン、ベルリン、東京(7位)、ボストン、ミュンヘン、そして10位はバンクーバーという結果になったようです。詳しくは下記ウェブを参照ください。

https://en-ryugaku.com/best10cities.html

東京は、2020年のオリンピック・パラリンピックにおける環境分野の施策として、最先端の水素社会の構築を目標に100台以上の燃料電池バスを運行させ、併せて燃料電池自動車を6000台増加、都内の水素ステーションも35カ所に拡大する方針を打ち出しています。

私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家が、五輪開催に向けた東京都の様々な努力をグローバル社会へ積極的に発信することで、東京も前述したロンドンと同じ成長カーブを描くことができ、新たな東京の世界都市としてのブランドを確立できるのではないかと思います。


投稿者 Inoue: 16:00

2017年10月10日

「体育の日」、東京オリンピック・パラリンピックまであと3年
〜IoT、AIなどに加えエネルギー技術革新も加速しよう

皆さんこんにちは、井之上喬です。

10月9日は国民の休日で「体育の日」。1964年(昭和39年)の東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を、1966年(昭和41年)から国民の祝日としたものですね。日付は2000年(平成12年)から10月の第2月曜日となり、1年のうちハッピーマンデー法および移動祝日で定められた祝日では1年で最後の祝日に当たります。

■オリンピックと技術革新
そして3年後の2020年7月24日には東京オリンピック、8月25日には東京パラリンピックがそれぞれ開幕しますね。

私自身、自分の目で2度目の東京オリンピックを体験できるのを今から楽しみにしています。

オリンピックと言えば記録の更新に注目が集まりますが、オリンピックを機にさまざまな技術革新があることも忘れてはならないと思います。

これまでの主なオリンピックと技術革新の歴史をさまざまな資料から拾ってみます。

裸足の王者と呼ばれたマラソンのアベベ・ビキラ選手(エチオピア)が優勝したローマオリンピックでは、初めてのオリンピック生放送がヨーロッパで行われ、日本では1時間遅れで放送されました。

そして前回1964年の東京オリンピックでは、東海道新幹線が開通し東京?大阪間を4時間で結びました。1968年のメキシコシティオリンピックでは、カラーテレビが一気に普及しました。

さらに1998年の長野オリンピックでは、インターネットの普及率が10%を超え、2000年のシドニーオリンピックでは、デジタルカメラの出荷台数が倍増しました。

2012年のロンドンオリンピックでは、スマートフォン(スマホ)を活用しての観戦が多く、SNSでは1.5億回もツイートされたとの報告があります。

2020年の東京でオリンピック・パラリンピックではどのような技術革新が行われるのでしょう。

IoT(モノのインターネット)による進化があるでしょうね。5Gに代表される高速の通信インフラ網によりクラウドを通して人工知能(AI)を駆使し、スマホやタブレットなどの最先端端末で得られたデータをさまざまな形で活用することが可能になるでしょう。またNHK技術研究所が開発した、8Kテレビでのパブリック・ビューイングや家庭での普及の期待も膨らみます。

スマホなどでホテルにチェックインできたり、競技場、座席などへの誘導が簡単になったり、音声による多言語対応などが実現すれば言葉や習慣の国境の壁を最先端技術で乗り越えられるようになるでしょう。

10月3日から幕張メッセで開催されたCEATEC Japan 2017でも、前述したようなさまざまな革新的なサービス実現を期待させる最先端技術が披露され15万人以上の来場者がそれを目の当たりにしたようです。

■水素エネルギーに注目
このような技術革新とともに期待したいのはエネルギー面での革新的な取り組みです。

政府は2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに水素インフラを整備し、水素エネルギーシステムを実現することで「水素社会」の価値を世界に発信していく方針を示しています。

具体的には9つのプロジェクを設定しており「次世代都市交通システム」、自動翻訳システムなどを含む「スマートホスピタリティ」、「新・臨場体験映像システム」、「移動最適化システム」、そして「水素エネルギーシステム」などがあります。

水素エネルギーシステムプロジェクトでは、「水しか排出しない最新エネルギーで、移動・暮らしに次のクリーンを」をコンセプトとし、長期的な目標として「国内外での水素製造・貯蔵・輸送といった新たなエネルギーインフラの整備」と「日本での水素関連産業が世界市場で活躍」を置いている。そのために東京五輪で水素社会実現に向けた日本の可能性を世界に発信する、としています。

また東京都は東京オリンピック・パラリンピックの2020年までに100台以上の燃料電池バスを運行、合わせて燃料電池自動車を6000台に増やし、都内の水素ステーションも35カ所に拡大する目標を掲げており、世界で最先端の水素社会を構築して東京オリンピック・パラリンピックで世界にアピールするとしています(出典:東京都環境局)。

前号でも書きましたが、2009年に私の経営する会社(井之上パブリックリレーションズ)のCSRプログラムで始めた、「水素研究会」が日本でのこうした流れを少しでも加速させたとしたら嬉しい限りです。

10月10日公示、22日投開票の衆議院選挙は政策論争のない選挙戦になりそうですが、希望の党の小池代表の「原発ゼロ」発言でエネルギー政策が注目の1つになっています。

東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、太陽光、風力、そして水素など再生可能エネルギーに関する技術革新が日本を中心に加速できるよう、パブリックリレーションズ(PR)の専門家として寄与していきたいと思います。

投稿者 Inoue: 14:53

2017年09月20日

「敬老の日」に思う、65歳以上の総人口比率過去最高の約28%
〜高齢者の経験、知見そしてネットワークを活用しよう

皆さんこんにちは、井之上喬です。

日本列島をほぼ縦断する形の台風18号は各地に大きな爪痕を残しました。被災された皆さんに1日も早く、平穏な日々が戻ることをお祈りいたします。

■65歳以上の就業者数も過去最高
9月18日は「敬老の日」でした。それを前にした9月15日の厚生労働省発表によると、国内の100歳以上の高齢者は、6万7824人になったとみられるようで、昨年から2132人増え、47年連続で過去最多を更新したそうです。うち女性の比率は87.9%だそうです。

ちなみにこの統計の起点になっている1971年の100歳以上は339人だったそうですから、46年間で200倍以上と驚きの数字になっています。

そのほかの数字を拾ってみても、敬老の日を前に総務省が9月17日に発表した人口推計では、90歳以上の人口が9月15日時点で1年前より14万人増えて206万人となり初めて200万人を突破、また総人口に占める65歳以上の割合は27.7%と前年より0.5ポイント上がり、過去最高を更新しています。

報道によるとこの背景には、「医療技術が進歩し、長生きできる人が増えている。老齢人口が増えるだけでなく、個人の長寿化が目立ってきた」としています。

その一方、労働力調査によると、65歳以上の就業者数は2016年に770万人と過去最高になったそうです。総務省は高齢者の働く意欲が高いことが背景としていますが、老後資金の蓄えとともに、元気な老人が増え高齢者の就業数も増えているのではないでしょうか。

最近は、高齢者が自ら起業したり、高齢化社会に向けた異業種からの参入も含めた新しいビジネスモデルの創出に関する報道も多くみられますね。

■社会課題解決のカギはダイバーシティ
2025年には65歳以上が人口の30%を超えると推計される(総務省)超高齢化社会日本で重要なことは、如何に高齢者に生きがいのある環境を提供するかだと考えています。

今年8月17日の朝日新聞(夕刊)にも紹介されていましたが、岩手県大槌町で活動するNPO法人ソーシャルハーツの川上 誠代表は、ひとり暮らしの高齢者を対象に自立支援活動を行っています。

川上さんは以前このブログでも紹介していますが、ハイテク業界からの転職組で私が経営する会社(井之上パブリックリレーションズ)のコンサル先の元外資系企業のトップ。

ソーシャルハーツは、2013年2月以来、東日本大震災の被災地である大槌町を活動拠点に自立支援活動を継続的に行っています。

その一環として3年ほど前から脳の活性化を促し、認知症予防に効果があるといわれる数独を活用し、隔週で脳トレ「シニアハーツ教室」を地元の高齢者支援センターなど数カ所で実施、年間累計で1200人の参加者を数えています。

そして、9月9日(数独の日)には全国初の「第1回数独技能認定試験」(日本数独協会主催、NPO法人ソーシャルハーツ共催)を大槌町で開催、大槌町外からの受験者27人を含め合計107人が参加したそうです。

代表の川上さんは、ソーシャルハーツによる活動を通して、「心の復興」支援活動を大槌町で継続的に行い、そこで培った脳トレの「成功事例」を岩手県北上市や横浜市などで水平展開していきたいと語っています。

今後の活躍と活動の広がりに期待したいところです。

パブリック・リレーションズ(PR)はそれ自体社会性の高い活動です。
井之上パブリックリレーションズは、企業ミッションとして「パブリック・リレーションズを通し、平和で希望のある社会づくりをめざします」を掲げています。

今後深刻さを増す高齢化問題について、井之上パブリックリレーションズでは将来定年制の撤廃を視野に入れた人事制度のありかたも考えています。

日本は少子化、高齢化、環境問題、財政問題など多くの課題を抱えています。この難局を乗り越えるためには女性の登用、外国人の登用などダイバーシティの実現が不可欠ですが、そのなかに豊富な経験と知見、そしてネットワークを持つ元気な高齢者の登用は、AI時代の高度な社会に活力を与えるものと思うのです。

投稿者 Inoue: 14:11

2017年09月10日

スポーツの秋にうれしいニュース
〜桐生選手、陸上100mでついに10秒の壁破る!

皆さんこんにちは井之上 喬です。
9月:長月に入ってスポーツの秋はこれからが本番。身近なところでは小・中学校の運動会のシーズンでもありますね。

■東京オリンピックに向け大きな弾みに
そんな9月9日、陸上界で待望の大記録が誕生しました。
桐生祥秀選手(東洋大)がついに陸上100mで日本人として初めて9秒台の9秒98(追い風1.8m)を記録しました。本当におめでとうございます!

桐生選手と言えば、京都・洛南高校3年生の2013年織田記念国際で当時日本歴代2位の10秒01をたたき出し、9秒台に1番近い選手として注目されてきました。

希代のスプリンターは9秒台の大本命でありながら、大学進学後はケガや挫折を味わってきたことは皆さんもご存知のことと思います。最近でも、2016年夏のリオデジャネイロオリンピック100mでも日本勢でただ1人、予選落ちの憂き目をみたり、今年6月の日本選手権では4位に沈み、100mでの世界選手権代表の座も逃しています。学生時代最後の試合で、アフリカ系以外は数人だけという9秒台達成の喜びはひとしおだと思います。

多くのライバルの台頭、周りからのプレッシャーもあったことは想像に難くなく、その意味からも日本の陸上短距離界をリードしてきた桐生選手が日本人として初めて10秒の壁を破ったことは大いに称賛されます。

これをきっかけに9秒台予備軍の日本人選手もプレッシャーがほぐれ、桐生選手に続く9秒台ランナーが出てくるのではないでしょうか。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け大きな弾みになるのは確実です。

■若者よ自分の限界に挑戦しよう!
実は私もかって水泳で前回の東京オリンピックを目指していた一人でした。スポーツに取り組んでいると、様々な壁や障害に直面することが多いと思います。

挫折しそうになることも多々あると思いますが、人生で目一杯自分の限界に挑戦できる機会は若い時期に限られると思います。

苦しいことも経験すると思いますが、目的をしっかり持ち、その達成のために自らを極限状態におく体験はその後の長い人生のなかで大きな糧となるはずです。私も高校時代のスポーツ経験があってこそ現在の自分があると考えています。若者よ恐れずに自分の限界に挑戦しましょう。

9月10日の朝刊の桐生選手のうれしいニュースの一方で、パブリック・リレーションズ(PR)に携わる一人としてすこし気になる報道に関する印象もあります。

翌9月11日は、あの2001年の衝撃的な「アメリカ同時多発テロ事件」から16年、そして東日本大震災・東京電力福島第1原発事故から6年半の節目でもあります。特にアメリカの同時多発テロ事件については、いまでも様々な説が語られており真相は謎のままです。

そんな9月11日の月曜日は一斉の新聞休刊日に当たります。業界の決め事なのでしょうが、個人的には違和感があります。

9.11そして3.11を風化させてはいけないと改めて強く感じた9月10日の日曜日でした。


投稿者 Inoue: 12:16

2017年08月10日

平和の大切さを改めて認識
〜広島、長崎での原爆の日、そして終戦記念日に思う

皆さんこんには、井之上 喬です。
観測史上3位の長寿台風となった台風5号の影響か東京は37度を超える猛暑となりましたが、体調管理が難しい日々がしばらく続きそうですね。

また、記録的な大雨の被害に見舞われた九州や北陸などの皆さん、1日も早く平穏な日常が戻るよう、心よりお見舞いを申し上げます。

毎年8月のこの時期、私は改めて平和のありがたみを感じています。

■72年目の広島、長崎で見た課題
72年前の8月6日午前8時15分に広島、8月9日午前11時2分に長崎に原子爆弾が投下され、そして8月15日の終戦記念日を迎えます。第2次世界大戦では世界中で多くの方々が犠牲になりましたが、今でもテロや内戦で苦しんでいる人々がいるのも世界の現実です。

世界の核軍縮を巡っては、今年7月に国連で史上初めて核兵器を法的に禁止する「核兵器禁止条約」が、非核保有国が中心となって採択されました。しかし、核保有国や核の傘の下にある日本などは条約に否定的な立場を示しており、現実には核兵器の廃絶にどのように結びつくかが課題となっているのも事実です。

広島市の松井一實市長は平和宣言で、「各国政府は、核兵器のない世界に向けた取り組みをさらに前進させなければならない」としたうえで、日本政府に対しては「核保有国と非保有国の橋渡しに本気で取り組んで欲しい」と求めています。

また長崎市の田上富久市長も、核兵器禁止条約の交渉会議にすら参加しなかった日本政府の姿勢に対し「被爆地は到底理解できない」と厳しく非難し、条約を批准するよう平和宣言で強くアピールしていました。

これに対し安倍晋三首相は、広島そして長崎でのあいさつで核兵器禁止条約には言及せず、具体的な核兵器廃絶への日本としての取り組みについても触れることはありませんでした。

核の傘の下にいるとして日本政府が採択に参加せず反対の姿勢を取っていることに、多くの国民は納得しているのでしょうか?

唯一の被爆国で多大な犠牲者を出した日本の政府には、原則論にのっとり、まず条約に賛成し、堂々と核保有国と非保有国の間を取り持つ役割を果たしてもらいたいものです。政府には核の傘にあることを認めつつも核兵器保有反対の姿勢を貫き通してほしいものです。なぜなら核兵器保有は人類や地球の生存に直結する問題だからです。

■パブリック・リレーションズを通じ平和で希望のある社会を
井之上パブリックリレーションズのミッション・ステートメントの最初には、「パブリック・リレーションズを通し、平和で希望のある社会づくりをめざします」とよりよい社会の実現が謳われています。

企業や組織体を取り巻く様々なステーク・ホルダーとの有効なリレーションシップ構築も、平和な世界があってのことだと強く感じています。

北朝鮮の問題をはじめ一歩間違えば危機的な状況に陥りそうな不確実な要素が身近にあるのも事実です。

パブリック・リレーションズ(PR)は平和の武器でもあります。リレーションシップ・マネジメントを通じてステーク・ホルダーとの関係構築を行うことで、多様な課題や問題を解決することができるからです。

同じ過ちを繰り返さないよう、倫理観に基づいた双方向性コミュニケーション自己修正をベースにしたパブリック・リレーションズを活用して真の平和な世界の実現に微力ながら貢献してまいりたいと思っています。

投稿者 Inoue: 16:47

2017年08月01日

夏休み、好調な海外旅行
〜「働き方改革」で長期休暇増

暑中お見舞い申し上げます。

先週末は恒例の早稲田大学の鴨川合宿に参加しました。鴨川の海岸で開催された夏の風物詩の花火を少し離れたセミナーハウスから眺めながら、時の早い移ろいを感じました。

さて今日から8月。8月1日は、「観光の日」とか「花火の日」とかいわれています。国際連合第21回総会において、1967年(昭和42年)を国際観光年とする決議を採択。これを受けて例年8月1日から1週間が観光週間とされ、初日の1日が「観光の日」と呼ばれるようになったといいます。

一方、「花火の日」は第二次世界大戦後、花火が解禁された1948年8月1日を記念して制定されたようです。

夏真っ盛り。前回の私のブログでは、外国人観光客が「クールジャパン」を堪能する夏休みになるよう富士箱根伊豆や支笏洞爺(北海道)、阿蘇くじゅう(熊本県、大分県)など日本を代表する国立公園を紹介させていただきましたが、今回は、JTBがまとめた夏休み期間(15日?8月31日)の宿泊旅行の動向予測を紹介します。

動向予測はJTBグループの販売状況や6月に実施したアンケート1200人の回答、航空会社の予約状況などから推計したとのことです。

■今年は遠くの海外へ
JTBの調査によると、海外旅行する人数は前年同期より3.4%多い273万人に達しそうだとのこと。この数字は、1969年の調査開始以来2番目に多いといいます。

テロの影響で落ち込んでいた欧州の伸びが8%と大きく、3連休が2回ある日並びのよさに加え、働き方改革で長期休暇が取りやすくなっており、遠距離旅行が増える傾向にあるようです。

欧州は北欧やドイツ、スペインなどが人気だといいます。2%増を見込むアジアでは中国や香港などがけん引。このほかテロの心配が少ないとしてハワイ(5.2%増)やオセアニア(3.7%増)の人気が高いようです。

北米は3.9%増。JTBの海外パッケージツアーでは8月11、12日が出発のピークとなりそうだとのこと。

日本発の航空旅客を対象とする燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が8月発券分から下がるのも追い風のようです。現在は北米や欧州で片道7000円の上乗せ分が半額の3500円に。パッケージツアーは料金がすぐ変わらない旅行商品も多いのですが、航空券を個別に取る旅行者への恩恵は大きいといえます。

■物見遊山型から「コト消費」へ
一方、国内旅行人数は海外旅行の人気もあってか7460万人と前年比0.7%増にとどまるようです。旅行先では新アトラクションが人気のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)がある近畿や格安航空会社(LCC)の路線が拡充された北海道の人気が高いといいます。

熊本地震の影響で昨年客数が減った九州も回復が期待できそうとのこと。JTBのツアーでは8月11?15日の出発が多くなっているようです。

また旅行サイト「じゃらんnet」の調査では夜間にハイキングや水族館、クルージングを楽しむなど体験型観光への関心が高まっているとのこと。物見遊山型から、体験を重視した「コト消費」を盛り込んだ旅行に人気が移っている傾向が見られるようです。

今夏は比較的長距離の旅行が増えるため、1人当たりの平均旅行費用は海外旅行が11.9%増の24万2000円、国内は2.1%増の3万4400円になると推計。

ハードワークが求められるパブリック・リレーションズ(PR)の仕事には緩急のリズムが大切です。休めるときには思い切って休息をとり次へのエネルギーとしたいものです。

皆さんの夏休みのプラン、旅行先や予算はいかがでしょうか?猛暑のみぎり、熱中症など体調管理に十分留意して、有意義で楽しい夏休みをお過ごしください。


投稿者 Inoue: 12:35

2017年07月20日

夏休み国立公園に行ってみては
〜国立公園を訪れた外国人観光客は昨年初めて500万人突破

皆さんこんにちは井之上 喬です。

関東では平年並みの梅雨明け宣言があり、地方で開催中の夏の甲子園(第99回全国高校野球選手権大会)予選も佳境を迎えていますね。

高校球児の皆さんの健闘を祈ります!

学生・生徒さんにとっては社会人にはない大型の夏休みが目前に控えていますが、社会人の方も「夏休みどこに行こうか?」とお悩みの方が結構多いのではないでしょうか?

ちょっと長めの休みを取れる夏休み、旅行会社が様々な海外旅行プランを組んでいますが、日本国内にも訪れたことのない数々の素晴らしい観光地があるのも確かです。

その代表は全国にある国立公園ですね。

■国立公園は全国に何カ所?
ではここで質問です。現在日本には何か所の国立公園があるでしょうか?
答えは今年3月に奄美群島国立公園が加わり34カ所になっており、国土の5.8%%を占めています。

あなたはいくつ国立公園をご存知ですか。詳しくは環境省ホームページの日本の国立公園をご覧ください。
https://www.env.go.jp/park/

国立公園の役割としては「国立公園は、次の世代も、私たちと同じ感動を味わい楽しむことができるように、すぐれた自然を守り、後世に伝えていくところです。そのために、国が指定し、保護し、管理する、役割を担っています」としています。

そして「自然公園法が主に保護の対象としているものは自然の風景地ですが、人が感じる風景には視覚だけでなく五感で感じるものまで含まれています。自然を包括的に認識することにより自然環境の保全や生物多様性の保全にも大きく寄与しています」と自然と文化の融合も大きなテーマになっています。

このような四季に恵まれた豊かな日本の自然が日本人の心のよりどころになっているのではないでしょうか? 都会の雑踏を離れ、素晴らしい景色に感動し、新たな気持ちで仕事に取り組めた経験をお持ちの方も沢山おられると思います。

クールジャパンの象徴として地方創生の核に
環境省の発表によると、国立公園を訪れた外国人観光客は2016年に初めて500万人を超え約545万7000人に達したそうです。2015に比べて50万人以上増加したとのこと。

最も多かったのは断トツで富士箱根伊豆国立公園の257万7000人で全体の半分を占めています。2番目は支笏洞爺(北海道)で82万7000人、3番目は阿蘇くじゅう(熊本県、大分県)で67万5000人。

国・地域別では中国からが最多で約204万人、訪問先は富士箱根伊豆が約155万人。韓国からは約80万人で、阿蘇くじゅうが約48万人。台湾は約118万人で、支笏洞爺に約29万人が訪問したそうです。ちなみに米国は約19万人で富士箱根伊豆に約10万人が訪れたとのこと。

2020年に訪日外国人4000万人を目指す政府の観光ビジョンの一環で、環境省は昨年度から「国立公園満喫プロジェクト」を始めました。北海道の阿寒国立公園や沖縄の慶良間諸島国立公園など8カ所がモデル地区に選ばれています。

2020年までに外国人観光客1000万人の国立公園来訪を目指しており、これらの国立公園では、訪日客向けの観光ツアー開発やガイド育成、高級ホテルの誘致、多言語に対応した情報提供など、官民が連携した取り組みが本格化しているようです。

外国からの「インバウンド」は数自体の増加傾向とともに、日本各地の伝統文化や芸能、自然などを体験する傾向が強くなるなど質的な転換が進んでいるようです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けこの傾向はますます強くなると予想されます。

多くの外国人観光客に「クールジャパン」を堪能してもらえる夏休みになると良いですね。国立公園を核とする地方創生にパブリック・リレーションズ(PR)が役立てできればうれしい限りです。

投稿者 Inoue: 18:01

2017年06月21日

SDGsご存知ですか?
〜2020以降の持続可能性をグローバルな視点で考える

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

梅雨入りは早かったですが、夏のような天気が続いていますね。今年の梅雨も集中豪雨型になるのでしょうか。すこし心配です。

■世界標準のSDGs、グローバル目標は17
皆さんは「SDGs」(エスディージーズ)をご存知でしょうか。

持続可能な開発目標と日本語に訳されており、英語ではSustainable Development Goalsです。2015年9月の国連総会で採択された「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ」と題する成果文書で示された具体的行動指針で持続可能な開発のための17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)からなっています。

詳しくは国際連合広報センターのホームページを参照ください。

http://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

17の目標は以下のような内容となっています。
1)貧困をなくそう
2)飢餓をゼロに
3)すべての人に保健と福祉を
4)質の高い教育をみんなに
5)ジェンダー平等を実現しよう
6)安全な水とトイレを世界中に
7)エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8)働きがいも経済成長も
9)産業と技術革新の基盤をつくろう
10)人や国の不平等をなくそう
11)住み続けられるまちづくりを
12)つくる責任つかう責任
13)気候変動に具体的な対策を
14)海の豊かさを守ろう
15)陸の豊かさも守ろう
16)平和と公正をすべての人に
17)パートナーシップで目標を達成しよう

地球規模でのサステナブルに対する取り組みで、日本政府も2016年9月にSDGsの実施指針を定め、具体的な政策を進めることにしていますが、まだまだ日本企業の取り組みは進んでいない感じがします。

■新たな持続可能な経営と企業価値の創出に向け
CSR(企業の社会的責任)CSV(共通価値の創造)などが注目され企業価値が大きく変化している中で、世界的には中長期の投資価値の評価に非財務情報を重視する傾向が当たり前になっています。

つまりSDGsに沿った形でビジネスを展開することが、持続可能な企業経営に結び付くとともに、SDGsの目標達成に貢献し企業価値も高まるという新たなサイクルが出現しているのではないでしょうか。

サステナビリティをテーマにした国際シンポジウムは、昨年10月日経ホールで、ベネチア国際大学、早稲田大学、日本経済新聞、伊アルカンターラの共催で開催されましたが、日本企業でこの面で先行しているのが伊藤園の取り組みです。

同社常務執行役員CSR推進部長笹谷秀光氏を中心にまとめた、サステナビリティレポート2016「サステナビリティ新時代?世界課題に対応する伊藤園のCSR?」は一読するに値すると思います。

https://www.itoen.co.jp/files/user/pdf/csr/report/sustainability_report_all_2016.pdf

SDGsの目標を自社の企業活動に当てはめてみてください。何らかのつながりが見えてくるはずです。

日本中が2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた取り組みが中心になっていますが、世界の注目がこれまで以上に日本に集まる機会を活用、今こそ2020年以降に向けた世界基準での持続可能な企業経営に向けた取り組みを本格化する絶好の機会だと思います。

そして伊藤園の笹谷さんが提唱する「発信型三方良し」ではありませんが、SDGsへの取り組みそして成果をしっかりと世界に向けて情報発信するパブリック・リレーションズ(PR)力が日本企業に求められているのではないでしょうか。

投稿者 Inoue: 17:45

2017年06月12日

国税庁によるお酒の安売り規制強化がスタート
〜“町の酒屋さん”の救いになるか?

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

気象庁は先週(6/7)、四国、中国、近畿、東海、関東甲信地方が一斉に「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。関東甲信は、昨年より2日遅い梅雨入りだそうです。

昨年、関東以北は7月29日頃に梅雨明けしたようです。これから鬱陶しい日々が続きますが、体調管理などには十分ご留意ください。

■ビールが1割程度値上がり
国税庁によるお酒の安売り規制強化が6月1日から始まりましたね。これは昨年6月3日に公布された改正酒税法に基づいたもので、採算を度外視するような過度な安売り業者に対し、酒類販売免許の取り消しなど厳しい処分を規定しています。

これには大手スーパーやディスカウント店の安値攻勢で苦しむ“町の酒屋さん”を救う狙いもあるようです。

これまでの安売りの背景には、ビール各社がスーパーなど量販店に対して支払われてきた販売奨励金(リベート)があったようですが、小売り各社はこの奨励金などを原資に赤字覚悟でビールを「目玉商品」として安く売り、集客を図っていたとのことです。

アサヒビールが発表した5月のビール類(発泡酒と第3のビールを含む)販売数量は、前年同月比で16%増加。6月のお酒の安売り規制強化を控えた駆け込み需要により、大幅に伸びたようです。同様にサッポロビールの5月の販売数量も9%増加。

規制強化から1週間経過した段階では、スーパーや量販店では安売りの“目玉商品”としていたビール類が1割程度値上がりしたといいます。

流通業界に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は、消費者の節約志向は根強く駆け込み需要の反動減からのビール需要回復が遅れる可能性があると指摘しています。(6/8産経ニュース)

■多様化するノンアル飲料
これまで私のブログの中でノンアルコール(ノンアル)飲料について何度か触れてきました。昨年3月31日のブログでは、「ノンアル市場が大きく伸びたきっかけは、アサヒビールの『ドライゼロ』などが発売された2012年からといわれ、その後も着実に成長を続け、ビール飲料の出荷量が11年連続で減少しているのと対照的な結果・・・」と記しています。

ノンアル飲料は、もちろん「ビール」だけではありません。カクテルや清酒風味の商品も相次いで登場し、ノンアル飲料市場を広げているといいます。

サントリースピリッツの「のんある気分」には、レモンやグレープフルーツ、カシスオレンジなど9種類の定番商品があります。今年4月からは、青リンゴや白桃など果汁を使った期間限定商品も登場。いずれもカロリー・糖質が「ゼロ」で、女性を中心に人気だそうです。

また、サントリーは、昨年以降、仕事中のサラリーマンらが飲めるようにオフィス向けのノンアルビール専用自販機の設置を進め、需要の掘り起こしを図っているとのこと。

チョーヤ梅酒の「酔わないウメッシュ」は、和歌山産「南高梅」を使用。爽やかな香りを引き出した梅酒風味のノンアル飲料。月桂冠は2015年から、日本酒独特の奥深い香りや味を引き出したノンアルコールの「月桂冠NEWフリー」を販売しているようです。

ベビー用品チェーン「赤ちゃん本舗」は、多くの店舗で、妊娠や出産後の授乳期でアルコールを飲めない女性向けにノンアル飲料の販売コーナーを設けるといった異業種の動きもでてきているといいます。

こうしたノンアル飲料の新製品の登場や販路の多様化、異業種からの市場参入といった要因に加え、酒離れや健康志向の高まりを背景にノンアル市場は今後も伸長していくと見られています。

私の経営する会社(井之上パブリックリレーションズ)の新オフィスのテラスには、バーカウンターを設置し、仕事のあとのリラクゼーションでアルコールも提供していますが、このところノンアル飲料の人気が高まっているようです。

また車通勤していることもあり、日頃からノンアルビールにお世話になっています。ノンアル飲料の多様化は、私にとっても楽しみなことです。

投稿者 Inoue: 13:32

2017年06月01日

人工知能(AI)活用をブームで終わらせず実用化の加速を
〜「COMPUTEX Taipei」でも注目はAI

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

夏のような暑い日が続いていますが体調を崩したりしていませんでしょうか。
このまま夏になるとは思えませんが、春、夏、秋そして冬の日本の四季の移ろいにメリハリがなくなっているように感じます。

■天気予報の精度は格段に向上
6月1日は「気象記念日」だそうです。1875年(明治8年)6月1日、東京・赤坂に現在の気象庁の前身である日本初の気象台として東京気象台が設置され、東京で気象と地震の観測が開始されたことを記念する日です。

天気予報は私たちの身近な存在になっており、朝出かける前にテレビや新聞、オンラインの天気情報を確認して出かける方も多いのではないでしょうか。

最近の天気予報の精度は素晴らしいと思います。広域だけでなく局地的な天気の変化を的確に予想し、旅行やゴルフの準備に役立っています。

この背景には気象衛星、GPS機能、通信ネットワーク、インターネット網、画像解析、ビッグデータ解析そして最近は人工知能(AI)などの最先端技術を駆使したシステムが構築されているからだと思います。

■最先端技術展示会に見る世界のトレンド
最先端のIT技術に関しては5月30日から台湾でアジア最大級のITC関連展示会である「COMPUTEX Taipei 2017」(以下COMPUTEX)が6月3日まで、台北市にある台北貿易センター(TWTC)、台北国際会議センター(TICC)、台北南港国際展示場(TWTC Nangang)などで開催されています。

写真:オープニング・セレモニー(上)と賑わいを見せる会場(下)


COMPUTEXの出展社は1600社以上、出展小間数が約5000、来場者数が約13万人という規模で、「AI&ロボティクス」「IoTアプリケーション」「イノベーション&スタートアップ」「ビジネスソリューション」そして新設の「ゲーミング&VR」の5テーマをメインに最新の製品・サービスが展示されています。

今年から私が経営する会社(井之上パブリックリレーションズ)がCOMPUTEXの日本市場向けパブリック・リレーションズ(PR)業務を担当しており、弊社の担当者も会期中、日本から取材に現地に飛んでいるメディアの方々のサポートのために出張しています。

■多くのスタートアップ企業が出展
台北からの報告によると今年のCOMPUTEXの特徴は、AI、IoT(モノのインターネット)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などの最先端技術とそれに関連する多くのスタートアップ、ベンチャー企業の出展がみられ、主催者側は新しいビジネス創出に向けたビジネスマッチングが大きな目玉、と発表しています。

事実、出展社1610社のうちスタートアップ企業は272社(主催者発表)に上り、イノベーションとスタートアップにフォーカスした「InnoVEXエリア」は若きエンジニア、若き経営者そしてベンチャーキャピタル関係者などで大変な賑わいだったようです。

その姿は米国シリコンバレーを想起させ、COMPUTEXがアジア版シリコンバレーの起点になるのではと感じるような熱気に満ち溢れていたようです。

■AIの活用で新規ビジネス創出と社会課題の解決を
COMPUTEXでは、第3次AIブームと言われ私たちの身近なところでも実用化が進んでいるAI技術に関しては、IBM、マイクロソフト、Google、アマゾンなどから産業、医療、自動運転、農業など様々な分野での応用例と今後の取り組みが会場内で発表されていたとのこと。

AIの応用で面白いと思うのが農業分野ですね。すでにさまざまな取り組みが進んでいますが、私が思い描く日本の農業の近未来の姿としては、最新の気象情報データを解析し、その年の日照時間、気温の変化などを予測し最適な作物と収穫量を計画する。

そしてドローンによる土壌の解析と肥料の散布、自動運転トラクターによる耕作と収穫ロボットの活用、自動化された集荷、選別を経て最適な時期に世界に出荷する。

この一連の流れにより日本の農業の特徴である安全、安心の農産物が安定的に供給され世界規模で競争力を持つ、日本農業の「産業化」が実現するのではないでしょうか。

政府の成長戦略の中でも、農業の6次産業化が重要課題の1つになっていますが日本の農業の高度化にはAIをはじめとする最先端技術を早急に導入することと産業化が必要だと思います。

農業の産業化は今後予想される世界規模での人口増加、それにともなう食糧の安定確保の面からも重要だと思います。

パブリック・リレーションズ(PR)の仕事を通じ、スタートアップ、ベンチャー企業をはじめとする優れた技術を世界に向けて情報発信、そして企業規模を問わない最適なビジネスマッチングによる新しいビジネスの創出こそが、世界的が抱えるさまざまな社会的課題を解決する1つの方向性だと考えています。

投稿者 Inoue: 20:42

2017年05月22日

4月、訪日客単月で最多257万人、
〜爆買いから「コト消費」への傾向が顕著に

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

GWも終わり、一気に夏の到来を思わせるような暑さが続きますが、皆さん熱中症にはお気をつけください。

先日、「4月に日本を訪れた外国人観光客が単月としては過去最高となる257万人に上った」と、日本経済新聞(5/18夕刊)の一面で報じられていました。

■日本人には当たり前のことが観光資源に
「コト消費」の拡大やクルーズ船の寄港数の増加などが寄与し、前年同月比で23・9%増え、訪日客単月で過去最多の257万人を示したと同紙は伝えています。

国・地域別では、韓国が55万人と前年同月比で56・8%増えたほか、香港が20万人と64・6%の伸び。台湾など13の国・地域で訪日客数が過去最高を記録したといいます。

昨年は3月中だったイースター休暇が4月に移行し旅行客を押し上げたほか、大型クルーズ船や格安航空の利用が増えたのが要因だと報じています。

観光目的としては、中国人観光客の買い物「爆買い」中心だった従来の傾向から、「コト消費」へのシフトが観光客の増加をけん引しているようです。

「コト消費」とは体験を楽しむことを重視する消費を指します。具体的には遊園地や音楽ライブなどのレジャー、着物体験や農業体験などがあるようです。

例えばアジアの人々の人気を集めるのは雪。小説や映画でしか雪を知らず、あこがれを持つ人が多いようです。

日本の美容院も丁寧な接客が好評を得ているとのこと。イチゴ狩りやお花見などその人気の要因を探ってみると、日本人にとっては当たり前のことが思いがけなく観光資源にもなり得ることに気づきます。

■「次世代インバウンド」への対応
財務省の国際収支統計によると、外国人が日本で使うお金を示す1?3月の旅行収支の受け取り分は8874億円。四半期ベースでは最高を更新しているとのこと。

中国人の爆買い縮小で1人当たりの消費単価は低下傾向にあるものの、観光客数の拡大で消費総額は伸びているようです。

観光庁によると、2016年の訪日外国人旅行者の総消費額は15年比7・8%増の3兆7476億円と過去最高だったものの、1人当たり旅行支出は15万5896円と同11・5%減ったといいます。

中国人客らが家電などを大量購入する「爆買い」は、国境を越えたインターネット通販の発達などで沈静化した影響とみられています。

政府はこのように経済波及効果が大きい観光の振興を成長戦略と位置づけ、東京五輪が開かれる20年の訪日外国人客数を現在の約7割増の4千万人、30年には6千万人を目指しています。

しかし、観光大国への道のりはまだ遠いようです。世界最大の観光客数を誇るフランスは6600万人の人口に対して、1年間で約1・3倍にあたる8400万人が訪れるといいます。

日本では訪日外国人客は人口比で約2割にすぎず、世界順位も16年5月時点で16位にとどまっています。

訪問先も多様化しモノからコトへと変化する「次世代インバウンド」。人口減による経済の衰退が避けられない状況の中で、日本を「丸ごと観光資源化」するための更なる工夫と強化が求められています。

増え続ける訪日旅行者と多様化する国内訪問先との双方向性コミュニケーションがますます重要になってきます。こうした分野でも、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家への役割が期待されいます。

投稿者 Inoue: 10:48

2017年05月11日

Appleが時価総額で過去最高を更新
〜中国勢も躍進でAIなどに積極投資

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

長かったGWが終わりましたが、ギヤをビジネスモードに切り替えられない方も多いのではないでしょうか?

そんなGW明けの5月8日の日経平均株価が年初来高値を更新し1万9895円を記録しました。

その要因としてはフランス大統領選挙でマクロン氏が勝利し、市場で懸念されていた欧州の地政学的リスクがひとまず回避されたことに、先行きの円安期待も加わり機関投資家が日本株に対し買いを入れてきた、と分析するアナリストが多かったようです。

■iPhone発売10年の節目に記録更新
そんななか米国時間の5月8日にApple(アップル)の時価総額が、株式市場開始時点で7767億ドルと株式公開企業として過去最高記録を更新したとのニュースが飛び込んできました。

The Wall Street Journalによると、Appleの時価総額は2015年2月に記録した7747億ドルが最高だったそうですが、これを上回ったことになります。

2017年はAppleが「iPhone」を発売して10年目を迎えますが、それを記念して9月にも発売されると噂されている「iPhone 8」への期待をますます大きくする効果もありますね。

4月末の世界の時価総額ランキングを見てみますと、1位がAppleで7536億ドル(1位、カッコ内のランキングは前月)、2位がGoogleの持ち株会社であるAlphabetで6327億ドル(2位)、3位はMicrosoftで5285億ドル(3位)、4位はAmazon.comの4421億ドル(4位)で上位4社の順位に変動はありませんが、5位にFacebookが前月の6位からワンランクアップし4342億ドル、6位に7位からアップしたExxon Mobilで3385億ドル、7位には8位からアップのJohnson & Johnsonが3350億ドル、8位には5位からダウンのBerkshire Hathawayが3234億ドル、9位にはJPMorgan Chaseが3107億ドル(9位)とアメリカ勢がランクインしていますが、10位には中国のテンセント・ホールディング(Tencent Holding)が2969億ドルで前月の11位からランクアップしトップテン入りしています。

テンセントは日本では馴染みがあまりないかもせれませんが、モバイルチャットアプリ「WeChat」を運営、アクティブユーザー数は何と8億8900万人を超えているほか、電子商取引事業、ゲームなどを展開し急成長しています。

11位には12位からアップした中国のアリババ・グループ・ホールディング(Alibaba Group Holding)が2857億ドル、12位には14位からランクアップの韓国サムスン電子(Samsung Electronics)が2744億ドルで続いており、中国企業の躍進が目立ちます。

50位以内の中国企業を見ても、15位(16位)に中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China)2455億ドル、22位(20位)に香港のチャイナ・モバイル(China Mobile)2183億ドル、24位(26位)に中国建設銀行(China Construction Bank)2031億ドル、
28位(38位)中国銀行(Bank of China)1915億ドル、48位(48位)中国農業銀行(Agricultural Bank of China)1555億ドルと50位以内に中国・香港企業は7社がランクインしています。

■世界の時価総額ランキングで日本は唯一トヨタが44位
日本企業はと言えば、44位に前月からワンランクダウンしたトヨタ自動車が1642億ドルで唯一ランクインしているにとどまっています。

アジア勢の中でも中国企業の躍進が目立ちますが、時価総額の拡大を背景に注目の人工知能(AI)分野への取り組み強化にも動いています。

中国が国家戦略として注力している最先端、最重要分野の1つとして半導体などと並び人工知能を挙げていますが、それに呼応する形で前述のテンセントは、米国シアトルにAI研究所を開設することを表明、豊富な資金力をバックに優秀な人材確保に積極的に動いています。

AIは今後、さまざまな産業分野で大変革をもたらすと期待されていますが、これまでは欧米企業そして日本企業がリードしていました。しかし、国を挙げて中国が本気に乗り出した今、従来の勢力図がどうなるかは予断を許さない状況になっていると言えます。

私も4月に中国を訪問、テンセントやアリババグループ企業など、最先端を行く中国のインターネット企業や大学の関係者と話しをする機会を得ましたが、そのスピード感には圧倒され正直驚きました。

これまでもパブリック・リレーションズ(PR)を通じ欧米の最先端のビジネスモデルを展開する多くの企業と仕事を一緒にしましたが、投資判断、意思決定の速さはいままで経験したことのないスピード感でした。

日本はこれまでにも半導体などハイテク分野で、韓国や台湾企業の追い上げを受け結果的に地位を失ってきた痛い歴史を経験しています。

大きな可能性をもつAI分野などの最先端技術分野でも、同じ轍を踏まないように、日本企業、そして国の最先端技術開発に関する明確な戦略と人材を含めた投資戦略が世界的な視点で問われているのではないでしょうか。

パブリック・リレーションズは外部環境をいちはやく読みとり、戦略構築によって様々なステークホルダーとのリレーションシップ・マネジメントを通し最短で目標達成を実現する手法です。日本の大企業にはパブリック・リレーションズの一日も早い本格的導入が急がれています。

投稿者 Inoue: 10:13

2017年05月02日

歳時記
〜新茶シーズン到来!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

ゴールデン・ウイークの最中ですが、毎年この時期に連想させるものの一つに新茶がありますね。

「夏も近づく八十八夜?」ではじまるこの歌は、立春から数えて88日目に当たる八十八夜(今年は5月2日)に茶摘みをする光景を歌っています。

「走り新茶」や「大走り新茶」と呼ばれる新茶は、5月2日よりもずっと早い3月中旬に摘まれ、煎茶の市場ではプレミアム感が増すようです。

では、日本で一番早く新茶がとれるのはどこかご存知ですか? 

■新茶前線と桜前線
エキサイトニュースによると茶の樹は亜熱帯原産のため、世界的にみても赤道をはさんで北緯45度から南緯45度の間で栽培され、日本では桜前線と同じように日本列島の南の暖かい地域から北へ、新茶前線は駆け抜けていくとのことです。

意外かもしれませんが日本で一番早い走り新茶の産地は沖縄県北部の国頭村奥で生産される新茶だそうです。

沖縄以外にも走り新茶の産地としては、鹿児島県の種子島や屋久島のお茶も多く見かけます。ちなみに、日本で商業的にお茶の栽培をしている北限地域は日本海側で新潟県村上市(村上茶)、太平洋岸では宮城県石巻市(桃生茶)といわれています。

新茶初取引は4月11日の鹿児島を皮切りに、宮崎、静岡と続き、八十八夜のゴールデン・ウイークごろにかけてピークを迎えます。摘みたてのフレッシュな新茶が市場に出回り、店頭やオンライン販売でも購入できるようになります。新茶販売会やイベントなどが各地で行われるのも、この時期の楽しみの一つといえます。

熟成してまろやかになったお茶も美味しいですが、この時期だけの、ワインでいうところのボジョレー・ヌーヴォーに例えられる摘みたてのエネルギー溢れる新茶を味わってみてはいかがでしょうか。

■茶寿は108歳
先日(4月24日)の静岡新聞に「新茶初取引、史上最高値108万円」の見出しの記事が掲載されていました。

静岡茶市場で4月24日に行われた新茶初取引で、単価としては史上最高値の1キロ当たり108万円の商談が成立したという内容。富士宮市のJA富士宮茶業委員会が、わせ品種の「さえみどり」を手摘みし、手もみで仕上げて1キロ限定で出荷したものです。

初取引では例年、手もみ茶は出ず、機械でもんだ茶に「八十八夜」にかけて1キロ当たり8万8千円、8万8800円などの最高値をつけていたようです。
市内の生産者でつくるJA富士宮茶業委員会が、初取引に向けて昨年から準備を進め、108歳を表す「茶寿」にちなんで希望価格を108万円で上場したとのこと。

一方、機械でもんだ茶は、静岡市清水区の両河内茶業会の茶が1キロ当たり8万8800円で、38年連続で最高値がついたと報じられています。

古代中国の書物「神農本草」には、農業を司る神農が1日百草を噛んでみて72の毒に当たったけれど、茶を飲んで毒を消したという逸話が書かれているそうです。現在でも「ストレス」や「不眠」効果などさまざまな緑茶パワーが紹介されています。

江戸時代の代表的な俳人のひとり、小林一茶(1763-1828年)は、生涯で2万句も詠んだともいわていますが、お茶を詠んだ句も多く、150句ほどあるそうです。

その中の一つが、「新茶の香 真昼の眠気 転じたり」。
新茶の良い香りに昼間の眠気がすっきり目覚めてしまった、といった意味合いでしょうか。

日頃からパブリック・リレーションズ(PR)の業務で多忙な時間を過ごしている私たちにとって、新茶を一服する余裕が欲しいものですね。


投稿者 Inoue: 16:06

2017年04月22日

第3次AIブーム、私たちも脳を鍛えよう
〜注目される、岩手県大槌町から誕生した『じぃじとばぁば ようこそ数独!』

皆さんこんにちは井之上喬です。

東京は桜のピークが過ぎたかと思えば、一気に夏日になるなど相変わらず気候の変化が激しいですね。

慣れない新生活で体調を崩してはいませんか。その日の体調、気温などに柔軟に対応しGWを迎えたいものです。

最近、新聞、雑誌やテレビ、オンラインニュースでもAI(人工知能:Artificial Intelligence)を取り上げる機会が急激に増え、街なかの広告でもAIの文字を普通に目にするようになっていますが、今回は現在進行中の第3次AIブームについてお話ししたいと思います。

■AIとは?そしてどう付き合っていくか
これまでのAIブームを辿ってみますと、第1次AIブームが1950?60年代と言われパズルや簡単なゲームは解けたが実用性には程遠い状態でした。

続く1980年代の第2次AIブームは、専門家の知識をコンピュータにルールとして教え込み、問題解決するエキスパートシステムの研究が中心でした。私のAIとの出会いはちょうどこの時期80年初頭に米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所のシーモア・パパート博士と当時の教育用AI言語LOGOの開発に関わった時のことでした。しかしこの当時も応用範囲が限定されブームは徐々にしぼんでいきました。

そして2013年ごろから始まった第3次AIブームでは、先進的な「機械学習」の実用化が注目され、コンピュータに大量のデータを学習させ、人間のように音声や画像を認識したり最適な判断が可能となるなど技術進歩によりブームは本格的なものになっておりAIは一気に私たちの身近な存在となっています。

いまや機械学習は検索エンジン、医療診断、市場予測、音声認識や文字認識、ゲーム、ロボットなど幅広い分野に応用されています。さまざまなAIの専門書、解説書も出版されていますので興味のある方はGWに読んでみてはいかがでしょうか。

AIの進化を印象付けた出来事に、AIソフトが囲碁、将棋の世界トップクラスの棋士を次々に破っている現実があります。

そのようななかで羽生善治三冠(王位、王座、棋聖)の年頭の日経ビジネスの対談記事が印象に残っていますので紹介します。

「将棋の世界では、AIが新しい発想やアイデアのきっかけになるということがすでに起こっているんですよ。今、膨大な数のソフトが日々、対戦しているのですが、その中から創造的な作戦や戦法とかが生まれているんです」とのこと。

そしてAIと人間の関係については「人間がより賢くなるためにAIの力を使うことが出ればすごくいいなと。AIを脅威に感じている人も多くいるでしょうが、そう考えれば怖くなくなるかもしれませんね」と結んでいます。

将棋の世界ではAI世代ともいわれる若手棋士が活躍していますが、その一番手が史上最年少でプロになった藤井聡太四段でしょう。プロデビュー以来13連勝と記録更新していますが、ついに羽生さんとの対局が実現しますね(4月23日放映:Abema TV)。

■自分の脳の活性化を図ろう
人間の脳のメカニズムについては、いまだに解明されていない領域が圧倒的に多いと言われていますが、実際、私たちは人の脳が持つ能力の10%も使っていないと言われています。

いま脳を活性化する様々な取り組みがなされていますが、東北でのある興味深い活動をご紹介します。

これは日本数独協会( http://sudokujapan.com/ )と株式会社ニコリ、そしてNPO法人ソーシャルハーツ(川上 誠代表)の取り組みで、4月20日に高齢者の認知症一次予防および生涯学習を目的とした数独問題集である 『じぃじとばぁば ようこそ数独!』が株式会社ニコリから出版されました。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県大槌町で、高齢者の認知症一次予防および生涯学習に取り組むNPO法人ソーシャルハーツと数独協会、ニコリなど3者が連携し高齢者にも分かりやすい数独書籍が誕生したのです。

本書の売上の2%は、被災地の復興支援として岩手県大槌町に寄付されるとのことです。

また今後は、岩手県大槌町での取り組みをモデルケースとして、生涯学習への数独活用を全国各地へ展開したいとのこと、あわせて、2017年5月にも大槌町で「数独認定試験」を開催し全国各地へ展開することで、数独を通じた高齢者の生涯学習支援を進めていきたいとのプランを持っているようです。

パブリック・リレーションズ(PR)は日々新たな出会いの連続です、個人的にも脳の活性化を促進しAI時代の最新技術とこれまでの知見を駆使したPRコンサルテーションを行っていきたいと思っています。

投稿者 Inoue: 08:28

2017年04月14日

国内人口、2053年に1億人割れ(厚労省推計)
〜高齢化が進み「騎馬戦型」から「肩車型」に

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は10日、長期的な日本の人口を予測した「将来推計人口」を公表しました。

一人の女性が生む子供の数が今と変わらないとした場合、2053年に国内人口は1億人を割り、65年には15年比3割減の8,808万人になると予測しています。65歳以上の高齢者の人口は3,387万人から50年後に3,381万人とほぼ横ばいですが、全人口に占める割合は26.6%から38.4%に高まり、人口の5人に2人が高齢者となります。

■全国で15万床以上の入院ベッドを削減
現在の日本は20歳から64歳までの人たちが2.1人で一人の高齢者を支えており、「騎馬戦型」の社会といわれています。少子高齢化の進展で、65年には1.2人で高齢者一人を支える「肩車型」になるといいます。

一方で2025年の医療の提供体制を示す「地域医療構想」が各都道府県でまとまり公表されました。4月2日(日)の朝日新聞(朝刊)1面トップ記事として紹介されましたので、多くの方が注目されたかと思います。

「地域医療構想」では全国で計15万床以上の入院ベッドを減らす計画が示されました。医療費負担を減らすため入院患者を在宅医療に移す流れを受けたものですが、全国で1割以上の削減が必要だとしています。

また、団塊の世代がすべて75歳以上になって高齢化がピークを迎える25年時点で必要となる入院ベッド数が示されています。その結果を集計すると、計約119万床となったとのこと。13年に出された予測値、約135万床に比べ15万6千床余り少ない結果となっています。

これまでも、このブログで「2025年問題」について触れてきましたが、人口に占める75歳以上の割合は15年の12.8%から25年には18.1%と急増し、2,179万人になると推計されています。

政府にとって入院ベッドを削減せざるを得ない背景として、年間40兆円を超える国民医療費のうち4割を占める入院費を減らすことは大きな課題となっているとしています。政府は18年度の診療報酬改定でも入院患者を在宅医療に移す流れを促していく方針とのこと。

こうした一連の流れが「医療難民」、「介護難民」といった言葉を生み出し、国民生活に暗い影を落しています。

■「姥捨て山」とならないために?
先日(4/12)、医師で老年学分野の第一人者でもある高齢社会街づくり研究所代表を務める岩尾聡士教授が日本記者クラブの催す「チェンジ・メーカーズに聞く」の講師として招かれました。岩尾教授が提唱する「IWAOモデル」については、このブログでも何度か紹介してきました。

この講演で岩尾教授は、「日本は世界に類を見ない超高齢社会を迎えようとしている。こうした中で、医療・介護の効率化と質的向上を目的に地域レベルで介護と医療をシームレスに統合する「IWAOモデル」は、有効なソリューションとなる」と熱く語っています。

その際の映像がYouTubeにアップされ、日本記者クラブのHPトップページから視聴することができます。

日本社会が抱える超高齢化社会の問題点について、どのような対応が求められているのか、そして「IWAOモデル」が、何故有効なソリューションとなりうるのかなど、岩尾教授の生のプレゼンテーションを視聴いただき、是非、皆さんと情報共有ができればと思います。


https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/34812/report
?

確実に訪れる超高齢化社会は、「姥捨て山」となるのか?このような近未来予測を日本社会における危機管理のイッシューマネジメントとして捉え、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家は、それぞれの視点からこの問題に対するソリューションを真剣に考えていくべき時を迎えています。

【追記】
岩尾教授は大学時代、アマチュアボクサーとしてバルセロナ・オリンピックを目指していたそうです。選手としてオリンピックには行けなかったのですが、先日、大阪で開かれた日本アマチュアボクシング連盟の医事委員会で東京オリンピックのドクターに選任され、医師として参加することになり、大変喜んでいるとのことです。

投稿者 Inoue: 18:08

2017年04月04日

新年度スタート
〜今年の新入社員は「キャラクター捕獲ゲーム型」

皆さんこんにちは井之上 喬です。

井之上パブリックリレーションズ本社近くにある新宿御苑の桜が見ごろになってきました。
4月に入り大型バスで多くの海外からの観光客が苑内に入る姿を見ることが多くなりました。

是非、日本の自然や文化の素晴らしさに触れて、良い思い出をもってもらいたいものです。

■新入社員の特徴にみる時代の流れ
4月1日は日本では新年度の始まり。節目の時になっています。
希望に満ちた新入社員、新入学生の姿を街のあちこちで見られるのは嬉しいものです。

この時期の恒例になっていますが公益財団法人日本生産性本部が平成 29 年度の新入社員の特徴を発表しました。今年の新入社員のタイプは「キャラクター捕獲ゲーム型」だそうです。昨年大ヒットした任天堂のゲーム「ポケモンGO」型ということになるのでしょうか。

プレスリリースの解説を紹介しますと「キャラクター(就職先)は数多くあり、比較的容易に捕獲(内定)出来たようだ。一方で、レアキャラ(優良企業)を捕まえるのはやはり難しい。すばやく(採用活動の前倒し)捕獲するためにはネット・SNS を駆使して 情報収集し、スマホを片手に東奔西走しなければならない。」としています。

そして、「必死になりすぎてうっかり危険地帯(ブラック企業)に入らぬように注意が必要だ。はじめは熱中して取り組むが、飽きやすい傾向も(早期離職)。モチベー ションを維持するためにも新しいイベントを準備して、飽きさせぬような注意が必要(やりがい、目標の提供)」とのこと。

昨今の若者気質をうまくとらえるとともに、世相をわかりやすく反映していますね。

日本生産性本部の発表を続けて紹介すると、「コンピュータゲームといえばインドアのものだが、昨夏はスマホ片手に外に出て歩き回るゲー ムが大流行した。採用が増え、氷河期から売り手市場へと変化しても、就職活動は学生にとって 大きな負担だ。リクルートスーツを着てスマホで情報収集しながら説明会から説明会へ、インターンシップからインターンシップへと歩き回る姿は、このゲームに熱中した人々の姿を思い起こさせる」とあり、なるほどと思わせました。

また「レアキャラ(優良企業)を探し求める情報収集能力と、どこへでも出向くフットワークのよさを是非仕事でも発揮してほしい。」とアクティブさが期待されています。

そして、「ただし、このゲームは電池や通信量がかさむのでやりすぎに は注意が必要だ(ワークライフバランス)。世界中で取り組まれたこのゲームのように、ボーダー レスに世界を股にかけて活躍して欲しい」とグローバル人材への期待がにじみ出たものになっています。

この調査をまとめた方も相当ポケモンGOをやりこんでいるのではと推察されました。

■パブリック・リレーションズの視点がより重要に
この調査は昭和48年に開始されていますがその年の新入社員は「パンダ型」(おとなしくかわいいが、人になつかず世話が大変)だったそうです。(平成14年までは現代コミュニケーション・センターが命名・発表)

その後の特徴をいくつか拾ってみますと、「ムーミン型」「たいやきクン型」「テレフォンカード型」「バーコード型」「四コママンガ型」「形態安定シャツ型」「ブログ型」「ETC型」と続き、最近は「ロボット掃除機型」「自動ブレーキ型」「消せるボールペン型」そして昨年の「ドローン型」と続いています。

各年の新入社員の特徴に関するコメントが絶妙なので是非、ホームページにアクセスしてみてはいかがでしょうか。http://www.jpc-net.jp/

井之上パブリックリレーションズも4月から日本を含む3か国から新しい社員を迎えます。トランプ大統領の登場、英国のEU離脱など、世界はハイパー化したグロ―バリゼーション時代を迎え混とんとしています。

このような時代にこそ、『倫理観』に支えられた『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションシップ・マネジメントを実践する、パブリック・リレーションズが不可欠だと確信しています。

新入社員の皆さんには、グローバルなパブリック・リレーションズの視点をもって皆さんが持つ能力を存分に発揮してもらいたいと思っています。

投稿者 Inoue: 10:51

2017年03月22日

海外が注目する日本の桜前線
〜桜はリレーションシップ・マネジメントのキーワード

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

昨日(3/21)、靖国神社(東京・千代田)の標本木(ソメイヨシノ)で5輪以上の開花が確認され、気象庁から開花宣言がでました。これは平年より5日早く、昨年と同日だったとのこと。また、約1週間後に満開になる見込みとのことです。

私の経営する会社(株式会社井之上パブリックリレーションズ)では、新宿御苑に近接していることもあって御苑でのお花見は恒例行事化していて、社員の楽しみにもなっています。

昨年のお花見は3月31日に催し、丁度、満開時と重なり春爛漫の風情を満喫できました。今年の予定は4月7日。ソメイヨシノの見頃から外れるものの、園内には約65種1100本の桜が植栽され、2月のカンザクラから4月下旬のカスミザクラまで、長い期間にわたって桜を愛でることができます。

今年も首相主催で、皇族や各国駐日大使、衆参両院議長、特別招待者ら約1万人を招待する「桜を見る会」は新宿御苑で4月15日に開催されます。長い期間にわたって桜を愛でることができる新宿御苑ならではのイベントともいえますね。

■対象は「今、日本に興味がある外国人」
皆さんは、japan-guide.comを閲覧したことがありますでしょうか。日本の旅行情報や生活、文化情報を集約した世界No.1の訪日外国人向け日本情報ポータルサイトといわれ、毎月およそ160万人のユーザーが訪れるそうです。

実際、数カ月以内に訪日旅行を予定している外国人の方をはじめ、日本に興味があり、まだ予定はないがいつか日本を訪れたいと考える外国人などが主な閲覧者だとのこと。

また文化面に関しても、日本の伝統芸能からポップカルチャーまで網羅しているため日本文化に興味のある学生も集っているといいます。「今、日本に興味がある外国人」が集まる総合日本情報サイトといっても過言ではないようです。

なかでもjapan-guide.comの名物企画は「桜リポート(Cherry Blossom Reports)」で2009年にスタートし、今年で9シーズン目を迎えます。

「この桜リポート」は、このサイトを運営するエクスポート・ジャパン株式会社(本社:大阪市中央区)の複数社員が同時に全国各地でさくら情報を取材し、毎日リポートをアップデートしているとのこと。その情報量はかなりのもので、外国から日本のお花見を楽しみにやってくる観光客のために、最新の生情報を伝えることを最大の使命としているようです。

今や、「桜」人気は世界に拡がっています。海外旅行などでタイミングが合えば外国でお花見を楽しむのも一興かと思い、世界の桜名所5選を紹介しましょう。

■日本から世界へ! 海外の桜の名所5選
先ずは、皆さん良くご存知のワシントンDCポトマック川の入江「タイダルベイスン」の桜並木で、日米友好の証として知られています。20日には、毎年恒例の「全米桜祭り」もはじまり、期間中には100万人を超える人出も予想されているようです。

カナダの桜といえばバンクーバーが有名ですが、トロントのハイパークにも見事な桜並木があるようです。桜の時期には日本の花見と同じように、地元市民の方々が桜の下でピクニックを楽しむ光景がそこかしこで見られるとのこと。

スゥエーデンでストックホルム市民の憩いの場となっているのが「王立公園」。冬場に大人気の園内のスケート場の氷が溶けると、次のお楽しみは日本から送られた桜観賞のようです。王立公園はとても小さな公園ですが、スウェーデン王立オペラも近く、周囲にはカフェや桜の木や噴水や彫刻などが並び花見客を誘っているとのこと。

アジア地域では先ず、阿里山(台湾、嘉義県)。阿里山は、台湾の中部エリアにある石水山、尖山、大塔山、小塔山など18の山々から成る国定公園。台湾山桜のほかに、ソメイヨシノやチシマザクラ、オオシマザクラなど、さまざまな品種の桜の彩が魅力だとのこと。

そして最後に紹介する桜の名所が、汝矣島公園(韓国、ソウル)。ソウルの中心地にある汝矣島公園には、約2キロに渡って1600本の桜が並びます。4月上旬に開催される桜祭りは、ショーやパフォーマンスなどが盛大に催され、600万人以上の花見客が訪れる一大イベントとなっているとのこと。

このようにグローバルな広がりを持ち、人気も高い「桜」は、日本と世界の国々や都市を繋ぐリレーションシップ・マネジメントのキーワードの一つとして、重要な役割を担っているようです。

ところで西日本では知られていますが、積善山(せきぜんざん)三千本桜で有名な愛媛県上島町岩城島「いわぎ桜まつり」が4月2日?9日で開催されます。3千本を超える桜並木がふもとから山頂まで天女の羽衣のように続き、さまざまな桜は山頂への山道沿いで人々を楽しませてくれます。

岩城の桜は東日本の人にはほとんど馴染みがありませんが、亡き母の郷里弓削島から2つ隣の島で、島全体に1万数千本の桜があるといわれています。今年は時間を作って岩城島の桜を楽しみたいと思います。

投稿者 Inoue: 20:59

2017年03月03日

歳時記
〜雛人形の市場規模は514億円

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日(3月3日)は「ひな祭り」。広辞苑によるとひなまつり(雛祭り・雛祭)は、「3月3日の上巳(じょうし)の節句に、女児のある家で雛壇を設けて雛を飾り、調度品を具え、菱餅、白酒、桃の花などを供える祭り」と紹介されています。

上巳の節句とは中国から伝わった五節句の一つで、三月上旬の巳の日に、草や藁で作った人形(ひとがた)で自分の体を撫でて穢れを移し、それを川に流すことで厄払いや邪気祓いを行う風習がありました。

江戸時代になると人形作りの技術が向上したことで、川に流すのではなく家で飾るように変化し、これが現在のひな祭りの由来となったといわれています。

今回のブログでは、簡単に雛人形の変遷や種類、そして市場規模などを紹介します。

■京雛と関東雛の違いは?
前述したように雛人形は紙や草、藁で作った人形(ひとがた)から始まり、江戸時代には、家で飾る現在のタイプのひな人形へと移っていきます。

江戸時代の初期のタイプは、「立ち雛」が主流だったとのこと。また、古くから飾る人形タイプは高価なため、公家や武家など富裕層だけのもので、庶民は流し雛やつるし雛というタイプだったようです。

京都で作られる雛人形を京雛といい、関東で作られる雛人形を関東雛といいます。主な違いは以下の点です。

京雛は、1)目はやや細め、2)京頭といわれる独特のおっとりした顔立ち、3)向かって右側にお殿様が座っている。一方、関東雛は、1)顔ははっきりした目鼻立ち、2)向かって左にお殿様が座っているといった違いが見られます。

京雛では向かって右がお殿様、関東雛では向かって左がお殿様です。京雛の位置は、御所における玉座の位置に基づいているといわれます。

関東雛は、向かって左にお殿さまがお座りになっていますが、これには大正天皇が関係しているようです。大正天皇が即位の礼で、洋装の天皇陛下が西洋スタイルで皇后陛下の右に立たれた事からこの風習が広まったとされています。

雛人形は、1月10日頃から飾り始めて3月3日が済んで、気候がよい日にしまうのが良いとされています。3月3日を過ぎても雛人形を片付けないと、嫁にいき遅れるなどは根拠のないいい伝えのようですね。

■雛人形の平均価格は約14万円
伝統文化の啓蒙と振興のために活動している日本人形協会の調査(2016/3/3)では、2012年に誕生した女児は、約50.5万人。2013年は、2.6%減の約49.2万人で、そのうち長女の割合は70%程で家庭での雛人形購入意欲は90%あったと報告されています。

この「節句と節句人形に関する意識調査」では節句人形の購入経験があり、かつ0?5歳の子供を持つ20?40代の既婚女性500名を対象にしたものでした。

雛人形の平均価格は約14万円。雛人形に加えて、贈答ケースなど周辺を含めると市場規模は514億円程度と推計されているようです。

私たち日本人は、四季折々の節句を通じて、家族や祖父母、親戚の人たちが集う中で人と人との絆、つまりパブリック・リレーションズ(PR)の根幹ともいえる人との繋がりをハイコンテクスト型の環境の中で無意識のうちに築いてきました。

こうした日本の伝統文化を次代に伝えていくことの大切さをパブリック・リレーションズの視点からも改めて感じた一日でした。

投稿者 Inoue: 18:31

2017年02月22日

五七五の川柳に見る世相
〜SNS時代のクールな日本文化として定着

皆さんこんにちは井之上 喬です。

気温30度のキューバに訪問中の先週、東京では春一番を記録したようですが、カレンダー上でも来週から3月、春はもう目の前ですね。

■第30回の「サラリーマン川柳」
この時期恒例のイベントとして第一生命保険が主催する「第一生命のサラリーマン川柳コンクール」の発表があります。
第30回の節目の年になる今年は、2月13日に全国のサラリーマン・OL・主婦など幅広い層から、2016年9月?11月に応募のあった作品の中から選ばれた全国優秀100作品が発表になりました。

今年で30回目を迎えるこのサラリーマン川柳コンクールは、社内広報誌がきっかけだそうです。赤裸々な本音で詠まれた川柳が多く寄せられたことから、1987年から広く作品の募集を開始、これまでに実に延べ110万句以上の作品が寄せられたとのこと。

今回は第10回(1996年)以来20年ぶりに応募数が5万句を突破する5万5,067句(前年39,551句)が寄せられたそうですが、世相を反映してか今年は、「職場」や「上司・部下」にまつわる句が多く、その中でも「働き方改革」に象徴される働き方の変化を描いた句が目立っているようです。

「ノー残業」「効率化」といったキーワードを切り口に、サラリーマンの悲哀を表現したもの、また、働く女性が増えるなか、女性応募者による働き方にまつわる句の入選も目立ったようです。

入選作品100句は同社ホームページ上で発表されていますので是非ご覧ください。
http://event.dai-ichi-life.co.jp/company/senryu/

また2月13日?3月17日、全国傑作100選の中から今年のサラリーマン川柳ベスト10を決める投票も受け付けており、投票結果は5月下旬に発表予定とのことですが楽しみにしたいですね。

■こちらも20回目の「ものづくり川柳大賞」
一般化した川柳はさまざまなコンテストも行われていますが、1月に発表された日本能率協会コンサルティング(JMAC)の「2017ものづくり川柳大賞」を紹介します。こちらのコンテストも今回が20回の記念の年だったとのことです。
http://www.jmac.co.jp/news/news/info20170116.html

今回の応募総数は786句で大賞は国立印刷局王子工場山下泰央さんの「不具合を 見つけたその眼 神ってる!」だそうです。ほかにも優秀賞には、サントリービール京都ビール工場浜田寛さんの「金めざし ボルトばかりを 磨いてる」と、デンソー幸田製作所鶴賀敏昌さんの「設備保安 このひと手間が I LOVE 油」の2句が。このほか北海道石油共同備蓄北海道事務所福井敏雄さんの「肉厚を 測る対象 今や腹」が特別賞に、旭化成川崎製造所平賀縁さんの「古い機器 かすれた表示に 君の名は…?」が審査員賞に選ばれています。

そもそも江戸時代に始まった川柳とは、俳句と同じ五七五の音数律を持ちますが、俳句にみられる季語や切れの約束がなく、字余りや自由律や駄洒落も見られるなど、規律に囚われない、そして短文ながら急所をはずさない言葉遊びの要素も少なくないのが特徴となっています。

Wikipediaによれば、「サラリーマン川柳」からブームとなった一般公募による川柳は、投稿者も若年世代から老人まで幅広く、一流の川柳家を選者とした公募川柳作品では、単なる「語呂合わせ川柳」と呼ばれる域を越えて、新しい表現分野になりつつあるとし、またこれらは作者の個人名とは離れたペンネームを始めとする無名性の高い作風であり、この背景にあるのは、「大衆」の〈共感〉が作品評価のベースになっていることである、としています。

短い文章の中に言いたいことを的確に盛り込み、情報発信する。まさにSNS時代のクールな新しい日本文化として俳句や自由度がより高い川柳は今後ますます盛んになることが考えられますが、こうした動向がパブリック・リレーションズ(PR)を行う上でのストーリーテリングにどのような影響があるのか興味深いところです。

投稿者 Inoue: 12:43

2017年02月10日

米国で細る日本語教育
〜日本語学習者数の世界上位3か国でも大幅な減少

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

安倍首相は昨夜、トランプ米大統領との首脳会談のため政府専用機で米国に向けて出発しました。現地時間10日午後(日本時間11日未明)にワシントンのホワイトハウスで初の首脳会談に臨みます。

会談後、両首脳はトランプ氏の別荘のあるフロリダ州パームビーチに移動し、ゴルフや食事をともにする予定とのこと。ほぼ2日間にわたり長い時間で関係を深めるといった異例な歓待ぶりです。

先月20日の就任後、次々と大統領令に署名するトランプ大統領。その一つ一つが世界に大きな波紋を起こしています。

その一つとして、イスラム圏7か国から米国入国を制限する大統領令を認めないとした米控訴栽の決定を国内各紙夕刊(2/10)が大きく一面で報道しています。また、この打撃を回復するためトランプ政権は、法廷闘争を続ける構えで、連邦最高裁まで持ち込まれる可能性が高まっているとしています。

こうした背景の中で催される日米首脳会談のなり行きが大いに注目されます。

■日本語教育の衰退は日米関係の弱体化を招く
米国で細る日本語教育について関係者の間で危機感が高まっているといいます(日本経済新聞ワシントン支局吉野直也記者)。

5年前、10年前と比べて日本語の学習者が減少、地区によっては日本語プログラムを廃止する動きがあるようです。今まで草の根から日米同盟を支えてきた日本語教育の衰退は両国関係の弱体化につながりかねない出来事。

前記の日経吉野記者が先月下旬、全米日本語教師会の支部に当たる中部大西洋岸日本語教師会や関係者に、米国での日本語教育の現状についてアンケート取材をしたそうです。

このアンケート取材は、小学校から大学まで日本語教育に携わっている人を対象に実施したもので、5年前や10年前と比べて日本語の学習者がおよそ40%減となっているとのことです。

アンケートではその要因として日本語は中国語などほかの外国語プログラムと競争しており、日本語を勉強する将来的な利点をうまく説明できないこと。また、日本語を教える先生の深刻な不足という構造的な問題や労働資格である査証(ビザ)取得の問題もあるようです。

米国で日本語を学んだ生徒は日本のよき理解者になる。将来にわたって安定した日米関係を築くには、こうした日本語教育の衰退に歯止めをかけたいものです。

日米首脳会談を控え、安倍首相の指導力による状況改善に期待する声も多いといいます。

■教育課程の改定などが要因
国際交流基金は、海外における日本語教育機関の状況を把握するために、3年に1度「海外日本語教育機関調査」を実施しています。

その調査によると教育機関で日本語を学ぶ学習者数が、世界上位3か国(2012年度調査で全世界の学習者数の約7割)の韓国、インドネシア、中国において前回調査と比較して大幅な減少が見られたとしています。その主な要因は次のように分析されているようです。

まず韓国においては、韓国全体の日本語学習者のうち約8割を占める中等教育の教育課程改定(2011年)により第二外国語が必修科目から外され、中等教育における学習者が大きく滅少したことと、少子化の影響もあり約28万人もが減ったといわれます。

インドネシアでは、高等教育では日本への文化的な関心などから日本語を履修する学生が増加し、前回比25%以上の学習者数の増加があったといいます。

しかし、中等教育においては2013年の教育課程の改定により、第二外国語が選択科目になり、インドネシアにおける日本語学習者の大半を占める中等教育において約16%の減少がみられ、全体として約13万人の学習者が減少したといわれています。

中国では、2001年に「全日制義務教育英語課程標準」(目本の学習指導要領に相当)が制定されて以降、全国的に広く初等教育における英語導入・強化が進み、中等教育においても外国語科目として英語を選択する機関が増加したとのこと。

この影響は高等教育にも及んでおり、今回の調査においても、英語科目の重視が日本語科日の運営に影響を及ぼしていると回答する機関が多かったようです。こうした英語志向の高まりを背景に日本語専攻の学科・学生数が減り、全体として学習者数が約9万人減少したとのこと。

このように世界的に日本語教育の衰退が認められますが、日本語を学ぶことは日本文化を理解することにも繋がります。

こうした現象に歯止めをかけ日本の国際的プレゼンスを回復していくためにもパブリック・リレーションズ(PR)の機能を有効活用すべきと考えます。

投稿者 Inoue: 19:06

2017年02月01日

「beyond 2020」のロゴマーク決定
〜2020年以降を見据えた日本文化の情報発信プログラムに注目

皆さんこんにちは井之上 喬です。

2月4日は暦の上では立春ですが、この時期は1年でも最も寒さが厳しい時期。まだまだインフルエンザも下火になってはいないようです。体調には十分気を付けたいものですね。

■期待高まる東京オリンピック・パラリンピック
1月29日に競泳の男子200メートル平泳ぎで早稲田大学の渡辺一平選手(19歳)が世界記録を樹立したのには驚きました。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を前に、大いに期待できる若手選手が登場しましたね。学生時代に水泳でオリンピックを目指していた私としては、自分のことのようにうれしいニュースでした。

東京オリンピック・パラリンピックに向けて準備はいよいよ本格化することでしょうが、この大会の成功を心から祈りたいと思います。

1月27日には「beyond 2020」のロゴマークが決定しました。このプログラムは、2020年の東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、和食や祭りなどの日本文化を世界に発信しようというもの。政府が認証した事業や活動に今回決定したロゴマークが付与されることになります。

ロゴマークは政府が芸術系の大学生から公募していたもので、寄せられた39の作品の中から、横浜美術大学3年生の菅原みこさんの作品が選ばれた、と発表されました。

beyond 2020

横浜美術大学ホームページより

  
ロゴマークは朱色を使い、「いいね」を意味する親指を立てたジェスチャーや、beyond 2020の頭文字の「b」などをイメージしているそうです。

報道によると発表式に出席した丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当大臣は「東京大会を文化でも盛り上げていく。日本全国でマークが見られるような展開をしていきたい」と期待を述べていたとのこと。

認証を行う組織(認証組織)は、内閣官房オリパラ事務局ですが今後は都道府県、政令市、商工会議所などにも拡大していくとしています。

事務局ではさまざまな日本文化を世界に発信する事業や活動の受け付けを始めていて、すでに20件ぐらいの申請があるとのこと。

■日本の魅力を国内外へ
beyond 2020プログラムの先行事例としては、大相撲beyond 2020場所(内閣官房)、東北六魂祭パレード(東京都ほか)などがあります。

大相撲beyond 2020場所では両国国技館の枡席を外国人客で埋め尽くし、外国語対応が可能な和装スタッフによる対応、英語での解説などを通じ多様性に応じた導線の在り方、案内の仕方などの運営データを整備するとともに日本文化や大相撲の魅力を国内外に発信するとのことです。

今は東京オリンピック・パラリンピックの開催だけがクローズアップされていますが、多くの人が危惧していることはオリンピック後の不況の到来です。

オリンピック特需で活性化した経済が祭りの終焉と共に萎え、不況に襲われることを誰もが心配する中、beyond 2020プログラムはオリンピックのモメンタムを持続させるために実によく考えられたプランだと思います。2020年以降を見据えたこの文化プログラムに注目したいと思っています。

今まさに春節休暇中の中国からの観光客も、これまでのショッピング目的から日本の文化、芸術、食文化などを体験するために訪れる観光客も急速に増えているようです。

日本には全国各地にそれぞれの素晴らしい多様性に富んだ文化がありますが、まだまだ国内外への情報発信は不十分だと感じています。

2020年以降を見据えた日本文化の情報発信の中心に、パブリック・リレーションズ(PR)をしっかりと機能させたいと思っています。

投稿者 Inoue: 18:45

2017年01月21日

中国「10大経済ホットワード」(2016年)
〜2016年の第1位は「供給側」(サプライサイド)

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

日本時間の20日明けた深夜、トランプ新大統領の就任式をテレビで観ました。式典会場の外では、人権・女性団体など100もの反トランプの異例ともいえる抗議デモが行われる中で新大統領の就任式は催行され、不安な船出を感じさせてくれました。

彼の就任演説は、「アメリカ第一」を掲げる内向きで、ラストベルトの白人労働者へのメッセージ性が強く感じられ、超大国の指導者が持つべき世界観で多様な視点を持つパブリック・リレーションズ(PR)的なアプローチが認められませんでした。

米メディアは、トランプ氏の大統領就任直前の好感度が歴代大統領の中で最低だったとする世論調査結果をそれぞれ発表しています。

CNNテレビは「好ましい」が40%、「好ましくない」が52%。トランプ氏はツイッターで「数字は以前と同様に不正操作されている」と投稿し、選挙前の支持率調査と同様にフェイクニュースだと訴えています。

1月20日は奇しくもジョン・F・ケネディ氏(1917年5月29日 - 1963年11月22日))が76%超の支持を得て第35代米大統領に就任した日とも重なりました(1961年)。

トランプ新大統領の低迷する支持率が、今後どのように推移していくか注目していきたいと思っています。

さて今回のブログでは、一方の大国となる中国の「10大経済ホットワード」を紹介します。

■私たちの知らない中国が垣間見られる
昨年1月、私のブログで知人の徐静波さんが発行兼編集人を務める『中国経済新聞』(アジア通信社)の新年号(1/15発行)に中国「10大経済ホットワード」(2015年)が掲載され、皆さんに紹介しました。
私たちは、年末恒例の「日本の10大ニュース」や「世界の10大ニュース」に触れる機会は多いのですが、中国に限定されたこの種の情報は少なく、このブログを通して私たちの隣国である中国を少しでも知って欲しいとの想いから、今回も昨年に続き中国「10大経済ホットワード」(2016年)をお届けします。

第1位は「供給側」(サプライサイド)でした。このホットワードの背景を辿ると、2015年11月に開催された中央財経指導グループ第11会議において「供給側の構造改革」を強化する方針が打ち出されたことによるようです。

供給側の構造改革の推進は、経済発展の「新常態(ニューノーマル)」に適応し、それをリードする重大な革新であり、中国が経済発展を遂げていく上で必然的な条件ともなると伝えています。

第2位は、工匠(職人)精神。これは、工芸職人がその「ものづくり」に対し、精緻さや細やかさを究極まで追求する理念を指し、製造の全プロセスと製品の細部に至るまでこだわり、完壁を自指す精神を指す製造業界におけるホットワードとなりました。

第3位は、小目標(小さな目標)。万達集団の王健林董事長がテレビ番組の取材を受けた際に「大金持ちになりたいという考えを持つことは正しい。だが、まずは一つの達成可能な『小さな目標』を持つことが必要だ」と語ったのが始まりとのこと。

この発言に深く感銘をうけたネットユーザたちはこの動画をネット上に転載。しかし、本来の意味とは真逆な「一般人では到底達成不可能な『大きな目標』といった意昧を持つようになっていったといいます。

第4位は、洪荒之力(究極のパワー)。リオ五輪において、競泳女子100メートル背泳ぎ決勝に進出した女子選手の言葉。第5位は、吃瓜群衆(野次馬)。自身では情報発信せずに、もっぱら野次馬見物するネットユーザを指すようです。

第6位以降には、友誼的小船・説翻就翻、葛優癱(葛優座り)、套路(人を陥れる計略。)などが続きました。

これらのホットワードの多くはネットを通して拡がり、そのプロセスで本来の意味とは異なった解釈が生まれているようです。
■「君の名は。」が中国で最高の興収を記録
新海誠さんの作品『君の名は。』が、興行収入232.3億円を突破(1月15日現在)。歴代興収第3位の「アナと雪の女王」(ディズニー配給)の254億8000万円に早くも迫る勢いを見せています。

中国の映画市場においても「君の名は。」は、「STANDBYMEドラえもん」を上回り、日本映画の興行収入の最高記録を樹立したようです。また、こうした実績の波紋は、中国の映画業界において日本映画が「韓流」に取って代わり、薪たなブームを巻き起こす可能性を高めているとのことです。

大ヒットの要因について「中国の若者にとってこの作品が、美しい春の日のようだった子供のころを思い出させるからかも知れない。また、中国で日々人気を高めているサブカルチャーともうまく融合した結果ではないか」と映画評論家がコメントしているとのこと。

だからといって、日本のアニメーション映画なら、何でも中国で大ヒットするというわけではないようです。中国で昨年公開された日本映画11本のうち、9本がアニメーション映画だったものの、興行収入が2000万ドル(約23億4000万円)を超えたのはわずか3本だったといわれています。

「君の名は。」の両国における大ヒットの背景には、日・中の若者に共通する価値観や感性を感じます。

パブリック・リレーションズ(PR)のコアとなるリレーションシップ・マネジメントの実現にはこうしたジャパン・ポップカルチャーが大きな役割を果たすであろうことを改めて感じさせてくれました。

投稿者 Inoue: 12:33

2017年01月12日

恒例の年頭「CES 2017」報告
〜変化に対応し成長続ける展示会に注目

皆さんこんにちは井之上 喬です。

1月9日は成人の日、今年も前年を2万人上回る123万人が20歳を迎えたとのこと。
おめでとうございます。

しっかりと自分の考えをもって、果敢にチャレンジしてほしいと思っています。

■注目は音声認識、AI、自動車
このブログでは毎年の恒例になっていますが、米国時間の1月5日から8日までの4日間ラスベガスで開催された世界最大の家電関連見本市「CES 2017」の報告をいたします。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、2004年からCESの日本市場向けPRコンサルと開催期間中に日本のメディアの方々を招へいし現地取材の支援を継続しています。

CESは今年の開催が節目の50回でしたが、弊社はそのうちの10回以上、一緒に仕事をさせていただいています。弊社がPRコンサルを始めた当時は、民生機器の真っただ中にあるテレビの大型化、薄型化を毎年競う展示会でしたが最近は様変わりし、自動車業界など消費者を取り巻くさまざまなモノを新製品、最新技術を取り上げています。

それではCES出張から帰国したばかりの井之上パブリックリレーションズの報告を中心に、私たちを取り巻く最新技術の動向を見てみましょう。

50周年を迎えたCES。記者会見や展示会場内で記者の注目が集まったのは、音声認識、AI(人工知能)、自動車だったようです。

音声認識はAmazon AlexaやMicrosoft Cortanaが自動車やスマートホーム、家電などあらゆるところで採用、今後の新しいインターフェースとして大きな存在感を示しました。またAIについても音声認識と同様に、大きな存在感を示し、今後のキーテクノロジーとして欠かせないものである印象を強く受けた、とのこと。

個別の製品としては今年も自動車が大きな注目を集めています。各社の発表により自動運転が「未来への期待」から「具体的な実現」への道を歩み始めていることが決定付けられた感があると、弊社の担当者は自動運転の近い将来の実用化を感じ取ったようです。

注目の基調講演に関しては、2014年にAudiが登壇して以降毎年、自動車メーカーの登壇が続いていますが、2017年は日本の自動車メーカーとしては初めて、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が登壇。また初日のOpening Keynoteには世界最大のクルーズ客船の運航会社であるカーニバル・コーポレーションが登壇し、メーカーでもソフトウェア企業でもない「利用者」企業による基調講演は、とても印象的だったと思います。

■基調講演に日産ゴーン氏も登場
CES 2017 基調講演の顔触れは以下の通りでした。

NVIDIA 共同創設者 社長兼CEO ジェンスン・ファン氏、Carnival Corporation 社長兼CEO アーノルド・W・ドナルド氏、 Expedia 会長兼シニアエグゼクティブ バリー・ディラー氏、Huawei コンシューマ・ビジネス・グループCEO リチャード・ユー氏、日産自動車 会長兼CEO カルロス・ゴーン氏、Qualcomm Incorporated CEO スティーブ・モレンコフ氏、Under Armour 創業者兼CEO ケビン・プランク氏。なるほどと思うと同時に基調講演は時代の鏡ともいえるでしょうから彼らの動向に今後注目したいですね。

出展傾向に関しては、出展者数3,800社以上のうち実に20%は3年前には出展していなかった新しい出展者とのことです。また、新興企業が集うエリアとして本年で6年目を迎えたEureka Parkには600社の新興企業が出展、連日多くの人で賑わい会場は熱気に満ちており、混雑が絶えることはなったようです。

CESについては多くのメディアが報道していますので、トヨタ自動車のコンセプトカー「愛i」などの映像をご覧になった方々も多いかと思います。そんな中で私が注目したのは主催団体のしたたかさ、サステナブル経営の視点です。

CESの名称の由来自体は「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー」ですが、従来のテレビやAVなどの文字通り民生機器から、最近はIoT(モノのインターネット)に象徴されるようにインターネットサービス、そしてネットにつながる自動車の出展が増えていました。このようなトレンドに合わせ、第xx回目から略称であったCESを正式名称にしています。

また、主催団体の名称も全米家電協会(CEA)から全米民生技術協会(CTA:Consumer Technology Association)に2015年から変更しています。

CTAのCEOであるゲーリー・シャピロ氏は、自動運転の実現をどう感じているかとの質問に------新しいテクノロジーによる変化を恐れる人はいますが、1世紀前は、どういった輸送機関が欲しいか?と聞かれれば、もっと速く、餌(馬車)をほしがらないもの、と言っていたのですから世の中がどう変化するのかは分からない、といった趣意のコメントをしています。

まさに大きな変化を危機ではなくチャンスと捉え、自ら柔軟に変化して対応する経営姿勢は大いに参考になるのではないでしょうか。

今回はちょっと違った視点でCESを見てみました。
外部環境の変化を読み取るパブリック・リレーションズ(PR)にはこうした動向を把握し目的や戦略を修正したり、新たに構築することが求められるのです。

投稿者 Inoue: 13:52

2016年12月22日

本社を移転しました
〜時計台のあるビルへ15年ぶりの復帰

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

師走もなかばを過ぎ、新年の足音も近づくこの時期に本社を移転しました。12月20日(火)より新オフィスで「気分一新」、業務を始めています。

移転先の新住所は、「東京都新宿区四谷4-28-4 YKBエンサインビル12F」。これまでのオフィス新宿御苑前アネックスから100メートルほど四谷4丁目交差点へ行ったところ。電話もFAX番号も変わりません。地下鉄丸ノ内線の新宿御苑前駅、四谷三丁目駅 からいずれも徒歩5-6分の距離です。

■新たな時を刻む
石の外壁で覆われたビルの屋上には、時計台(写真)があり、四谷4丁目の交差点から見ることができますので来社いただく際の目印になります。年が明けて落ち着かれた頃に、またお近くにお越しの節は、お気軽に私たちの新しいオフィスにお立ち寄りください。

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実はこのYKBエンサインビル12F、2001年6月まで本社を置いていたところでした。最上階のペントハウスで広いテラスがあり、とても気に入っていたオフィスでしたが、この物件を所有していたオーナーが倒産し公的機関に所有権が移ったことで競売物件となり、断腸の思いで移転を余儀なくされました。

こうした事情もあり、クリスマスを前に15年ぶりにYKBエンサインビルに復帰を果たせたことは、私にとって望外の喜びです。先ずは当社50周年(2020年)に向けて新たな時を刻んでいきたいと思っています。

私が大変気に入っているエントランスのデザインは(写真)、様々なステークホルダーとの関係構築を行なうパブリック・リレーシヨンズを日本の伝統的な漆喰と凹凸のあるイタリアンタイルで市松模様に仕上げ表現されています。

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新オフィスの内装デザインを今回担当いただいた磯久五郎建築士(株式会社ゴーロク設計舎代表取締役)によると、「東福寺方丈庭とカジミール・マレーヴィチの『白の上の白』に造形上の着想を得て、西洋タイルと漆喰の二元対比で構成しました。つるつるピカピカしたイタリアンタイルは世界中のプロジェクトやステークホルダーを表し、それにパブリック・リレーションズの意味を込めました」とのこと。

■「あなたの中の最良のものを」
今週末から3連休、クリスマスを迎えますが、この時期にはインドを拠点に世界中で助けを求める人びとに寄り添い、路傍の人の手を握り、彼らの声を聞き、語りかけるなど慈愛の活動を実践してきたカトリックの修道女マザー・テレサを思い起こします。

ノーベル平和賞の受賞(1979年)は、マザーの活動を世界中に知らせることになりました。そしてその後、世界各地で人道的支援をめざす市民による支援活動が盛んに行われるようになります。

1997年9月5日。マザーは87歳の生涯を閉じますが 彼女の死を悼む人々は、「私たちの母が亡くなった」と語りました。

私たちの母、マザー・テレサが残した多くの珠玉の言葉の中から、クリスマスを前に『本当のクリスマス』(ドン・ボスコ社 p.23-27,33)より「あなたの中の最良のものを」を紹介したいと思います。


人は不合理、非論理、利己的です
気にすることなく人を愛しなさい

あなたが善を行うと、
利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう
気にすることなく、善を行いなさい

目的を達しようとするとき、
邪魔立てする人に出会うでしょう
気にすることなく、やり遂げなさい

善い行いをしても、
おそらく次の日には忘れられるでしょう
気にすることなく、し続けなさい

あなたの正直さと誠実さが、あなたを傷つけるでしょう
気にすることなく正直で、誠実であり続けなさい

あなたが作り上げたものが、壊されるでしょう
気にすることなく、作り続けなさい

助けた相手から、恩知らずの仕打ちを受けるでしょう
気にすることなく、助け続けなさい

あなたの中の最良のものを、世に与えなさい
けり返されるかもしれません
でも、気にすることなく、最良のものを与え続けなさい



今回のブログが今年最終号となります。この1年間、井之上ブログをご愛読いただき誠にありがとうございました(新春は1月4日発行となります)。来年も「平和で希望のある社会づくり」を目指し、さまざまな視点でパブリック・リレーションズ(PR)をとり上げ、より充実したブログにしていきたいと考えています。

どうぞよいお年をお迎えください。

投稿者 Inoue: 10:20

2016年12月09日

OECDの15歳学力調査結果に見る日本の教育の一端
〜社会とのかかわりを重視した新しい教育システムが不可欠に

皆さんこんにちは井之上 喬です。

師走に入り何となく街中があわただしくなってきた気がします。
この季節、受験生にとっては来年の本番に向けて重要な時期ですね。

■OECD学力調査結果発表、読解力が低下
12月6日に経済協力開発機構(OECD)が2015年の学習到達度調査(PISA)の結果を発表しました。

今年もテレビや新聞など多くのメディアが取り上げていましたが、今回解答には初めてコンピューターが使われましたが、日本の15歳は科学的応用力と数学的応用力で国際順位が上昇し、知識の活用力が比較的高いことがわかった一方で、読解力は順位を下げています。

また、科学に楽しさを感じる生徒が依然低い割合にとどまるなど、多くの課題も浮かんだと各メディアは報道しています。

この学習到達度調査は、OECDが2000年から各国・地域の15歳を対象に行っている学力テストで、問題は世界共通。義務教育を終えた段階の知識を、実生活の具体的な場面でどの程度活用できるかを評価しています。

今回の調査では、日本は全国198の高校などの1年生約6600人がテストを受けたとしています。

また調査は、世界72カ国・地域の15歳約54万人を対象に実施され、科学的応用力を重点的に調査したとしています。

詳細は省きますが、平均得点でみた日本の国際順位は科学的応用力が2位、数学的応用力が5位で、ともに前回の2012年調査を上回り、トップレベルの水準を維持しているようです。

報道によると、日本の「科学」と「数学」の順位は2006年を底に3回連続で上昇しているようです。

その一方で読解力は8位で順位は前回より4つ下がっています。

同じく11月に公表された、国際教育到達度評価学会(IEA)が行う小・中学生を対象とした国際比較教育調査、2015年国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)でも、日本の小中学生の国際順位は過去最高を更新しており、「ゆとり教育」の転換後、理数系学力の回復傾向が続いていることが確認されたとしています。

しかし、個人的には読解力の低下が心配されるところです。文部科学省は今回のPISAでは初めて、手書きではなくPCを使って解答する方式で行われ、解答方式の変更が主な要因と考えているようです。

つまり特に文字数の多い読解力の問題で、紙の試験に慣れた日本の生徒が混乱したようだ、との判断だそうですが、キーボードに慣れ親しんだ若者ですからその理由だけではなさそうな気がします。

■PRの経験を生かした新しい教育システムの導入を
日本にとって教育問題は重大かつ喫緊の課題だと認識し、私なりの取り組みをスタートしています。

パブリック・リレーションズ(PR)の専門家として従来から日本の教育に必要なのは人間関係構築能力、つまりリレーションシップ・マネージメントだと強く感じています。

どのように社会、そしてグローバルな視点を持って世界とかかわり、よりよい人生を送れるかと言った考え方を幼児教育から取り入れることが不可欠であると考えています。

それを実現するために、絵本を通じた幼児教育の取り組みに始まり、小学校から高等学校、大学(大学院)、そして教職員向けのパブリック・リレーションズ(PR)教育導入プロジェクトを始動させました。

このような社会とのかかわりを意識しながら個人が自主性や個性を発揮できる教育の必要性は世界的な潮流になっており、国の中央教育審議会(中教審)の審議のなかでも新しい学びに関する方策を探る機運が一気に高まっています。

この流れは短期的な視点ではなく、2020年の東京オリンピック・パラリンピック以降の2020年代の様々な日本が抱える課題を解決する大きな動きになるものと思います。

これまでのパブリック・リレーションズ(PR)の経験を活かし、少しでも子や孫の世代にとって有益でサステナブルな教育システムの構築に貢献できればと考えています。

投稿者 Inoue: 15:19

2016年12月02日

新語・流行語大賞2016
〜年間大賞には「神ってる」

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

昨日(12月1日)午後5時、恒例の「新語・流行語大賞2016」が発表されました。この賞は、この1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を顕彰するものといわれています。

初めて行われたのは1984年で、自由国民社が主催するものでした。数年間は金・銀・銅といった各賞を選定していたようです。現在のような年間大賞という選定方法は第8回の1991年から開始されたといいます。

また、2003年からは(株)ユーキャンと提携することとなり、以降正式名称が「ユーキャン新語・流行語大賞」となったようです。

■世相を反映するベスト10
今回ノミネートされたのは、ゲスの極み乙女ボーカルの川谷絵音さんとタレント・ベッキーさんの週刊文春による交際報道で話題になった「ゲス不倫」、社会現象となった「ポケモンGO」、歌手ピコ太郎さんの「PPAP」。
これらの他に、お笑いコンビ「トレンディエンジェル」の「斉藤さんだぞ」や25年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした広島東洋カープの緒方孝市監督が鈴木誠也選手に対して語った「神ってる」、大ヒット映画の「君の名は。」、「シン・ゴジラ」、政治関係では、SNSに書き込まれた「保育園落ちた日本死ね」や豊洲市場移転問題や東京五輪に絡んだ「盛り土」、「レガシー」などの30語が候補に入っていたようです。
選考委員会は、姜尚中(東京大学名誉教授)、俵万智(歌人)、鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)で構成されているといいます。

既にTV報道やインターネットを通じて、ご存知の方も多いかと思いますが、「新語・流行語大賞2016」には「神ってる」(広島緒方孝市監督、広島鈴木誠也外野手)が選ばれました。

年間大賞を除くトップ10には「ゲス不倫」、「聖地巡礼」、「トランプ現象」、「PPAP(パイナッポーアッポーペン)」、「保育園落ちた日本死ね」「(僕の)アモーレ」、「ポケモンGO」、「マイナス金利」、そして「盛り土」でした。

今年の大賞2016の「神ってる」は鈴木選手を指したもののようですが、私には米国メジャーのヤンキースから日本に戻り古巣で広島勝利のために大きく貢献した、黒田博樹投手の存在があっての「神ってる」だったように思います。

■第1回の金賞は「オシンドローム」
第1回(1984年)の新語部門金賞は「オシンドローム」で受賞者はジェーン・コンドンさん(雑誌『タイム』フリー記者)だったと記録されています。

これは当時、超人気番組だった朝のNHK連続テレビ小説『おしん』に因んだ新語。日々の苦労に必死に耐え、それでも明るさを失わず他人に優しい主人公「おしん」の姿は、戦後を働き抜き、豊かさを手に入れた日本人の心情に大きな共感を与えました。

その状況を、全国民の感情が同一にシンドローム化しているとして、『タイム』誌上で「おしんドローム」と表現されたのが受賞につながったようです。この「ことば」は、私もよく覚えています。

過去5年間の流行語大賞を並べてみました。まだ記憶も新しく、当時の世相を想いおこします。

2011年は「なでしこジャパン」(小倉純二=日本サッカー協会会長)。2012年は「ワイルドだろぉ」(スギちゃん)。2013年は流行語大賞の当たり年で、「今でしょ!」(林修=東進ハイスクール講師)、「お・も・て・な・し」(滝川クリステル)、「じぇじぇじぇ」(宮藤官九郎、能年玲奈)、「倍返し」(堺雅人、TBS「半沢直樹」チーム)と4つが大賞を受賞しています。

2014年は「ダメよ〜ダメダメ」(日本エレキテル連合)と「集団的自衛権(受賞者辞退)」。2015年は「トリプルスリー」(ソフトバンク柳田悠岐、ヤクルト山田哲人)と「爆買い」(羅怡文=ラオックス社長)でした。

皆さんは、どの「ことば」が強く印象に残っていますか。

投稿者 Inoue: 17:39

2016年11月24日

そろそろ師走
〜2017年のヒット商品は?

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

11月22日早朝の福島沖での地震と津波の報道には緊張感が走りましたが、仙台港に大震災以降最大の高さ1.4メートルの津波が到達したものの深刻な事態には至らなかつたようでなによりでした。

来週からは師走、クリスマスのお祝いや新しい年を見据えた今年の振り返りと2017年のビジネス、そして個人の1年間のプランづくりの時期でもあります。

皆さんにとって2017年はどんな年になりそうですか。

■激動の2016年、あなたの重大ニュースは
様々な雑誌の12月号に、今年をまとめる記事として紹介されています。

まず今年の振り返り記事で面白かったのが毎日新聞社が発刊しているジュニア向けニュース学習誌「Newsがわかる」12月号で「新世代につなぐ2016年 重大ニュース」特集がありましたので紹介します。

選択基準は、「後の世まで影響がありそうな10の重大ニュース」だそうです。第1位が天皇陛下生前退位のご意向、第2位が18歳選挙権が施行、第3位がリオ・オリンピック日本最多メダル、第4位イギリスEU離脱決定、第5位熊本地震震度7が2度、第6位オバマ大統領被爆地広島へ、第7位参院選で与党が大勝、第8位大隅良典さんにノーベル賞、第9位五輪費用、市場移転首都に難題つぎつぎ、第10位アメリカ大統領選出される(発行時点では結果は出ていない)、となっています。

10代の目で社会をしっかり見ているように思いますが、皆さんはどう感じられますか。

■2017年のトレンドは?人工知能など最先端技術が身近な商品に
もう1誌、日経BP社が発行する日経トレンディ(12月号)から、「2016ヒット商品ベスト30」と「2017ヒット予測ベスト30」の中からそれぞれベスト10を紹介します。

2016年のヒット商品ランキングでは、第1位が納得のポケモンGO、第2位が大ヒット映画君の名は、第3位が世界初の加熱式たばこIQOS、第4位は写真SNSのインスタグラム、第5位がフリマアプリのメルカリ、第6位スイーツデイズ乳酸菌ショコラ、第7位新型セレナ、第9位クッションファンで、第10位グリーンスムージー、となっています。

評価項目は、売れ行きに加え新規性、影響力。総評では「エンタメヒットが大豊作だった1年、共通するキーワードが『スマホ』と『若者』だった。日本メーカーの意地のヒットも多出、近年まれにみる激戦だった」としています。

「2017年のヒット予測ベスト30」からベスト10を拾ってみると、第1位がノールックAI家電、第2位が“魅せる”ミールきっと、第3位手ぶらで“旬撮”カメラ、第4位燃焼系ウエアラブルジム、第5位ドローンレーサー、第6位スポクラ(スポーツ専用クラウド)、第7位都市型ソーシャルランドリー、第8位シリーズ・ハイブリッドEV、第9位東西“極上”クルーズトレイン、第10位民旅(みんたび)、となっています。

10位以外でも11位に360度シアター、14位に新之助、16位にARクライミング、18位にFF15&バイオハザード7、垂直マラソン、3Dセリフィーメーク、“まるでクリーニング”マシン、ネオ秘境駅巡礼、トランポリンパーク、無限色ペンなど、商品名だけではどんなものかわからないものも多いですね。

こちらの選考基準は、新しい市場、売れる、生活の変化、追随商品。詳しくは雑誌をご覧いただきたいと思いますが、第1位の「ノールックAI家電」は、スマホフリーで存在を意識させないIoT(モノのインターネット)機器が家の内外で家電操作から買い物まで可能になるそうで、AI(人工知能)がいよいよ身近な家電製品にも本格的に実用化される時代になってきたのでしょうね。

まだまだ先のことと考えていた人工知能、IoT、仮想現実などの最先端技術が一般消費者に身近な存在になってきたといえます。

ヒット=売れることも当然大事ですが、パブリック・リレーションズ(PR)の視点からすると少子高齢化、環境問題、貧困問題などさまざまな社会課題に最終的に結びつくような商品開発、それも日本発の商品に期待したいところです。

投稿者 Inoue: 17:38

2016年11月18日

住んでみたい街(国内外)ランキング
〜関東では5年連続1位の「吉祥寺」が2位へ

皆さんこんにちは井之上 喬です。

「住めば都」という言葉があります。どんなに辺鄙な場所であっても、住み慣れれば都と同じように便利で住み心地がよいといった譬えです。

外国にも日本と共通する次のような譬えがあります。
To every bird his own nest is best.(どの鳥にとっても自分の巣が一番よい)
There is no place like home.(我が家にまさる所はない)

さて、今回のブログでは、最近公表された国内外の「住んでみたい街」ランキングをテーマにしています。

■初の総合1位は吉祥寺を抜いて「恵比寿」
関東(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県)の居住者を対象に実施した「2015年版みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版」(Web調査:リクルート住まいカンパニー)によると、前回まで5年連続1位の「吉祥寺」は2位とランクを下げ、2010年の調査開始以来、初の総合第1位を獲得したのは「恵比寿」と発表しています。

恵比寿は、恵比寿ガーデンプレイスをはじめ、有名レストランや海外から上陸した飲食店など話題スポットが多いこと、また、今春、駅前にアトレの新館ができ、話題となったことが1位となった要因としています。

第3位は、昨年と同様に横浜。第4位は武蔵小杉(昨年5位)と自由が丘。「自由が丘」は、昨年12位から4位に躍進。もともとの好感度の高さに加え、2015年に注目のファッション、グルメの新店が続々とオープンし、女性人気がさらに上昇したことが要因のようです。

他に注目されるのは、昨年17位から9位に上昇した「東京」と昨年15位から10位にランクアップした「二子玉川」。「東京」は、駅前再開発や周辺の日本橋・室町・京橋の再開発でエリア全体の魅力が上昇してきたことによるようです。

日本経済新聞Web刊のスペシャルリポート(11/8)によるとシティブランド調査「住んでみたい自治体」の第1位は札幌市で、以下京都市(2位)、横浜市(3位)と知名度が高く人口も多い地方都市が上位に名を連ねたようです。

第4位以降は、鎌倉市、那覇市(5位)、福岡市(6位)、神戸市(7位)、石垣市(8位)、函館市(9位)、そして10位が軽井沢でした。

この「住んでみたい自治体」調査では、その選択理由も聞いています(3つまで複数回答)。それによると多かった項目は「自然環境が豊かなこと」(31.3%)、「街並みや景観が美しいこと」(24.2%)、「観光、仕事などで訪れたことがあり良い印象を持っている」(22.5%)となっています。

■世界で最も住みやすい都市は?
いつかは海外に住んでみたいと思っている方もいらっしゃるかと思います。世界では何処の都市が住みやすいと評価されているのでしょうか。

この点について英経済誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」は、「世界の都市の住みやすい都市ランキング」を発表しています。

このランキングは、世界中の140の都市を安定度、保健医療、文化・環境、教育、インフラの5つのカテゴリーの評価をもとにランク付け。

そして世界で最も住みやすい街ランキング1位に輝いたのが、「メルボルン」(オーストラリア)。オーストラリアのスポーツ、流行、文化の中心であり、多様な文化が溶け合うセント・キルダ・ビーチや、グレート・オーシャンロードなど観光スポットも多いことなどが挙げられているようです。

第2位は、モーツァルト生誕の地としても知られているオーストリアの「ウィーン」。第3位は、カナダのブリティッシュコロンビア州南西部にある都市「バンクーバー」でした。

第4位のトロント(カナダ)以下は、アデレード(オーストラリア)、カルガリー(カナダ)、シドニー(オーストラリア)、ヘルシンキ(フィンランド)、パース(オーストラリア)、そして10位がオークランド(ニュージーランド)の順となっています。

私はこれまで国内も、海外の都市もプライベートで、また講演や仕事の関係で随分訪問していますが、これまで紹介された都市にはそれぞれ素晴らしい特徴があります。

住んでみたい街は年齢によっても差異が生じると思いますし、現役で仕事をしている人にとっての住んでみたい街と、リタイア・セミリタイアしている人にとっての街でも異なってくると思います。

皆さんは、どの街に住んでみたいですか? 

投稿者 Inoue: 15:25

2016年11月03日

「IWAOモデル」その2
〜緩和ケアの臨床教育・研究拠点「まごころの杜」が名古屋で開所

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日は文化の日。昭和23年(1948年)に「国民の祝日に関する法律」を制定するにあたり、1946年 11月3日の日本国憲法公布の日を記念して「文化の日」を定め,47年5月3日の同憲法施行の日を「憲法記念日」と定めたとのことです。またこの日は、文化勲章の授与が行われることでも知られていますね。

私のブログの600号記念で、超高齢社会のソリューションとなる「IWAOモデル」について紹介しました。今回はその続編となります。

■「IWAOモデル」を具現する「まごころの杜」
今週月曜日(10/31)に名古屋へ出張してきました。「IWAOモデル」を具現する「まごころの杜」(名古屋市熱田区幡野町)の開所式/記者発表会に参加するためです。

「まごころの杜」は、3階建てのフロア構成で1階は、外来と訪問診療を行うクリニックと訪問看護・介護ステーション、リハビリ室などが配置されています。要介護者の住居部分は2、3階。1部屋約18平方メートルで全40室あります。

「まごころの杜」では、がん患者を主体に痛みの管理、理学療法、言語聴覚療法などの緩和ケアを提供します。そのため、がん末期のスペシャリストである経験豊かな内科医と外科医、精神科医など5人の専門医師に加え、看護師、介護士、リハビリ専門職など医療・介護に係るほぼ全職種のスタッフを配置しているとのこと。

何よりも驚いたのは入居費が低く抑えられていることです。毎月5万円から7万円(共益費1万円)の費用で入居できるとし、生活保護者でも安心して入居できるよう配慮していることです。新設の施設でこうしたことが実現する「IWAOモデル」に感動すら覚えます。

写真は、開所式のメインイベントとなるテープカット(写真)。中央左が「IWAOモデル」を推進する医師で藤田保健衛生大学教授、名古屋大学院特任教授の岩尾聡士教授。中央右は医療法人陽明会の理事長で、「まごころの杜」を運営する岩尾康子院長。左端は、アイカ工業の小野勇治社長です。同社は2009年に名古屋大学に寄附講座を開設して以来、同モデルの実現を支援してきた企業です。

名古屋にはNHKをはじめ民放TVが5局あります。このうち「まごころの杜」にはNHKをはじめ5局からの取材カメラが入り、開所式は大いに盛り上がりました。こうした現場を見るにつけ、医療・看護・介護が日本社会にとっていかに大きな問題となっていて、地域社会の関心を集めているのかを改めて実感させられました。

「まごころの杜」では、循環型の施設として地域の病院や訪問看護ステーションと連携し、在宅療養時の急性増悪時や退院後の一時受け入れも行なう計画といいます。

■終末期医療を先進国並みへ
テープカットの後は、会場を2階に移して岩尾教授による記念講演(写真)と記者発表会が行われました。

岩尾教授は記念講演で「これまでわが国は、高度経済成長と国民皆保険により医療・介護をすべての人が等しく受けられるよう努力してきたが、近年の財源不足により困難な状況を迎えている。今後は、ソーシャルビジネス的手法により最後の看取りを街で看る仕組み作りが求められている。英国で緩和ケアは、慈善団体の寄附により全額無料で安心して受けることが出来るが、わが国でも先進国にふさわしい最期をよりよく生きるための仕組み作りを創生していくことが必要になる。」と述べています。

また岩尾教授は、「現在、日本では2人に1人が癌になり、3人に1人が癌で亡くなっている。しかし、医療・介護分野では、平均在院日数の急速な短縮もあり、癌末期の対応が手薄になっているのが実情。こうした背景もあってがん患者を主体に緩和ケアを提供する施設として、『まごころの杜』を開所した」と語っていました。

記念講演の後は、プレス向けの発表会、そして参加者全員が一堂に会し、懇親会が催されました。

終了後プレスツアーが組まれ、「まごころの杜」を専用バスに乗車して出発。先ずは、アイカ工業名古屋支店に常設されている「IWAOギャラリー」を視察し、次いで陽明会が運営する聖霊陽明ドクタータワー(サービス付高齢者向け住宅を視察しました。

年間40兆円を超える医療費は、迎える超高齢化時代で破たんをきたしつつあります。こうした医療・介護の最前線に接する機会を持ち、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家がこの分野でかかわるべき課題の多さを再認識させられました。

投稿者 Inoue: 12:41

2016年10月28日

「原子力の日」に思う
〜地産地消型のエネルギー政策への転換を

皆さんこんにちは井之上 喬です。

秋も深まり紅葉本番のニュースが届く一方で、北海道は雪、関東以西は夏日など寒暖の差が激しい不順な天候が続いていますが、体調管理には十分注意しましょう。

■核燃料サイクルの終焉
10月26日は「原子力の日」です。

1963年10月26日、茨城県東海村の日本原子力研究所で日本初の原子力発電に成功したことを記念し、1964年7月31日に閣議決定されたものです。

原子力は資源に乏しい日本のエネルギー源として開発がすすめられ、政府は最終的には高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)を中核に核燃料サイクルの確立をもくろんでいました。

しかし、東日本大震災とそれにともなう東京電力福島第1原発事故で核燃料サイクル構想は大きな転換期を迎えているのは周知のとおりです。

2016年10月現在、稼働しているのは九州電力川内原発2号機と四国電力伊方原発3号機となっています。日本の原発は北海道から九州まで計57基、現在稼働しているのは2基だけです。

その一方で政府が年内に廃炉を含む抜本的な見直しをするとした高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について、報道によると水落敏栄文部科学副大臣が10月24日、福井県庁で報道陣に「極めて重要な問題。場合によっては延びるかも知れない」と述べ、廃炉の結論が年明けになる可能性を示した、とのことです。

それに対し原子力規制委員会の田中俊一委員長は10月26日の記者会見で、もんじゅの運転期間や出力にかかわらず例外的な再稼働は認めない考えを示し、文部科学省が検討している短期間の試験運転を否定した形となっています。

国民の税金1兆円超を費やしたもんじゅの廃炉も含め、核燃料サイクル、原子力政策を見直すべきではないでしょうか。トラブル続きのもんじゅに「これまで1兆円も使ったのだから」といって実験を続行させる考えはこの際捨てるべきだと思うのです。

ちなみに自然界に存在するウラン235の半減期は約7億年、ウラン238の半減期は約45億年だそうです。気の遠くなるような時間の流れです。

■身近な自然エネルギーに目を向ける
大型の原発を地方に建設し都市に電力を供給する、といった一昔前のエネルギー政策はすでに破たんしています。

地方選挙の結果でも10月16日の新潟県知事選では、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働に慎重な姿勢を示して米山隆一氏が初当選。初登庁の記者会見でも「原発再稼働問題については、まずは徹底的な検証を進め、県民の命と暮らしが守られない現状においては、再稼働は認められない」としています。

これまでこのブログでたびたびエネルギー問題を取り上げてきましたが、これからは太陽光、風力、地熱などの自然エネルギー、再生エネルギーのバイオマス、そして水素エネルギーを使った燃料電池などによる地産地消型の小型の発電が主流になりつつあるのではないでしょうか。

加えて世界の年間石油消費量の10万年分が海中に眠っているとされる、マグネシウムエネルギーにも注目が集まっています。

このように原発がなくても電力供給に不都合は生じていないのが現状ですが、CO2対策には人間の英知と実行力を期待し、日本は原発以外のクリーンな自然エネルギーに力点を置くべきだと考えています。

そして次世代につけを回さない脱石油、脱原発によるサステナブルな社会の実現のために、パブリック・リレーションズ(PR)を活用することが重要だと思うのです。

10月26日が、人の知恵ではコントロールできないエネルギー源からの脱却、そして改めて電気のありがたさを考える日になると良いですね。

投稿者 Inoue: 12:27

2016年09月30日

世界ランキングに見る日本の競争力
〜やはり革新性がキーワード

皆さんこんにちは井之上 喬です。

来週から10月。神無月ともいわれ出雲大社に全国の神様が集まって1年の諸々の事を話し合うため、出雲以外には神様が居なくなる月の意味という古来の言い伝えもありますが、各地の神社ではで収穫を祝う例大祭が行われます。

東京は雨模様の日が多いのですが、すっきりした秋空のもと日本伝統の行事に触れる良い機会ですね。

■世界競争力ランキングは8位に後退
ダボス会議主催で知られる世界経済フォーラム(スイス)は9月28日、2016年の世界競争力ランキングを発表しました。それによると残念ながら日本は8位で、前年の6位から順位を下げてしまいました。

調査対象は138の国・地域で、ランキングを見ると1位は前年と同じくスイス、2位がシンガポール(前年2位)、3位米国(同3位)、4位オランダ(同5位)、5位ドイツ(同4位)、6位スウェーデン(同9位)、7位英国(同10位)、8位日本(同6位)、9位香港(同7位)、10位フィンランド(同8位)となっています。

アジアでは他に台湾が25位、マレーシアが26位、韓国が28位、そして中国が28位と上位にランク入り。

日本経済新聞によるとこの背景として、2007年から終始5位以内に入っていた「技術革新」が8位に下降。投資家保護や企業倫理を含む「制度」が16位に3つ低下したことが響いたようです。

日本の総合順位の低下は東京電力・福島第1原子力発電所事故の影響が反映された2012年以来4年ぶりで、技術革新に含まれる小項目では「企業の研究開発投資」「研究機関の質」「産学連携」などで評価が下がったとしています。

また制度では、企業倫理や投資家保護に加え、知的財産の保護や政治家への信頼も落ち込んでいるとしていますが、企業倫理の欠落した東芝問題や知財戦略が脆弱な日本企業の諸問題がそれらの要因にあるのではないかと思います。

一方で同新聞は、「金融市場」は19位から17位へと上昇し、金融サービスの利用時の費用負担や、資金調達へのアクセスが順位を上げているとしています。

また「マクロ経済環境」は前年の121位から104位と大幅な上昇を示しているものの、「公的債務の大きさが足を引っ張る構図は変わらない」と日本の国際基準での評価を解説しています。

個人的には技術革新の評価が下がっているのには驚きましたが、投資家保護、企業倫理などでの低い評価が全体のランクを下げたのではないかと残念ながら納得してしまう部分もあります。パブリック・リレーションズ(PR)に求められる重要な要素である「倫理観」がキーファクターとなっているともいえます。

■Fortune誌の「世界を変える50企業(Change the World)」で伊藤園が18位になったというそんな中でちょっとうれしいランキングもありましたので紹介します。

2016年9月1日号Fortune誌の「世界を変える50企業(Change the World)」ランキングで日本企業が2社ランク入りしています。

1社は伊藤園で、日本企業では最高の18位、もう1社はパナソニックが39位にランクされています。

伊藤園は企業のCSR活動が当たり前になるなか、継続的かつ戦略的にCSR活動に取り組んでいる代表的な企業。その中核的な役割を果たしているのが常務執行役員CSR推進部長笹谷秀光さんです。

フォーチュン誌の選定基準は、重要な社会課題へのインパクト、業績、革新の程度で、伊藤園が経営戦略の一環として社会課題に独自に取り組む「茶産地育成事業」、「茶殻リサイクルシステム」などが高く評価されたとのことです。

ランキングされた企業は以下のURLを参照ください。
http://beta.fortune.com/change-the-world

Fortune誌選定理由「日本の混迷する農業セクターに新たな雇用創出」とし、ています。以下にその理由をそのまま紹介します。
「日本最大の緑茶飲料メーカーである伊藤園にとって、環境保全はゆるぎない信念である。この売上高4000億円の清涼飲料メーカーでは、2001年から茶産地育成事業に取り組んできた。この事業は、日本では耕作放棄地が40万ヘクタールもあるが、同社ではその活用と就農者の増加を図るものである。 地域の自治体と農家との契約により、伊藤園は栽培技術を提供し、1,000ヘクタールの緑茶原料用農地を確保してきた。また、伊藤園では、年間49,000トン発生する茶殻をダンボールなどに再利用している」
と事業をベースとした社会との新しいかかわり方を創出し継続的な取り組みを行っていることを評価しています。

日本伝統のお茶文化が、今やシリコンバレーをはじめ海外ではクールな日本文化として急速に普及しているのもうなずけますね。

取り上げた2つの世界ランキングに共通するものは何でしょうか。私は“革新性”だと考えています。

技術の革新性だけでなく、ビジネス、社会とのかかわりなどの革新性、常に社会を意識しながらサステナブルに変わり続け新しい企業価値を創造する。難しいことですが挑戦する価値は大いにあると思います。

常に外部環境に変化を読み取る、パブリック・リレーションズ(PR)がここにも求められています。

投稿者 Inoue: 13:48

2016年09月23日

12年ぶり、29作目の和製『ゴジラ』
〜ゴジラ史に足跡を刻んだ『ゴジラを飛ばした男』

皆さんこんにちは 井之上 喬です。

昨日(9/22)は秋分の日でした。国民の祝日は、あらかじめ月日が決まっていますが秋分の日と春分の日は前年の2月1日に、それぞれの日付が書かれた「暦要項(れきようこう)」が官報に掲載されることによって、正式決定となるようです。

これは、地球の運行状態などが要因とのことです。地球の運行状態は常に変化しているため、観測した結果が必ずしも計算結果の通りになるとは限りませんが、東京五輪が催される2020年の春分の日は3月21日(月)、秋分の日は9月23日(金) になると推計されているようです。

皆さんは秋分の日、春分の日の日付が実はあらかじめ決まっていなかった、ということをご存じだったでしょうか。

さて、今回は皆さんご存知の『ゴジラ』のお話です。

■62年間に及ぶゴジラ史を一変
東宝映画『シン・ゴジラ』は、公開1カ月で興行収入が53億円を超え、今年の邦画1位にランクされたとのこと。人気アニメ『エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明さんを総監督に起用し、固定ファン頼みだった62年間に及ぶゴジラ史を一変させたといいます。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)でも多くの若手社員が『シン・ゴジラ』を観に行っています。

このように新しいファン層を拡大させたのは、商業的に不可欠といわれる恋愛要素などには目もくれず、すべての面でリアリティーにこだわり続けた総監督を務めた庵野さんの演出にあるようです。

過去の作品では破壊される街はミニチュアでしたが、今回は実景などCGを駆使し、でゴジラの移動ルートを全て現実に合わせ詳細に描いています。ゴジラも着ぐるみではなくやはりCG。

1998年には海外で初めて米国のトライスター・ピクチャーズ提供による『GODZILLA』が制作されました。興行収入的には成功を収めたものの、世界のゴジラ・ファンからは「あれはゴジラではない!」と不評を買いました。

そして2014年、再びアメリカでワーナー・ブラザーズ提供、レジェンダリー・ピクチャーズ製作による『GODZILLA ゴジラ』が公開されました。

こうした経緯から「日本でも再びゴジラを!」という声が高まり、約12年振りとなるゴジラシリーズの新作『シン・ゴジラ』が制作されることになったといいます。

■ゴジラは空を飛べるか?
日本映画の"伝説"ともいうべき作品『ゴジラ』。1954年に社会問題となっていたビキニ環礁の核実験に着想を得て『ゴジラ』は生まれました。世界で唯一の被爆国である日本だからこそ作ることができた映画といえるでしょう。

以前のブログ(2014年5月29日)にも書いたように、私がまだ小学生の頃、兄弟と一緒に地元の映画館へゴジラを観に行ったときに、水爆実験で目覚め、安住の地を追われ東京の街を破壊尽くしたゴジラが私のゴジラとの最初の出会いでした。

また同じブログでゴジラ・シリーズ第11作目の『ゴジラ対ヘドラ』を監督された坂野義光さんを紹介していますが、85歳にしていまだ衰え知らずの映像クリエイター坂野さんは、この7月に自身の半生記となる『ゴジラを飛ばした男』(フィールドワイ発行)を出版しています。

坂野さんは『ゴジラ対ヘドラ』で、禁断とされたゴジラの飛翔を敢行し、以来ゴジラ・ファンの間では「ゴジラを飛ばした男」として知られた人。

逃げるヘドラを追って、ゴジラが口からの熱線を放射する反動で後ろ向きに空を飛ぶというシーンで当時関係者の間に激しく賛否両論を呼んだようです。

同書で、さまざまなエピソードとともに、70年代後半?80年代に米国から見た日本映画の捉え方や評価が坂野さんの目を通して語られている部分は興味深いものでした。

私のブログでも紹介したように、2014年の『GODZILLA ゴジラ』の実現は、レジェンダリーのトーマス・タル会長が世界ワースト映画50(米国にて)に選ばれた「ゴジラ対ヘドラ」を少年時代に観て感動したことがきっかけとなっています。

また同書では、「ゴジラ対ヘドラこそ、最初に環境問題を訴えた価値ある映画」と米国の学生が評した話など、これまで書かれなかった秘話も入っていて70年代後半以降の昭和の日本映画の状況を知る上で面白い本だと思います。

坂野さんとは何年か前の夏、私の母の郷里弓削島(愛媛県)に招待したときに、今治の彼の生家に立ち寄ったことがあります。『シン・ゴジラ』公開を機会に、ゴジラ史に足跡を刻んだ『ゴジラを飛ばした男』、一度是非お読みください。昭和世代の方には懐かしさがこみあげてくるはずです。

投稿者 Inoue: 18:20

2016年09月15日

NHK大河ドラマ余談
〜「関ヶ原を1分で終わらせた」三谷幸喜さんの脚本

皆さんこんにちは井之上 喬です。

400余年も前の今日(1600年9月15日)は、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍とで関ヶ原の戦いが行なわれた歴史的な一日でした。

奇しくも4日前の11日(日)にNHKの大河ドラマ『真田丸』第36回の「勝負」では、日本史上で最も有名な合戦の1つである「関ヶ原の戦い」が放送されました。

■NHKの看板番組の制作費は?
しかし、「関ヶ原に」に関係するシーンは、真田家の忍びである佐助(藤井隆)が真田昌幸(草刈正雄)に「東軍が勝利した」と報告するだけで終わらせています。

ORICON STYLEによると、三谷幸喜さんの脚本に対してSNS上で「超高速関ヶ原」、「関ヶ原を1分で終わらせた」、「何この斬新すぎる大河ドラマは!」などといった書き込みとともに、余りにも異色なストーリー展開に衝撃が広がったといいます。

三谷さんの脚本では、信繁(堺雅人)や真田の人々が見ていないこと、体験していないことは、歴史上の重要な出来事であっても、あえてすべてを見せないようにしているとのこと。第4回「挑戦」で、「本能寺の変」を炎の中で鎧が崩れるイメージショットとナレーションだけで終わらせたのもその一環だったようです。

大河ドラマは朝の連続テレビ小説と並ぶNHKの看板番組。歴代瞬間最高視聴率は、53%を記録した『赤穂浪士』だったそうです。かつては30%超えが当たり前だった大河ドラマ(独眼流政宗、武田信玄、春日局、太閤記など)も、近年視聴率の点で苦戦を強いられているといわれます。

毎週金曜日の日経MJの2面(エンターテインメント)では、映画、CD、文芸単行本の週間ランキングと一緒に、テレビドラマの視聴率も掲載されています。テレビドラマでは、連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK総合)と真田丸(NHK総合)とが常時1位と2位にランキングされています。直近の視聴率はそれぞれ24.2%と17.3%でした(8/1?7日ビデオリサーチ調べ)。

大河ドラマの30%超えは、現実的にはなかなか難しいようです。特に近年は、本放送だけでなく、NHKBSプレミアムで同日の2時間前(18:00?)に放送されたり、再放送や録画して都合の良い時間に見るといった多様な視聴スタイルもあるなど、視聴の選択肢が増えたことで、本放送の視聴率を下げている要因ともなっているようです。TV関係者よると、現状で17?18%の視聴率がとれれば、まずは合格点といえるとのこと。

また、こうしたNHKの看板番組の制作費がどれくらいか、気になるところです。これについても、前述のTV関係者から「NHKは年度毎の『収支予算と事業計画の説明資料』に詳細が公開されている。それを見ると番組1回当たりの制作費が分かる」と教えられました。

http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/yosan/yosan28/pdf/siryou.pdf

早速、平成28年度の説明資料を当たってみると、収支予算と事業計画について40ページを超える詳細情報が載っていました。

その7ページ目に〈ジャンル別の番組制作費〉が紹介されていて、ドラマ(大河ドラマ、BS時代劇、連続テレビ小説)の1回当たりの制作費が9.9?58.3百万円となっています。下限の990万円は連続テレビ小説で、上限の5830万円は大河ドラマのそれぞれ1回分の制作費に相当するようです。

パブリック・リレーションズ(PR)活動において情報公開は、企業経営の透明性を示すうえで重要な要素となっています。NHKの「収支予算と事業計画の説明資料」を目にして、公共放送として適切な情報公開をしているなという印象をもちました。

■大河ドラマの経済波及効果
日本銀行は定期的に大河ドラマ(新選組)の放送による経済波及効果を調査し、発表しています。

放送開始前の昨年、日本銀行松本支店は特別調査「長野県における大河ドラマ『真田丸』の放送に伴う経済効果」を発表しています。調査によると、県内・県外からの観光入込客数の増加効果は約113 万人、これに伴う観光消費増加額は約161 億円、経済波及効果は約200 億円となると試算されたそうです。

これは、2001年?2014年に放送された大河ドラマ(14本中11事例)を参考に観光入込増加客数を設定し、これに観光消費額単価を掛けて観光消費増加額を求めるなどして経済効果を算出するとのこと。

「真田丸」による観光消費増加額約161億円の内訳は、土産代や買い物代などが約53億円、宿泊費が約45億円、飲食費が約30億円、交通費が約21億円、入場料、娯楽費が約12億円を見込んでいるといいます。

観光入込増加客数は約113万人のうち宿泊客は約36万人、日帰り客は約77万人と推計しています。

その後、日銀松本支店は「上田城跡公園に開設された大河ドラマ館には当初の予定を大幅に上回る入館者が訪れている。また長野市松代町(真田宝物館)も前年比の7倍の観光客が来る日があるなど、これまでになかったくらいの観光客が来てお金を落としていることは間違いない」とコメントしているとのこと。

地方経済の視点から大河ドラマを視聴するというのも面白いものですね。

投稿者 Inoue: 22:24

2016年09月01日

瀬戸内の島の過疎問題
〜変容する弓削島

皆さんこんにちは、井之上喬です。
猛暑続きだった8月も終わり今日から9月。皆さんいかがお過ごしですか?

今年も毎夏訪れる亡き母の生まれた弓削島で休暇を過ごしました。
弓削島のある弓削町の現在の町名は上島(かみしま)町。2004年に、周辺の岩城、生名、魚島の3つの村と統合し名前を上島町と変更。2つの斜張橋(つり橋)で3つの島(弓削、佐島、生名)を結び、7つの有人島と18の無人島からなる町は、「しまなみ海道」からも外れ、世俗から離れた固有の風土を有する場所です。ちなみに生名島はやり投げの村上幸史選手の故郷。

私にとって弓削島は幼少時から馴染の深い島ということもありますが、海と空、松の木々と白い砂浜、それに瀬戸内のゆったりした人情など、自然の恵みを一杯に受けた佇まいは、都会人にとってはまるで天国の島です。

■過疎化対策
弓削島を含めた上島町の人口は現在約6,900名、10年前は約8100名、20年前は9300名とそれぞれ10年で1000名以上の人口が減っていることになり他の地域と同様に深刻な問題を抱えています。

島には小学校、中学校、高等学校、に加え弓削商船高等専門学校がありますが、近年弓削高校に入学する学生数は人口減が影響を受け廃校ボーダーラインの20名を割る年もあるようです。県の規定では2年連続して学年で20名を割ると廃校になるようですが、そうならないように他県の中学生に呼びかけるなど様々な努力がなされているようです。

人口減を止めるには、出生率を上げるか外から移住者を求めるか2つの方法しかありませんが、出生率は全国平均の1.46(厚労省2015年人口動態統計)を少し上回る程度で深刻な状況のようです。

自然減は毎年100名前後に対し、社会増減はこれまで数十人のマイナスであったものが、直近の2014年度に初めて46名のプラスとなっています。この現象は町の外からの移住者が増加した結果としています。他県から安住の地を求めて退職した年配者が主要のようですが、この頃は若い層が子育てやIT時代の新しい生き方を模索するために島を訪れるといいます。

これらに加え、近年は岩城島をはじめとし造船や漁業関連の研修生など約280名がアジアから家族を伴って居住しています。

人口減を止め如何に増やすか弓削島に役場を置く上島町は、2013年には上島観光協会を設立し観光客誘致に力を入れたりレモン産地の利点を生かした「レモンポーク」(岩城島)や「弓削塩」作りなどにみる地場産業育成などの様々な取り組みを行っているようです。

■空き家を如何に有効活用するか
観光客誘致やとりわけ外からの定住者受け入れなどを実現させるためには、生活の基盤となる住まいの確保の問題があります。

全国的に800万戸を超える空き家をどのように活用するかは、これからの日本の活力を増強する上で重要な課題となります。

空き家活用による経済の好循環は、情報を把握している行政とのパートナーシップなしでは実現できません。

上島町役場に勤める小林宣貴さんによると、弓削の空き家はおよそ数百戸で、そのうち利用可能な住宅は約100戸あるとしています。

こうした空き家を行政が仲立ちすることで、お風呂や台所など一部を改装しても安価な家賃で十分に快適な生活ができるようです。

地元の知り合いの一人は隣の因島で月額1万円の家を借り、お風呂を改修し4LDKの家に住み快適な生活をしています。

行政がこうした知恵を使うことで、介護施設の拡充や介護士・保育士などの生活の向上、民泊やセカンドハウス需要の喚起など過疎地域が抱える様々な課題解決が現実味を帯びてくるように思います。

島がこうしたインフラ整備を通して飛躍的に人間の往来を頻繁にし、活力ある地域に変貌させることが期待されます。

こうしたプロジェクトにもリレーションシップ・マネジメントとしてのパブリック・リレーションズ(PR)力が求められます。

投稿者 Inoue: 13:42

2016年07月29日

夏休み旅行2016年予測、
〜総旅行人数は微減で海外旅行は7.4%増

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

気象庁は昨日(28日)、関東甲信地方が梅雨明けしたとみられると発表。平年より7日、昨年より18日遅い梅雨明けとなったようです。これで梅雨のない北海道を除き、梅雨明けしていないのは東北だけとなりました。

本格的な夏の到来とともに夏休み旅行シーズンも始まります。JTBは恒例の「2016年夏休み(7月15日?8月31日)の旅行動向」で、同期間に1泊以上の旅行に出かける総旅行人数が前年比0.7%減の7745万人となる見通しを発表しています。

国内旅行は1.0%減の7485万人となる一方、海外旅行は7.4%増の260万人と推計。消費に対して全体的に慎重な傾向がみられる反面、円高や燃油サーチャージ廃止を背景に、海外旅行には比較的積極的な見通しを立てているようです。

■夏休み総旅行消費額は4.5%減の3兆850億円
夏休みの総旅行消費額は、国内が3.9%減の2兆5226億円、海外が7.5%減の5624億円で、全体で4.5%減の3兆850億円になるとの見通しです。

この背景については、ボーナス支給額や就職率などが改善傾向にある一方で、このところの円高による為替差益もありますが、急激な円高や株安などによる先行きの不透明感も影響していると分析することができます。

予約状況をみると、国内旅行のピークは8月12日から15日。利用交通機関では、レンタカーを含む乗用車の利用は微減となったものの、全体の7割以上を占めたようです。相変わらず高速道路の渋滞は避けられないようですね。

また、北陸新幹線や北海道新幹線の開業効果や各地の観光列車人気が続き、鉄道が2.8ポイント増の23.8%で好調。飛行機利用は4.1ポイント減の14.5%、長距離・貸切バス利用は0.8ポイント増の6.2%となったとのこと。

旅行先としては、新幹線利用の北海道や東北、USJや京都鉄道博物館がある近畿の人気が高いようです。

■海外旅行はアジアを中心とした近距離が人気
海外旅行は、アジアを中心に北米・オセアニアなどが好調とのこと。JTBの企画商品の予約状況では、海外旅行の出発のピークは長距離で8月13日、中距離で10日、近距離で14日が多いとのこと。

渡航先別では、タイ(5.9%増)や台湾(6.6%増)が堅調な伸びを示し、中国(12.1%増)や韓国(29.4%増)、香港(8.9%増)は昨年のマイナスから回復しているようです。

全体としてアジアを中心とした近距離が人気。また、ヨーロッパはスペインやポルトガルが昨年を超える伸びとなったほか、北米(4.2%増)やオーストラリア(16.7%増)、ニュージーランド(18.2%増)などオセアニアも好調なようです。

さて、8月5日から21日にかけてブラジル・リオデジャネイロで開催される第31回夏季オリンピック。オリンピックの熱戦を前に、すでにチケット争奪戦が始まっているといわれます。JTBは五輪とパラリンピックの日本からの観戦のため5000人のツアー参加を予定しているとのこと。

続いてインバウンドのデータを紹介しましょう。観光庁の発表によると、本年4月から6月までの訪日外国人旅行者数は19.0%増の596万人。

相変わらず数的な拡大が続く一方、1人あたりの旅行支出は9.9%減の15万9930円と減少。観光庁は減少の理由として、全体の37.0%を占める中国が、円高などにより22.9%減の21万9996円と大幅に減少したことなどを挙げています。爆買いブームにも陰りが見えてきたようです。

観光庁の田村明比古長官は、7月20日の記者会見で中国の消費額減について語り、「為替レートが10%以上円高に動いたほか、4月から中国政府が個人輸入品の関税を引き上げたことなどが影響した可能性がある」との見方を示したとのこと。

さて、皆さんの夏休み旅行計画はいかがですか。

東京では都知事選挙が三つ巴のまま終盤を迎えています。
7月14日のブログでは、参院選で初めて選挙権を行使した18、19歳の投票率が全体投票率54.70%を9.25ポイント下回る低調な結果となったと記しましたが、21万6,600人を数える彼らの投票行動が首都東京でどのような結果になるのか、楽しみなことです。

選挙での投票は健全な民主主義社会を持続させるための個人の義務と責任です。有権者の皆さん、旅行に出かける前に先ずは投票所に足を運びましょう。

投稿者 Inoue: 14:45

2016年07月21日

「ルノワール展」に行ってきました
〜日常の中の”光“を感じた瞬間

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

九州と中国、四国、近畿それに東海は梅雨明けしたようですが、関東地方の梅雨明けは何時になるのでしょうか。

東京では都知事選挙がまさにたけなわ、このブログでも触れてきましたが18歳選挙が首都東京でどのような結果になるのか非常に興味深いところです。

有権者の皆さん、暑いですが投票所に足を運びましょう。

■すでに入場者40万人を突破
夏まっさかりの中、国立新美術館(東京・六本木)で開催中の「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」に出かけました。主催は、国立新美術館、オルセー美術館、オランジュリー美術館、日本経済新聞社、後援は在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本です。

インターネットで、日本人が好きな画家、と検索すると必ず上位にランクされるピエール・オーギュスト・ルノワール(1841-1919)。4月27日の開幕からの入場者が7月15日に累計で40万人を超えたとのことです、開催期間は夏休みを挟み8月22日までですから何人の方々が来場するか楽しみでもあります。

パンフレットのテーマには「色彩は「幸福」を祝うために」とあります。ご覧になった方はそんな至福の時間を楽しまれたのではないでしょうか。

今回は日本初展示となるルノワールの最高傑作と評される「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」、45年ぶりにそろって来日した「田舎のダンス」と「都会のダンス」など見どころも多かったですね。

ずいぶん前に鉄道の駅舎を改造し数多くのルノアール作品が展示されていた、パリのオルセー美術館を想い起こしながらの鑑賞にはひとしお感慨深いものがありました。

私のブログでも何回か美術展をテーマに紹介(1 2 3 4)してきました。パブリックリレーションズ(PR)の専門家にとって、絵画や音楽などの芸術に触れることは、感性ある豊かな人間性を育み、創造的なビジネスをつくりだすうえで大切なことです。

■子供のころから芸術に親しみましょう
会場で配布されていた子供向けの鑑賞ガイドを紹介しますと、8つのカテゴリーで作品を紹介しています。

それぞれのカテゴリーを見ますと、1)太陽の光のもとで描く、では「陽光のなかの裸婦」、2)人物を描く、では「ジョルジュ・シャルパンティエ夫人」と「読書する少女」、3)自然を描く、では「シャンロゼーのセーヌ川」、4)幸せそうなひとびとを描く、では「ぶらんこ」と「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」、5)デッサンをする、では「身づくろい」、6)子どもたちを描く、では「道化師(ココの肖像)」、7)ピアノを弾く少女たち、では「ピアノを弾く少女たち」、そして8)裸婦を描く、では「浴女たち」が紹介されています。

なんとなくルノワールの画家としての生涯と作品が目に浮かんできませんか。そして3つの鑑賞ポイントとしては、何が描かれているか、どんなふうに描かれているか、どんな時代に描かれたのか、となっています。

鑑賞ガイドは、100点以上の作品を大きな流れの中で鑑賞するには大きな手助けになりました。

大人だけでなくお子さんにも是非、人類の貴重な財産を肌で感じてもらいたいと強く思いました。

ルノワール展で改めて感じたことは、自然や日常的な風景を明るくのびやかな筆触で描き出していること、そして肌色や雲の色など?光”の使い方が絶妙で作品が輝いているように見えたことなどが印象的でした。

風景画のコーナー解説でルノワール自身が述べているように、「そのなかを散歩したくなるような絵画が好きだ」。

外の暑さを忘れ、皆さんも会場に足を運びちょっと贅沢な時間を作ってみてはいかがでしょうか?

投稿者 Inoue: 19:00

2016年07月07日

英国国民投票の結果が企業の時価総額にも大きく影響
〜18歳選挙の参院選、7月10日には投票所へ!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

7月に入り東京地方は空梅雨の様相で気温の変化も激しいですね。
皆さん本格的な夏に向けて体調管理には十分留意してください。

英国の国民投票により、欧州連合(EU)からの英国の離脱が決まった以降、世界的に株価が暴落、世界経済の成長の鈍化が懸念されています。

■時価総額半年で約1兆ドルの減少!
7月5日の日本経済新聞には、2016年上半期(1?6月)の世界主要企業の時価総額に関する記事が掲載されていました。

記事によると、世界の上場企業全体の時価総額は6月末時点で約66兆ドル(約6800兆円)、2015年12月末に比べて約1兆ドル(1.5%)も減少したとのことです。
※世界取引所連盟(WFE)のデータと、世界の株価の動きを示すMSCIオールカントリー・ワールド指数から推計。

その要因は、中国など新興国の経済成長に陰りが見えていること、欧州や日本での金融政策への不信感などから、オリンピック・イヤーにもかかわらず世界経済成長への期待感が低下していることの表れのようです。

6月末の時価総額トップ10の顔触れは1位(昨年12月末ランキング1位)がアップル(米国)、2位(同2位)アルファベット(米国)、3位(3位)マイクロソフト(米国)、4位(5位)エクソン・モービル(米国)、5位(4位)バークシャー・ハザウェイ(米国)、6位(6位)アマゾン・ドット・コム(米国)、7位(9位)ジョンソン&ジョンソン(米国)、8位(8位)フェイスブック(米国)、9位(7位)ゼネラル・エレクトリック(米国)、10位(19位)はAT&T(米国)と相変わらず米国企業が圧倒的な強さを見せています。

「世界の主要企業の株式時価総額は上半期に明暗が分かれる動きになった。IT(情報技術)や金融など景気変動で業績がぶれやすい「景気敏感業種」で時価総額が落ち込んだ一方、日用品や通信など不況に強い業種はむしろ増加した。グローバル景気への根強い不安感を映し出している」と分析しています。 

時価総額の減少額が最大だったのが米アップルで、6月末での時価総額は5236億ドル、半年で600億ドル(10%)失った。2位のアルファベット(グーグルの持ち株会社)も同様に489億ドル(9%)目減りした。金融でも減少が目立ち、時価総額11位の米銀大手ウェルズ・ファーゴは374億ドル、14位の中国工商銀行も144億ドル減らしたようです。

その一方で、不況に強い「ディフェンシブ業種」の時価総額はむしろ増加しているとし、日用品・医薬品のジョンソン・エンド・ジョンソンは494億ドル、通信大手のAT&Tは539億ドル増加しています。

日用品や携帯電話での通話などは生活に欠かせないため、景気が悪化しても売上高は落ちにくいと評価されているようです。

また、石油メジャーなどエネルギー企業の時価総額が特に大きく増加した理由としては、2月から原油価格の反発が続いて収益改善期待が強まったためとし、中でも20位にランクされたロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭)の時価総額は上位20社の中では最大の764億ドルの伸びを記録し1.5倍に急拡大しています。

日本企業では50位までにランクインしている唯一の日本企業であるトヨタ自動車は、減少幅は434億ドルで順位も2015年12月末の31位から39位に低下しています。

世界的な景気に対する不安に加え、英国国民投票によるEUからの離脱決定がさらに追い打ちをかける形になっているようです。

■マスコミの情勢報道ではなく自己判断で投票を
英国の国民投票に関しては、直前の調査では残留派がやや有利とされ、大方の予想は僅差でEU残留、であったと思います。しかし、ふたを開けてみると一転して離脱派が勝利しました。

世界のショックも大きかったと思いますが、最もショックを受けているのは英国国民自身かもしれません。離脱派リーダーが間違った数字を唱えたことで再投票の声が上がっていますが、覆水盆に返るのは難しい状況の中、今後の動きに注目したいところです。

日本は今まさに参議院選挙終盤。情勢を伝える各新聞の世論調査結果が出ていますが、その一方で大手紙が実施した選挙情勢調査は、無所属や諸派の候補者名を省いて投票先を聞き出すという、不適切な方法によるものだったとの疑惑が報道されるなど混沌としています。

参議院選挙は選挙権年齢が18歳になって初の国政選挙です。是非、若い人たちには7月10日に投票所に足を運んで、自分の意志で1票を投じてもらいたいと考えています。

しかし、現実は甘くはないようです。7月4日の報道では、初の18歳選挙となった福岡県うきは市長選挙で、新たに選挙権を得た18、19歳の投票率が38.38%だったことが、市選挙管理委員会の集計で分かった、とのこと。

このブログでも再三にわたり警鐘を鳴らし続けていますが、日本は少子超高齢社会、財政危機、医療・保険制度の破たん、非正規雇用者の増大、都市集中と地方の格差拡大、などなどさまざまな課題を抱えています。

参院選に続き首都東京では都知事選挙が行われます。すでに候補者選びでヒートアップしていますが、私は今こそ次の日本を担う若い世代の見識と行動力に期待したいと思います。当然、私たちの世代も課題解決に取り組むことが必要ですが。

投稿者 Inoue: 16:35

2016年07月01日

日本史の学習や学び直しが静かなブームに
〜小学生から国際分野で活躍するビジネスパーソンまで

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

サッカーの欧州選手権で強豪イングランドは初出場のアイスランドに敗退(6/29)し、監督は辞任。欧州連合(EU)離脱を問う英国の国民投票で敗れたキャメロン首相も同様に辞任を表明しています。

政治とスポーツ。分野はそれぞれ異なりますが、相次いで報じられた2つのビックニュースに共通する相似性と意外性に強く惹かれました。

いうまでもなく英国のEU離脱の国際経済に与える影響は大きなものがあります。国内で現在爭われている参院選に影を落とし、また、新たに選挙権を得た240万人近い18歳、19歳の投票行動の行方も含め、意外な結果を招くのではないかといった予感を持ちました。

私のブログの読者の中にも初めて選挙権を行使される方も多くいらっしゃると思います。期日前投票も含め、7月10日には投票所へ行って欲しいと思います。

■いま、日本史が必要とされるワケ
最近、ビジネスパーソンの間で、日本史の知識を身に付けることが静かなブームになっているといいます。こうした世相を反映してか週刊東洋経済(6/18発行号)は、「ビジネスマンのための学び直し日本史」をテーマに大特集を組んでいます。

作家の佐藤優氏が企画・編集を担当した『いっきに学び直す日本史』(教養編と実用編の全2冊)が、計10万部近いベストセラーになったのも、「日本史を勉強しなくてはならない」という読者の潜在意識に触れる「何か」があったからだといわれます。

この「何か」の大きな要因の一つとしてグローバリゼーションを挙げています。ビジネスの世界では外国人と接触することが日常的になってきており、国際分野で活躍するビジネスパーソンは、英語に堪能で、取引相手の国や民族の事情についてもよく勉強しているといわれます。

しかし、意外と苦労するのが、外国人から日本の歴史に関する質問をされたときだといいます。たとえば、外国人の間でも抹茶は有名。「どうして日本では茶の湯が流行したのか」と外国人に尋ねられたときに皆さんならどう答えるのでしょうか。

■知っているとトクする本
また、この週刊東洋経済では、外国人に日本の歴史や文化を尋ねられた際に頼りとなる書籍『日本?その姿と心?』(学生社、1982年刊)を紹介しています。

1982年の初版から10版を重ね、累計100万部の隠れたロングセラーのようです。大手商社、自動車メーカーなど企業の社員教育、米国大使館、在日米軍でも使われているといいます。

そしてこの本は、新日本製鉄(現在の新日鉄住金)の社員のニーズから生まれたといいます。技術指導などで海外に行くと、現地の人から日本についていろいろ質問されるが、英語で答えられないばかりか、自国の歴史や文化を知らないために、日本語でも答えられないことに気づいたことが始まりとか。

そこで40年ほど前から、よく聞かれる項目を若手社員が持ち寄り、まとめていた。それを本社人事部能力開発室が中心となって冊子にしたところ、評判となって出版されたというユニークな経緯をもちます。

たとえば、下記のような沢山のQ&Aで構成されています。Qだけ一部を紹介しましょう。皆さんならばどう答えるのでしょうか?

徳川幕府はなぜ260年も続いたのか?
Why Tokugawa shogunate succeeded as long as 260 years?

日本人にとって日本刀とは?
What Japanese swords mean to Japanese?

明治維新後に政治、経済、社会体制はどう変化したか?
How did political, economical, and social structures change after the Meiji Restoration?

国旗の日の丸の意味は?
What does the rising sun mean on the national flag?

神道とは、どんな宗教か?
What sort of religion is Shinto?

また、出版不況下でも歴史マンガ本は好調に売上を伸ばしているようです。
昨年KADOKAWAが出版した小学生向けのマンガ学習教材シリーズ『日本の歴史』(全15巻)が累計発行部数で120万部を超える売れ行きとなっているといいます。

その好調な要因をとして「東大流」という最新の歴史教育メソッドを取り入れたことやサイズをコンパクトでソフトカバーとし、持ち運びやすくしたことなどが挙げられています。

この『日本の歴史』(全15巻)は小学生向けですが、中学生レベルの内容で作られているので、高校受験や大学受験用としても活用されているそうです。

民族や歴史、文化、言語、宗教、国境を超えてステーク・ホルダー(利害関係者)とのリレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズ(PR)はグローバルビジネスの基盤となるものです。

パブリック・リレーションズに関わる私たちにとっても、英語学習は勿論のこと、日本史を学ぶことの重要性を改めて知らされました。

投稿者 Inoue: 15:15

2016年06月24日

2つのランキングに見る国家戦略の違い
〜喫緊の若い世代による世界挑戦への体制づくり

皆さんこんにちは井之上 喬です。

6月21日は二十四節気の夏至(げし)でしたね。北半球ではこの日が1年のうちで最も昼(日の出から日没まで)の時間が長い日です。

梅雨模様ですが、晴れ間には太陽の恵みを満喫しながら夏に備えたいものです。

そんな夏至の日のニュース報道の中に、中国の躍進を象徴するような2件の“ランキング”がありました。1つは「アジア大学ランキング2016」、もう1つはスパコンランキングの「TOP500」でいずれも中国の躍進に驚きました。

■東京大学が国際性の欠如でトップから陥落
まずは「アジア大学ランキング2016」から見てみましょう。発表した英国タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)のアジア大学ランキングの評価基準は、「教育の質・学習環境」、「生徒と教員の国際性」、「研究の質」、「論文被引用数」などで、THE世界大学ランキングと同じ13項目となっており、アジア諸国をはじめ、トルコ・中東を含めた22カ国の大学を対象に調査し、上位200大学を決定しています。

現地時間の6月20日に発表した最新データによると、調査開始以来3年連続で1位を保っていた東京大学が今回は7位になっています。

1位は77.4ポイントでシンガポールのシンガポール国立大学、2位には72.9ポイントで南洋工科大学(シンガポール)と北京大学(中国)が並び、4位は香港大学(香港)、5位は清華大学(中国)となっています。国内首位の東京大学は67.8ポイントで7位にランクイン、そのほかでは京都大学が11位、東北大学が23位になっています。

特に中国の大学は上位100校以内に日本の14校を上回る22校が入り大躍進。

2016年のアジアトップ50にランクインした国内大学は7位東京大学、11位(前年9位)京都大学、23位(同19位)東北大学。24位(15位)東京工業大学、30位(同18位)大阪大学、34位(同32位)名古屋大学、46位(同48位)筑波大学、48位(同58位)九州大学、49位(同63位)北海道大学の9校でトップ50に入った大学はすべて、文部科学省が推進するスーパーグローバル大学創成支援でタイプA型(トップ型)に分類されています。

東京大学は教育の質では全体の1位だったものの、学生と教員の国際性では何と70位となっており順位を押し下げた要因になったとしています。

報道によれば日本がランクを下げた原因として、シンガポールや中国の政府が大学に潤沢な資金を投入し優秀な人材を集めているのに対し、日本では「20年間にわたって大学が資金の制約を受けており世界の大学との競争や国際化のための支援が少ない」と指摘しています。

何とも残念な、そして国として危惧すべき現状が露呈した形になっています。

ちなみにTHE世界大学ランキングTOP100(2015?2016年度版)のトップ5は、1位がカリフォルニア工科大学(米国)、2位がオックスフォード大学(英国)、3位がスタンフォード大学(米国)、4位がケンブリッジ大学(英国)、5位がマサチューセッツ工科大学(MIT)(米国)となっています。

世界大学ランキングの100位以内にランクインした日本の大学は、43位の東京大学と88位の京都大学のみ。その他の日本の大学は 200位以内にもランクインしていません。

この結果がすべてとは言い切れないかもしれませんが、日本の教育現場の現状を評価する1つの指針として直視しないといけませんね。

■スパコンランキングで純中国産が1位に
もう1つのランキングは、このブログでも何回か触れているスパコンランキングの「TOP500」です。

それによると世界のスパコン性能ランキングを年2回掲載している「TOP500」で、6期連続でトップを走り続けていた中国の「Tianhe-2」(天河二号)が1位の座を同じ中国の「Sunway TaihuLight」(神威太湖之光)に譲り渡したとのこと。

神威太湖之光は中国の国家並列計算機工程技術研究中心(NRCPC)が開発した高性能プロセッサを採用、製造は上海にある国家高性能集成電路設計中心で行なわれ、OSも独自開発を採用した純中国産のスパコンとして注目されています。

この中国が国産技術で独自に開発したスパコンは、日本の「京」より約10倍速かったとのこと。

2位にも中国の「天河二号」が入っており、3位は「Titan」(米国オーリッジ国立研究所)、4位が「Sequoia」(米国ローレンス・リバモア国立研究所)と続き、日本の理化学研究所の「京」は5位。日米欧が上位を占めてきたスパコンの勢力図は大きく変わったといえます。

注目したいのは国家戦略です。中国は2000年以降に心臓部となるCPU(中央演算処理装置)の独自開発に着手し、国家戦略として技術力を磨いてきており、今後もこの方向性に変化はありません。

この国家戦略をもとにした世界最速スパコンの開発は国威発揚の手段でもあり、多額の研究開発投資を実行しているのは明らかです。

識者や専門家は、「スパコンは国家の科学技術水準や企業の競争力、軍事力にも大きく影響する」、「中国はハードやソフトすべての技術が大きく進歩し、日米欧に肩を並べた」、「今後、中国がスパコン関連技術を海外に輸出する可能性も十分ある」と評価、国家安全保障や軍事産業面だけでなく、宇宙開発やいわゆるビッグデータ解析などハイテク分野でも中国の存在が無視できないものになっているのは確実です。

以前政府の予算仕分けで、次世代スーパーコンピュータ開発予算について「なぜ2番じゃダメなんでしょうか?」と、ある議員(仕分け人)が発言しましたが、科学技術開発では、目標は第1位に置き頂上を目指すべきです。結果として1番で登頂できなくても、最初から1位を目指さず頂上を極めることは熾烈な競争下においては不可能なことではないでしょうか。

ランキングにこだわるわけではありませんが、何の分野にしても高みを目指す志と情熱がなければ成果は出てこないと思います。

若い世代がさまざまな分野で世界を舞台に挑戦できる教育システム、最先端分野への研究開発体制づくりに日本政府は本気で取り組むべきだと思うのです。

今やらないと後々に大きな禍根を残すことになると思います。皆さんは今回ご紹介したランキングをどのように感じましたか?

投稿者 Inoue: 08:42

2016年06月09日

日本の賃金ランキングは世界19位にダウン
〜世界で勝負できる日本企業を1社でも多く!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

先週末に東京を含む関東地方も梅雨入り。しばらくは湿度の高いじめじめした過ごしにくい天候が続くと思いますが、スカッとした夏空をイメージしこの季節を乗り越えていきたいものです。

■2014年賃金ランキングで韓国、スペインにも抜かれる
そんな梅雨空の日曜日、朝日新聞が毎月第1日曜日に発行している「朝日新聞グローブ」(6月5日号)の見出しは衝撃的でした。

「給料の話 おいてけぼりのニッポン」の見出しで、日本の賃金ランキングが1991年の9位から2014年はなんと19位に落ち込んだというものでした(経済協力開発機構(OECD)調べ)。

「この間、賃金水準は横ばいで、スペインや韓国にも追い抜かれた。グローバル化やIT化などはあるにせよ、あくせく働いても暮らし向きが良くならないこの現実、どうにもならないのか」と記事は続いている。

安倍首相がこの記事に目を通したかはわかりませんが、アベノミクスの大きな目標の一つになっている、利益の好循環による所得増からは程遠い現実が垣間見れます。

記事によると、OECDの統計では日本においてフルタイムで働く人の平均賃金は1997年の459万円をピークに下がり続け、2014年には400万円を割り込んだそうで、これだけ長く賃金が上がらないのは主要国のなかでも珍しい、としています。

昨年末に厚生労働省が発表した「雇用の構造に関する実態調査」によると1994年の同調査開始以来、初めて、非正規社員(パート・アルバイト・派遣社員・契約社員・嘱託など)の率が4割台を記録したといいます。

非正規社員の増加傾向の中で、さらにワーキングプアやシングルマザーについても社会問題化してきており、これらの対策を怠ると、さらに日本のランキングは落ち込むのではないかと心配しています。

また、経済の停滞とデフレが続いた日本は、国内総生産(GDP)が伸び悩んできましたが、GDPや企業の利益は平均賃金のように減ってはいないとし、生産性が上がっても、その分け前が働き手に分配されにくくなっている、といった指摘もあります。

つまり適正な利益還元がなされていないのです。

他国の状況を見てみるとまず米国では、「平均賃金が上がり続けている米国でも、高所得層が全体を大きく押し上げ、普通の働き手には果実が回っていない。」としています。

一方、中国やインドなどの新興国については、「賃金労働者が次々に生まれている。国際労働機関(ILO)によると、2013年に世界全体で賃金は2%増えたが、その半分は中国一国の賃金上昇によるものだった」としています。

また興味深い内容として米国ニューヨーク市立大学の経済学者ブランコ・ミラノビッチ氏のコメントを紹介、それによると「ベルリンの壁崩壊からの20年間で、世界の人々の所得がどれだけ増えたかを調べた。すると、「超リッチ層」(世界の所得上位1%)と、「新興国の中間層」(上位30?60%)はともに所得が6割以上増えていた。これに対し、先進国の中間層にあたる人々(上位10?20%)の所得は1割以下しか増えていなかった」と分析しています。

最近よく指摘されることですが所得格差、特に若者を中心とする所得格差の拡大は危惧されるところです。

ビジネスのグローバル化を加速することも重要ですが、働きやすい会社、世界規模で成長し続けられる会社、そんな日本企業の登場が待たれています。

■世界ICTサミット2016での企業トップの講演を聞いて
そんな中、6月6日、7日に日本経済新聞社と総務省主催の「世界ICTサミット 2016」が開催されましたテーマは「デジタルトランスフォーメーション?ビジネスが変わる・ものづくりが変わる」でした。

私が経営する井之上パブリックリレーションズが関係する企業トップとしてノキアのリスト・シラスマ会長、アカマイ・テクノロジーズのトム・レイトンCEOなどが来日し講演を行いました。

特に印象に残ったのは最初に登壇したノキアのリスト・シラスマ会長でした。「破壊的な変革」という非常に刺激的な言葉を何回か使っていました。150年の歴史をもつノキアのトップとして最近も、かつては世界ナンバーワンであった携帯電話部門を売却し、戦略的なM&Aを決断・実行し短期間で世界の通信機器大手の一角に復活、「3年前よりノキアは大きくなった。この半年間で企業価値は20倍になった」と力強く話しをしていました。

また「競合は業界の外から参入してくる。全く異なる業界から突然、参入してくる。それを意識することが重要だ」と語り、グローバル化、IT化でますます競争が激化する世界で経営者の従来の認識を変える必要性も強調していました。

IoTIndustry 4.0AIロボット自動運転などさまざまなキーワードがメディアを飛び交っていますが、これから何年後かにはこれらの技術を取り込んだ全く新しいビジネスが生まれ、全く新しい企業が勃興することでしょう。

願わくはそんな企業が日本から巣立ってもらいたいものです。そして新たな雇用を創出し成長し続ける、そんな梅雨空を振り払うような動きをパブリック・リレーションズ(PR)を通じて支援したいと強く思っています。

投稿者 Inoue: 19:03

2016年06月02日

日本人2名のエベレスト初登頂
〜世界の最年少記録は13歳で最年長は80歳

皆さんこんにちは井之上 喬です。

先週は、日本で8年ぶりとなる主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が催され、無事に閉幕。そして5月27日には現職のアメリカ大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地・広島を訪問し、世界中の注目を集めました。

日本経済新聞社の世論調査(5/29)によれば、オバマ米大統領の広島訪問について「評価する」が92%に上り「評価しない」は4%にとどまったといいます。また、欧米メディアも総じて好意的に報道し、米国の現職大統領として初の広島訪問は国際規模で強い支持を集める結果となったようです。

さて日本中がサミットの報道で沸き返っている中で、もう一つのサミット、エベレスト登頂に関する2つのニュース(5/27付)が目を引きました。

■19歳女性と聴覚障害登山家(51歳)
1つ目のニュースは、早稲田大の女子大生、南谷真鈴さん(19歳)が5月23日に世界最高峰エベレスト(8848メートル)登頂に成功したというニュース。

「日本ヒマラヤ協会」(福島市)によると、これは日本人最年少の登頂になるようで、それまでの記録は1週間前の19日に登頂を果たした東京経済大学3年の伊藤伴さん(20)だったそうです。

南谷さんは本人のフェイスブックで「なんだか自分でも信じられません。友人や家族をはじめ感謝の気持ちでいっぱいです」とコメントしています。

南谷さんは昨年10月には、ネパールにある世界第8位のマナスル(8163メートル)の登頂に成功。これも日本人最年少での8000メートル峰を登頂し、女性では世界最年少の同山登頂を達成したとのこと。

さらに今年1月には、南極大陸最高峰のビンソン・マシフ(4897m)の頂を踏み、そのままスキーで南極点にも到達したという、何とも凄い女子大生ですね。

2つ目のニュースは聴覚障害を持つ登山家の田村聡さん(51歳:東京都立川市在住)が5月21日にエベレスト登頂成功というもの。 

この登頂は、立川市によると耳が聞こえない人の登頂は世界で初めてだとか。また全日本ろうあ連盟は、海外のケースは分からないが日本人では田村さんが初とみられるとしています。

田村さんは登山歴37年で、3回目の挑戦で成功。立川市を通じ「酸素マスクのトラブルがあり、苦しい登頂でしたが、全力を尽くしました。ただ生きて下山することに精いっぱいでした」とのコメントが寄せられています。6月初旬に帰国予定とのことです。
 
世界の初登頂記録を見ると、2010年5月に米国の当時13歳の少年が登頂に成功し世界最年少記録を更新。14年にはインド人の当時13歳の少女が中国チベット側から登頂し、女性世界最年少記録となったとAFP通信が報じています。

■日本人のエベレストへの挑戦
エベレストに世界で初めて登頂に成功したのは、1953年5月29日午前11時30分(ネパール時間)のことで、ニュースは世界を駆け巡り少年時代の私の脳裏にも強く残っています。

人類初となる快挙を成し遂げたのは、ニュージーランド出身の登山家、冒険家であり養蜂家のエドモンド・ヒラリー(2008年1月没)とチベット人シェルパのテンジン・ノルゲイ(1986年5月没)でした。

ヒラリー卿が、世界最高峰を極めて以来、登頂成功者は5,100人を超えるといわれます。登頂者数を国別に見ると、第1位はネパール(2,264人)、以下 米国 536人)、中国 (299人)、 英国 (264人)、そして第5位が 日本の168人。

日本人の初登頂は、ヒラリー卿の世界初登頂から17年後の1970年5月11日のことでした。

日本人のエベレスト(8848メートル)初登頂は松浦輝夫さん(2015年11月没、81歳)と世界で初めて五大陸最高峰を登り、その後マッキンリーで消息を断つことになる植村直己(1984年2月没、43歳)によって実現されたのでした。

この歴史的な登頂にあたり、頂上直下で7歳後輩の植村さんが「松浦さん、頂上を先に踏んでください」と譲った話は山男の美談として語り継がれています。

これまで日本人の登頂者は、168人(延べ213人)で、男女別に延べ人数を見ると男性196人で女性17人、登頂者の平均年齢 は、41.5才程度。これまで、登頂者のうち8人(男性6人、女性2人)が急性高山病や転落などで亡くなっているとのことです。    

日本人はエベレスト登頂について3つの輝かしい世界記録を有しています。プロスキーヤーで冒険家の三浦雄一郎さんの世界最高齢記録(登頂時80歳)と登山家の田部井淳子さんが1975年に達成した女性として世界初となる登頂、そして前述した聴覚障害を持つ登山家の田村聡さんです。

日本人が初登頂1970年は、丁度、私の経営する会社(株式会社井之上パブリックリレーションズ)の創業年にあたります。パブリック・リレーションズ(PR)は、すそ野が広く、高度な知見が求められます。

今後とも、パブリック・リレーションズを通し、平和で希望ある社会づくりを目指し、より高みを極めていきたいと思います。

投稿者 Inoue: 15:49

2016年05月26日

日本が誇る最先端技術の組み合わせで新たな産業を
〜自動車、通信そして映像・放送

皆さんこんにちは井之上 喬です。

5月26日と27日に日本で8年ぶりとなる主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)が開催されています。そして27日には現職のアメリカ大統領としては初めて、オバマ大統領が被爆地・広島を訪問することになり世界中の注目を集めています。

多くの困難はあるでしょうが、核の無い平和な世界の実現に向け、日本から各国首脳が力強いメッセージを発して欲しいものです。

■最近の展示会から見る日本の可能性
今週は個人的に注目している展示会・イベントが開催されています。

いずれも興味深いもので、25日から27日に開催される「人とくるまのテクノロジー展2016横浜」(パシフィコ横浜)、「ワイヤレスジャパン2016」(東京ビッグサイト)そして26日から29日のNHK「技研公開2016」(東京都世田谷区のNHK放送技術研究所)です。

産業分野的には自動車、通信そして放送・映像と技術進化が著しい最先端分野であり、かつ日本企業が世界的に見ても競争力のある分野だと思います。

自動車分野では、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)など、そしてセンサー技術を駆使した先進運転支援システム(ADAS)など環境や安全性に配慮した次世代型自動車、関連技術が展示されているようです。

通信分野では、次世代通信規格(5G)に代表される最新のモバイル・ワイヤレス技術をコアにした、近距離無線、ネットワークインフラ、クラウド、ビッグデータ関連の製品やサービス、ソリューションが注目されているようです。

展示会は大いに盛り上がっているようですが、この背景には自動車をはじめ多くの“モノ”がインターネットにつながるIoT(Internet of Things)時代を目前に、さまざまな関連技術の融合による新しい、革新的なビジネスを創出しようとの意気込みが感じられます。

その表れか異業種からの参入やベンチャー企業、そして海外からの出展も多いようです。

■8K技術は放送だけ?
私が個人的に注目したのは放送・映像関連のニュースです。NHK放送技術研究所公開を前にした24日にNTTドコモとKDDI(au)は8K映像の伝送実験に成功したとそれぞれ発表しています。

8Kはフルハイビジョンの約16倍の解像度を持ち、総務省は2020年の東京オリンピック開催に合わせた実用化に向け、早ければ今年中に試験放送を始める予定だそうです。

ドコモはフィンランドのノキアと研究を続けている8Kの配信実験の結果を公表、無線配信できる独自技術を利用し、データ量が多い8Kの映像をほぼリアルタイムで伝送可能で、スポーツやニュース配信などの利用にも問題がないとみており「五輪の中継を鮮明な動画で楽しめる」としています。

この実験では次世代通信規格(5G)を活用しており、今後、5G対応の端末機器や通信インフラが整えば、いつでもスマホやタブレットで8K動画を視聴できるようになるとのこと。

またKDDI(au)はNHKと共同で、光ファイバー回線を使い8K放送の配信に成功、テレビなどに接続してスポーツの試合でグラウンド全体の画面と選手個人の顔のアップなどを同時に観戦するといった、1つの画面で複数の映像を見ることが可能になるとのことです。

8Kの実用化に向けては、通信インフラ、カメラ、放送機材、中継器、ディスプレイ、最新端末の開発など多くの課題もあるようですが多くの日本企業の英知を結集しオールジャパンで世界をリードしてもらいたいものです。

以前、NHK放送技術研究所で8K映像を視聴したことがあります。その素晴らしさは今でも目に焼き付いています。8K映像にはこれまで考えられてきたテレビなどの用途ではない新たな可能性はないのでしょうか。

例えばハイビジョンの約16倍の高精細さを活用した遠隔治療など医療への応用、大画面でのミニシアターへの応用、空港やターミナル駅などでの大型の情報表示装置への応用など。

そのためには多くの企業のさまざまな優れた技術の組み合わせが不可欠になります。これまでのパブリック・リレーションズ(PR)を通じたネットワークを活かし、新しいビジネス創出に向けたネットワーク構築が出来ないか胸躍る一週間でした。

投稿者 Inoue: 17:38

2016年05月20日

就活学生へのアドバイス
〜面接で大事なのは「言葉のキャッチボール」

皆さんこんにちは井之上 喬です。

2017年春の入社に向け、本年3月1日からの就活解禁(企業エントリースタート)に続いて、6月1日からは経団連加盟の大手企業を中心に面接選考が本格化します。

志望する企業の内定を取るために、就活学生が面接で気をつけるべきことについて、先日の日本経済新聞(5/16朝刊)で紹介されていました。就活されている人たちに少しでも役立つ情報を提供できればと思っています。

■文章を丸暗記して話すのはよくない
就職情報サイト「マイナビ」の吉本隆男編集長によれば、企業が面接を通じて知りたいことは、(1)入社後に成果を出してくれそうか、(2)組織の中で周囲とうまくやっていけそうか――の2点に絞られるそうです。様々な質問を投げかけてきますが、(1)、(2)に適した人物像かどうかを見定めようとしてとのことだとか。

またマイナビが昨夏、面接で何を聞かれたか就活生に調査したところ(複数回答)、回答の多い順に「自己PR」「学生時代に打ち込んだこと」「志望動機」がベスト3に挙がったとのこと。

これら3点については、よく求められる質問でほとんどの学生は準備しているようですが、失敗を恐れて文章を丸暗記して話すような対応は棒読みや早口、一方的な会話に陥りやすくマイナス。面接で大切なのは面接官との「言葉のキャッチボール」だといいます。

この「言葉のキャッチボール」は、パブリック・リレーションズ(PR)の定義を支えるキーワードである「倫理観」「双方向性コミュニケーション」と「自己修正」。まさに「言葉のキャッチボール」は、「双方向性コミュニケーション」と同じ意味を持つものです。

学業や研究・サークル活動、アルバイトなどの経験を話す時に気をつけたいのは「自分が成長した点」だけでなく「周囲の人とどう関わったか」にも言及すること。仕事が1人で完結することはほぼないので、面接官に「協調して業務をこなせる人材」と印象づけることが大切。

また、吉本編集長によれば「一番差がつくのは志望動機」。企業や業界、市場トレンドなどは即興で話すのが難しい。テレビや新聞、ネットのビジネスニュースと、各企業のホームページなどで事前にしっかり情報収集しておくとよいとのこと。

面接が1次、2次と進むにつれ面接官の役職が上がりますが、面接官の役職が上がると「企業の価値観に共感してもらえるか」をより重視する傾向にあるといいます。相手企業のホームページや報道記事などから経営トップのメッセージを把握しておきたいものです。

ノックの仕方などビジネスマナーを気にし過ぎる学生もいるようですが、まずは笑顔や元気なあいさつを心がければ相手にいい印象を与えられるといいます。
留意する必要がありますね。

■就活ファッションの心得
面接のマナーや身だしなみで気を付けることは何か?ビジネスマナー講座などを手掛けるYDサポートの美土路雅子さんは「なぜそうした方がいいのか理由を理解することが大切」と指摘しています。

例えば髪形。前髪は眉にかからないように、髪の長い女性は後ろで束ねて、などと言われますが、これらは「表情が明るく見える」という理由があるといいます。縁の太い眼鏡を避けた方がいいのは、眼鏡で相手が表情を読み取りづらくなるためだとか。

女性のスカートの長さは膝下数センチといわれますが、これは品があるというだけでなく人前で立ったり座ったりする際に自分のスカートの裾に気を取られずに済むという実用性もあるようです。面接官に好感を持ってもらうだけでなく、就活生自身にもメリットがあるようです。

6月になればますます暑さが増します。面接会場に汗だくで現れるのも見苦しいので、移動で汗をかきそうな場合は、あらかじめ汗が引く時間も考えて早めに行動したいものです。

米国の心理学者アルバート・メラビアンは、彼の著書『 Silent messages(邦題:非言語コミュニケーション)』の中で、非言語コミュニケーション(「言葉」以外の要素、すなわち、声のトーンや大きさ、ボディランゲージや 見た目の印象)の重要性を説いています。

同氏が「好意や反感などの感情を伝えるコミュニケーション」という特定の状況下において「相手が重視するのは何か」という実験の結果を下記のように発表しています。
・言語情報:メッセージの内容が7%
・聴覚情報:声のトーンや口調が38%
・視覚情報:ボディランゲージや見た目が55%

面接選考においては、面接する側も面接を受ける側にとっても言語情報が、より重要性をもつことはいうまでもないことですが、併せてビヘイビアについても気を使うべきことをメラビアンは示唆しています。

私もたびたび大学の教え子に就活のアドバイスをしたり、彼らから頼まれ志望企業の紹介をすることがあります。

その際必ず助言することは、単に企業に雇ってもらうのではなく、自分が仕事を通してその企業や社会に如何に貢献できるかをしつかり伝えることが重要であるということです。

そして、パブリック・リレーションズ(PR)の手法を使い、リレーションシップ・マネジメントを実践することの必要性を伝えるようにしています。

これから面接選考が本格化する時期を迎えますが、就活生の皆さんが体調管理に留意して、一日も早く志望する企業から内定を得られるよう願っています。

投稿者 Inoue: 14:06

2016年05月12日

パブリック・リレーションズ(PR)業界は人材不足?
〜世界に通用するPRパーソン育成を

皆さんこんにちは井之上 喬です。

ゴールデンウィークも終わり5月も中旬となりました。

「五月病」という言葉があるように、新年度4月から新生活スタートされた方は、ちょうど1カ月で疲れも出るころかと思います。

新緑が目にまぶしい季節、自分のペースをしっかり保ち、自信を持って五月病を吹き飛ばしましょう。

■PRニーズの高まりと人材不足
GW直前の4月27日付けの日経MJに、業界関係者にはちょっと刺激的な「敏腕 広報欲しい! ベンチャー、熱き争奪戦」との見出しの記事が掲載されていました。

リード部分を紹介しますと「広報担当が足りない。メディアへの露出を狙うベンチャー企業などが広報部門を相次ぎ新設し、足元の求人数が急増・・・・」と言うもの。

メディア・リレーションズを中心とするパブリック・リレーションズ(PR)にかかわる人材不足を指摘する記事でした。

記事の中では、経済広報センターが3年ごとに実施する調査委結果として「広報の人員が少ない」と言う悩みを抱える企業は2014年で2011年比7ポイント増の40%になった、と紹介しています。

それを裏付けるデータとして、エン・ジャパンでは2016年1?3月の広報の求人数は前年同期比で70%増加していると紹介しています。

日本のパブリック・リレーションズ業界にとって、業界自体の地位確立とともに、パブリック・リレーションズ業務を通じ社会貢献できる人材の育成は以前から急務でした。

公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会は、広く社会の発展に寄与するPRパーソンとしての知識やスキル、職能意識を有することを認定する資格制度として「PRプランナー資格認定制度」を導入し、2007年度からスタートさせました。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)でもPRプランナー資格を持つ社員が多く在籍していますが、協会によると累計でPRプランナー資格を持つ方は現在2000人を超えているそうです。

■人材育成はライフワーク
この制度の骨格づくりには、私も資格制度委員会メンバーの一員として深く関わってきました。

業界関係者がスキルアップも含め資格認定制度を活用することも重要ですが、業界の底上げのためにも学生や若い人たちがパブリック・リレーションズに興味を持つきっかけになることを期待したいところです。

そのためにもPRプランナー資格認定制度自体のさらなる充実と、制度自体の価値向上への取り組みを協会には期待したいと思います。

また、世界的に通用する質の高い実務家の輩出を実現するには、大学をはじめとする教育機関でのパブリック・リレーションズ講座の設置が必要とされます。しかし現状ではその数はまだ限られています。

私も「パブリック・リレーションズを通し社会に貢献すること」を企業理念に掲げ、会社経営に関わるとともに2004年から早稲田大学(一部大学院)でのパブリック・リレーションズ講義、2012年から京都大学経営管理大学院、今年は国際教養大学での同講義を通してこれまで2000人以上の受講生がPR業界だけでなくメディア、商社、政府機関など広く社会で活躍しています。

究極的には、幼児段階からのパブリック・リレーションズと近い意味を持つ、「絆(きずな)」教育にも力を注いでいきたいと考えています。

世界で活躍できるパブリック・リレーションズ(PR)パーソンの育成は私のライフワークであると強く感じています。

投稿者 Inoue: 10:00

2016年05月05日

四方洋さんの死を悼んで
〜人間味と慈愛に溢れたジャーナリストの帰天

こんにちは、井之上 喬です。

毎日新聞(2016年4月30日)の訃報で「四方洋さん80歳(しかた・ひろし=元サンデー毎日編集長)4月29日、特発性間質性肺炎のため死去」と報じられました。

つい2週間前の日曜日には、元気な姿をみせ、近くのお店でランチをご一緒しただけに、突然の知らせに心の整理がつきませんでした。

連休で東京を離れていた私は急ぎ5月2日、聖イグナチオ教会(千代田区麹町)で執り行われたお通夜に出席させていただきました。

四方洋さんとの初めての出会いは、四方さんがサンデー毎日編集長時代。私がパブリック・リレーションズ(PR)の仕事に邁進し始めた頃でした。

当時日本楽器製造(現在のヤマハ)の取締役広報部長の佐野雄志さんが急逝された際の遺稿集編集責任者として私のオフィスを訪ねてこられたのが最初でした。

以来今日まで40年に及ぶお付き合いになります。暫くお付き合いが途絶えたこともありましたが、偶然、奥様を通じてご近所同志であることが判明してから再び交流が深まっていったのでした。

■厳しく、優しいジャーナリスト
四方さんは、私が尊敬するジャーナリストの一人ということだけでなく、公私ともにお世話になった方です。

とりわけこの何年か一緒に仕事をする機会が多くなっていました。ご自身が蕎麦専門誌の編集長(季刊誌「蕎麦春秋」)だったこともあり蕎麦通で、休みの日には近くの行きつけのお蕎麦屋さんを二人で梯子しながら、時事問題を論じたり、危機管理やメディア対応などで意見交換したものでした。

こうした折に、四方さんのジャーナリストとしての厳しい視点とともに、人間性溢れる温かさや優しさを感じたものです。

四方洋さんは、京都府綾部市の出身で京都大学を卒業後、毎日新聞社に入社。社会部副部長、サンデー毎日編集長、学生新聞本部長などを歴任し、平成元年に退社。その後、東邦大学薬学部(人間科学)教授、高速道路調査会参与、町田市民病院事業管理者を経て、『蕎麦春秋』編集長。

著書に『土着権力』(講談社)、『離婚の構図』(毎日新聞社)、『いのちの開拓者』(共同通信)などがありますが、ジャーナリストとして、教育者として、また著者としての幅広い人生経験が、豊かな人間性の源泉になったのでしょうか。

写真:左から、在りし日の四方洋さん、北村憲雄さん、岡崎幸治さん、筆者、山根公高さん(昨年7月20日、「ナレオ・パーティ」にて)

写真:昨年7月、当社 設立45周年パーティーで祝辞を述べる四方さん

■「レッスン、オネ」のエピソード
四方さんの郷里は、京都綾部ですが、4年ほど前に当時立ち上がったグローバルビジネス学会の最初の全国大会に興味を示し出席いただいた際、私に話したことが今でも鮮明に心に残っています。

当日の朝、大会会場の早稲田大学国際会議場に向かう車の中で、「グローバルビジネス学会は英語と深い関係があるのに、私は英語が全くダメ」と終戦直後の新制高校一年生時の体験を語ってくれたのでした。

それは四方さんが当時通っていた高校が地理的事情で農業高校だったことからか、英語教師から受けたショッキングな体験でした。

新学期の最初の授業でその先生は英語の教科書を開き「レッスン、オネ」と第一声を発したのでした。その時、英語のたしなみがあるクラスメートから、「Lesson Oneの間違い」と教えてもらったと言います。

戦後の学制の混乱もあり、その教師の本職は漢文の先生だったにもかかわらず、急遽英語の授業に駆り出され、前述のように笑えない状況が作り出されたようです。

以来、この授業での体験がトラウマになり、社会に出ても英語に対する苦手意識がぬぐえなかったと言います。

そんな四方さんが、この学会には強い興味を示され、学会が注力する地方再生がこれからの日本にとって重要とし、昨年からグローバルビジネス学会の理事を引き受けてくださっていました。

四方さんは何年か前に大病を患ったことがきっかけで、カトリックの洗礼を受けたと言います。信仰を得たことで、これまで見えなかったものが見え、人生の味わいが大きく変わったと生前語っていました。

四方さん、これまで本当にありがとうございました。

四方洋さんの上に神の豊かな祝福がありますようお祈りいたします。

投稿者 Inoue: 20:01

2016年04月29日

「母の日」の贈花に脱定番化
〜最高のプレゼントは家族と一緒過ごす時間

皆さんこんにちは井之上喬です。

大型GW最終日となる5月8日の日曜日は「母の日」。1,000億円を超える「母の日」商戦に向け、生花店や生活雑貨店が多彩な商品の販売に力を入れているといいます。

これまで「母の日」に贈る花は切り花のカーネーションが定番でしたが、長い間楽しめるアジサイや高級感のあるランの人気が年々高まっているようです。

■もともとは白いカーネーションだった
アメリカに住むアンナ・ジャービスという少女の母親が亡くなったのは、1905年のこと。その3年後の1908年5月10日、アンナはフィラデルフィアの教会で、亡き母を追悼するために白いカーネーションを祭壇に飾り、出席者にも配ったという逸話があるそうです。

白いカーネーションは、アンナの母親の大好きな花だったとのこと。 この逸話から、「母の日」にカーネーションを贈る習慣ができたといわれます。その後、母性愛を象徴する赤いカーネーションが定番になったともいわれています。

消費者嗜好の多様化に伴い、第一園芸(東京・品川)は、今年の「母の日」商戦向けに人気の高まりを反映しランを販売するといいます。ランは、これまでは1万円程度が売れ筋でしたが、最近は2万円程度のランが好調のようです。とくにピンク系などで柔らかい印象を与える微妙な色合いのものが上品な雰囲気で人気が高いようです。

一方、日比谷花壇はアジサイの販売を強化。「母の日」向けのネット専用商品で、2015年のアジサイの注文数は14年に比べ3割以上伸びたことから、今年はアジサイの鉢物を増やしたとのこと(価格は7,020円から)。

他にはマッサージクッションやバラやオレンジの香りの入浴剤、ローズの香水、肌に潤いを与えるフェースパックなどの癒し系商品。エプロンやキッチン用品など仕事に家事に忙しい母親の疲れを和らげる実用商品に人気が集まっているとか。

■贈る側と受ける側(母親)とのギャップ
日比谷花壇では、2006年から「母の日」期間限定で情報提供ポータルサイト「母の日コム」を立ち上げ、「どんなプレゼントを贈ろうか?」「もらうとうれしいものは?」など、贈る人と受ける人のそれぞれの意見についてのアンケート調査結果を公表しています(対象は約3,500人)。

以下はそれぞれのベスト3です。

【(1)贈る側】
質問:
今年の母の日にはどんな贈り物をしますか?

回答:
1.お花をプレゼント55.1%
2.一緒の時間を過ごす 13.2%
3.お小遣い・ギフト券をプレゼント 9.1%

【(1)受ける側】質問
質問:
母の日にどんなことをしてもらえたら嬉しいですか?

回答:
1.家族と一緒に過ごすこと29.6%
2.お花のプレゼント 25.1%
3.メッセージ・手紙をもらう 21.6%

【(2)贈る側】
質問:
母の日に食べてもらいたいお料理は?

回答:
1.和食 32.3%
2.ご当地グルメ・お取り寄せグルメ 27.1%
3.家族の手料理 21.4%

【(2)受ける側】質問

質問:
母の日に食べたいお料理は?

回答:
1.家族の手料理 31.0.%
2.洋食(フレンチ・イタリアンなど) 26.5%
3.和食 20.3%

さて、気になる予算について贈る側の意見は下記のような結果になったようです。
回答:
1. 3,000-4,999円 35.9%
2. 3,000円未満 33.4%
3. 5,000-6,999円 19.2%
4. 10,000円以上 7.2%
5. 5,000-9,999円 4.2%

これまで何度かこのブログの中で、パブリック・リレーションズ(PR)は、主体(企業・組織・個人)を取り巻くさまざまなステークホルダー(パブリック)との間のリレーションシップ・マネジメントと紹介してきました。

あなたとお母さん、あなたのご家族とお母さんとの素敵な母の日の過ごし方を見つけてください。

投稿者 Inoue: 14:30

2016年04月15日

2日休めば10連休という大型GW情報
〜海外旅行は2.8%増、国内微増

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

2日休めば10連休という大型ゴールディンウィーク(GW)が間近になりました。2012年には、同じく2日休めば9連休があり、このブログでも紹介しました。さて、皆さんのGW計画はいかがでしょうか。

ゴールデンウィークの由来は2つあるようです(日本文化いろは事典)。
1つは日本映画界の造語であるという説。もう1つはラジオの「ゴールデンタイム」からきたという説です。しかし、どちらの説もはっきりとした確証はないようです。

「日本映画界造語」説は、1951年に現在のゴールデンウィークにあたる期間に上映された映画「自由学校」が、正月やお盆時期よりヒットしたのを契機に、より多くの人に映画を見てもらおうということで作られた造語だったということです。

もう1つの「ゴールデンタイム」説は、大型連休の期間が最もラジオの聴取率の高い時間帯だったため「黄金週間」といわれていましたが、インパクトに欠けることから「ゴールデンウィーク」になったという説です。

私たちの世代では、「飛び石連休」という言い方を良くしていました。1985年の祝日法の改正で5月4日が休日になってからというもの、この言い方はなくなっていったようです。

■国内旅行の出発ピークは29日と5月3日
JTBが最近(4/5)発表したゴールデンウィーク(4月25日?5月5日)の旅行動向調査では、海外旅行と国内旅行を含めた総旅行者数は前年比0.3%増の2,395万6000人となったとのこと。

同調査は、一般消費者向けのアンケート、JTBグループの販売状況、航空会社の予約状況、業界の動向などをもとに推計したもの。アンケートは、ゴールデンウィークに1泊以上の旅行を予定している1,200名を対象に実施。

国内の旅行者数については、日並びが良いことなどから前年比0.2%増の2,341万人と予想されています。訪問先では、開園15周年を迎えるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)や東京ディズニーシー(TDS)、そして桜が満開の時期を迎える東北がなどに人気が集まっているとのこと。

出発日のピークは3連休の初日の4月29日と5月3日となる見込み。旅行日数については「1泊2日」が6.2ポイント増の46.7%で最も多い結果となっています。

また、1人あたりの旅行費用は、春闘結果からも収入の大幅な伸びが期待できないことなどから、1.7%減の3万5200円程度ではと予想されています。

■1人あたりの旅行費用が減少
一方、海外旅行については、旅行者数が2.8%増の54万6,000人となる見込み。これも日並びの良さや、4月以降の燃油サーチャージの廃止、今年に入ってからの円高傾向などが増加の要因として挙げられています。

また、今年はカレンダー通りとしても3連休が2回あることから、10連休を取得する人は長距離方面へ、そうでない人は短距離方面へ旅行するなど需要の多様化見られるとのこと。

旅行者数を行先別で見ると、最も多かったのは中国で16.0%増の8万7000人、次いで韓国が6.0%減の7万8000人、ハワイが9.8%増の5万6000人。

出発日のピークはアジア、グアム、サイパンなどの近距離方面が4月29日と5月3日、米国本土、欧州、豪州などの長距離方面は4月29日と30日となる見込み。1人あたりの旅行費用に関しては、近距離方面の旅行需要の増加や燃油サーチャージの廃止などにより1.5%減の25万9000円と減少。

オンラインホテル予約サイト大手のホテルズドットコムによれば、世界の休暇日数(土日を除いた休日と有給休暇の取得日数との合計)ランキングで日本は20位。一年間の休暇日数は、26日間としています。

最も休暇が多いのはロシアの40日間。続いて、イタリアとスウェーデンが36日間で並んでいます。ランキングを見ると、ヨーロッパ諸国の休暇の多さが目に付きます。これはバカンス制度に加え、フランスでは5週間の有給休暇が法律制定されていることなど、法制度にも関わってくるようです。

アジア地域で一番休暇の多いのは韓国で18位にランクされています。日本とインドは同率の20位。台湾・シンガポール・中国にいたっては20日間に達していないという結果でした。

しかしながら、残業や休日出勤、有給の未消化などを考えると、日本人はやはり働きすぎなのかもしれません。絶え間なく外部環境の変化を把握するパブリック・リレーションズ(PR)の専門家も日々ハードな仕事をしています。

今回の10日間の大型GWをできればユックリと楽しんでもらいたいものです。

投稿者 Inoue: 12:42

2016年03月31日

好調なノンアルコールビール市場
〜若者のビール離れとアルコール飲料の多様化

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

ノンアルコールテイスト飲料市場が活気づいているといわれます。新商品が続々と発売され、市場も着実に拡大しているとのこと。ノンアル台頭の背景には、消費者の「飲み方」の変化があるようです。

今回のブログでは、私も飲む機会の増えているノンアルコールビールを始め、ノンアルコールテイスト飲料についてお話したいと思います。90年も前になりますが、奇しくも3月31日は「アルコール専売法」(1937年)の公布日に当たります。

■味のバリエーションに魅力
ノンアル市場が大きく伸びたきっかけは、アサヒビール「ドライゼロ」などが発売された2012年からといわれます。その後も着実に成長を続け、ビール飲料の出荷量が11年連続で減少しているのと対照的な結果となっています。

ノンアルが好まれている要因として、アサヒビールの調査では購入者の8割が味を重視しているといい、アルコールゼロであることよりも高い値となったようです。

サントリーホールディングスが月1回以上ビールテイスト飲料を飲んでいる500人の女性に聞いたところ、ノンアルコールビール飲料の魅力として、多くの女性が「ビールの味が楽しめる」点を挙げたといいます。

ビールテイスト飲料は本格的なビールに近い味が楽しめるというだけではなく、例えば「ドライゼロ」ではカルピスで割ってみたり「ドライゼロブラック」と混ぜてハーフ&ハーフで楽しむといった飲み方も好評なようです。

ノンアルコールビールは当初、ドライバーや妊婦などビールを飲みたいけれど飲めない人をターゲットにしてきたという経緯があります。今ではスポーツの最中や友人が集まる休日のランチ、バーベキューなどで飲まれることも多くなってきているとしています。

最近、欧米のバーでは「モクテル」というジャンルが確立されつつあるといいます。モック(偽の)とカクテルを組み合わせた言葉で、アルコールが入っていなくてもカクテル気分が味わえるようです。こうした味のバリエーションが広がっています。

■アルコール飲料に大きな転機
調査会社マクロミルによると、20代前半の社会人男性が自宅で飲む飲料としてビールを選んだ割合は42%、20代後半以降の男性では6割がビール類を選んだとのこと。

女性は20代前半の過半がチューハイやサワー、カクテルを選ぶが、30代を超えるとビールを選ぶ割合がチューハイなどを上回るといいます。

ビールは依然として、アルコールの中で中心的な存在として変わらないようですが、若者のビール離れは否めないようです。

こうした傾向を踏まえ、ビールメーカー各社は新製品の発表や若者に人気のアーティストを広告キャンペーンに起用するなど、移り気な消費者の定番ビールの座を巡り、各社のシェア獲得競争は需要期の夏に向けて一段と熱を帯びそうです。

また中年層以上も健康志向で朝型の生活に切り替えた結果、深酔いするような飲み方が減っているとか。人口減少の中で働く女性や外国人の増加などの要因も絡みノンアルを含めたアルコール飲料界は、大きな転機を迎えているといえそうです。

ノンアルコールといえば、私の会社(井之上パブリックリレーションズ)恒例の新宿御苑における「お花見」はアルコールの持ち込みが禁止されていています。ちょうど今日は全員で御苑にランチボックスを持ち込みお花見を楽しみました。

お花見には最高の陽気で苑内には染井吉野や山桜など沢山の桜が咲き誇っていて、まさに春爛漫を味わうことができました。

アルコールが入っていないせいか、御苑ではお酒に酔って騒ぐ人もなく、春風を感じながら桜を愛でることができます。アルコール抜きのお花見もなかなか捨て難いものがありますね。

こうしたこともアルコール飲料市場の変化に少なからず影響を与えているのかも知れません。

投稿者 Inoue: 20:14

2016年03月24日

桜の開花宣言とともに球春たけなわ
〜最先端のVR技術で新たなスポーツ体験も可能に

皆さんこんにちは、井之上喬です。

球春を告げる第88回選抜高校野球大会が3月20日に阪神甲子園球場で開幕しました。春はセンバツから、と言われるように東京でも3月21日、気象庁から開花宣言が発表されました。

平年より5日早い開花だそうです。恒例になった新宿御苑での私の会社(井之上パブリックリレーションズ)の花見は来週予定していますが、ソメイヨシノの花が残っているかちょっと心配です。

■野球ファンを球場に呼び込め
球春と言えばプロ野球も3月25日(金)に セントラルとパシフィックの両リーグが開幕します。野球ファンにとってはひいきチームの勝敗に一喜一憂する日々が始まりますね。

プロ野球は、このところ地上波テレビでは視聴率が上がらず放送されることが少なくなり、人気低迷が懸念されるプロ野球ですが、昨シーズンの観客動員数は過去最多の2,432万人を記録しています。

単純計算すると日本人の4人に1人球場が足を運んだ計算になります。セ・パ交流戦を見る限りでは、実力ではパリーグが圧倒するものの、観客動員数はセリーグが圧勝。以前から言われているように「人気のセ、実力のパ」通りの結果となりました。

昨シーズンの注目は広島でした。広島市は人口が120万人弱にもかかわらず、最大収容人数が3.3万人のマツダスタジアムの1試合平均の観客動員数は黒田効果もあってか何と約3万人、常に90%の座席が埋まっている計算になります。

広島の人たちの地元カープ愛が凄いのはだれもが知るところですが、カープギャルに象徴されるように女性ファンを球場に呼び込むための様々な取り組みが奏功したともいえるのではないでしょうか。

2016年も観客動員数の拡大に向け、各球団がどんな取り組みをするのか楽しみです。麻薬問題やとばく問題など、とかく暗い話題が多い昨今のプロ野球界、明るい話題づくりに期待したいところです。

■東京オリンピックでもVRが現実に
そんな中で注目したいのが横浜DeNAベイスターズの取り組みです。

球界初の取り組みとしてゴーグル型ヘッドマウンドディスプレイ「Gear VR」を用いた、360度の映像コンテンツ提供サービス「360(さんろくまる)ベイスターズ」を実施するとのこと。

Gear VRはスマートフォンGalaxy S6/S6 edgeと組み合わせて、コードレスで高画質な360度コンテンツが楽しめるゴーグル型ヘッドマウントディスプレイ(HMD)で、360度楽しめる様々な映像コンテンツを提供することで、球場に来たファンがより野球を楽しめるほか、球場で野球観戦できないファンも、仮想現実(VR)を楽しめるとのことです。

横浜DeNAベイスターズは「コミュニティボールパーク」化構想のもと、誰もが楽しめる新たな球場作りを目指しており、今回の取り組みでも今まで誰も体験できなかった新しいスポーツ観戦スタイルを提供するとしています。

米国の調査会社トラクティカによると、VR市場は2020年に約2兆5000億円に達するとの予想もあります。

2020年には東京オリンピックが開催されます。新国立競技場でHMDによるVRで世界のトップアスリートの躍動感を体験する、そんな現実が目前に迫っていると思うとわくわくします。

海外からの観光客がHMDを装着し東京の名跡を訪ねると、様々な言語での説明だけでなく過去の映像がVRで体験できる、そんな夢のようなことが実用化されようとしているのです。

人工知能(AI)そしてVR、スーパーコンピュータやミリタリー向けに開発されてきた最先端の技術が一気にコンシューマに身近な存在になっています。

そんな中、このような最先端技術を支える半導体で業界最大手の米国インテルの元会長兼最高経営責任者(CEO)であったアンディ・グローブ氏(79歳)が21日に79歳で亡くなったとの訃報が飛び込んできました。

グローブ氏は1968年にロバート・ノイス氏とゴードン・ムーア氏が創業したインテルに、3番目の社員として入社。1979年に社長、1987年にCEOに就任し、1997年から2005年まで会長を務め、インテル史上最大の転機である半導体メモリーからマイクロプロセッサーへの事業戦略転換をリードし、マイクロソフトとともにWintelと呼ばれるパソコンの黄金時代を築いた人物。

私の会社では、インテルが16ビットマイクロプロセッサ(CPU)8086を開発した1978年のノイス氏来日時の記者会見、1981年にグローブ社長が来日した際の記者会見を行うなど数々のコンサルテーションを行ってきましたがグローブ氏の訃報に接し、ハンガリー系米国人でとても優しく紳士的だった同氏のお人柄を想いだします。

心よりご冥福をお祈りいたします。

投稿者 Inoue: 20:58

2016年03月11日

あの日から5年
〜日本の針路を大きく変えた東日本大震災、福島第1原発事故の教訓を生かす。

皆さんこんにちは井之上喬です。

今週金曜日の3月11日は、東日本大震災東京電力福島第1原発事故発生から5年目を迎えます。

5年が経ちましたが福島、宮城、岩手などの被災地復興は思うように進んでいないように感じます。津波からの復興とともに、原発事故からの復興は想像を絶する時が必要になると思います。

この時期になると、被災地に関するニュース報道が増えてきますが、全体的な傾向としては年々情報量が少なくなっていると感じ気がかりです。決してあの日を風化させてはいけないと思います。

あの日以降、日本は様々な面で大きく変わったという現実を国民一人一人が意識しながら、被災地の状況や復興の現状を常にwatchしていく必要があると思います。

■首相視察で福島を水素エネルギーの供給基地に、常磐線の全線開通も
東日本大震災から5年目を前に安倍首相が3月5日、福島県で復興の現状を視察した、との報道が多くのメディアで流れていました。新聞報道によると、政権復帰以降の被災地視察は今回で28回目だそうです。今回の福島視察で安倍首相は、福島県を水素エネルギーの供給地にする構想と実現に向けた官民会議の設置を表明しました。

「福島県を日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地にしたい」と述べ、2020年に福島県で燃料電池車1万台分の水素を再生可能エネルギーからつくる「福島新エネ社会構想」を明らかにしています。

また報道によると、安倍首相は「全線開通の時期を早急に示すよう国土交通相に指示した」と語り、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で一部区間(計68.6キロ)が不通になっているJR常磐線が、2020年春までに全線開通をめざす方針を決めた、としています。

JR常磐線は、特に富岡―浪江間の約21キロは福島第1原発に近く、大部分が放射線量が高い「帰還困難区域」になっています。今後、汚染された枕木や砂利石などを撤去し、新たに敷設しなおす大規模な除染作業が必要になるでしょう。

除染に詳しい知人に常磐線全線開通に関連してその影響を尋ねたところ「窓は空けずに基本的に速い速度で通過、長時間停車しなければ大丈夫でしょう」と答えが返ってきました。

また累積被曝が問題なことから、復旧作業に関わる方々の防護は重要とし、線路の回りや砂利の放射線汚染はかなり高く、除染には十分な配慮が必要、と大きな課題があることも指摘しています。

昨年の常磐自動車道に続く常磐線の全線開通は、被災地復興に向けた大きな前進だとは思いますが、単なる政権延命の人気取りで終わることが無いように願いたいものです。

■待ったなしのグローバル化でトップに求められるPRマインド
東日本大震災が日本経済の構造変化のきっかけになったのは明らかですが、財務省が2月8日に発表した2015年の国際収支速報によると、海外との総合的な取引状況を表す経常収支は16兆6413億円の黒字だったとのこと。黒字額は前年の6.3倍で、大震災前年の2010年以来5年ぶりの高水準になっています。

原油安による貿易赤字の縮小、旅行収支の53年ぶりの黒字転換などが影響し、日本の稼ぐ力が従来の輸出による貿易黒字から、証券投資や海外子会社からの配当金など投資やサービスに移っていることが鮮明になっています。

グローバル化は日本企業にとって待ったなしの状況になっています。

昨年末のこのブログでも書きましたが、2015年の世界のM&Aは過去最高を記録、世界のビジネス環境は激変の時代を迎えています。世界市場で通用する企業に成長するためには、新たな企業価値の創造と企業トップ自らの戦略的な情報発信がより重要になっています。

このようなグローバル競争下でリーダーに求められる資質とは何でしょうか? まずリーダーはパブリック・リレーションズ(PR)に精通している必要があります。企業トップのストーリーテリングが重要であり、新しい企業像・ビジョンをトップ自らが世界にアピールすることが不可欠になっています。

激変の時に大きな潮目を的確に読み切り行動する。パブリック・リレーションズ(PR)が大きな経営資源の柱の1つになっていることに疑問の余地はありません。

投稿者 Inoue: 10:44

2016年03月03日

『きずなづくり大賞2015』から
〜東京新聞が1面で紹介

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日は、雛祭り(桃の節句)。雛まつりの起源は300年頃の古代中国で発祥した上巳節に遡るといわれています。その上巳節を遣唐使が日本に伝え、やがて江戸幕府が3月3日を「桃の節句」と定め、5月5日の「端午の節句」に対し、3月3日は女の子の節句として定着してきたようです。

2007年のスタート以来、私が運営委員会の委員として参画し、今年9回を数える「きずなづくり大賞2015」(東京都社会福祉協議会)。今回は東京新聞(3/1と2日朝刊)の紙面で、優秀作品や表彰式(写真の上段中央が筆者)などについて写真入りで大きく報道されました。

きずなづくり大賞2015 〜地域や家族の多様な「つながり」をつくろう

表彰式で、主催する東京都社会福祉協議会の青山佾会長は、大都会には、いろいろな生活課題を持っているにも関わらず、遠く離れた家族にも、身近な地域社会の人たちにも相談できずに孤立しがちな人たちがたくさんいる、として地域の繋がりの重要性を強調しています。

こうした中、今回の「きずなづくり大賞2015」では、地域や家族の多様な「つながり」をいかに構築していくかをテーマに作品が募集されました。

パブリック・リレーションズ(PR)は、パブリックやステークホルダーとのリレーションシップ・マネジメント(良好な関係性の構築・維持)を通して、目的を最短距離で達成する手法です。

今回のテーマに限らず、この「きずなづくり大賞」には、いつもリレーションシップ・マネジメントの原型ともいえる実践事例が多くみられます。

このブログでは、入賞11作品の中でも私の心に強く残った作品について紹介したいと思います。

■『点字の向こうに笑顔が見える』
東京都知事賞を受賞した関場理華さん(東京都新宿区)の作品『点字の向こうに笑顔が見える』は、こんな書き出しから始まります。

受賞後スピーチする関場さん受賞後スピーチする関場さん

「家族が寝静まった夜、あるいは家事や仕事のスキマ時間に、私は点字を打つ。百人一首の札に、一枚一枚点字を打ったシールを貼っていくのだ」

「始まりは、目の見えない友人の眩きだった。『お正月になると普通の学校では百人一首大会が開かれるのに、どうして盲学校には無いのかしら?』」

全盲の中学生を抱える関場さんにとっては、他人ごとではなかったといいます。調べていくと、授業で和歌の暗記等はあっても、かるた遊びは無いことが判明。まずは、全盲の人がかるた遊びが出来るよう工夫してみることにしたといいます。

そんな「お母ちゃんの手作り活動」に、東京都新宿区社会福祉協議会「視覚障害者交流コーナー」の声掛けで、かるた会のバックアップや登録ボランティアへの呼び掛けがされ、音訳・点訳・木工工作等々の、多種多彩な特技を持った方々からの協力を得られたといいます。

前述の東京新聞(3/1朝刊)には、「記憶力と瞬発力が火花を散らす百人一首の競技かるた。目の不自由な人にも楽しんでもらおうと、点字付きのかるたを開発した。全国の福祉施設で、静かなブームとなっている。」と報じられました。

関場さんが始めた「お母ちゃんの手作り活動」がこうしたブームを呼ぶまでに発展していったのです。

■『国分寺市内藤地域センター図書室』
東京新聞賞を受賞したのは、岡本真理子さん(東京都国分寺市)の作品『国分寺市内藤地域センター図書室』。

受賞後スピーチする岡本さん受賞後スピーチする岡本さん

同図書室のある内藤地域は、国分寺の端に位置しています。5館あるいずれの市立図書館からも離れていて住民は日頃から不便を感じていました。

国分寺市議会へ「内藤地域センター図書室に図書サービスを求める陳情」を、約三千筆あまりの署名と共に提出し、平成2年(1990年)に開館の運びとなったといいます。

ただし最初は、閲覧だけで貸出しはできませんでした。ボランティアが集まり貸出しが可能となり、さらに、平成14年(2002年)10月より土曜日の利用をボランティアの努力で実現させたそうです。

貸し出しを始めて25年。子どもだった利用者が親になり、子どもを連れて本を借りに来てくれる姿に岡本さんは本当に喜んでいるようです。

最後になりますが、9歳で運営委員会委員長賞を受賞した石田果音さん(東京都渋谷区)の作品『うちのお母ちゃんはだれにでもあいさつする』に触れておきます。前述したように、2007年の設立から運営委員を務める私にとって、最年少で9歳の石田さんの入賞は初めてです。

運営委員会委員長賞(青少年特別賞)を受賞した石田さん運営委員会委員長賞(青少年特別賞)を受賞した石田さん

小さい時から、街で出会う人に母親が明るくあいさつする姿をみて育った石田さんは、「お母ちゃんのあいさつはたくさんの人たちがわたしを見まもって毎日安心して生活することにつながっています。わたしもお母ちゃんを見ならい、これからも元気にあいさつをしていきます。」と作品を結んでいます。

「あいさつ」は、きずなづくりの基本中の基本。小学生の少女が、こうした視点から作品をまとめ、受賞に輝いたのはとても嬉しいことです。

「きずなづくり大賞」に応募される作品の中には、多くのヒントが隠されています。

昨年ご紹介した、シングルマザーの子供やお母さんを対象にした子供食堂(『あさやけ子ども食堂』)や育児に悩みを抱えるママさんに自宅を開放しコミュニティの場を提供する話など、これまで、社会が抱える様々な課題に取り組んでいる活動が多く紹介されています。

私たちの願いは、こうした活動を一人でも多くの人たちに知ってもらい、活動が日本全体に広がっていくことです。民間(個人)やNPO/NGOの試みが行政と力を合わせて、社会を少しでも良い方向に導く力になればと願っています。

投稿者 Inoue: 18:51

2016年02月25日

4月から電力小売り自由化スタート
〜市場開放、経済活性化のためにも賢い消費者になりましょう

皆さんこんにちは井之上 喬です。

寒い日があったりで本格的な春の訪れにはまだ遠い感がありますが、暦の上では雨水も過ぎ三寒四温を繰り返しながら、来週からは弥生・3月を迎えます。

■来週開催の「スマートエネルギーWeek」でも電力小売り自由化が大きなテーマに

日本にとって年度替わり、節目の月である4月には、戦後60年以上続いた大手電力会社による電力小売り市場の独占が崩れ、電力小売りの自由化がスタートするのは皆さんご存知の通りです。

2011年3月11日の東日本大震災とそれにともなう東京電力福島第1原子力発電所の事故がこれらの大きな変革のきっかけになった事実も忘れてはならないことだと思います。

「電車の定期とセットで電気料金がお得に」
「都市ガスとセットでお得」
「ガソリンが1リットル10円引き」
「携帯電話とセットで5%お安く」といったように、消費者の気持ちを引くような電気料金の新プランに関する広告が年明け以降目立っているように、皆さんも感じませんか?

電力小売り自由化にともない事業参入のために“新電力”に登録した企業数はガス会社、石油元売り会社、携帯電話事業者、民間鉄道会社など約170社に上るそうです。

私たち消費者は賢く電力会社を選び、市場開放による料金値下げの恩恵を受けたいものですね。

電力小売り自由化を目前した来週3月2日(水)から4日(金)までの3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)でバイオマス発電展や電力自由化 EXPOなど新エネルギーに関連する9つの専門展示会を集中開催する「スマートエネルギーWeek 2016」が開催されます。
http://www.wsew.jp/ 

主催は日本最大の国際見本市主催会社であるリード エグジビション ジャパン(石積 忠夫代表取締役社長)で、井之上パブリックリレーションズは、開催期間中のプレスセンターの運営などパブリック・リレーションズ(PR)に関する支援を行っています。

「スマートエネルギーWeek 2016」のなかで開催される第2回となる「 電力自由化 EXPO」では、注目の電力会社や新電力事業者による電力小売りサービスをはじめ、顧客管理などの事業支援システム、電力比較サービスなど、新電力ビジネスに関連する製品・技術・サービスや新電力から一括で見積をとれるサービスなどが出展されるとのことです。

皆さんの時間が許せば、会場で電力小売り自由化に関する情報を入手し、賢い選択をしてはいかがでしょうか。

■情報を選別しまずは1人1人の行動が大切に

各メディアも電力小売り自由化を前に特集記事を組んでいます。電力小売り自由化で先行するイギリスやアメリカなどの事例を紹介しながら、我々の生活に不可欠なインフラである電気のこれまでとこれからについて考える良い機会を与えてくれていると感じています。

大手メディアのエネルギー担当記者に電力小売り自由化に関し期待と課題、明と暗、などについて意見交換しましたが率直な感想はこうでした。

「電力という20兆円の巨大エネルギー市場が開放されることで、新規参入企業が増え、消費者には料金値下げやサービスの向上というメリットが期待できまる。その一方で、早くも新規参入を断念した新電力会社が表面化するように、電力事業者として自社で発電設備を保有していないと事業継続が困難になるなど事業としての難しさも改めて浮き彫りになっているのではないだろうか」

また、「このような状況はアメリカなどでも顕在化したことだが、結果として一部の大手企業しか参入できない状況が生まれ、これが自由化という理念に即したものであるかとの疑念払拭できない」と取材に基づく冷静な分析をしています。

こうした一方で、都市ガスの小売り全面自由化も2017年予定されており、旧態依然とした大手電力、大手ガスのみが牛耳る市場構造は確実に変化するのではないでしょうか。エネルギーの自由化は日本経済全体にとっても新たな雇用や設備投資を促す機会になり、単なる価格だけではなく、サービス向上に向けた異業種提携も増えていくことが期待されています。官制の安定した状況に胡坐をかいてきた産業界への警鐘と変革への期待もされています。

そして大切なことは、1人の消費者としてできることはまず試してみるということではないでしょうか。「大した値引きでもないし、今のままでいいや」というのは、変革を好まない日本社会が構造的に抱える問題といえなくはありません。
電気やガス、鉄道など我々の日常生活に当たり前になっているインフラ。しかし、東日本大震災などでも明らかになってように、ひとたび大きな災害に見舞われてしまうと、それまで当たり前であったサプライチェーンが崩壊し私たちは何もできなくなってしまう現実があるのも事実です。

競争がなく安定供給されてきたインフラに頼る時代は終焉しているのではないでしょうか。遠くの大規模発電所から長い距離を経て供給される電力から、地産地消型の小規模発電による安定的な電力供給へ、私たち消費者が今こそ考え方を変え行動すべき時なのかもしれません。

そのためにパブリック・リレーションズ(PR)が果たす役割は大きいと思っています。

投稿者 Inoue: 21:59

2016年02月04日

AIの進化でコンピューターが囲碁でも人間に勝利
〜開発したグーグルが時価総額でトップに躍り出る!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今週は2月3日が節分、翌日が立春で暦の上では冬から春へ。皆さんは、「鬼は外、福は内!」豆まきをされましたか。

そして来週は中華圏では最も重要とされる祝祭日である春節を迎えます。新暦の正月に比べ盛大に祝賀され、中国や台湾のみならずシンガポールなどでは数日間の祝日が設定されています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズのクライアントでも、来週1週間は休業といったケースが結構あるようです。改めて新年が良い年でありますように。

■ついに囲碁の世界でもコンピューターが人間に勝利
その1週間前に非常に興味深いニュースを目にしました。米国グーグルが米国時間の1月27日、同社傘下の人工知能(AI:Artificial Intelligence)ベンチャーであるDeepMindが開発したAIシステム「AlphaGo(アルファ碁)」がコンピュータープログラムで初めて囲碁のプロ棋士に勝ったことを明らかにし、詳細な論文を英国の科学雑誌「Nature」で発表したとのこと。

以前このブログでも紹介したように、コンピューターと人間の頭脳対決では、1997年に米国IBMのスーパーコンピューターDeep Blueがチェスの世界チャンピオンに、将棋では2010年に女流棋士にそれぞれコンピューターが勝利しています。しかしながら正式なルールの囲碁でプロ棋士にコンピューターが勝ったのは今回が初めてだそうです。

ニュース解説によると、囲碁はチェスや将棋に比べて盤面が広く、局面の数は10の360乗に達するといわれ、天文学的な数の局面をすべて計算し予測するのはさすがの最新のコンピューターでも勝つのは不可能とされ、プロ棋士に勝利するのは早くて10年先とみられていたようです。

今回は、従来のAI手法だけではなくディープラーニング(深層学習)を組み合わせたアプローチをとったとのこと。

つまり盤上の石の配置などを情報としてインプットし、12層のニューラルネットワーク(神経回路網)によって、次に打つべき手を判断する。人間同士の対局の3000万手についてトレーニングしたのち、新たな戦略を見つける訓練や、ニューラルネットワーク同士で戦わせるなどの強化学習を重ねたそうです。

結果、アルファ碁は2015年10月に英国ロンドンで欧州チャンピオンのプロ棋士ファン・フィ氏に挑み、5戦すべて勝利したとのこと。この勝利に続き、3月には韓国ソウルで世界トップと言われるイ・セドル九段との5回戦に挑む予定だそうです。

その結果やいかに!

AIの研究開発は、1950年代に米国でスタート、半導体技術の進化でコンピューターの処理能力が飛躍的に成長したことが開発を後押してきました。

1980年代に、私もMITの人工知能研究所とかかわりを持ちましたが、当時は人間の脳がまだ勝っていました。しかし2000年代に入って人間の脳の働きをまねた情報処理方法ディープラーニングが開発されたことで人工知能は一気に進化し実用化が進んできました。

AIはゲーム以外にも自動運転、人協調型ロボット、医療など幅広い分野への応用が可能で新たな産業を生み出す原動力として期待されています。IBMはあのAIワトソンをビジネスに活用するサービスを始めるなど、商用にも動き出しており、世界的にAIの研究開発が盛り上がると期待されています。


■ついにグーグルが時価総額でアップルを抜いた
そんななか2月1日のニューヨーク株式市場の時間外取引で、グーグルを傘下に持つ米国アルファベットの時価総額が約5700億ドル(約69兆円)に上昇し、2011年夏以降、トップを守ってきた米国アップル(約5350億ドル)を抜いて、世界首位に躍り出たとのこと。

時価総額ランキングでこれまでトップを独走していた感のあるアップルの時価総額は、主力のスマホiPhoneの販売が鈍っていることへの懸念から同社株が売られ、このところ6000億ドルを割って推移していました。

一方、グーグルの持ち株会社であるアルファベットは、主力の広告関連事業が好調で、売上と純利益ともに四半期ベースで過去最高を記録、これが好感され、買いが集まり初めて時価総額でアップルを上回ったようです。

なお米国メディアによると、2月1日時点での米株式市場での時価総額ランキングは、3位がマイクロソフト(約4350億ドル)、4位エクソンモービル(約3240億ドル)、5位フェイスブック(約3200億ドル)と続き、エクソン以外の4社はすべて新興勢力。

豊富な資金力をバックにグーグルは次々と企業買収を行っていますが、M&Aをてこに自動運転やロボットなど成長分野でのビジネス創出を着々と進めているのは皆さんもご存じのとおりです。

自動車、そしてロボットと日本が世界をリードしているといわれている分野でのグーグルの脅威。今こそ日本の英知を結集しクラウド、IoT、Industry 4.0そしてAIなどの分野での新産業創出競争を勝ち抜きたいものです。

積極的なパブリック・リレーションズ(PR)の導入が急がれています。

投稿者 Inoue: 19:02

2016年01月30日

2015年の中国「10大経済ホットワード」
〜第1位は「2人っ子政策」

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

私の知人の徐静波さんが発行兼編集人を務める『中国経済新聞』(アジア通信社)の1月号(1/15発行)に2015年の中国「10大経済ホットワード」が掲載され、興味深く読ませていただきました。

徐さんは、中国共産党全国代表大会と全国人民代表大会の取材を認められたただ一人の在日中国人ジャーナリスト。

私たちは、年末恒例の「日本の10大ニュース」や「世界の10大ニュース」に触れる機会は多いですが、中国に限定されたこの種の情報は少なく、このブログを通して皆さんにも紹介させていただきます。

■36年間にわたった「1人っ子政策」

2016年元旦から「2人っ子政策」は正式に実施されました。第12期全国人民代表大会常務委員会第18回会議は12月27日、「人口・計画出産法改正案(早案)」の採決を行い、36年にわたって実施されてきた「1人っ子政策」は正式に終結することとなったようです。

第2位は「A株の暴落」。A株とは上海証券取引所や深セン証券取引所に上場している中国本土の投資家が取引できる株式のことだそうです。

上半期に力強い値上がりを見せたA株が暴落し、6月中旬からの52取引日で上海総合指数が5割り近くも値下がり。また、1000銘柄以上がたびたびストップ安となるなど、投資家にとって2015年は悲喜こもごもな年となったようです。

第3位は「2軒目の頭金」。2015年は、不動産市場で大きな動きがあったようです。日本のメディアも中国の不動産不況をたびたび報道していましたが、昨年3月30日、7割を下回ってはならないとされていた2軒目の住宅購入の頭金比率が、いっきに4割へと引き下げられたこと。

9月30日には、1軒目のローンを払い終わって2軒目を購入する家庭について、住宅積立金を利用した場合の最低頭金比率が2割に。さらに不動産ローンの金利は6%から5%に低下し、ここ10年来の最低となり2件目住宅購入意欲を高めることに大いに貢献したようです。

第4位には、2014年11月に中国で開催されたアジア太平洋経済協力首脳会議で、習近平中国国家主席が提唱した経済圏構想である「一帯一路】がランクされました。「一帯一路」は、中国で検索のホットワードとなっただけでなく、中国が外国に向けて大国のあり方を示す新たな「名刺」ともなったようです。

■アジアインフラ投資銀行」(AIIB)創設は第5位
同銀行に創設メンバーとして参加を宣言した57力国のうち、フィリピンを除く56力国はいずれも、昨年12月9日までに設立協定への署名を完了。国際社会における中国のプレゼンスを大いに高めることとなりました。

第6位以下は、「IPO再開」(企業上場の解禁:6位)、「春運(春節期間前後の帰省・Uターンラッシュに備えた公共交通機関の特別輸送体制)の列車チケット」(7位)、「春節での紅包(お年玉)争奪」(8位)、「ダブル11」(9位)、「人民元切り下げ」(10位)の順となっています。

「ダブル11」とは、もともと11月11日のことを指し、若者の間では「独身者の日」とも呼ばれていました。 2009年、ネット通販の大手会社であるアリババはこの日をビジネス?チャンスとして捉え、割引セールを繰り広げ、一日で5000万元(現在では約9億円)の合計売上高を達成したといいます。

以来、「独身者の日」ではなく、「独身者に限らず、皆のネットショッピング祭り」といった意味合いが深まったとのこと。

中国で多用された「10大経済ホットワード」を見ても半数は日本人には馴染みのないものでした。

お互いに良き隣人として文化や情報を共有できるよう、パブリック・リレーションズ(PR)を通した、中国とのリレーションシップ・マネジメントを真剣に考えなくては、との思いを深めました。

投稿者 Inoue: 22:14

2016年01月21日

エンゲル係数上昇中
〜消費スタイルや社会構造の変化が要因

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今日(1月21日)は大寒。一年のうち最も寒さが厳しくなる日で、この大寒は2月3日頃まで続くようです。それを過ぎると少しずつ暖かくなり、春の訪れを感じられるようになるといいます。

1月15日の日経MJ(流通新聞)1面トップ記事の「エンゲル係数上昇中」の大きな見出しが目に留まりました。

周知の通りエンゲル係数は、家計の消費支出に占める飲食費の割合のこと。19世紀にドイツの社会統計学者フリードリッヒ・エンゲルが提唱したもので、生命維持に必要な食品は他の支出に比べて抑制が困難なことから、一般的には係数が高いと他の支出に回す余裕がなく、経済的に苦しくなるといわれています。

以前は、良く目にしたり、耳にする数字でした。最近では死語になったかと思うほど語られる機会もなく、久し振りに日経MJの記事を興味深く読みました。

今回のブログでは、この記事をベースに「エンゲル係数」や新しい食文化の傾向などについてお話したいと思います。

■「エンゲル係数」に異変
生活水準が上がったか下がったかどうかの目安となる「エンゲル係数」に異変が起きているといいます。本来なら経済成長とともに下落するパターンが崩れ、急ピッチで上昇しているとのこと。

これは、世帯人数の減少に伴う個食化や外食化に加え、増税や原料高が重なり、新たな食スタイルが生まれつつあるといいます。

総務省が2015年末に発表した同年11月の家計調査(2人以上の世帯)では、エンゲル係数は25.7%で、7カ月連続で25%を超えたといいます。これはバブル期以来、約25年ぶりの高水準。経済成長とともに係数は低下し、近年は23%前後だったものが、この2年ほどで跳ねあがっているようです。

これまでも増税や原料高はあったものの、デフレの影響もあり、今回のような急速なエンゲル係数の上昇は起きなかったといいます。流れが変わったのは食を巡る消費スタイルや社会構造の変化にあるようです。

変化の要因の一つに共働きの増加が挙げられています。夫婦共働きで、3歳の子供を抱える女性は「週に4?5日は夕飯で子供と外食か、できあいの加工食品を食べる」といいます。

共働き世帯の場合は、調理の準備や後片付けの時間をできるだけ削り、子供とのふれあいや仕事に回したいとの心理や「食に対してはお金をかけてもいい」とう考えもあるようです。

■「集食(しゅうしょく)活動」をご存知ですか?
一方で食費の増加から節約に動く人たちもいます。

家族だけでは望ましい食卓を実現できないと感じた消費者が、血縁に関係なく集まって食事をする。そんな「集食(しゅうしょく)活動」が、じわじわ増えているといいます。

午後6時を過ぎると、1人、また1人と同じ建物の中に入っていく光景が見られます。これは、近くに住む人たち同士が食材を持ち寄り、思い思いに作った夕飯を一緒に食べ、食費を割り勘して、解散。そんなことをするための施設が昨年4月、東京都杉並区の住宅街にできたといいます。

私設の名称は「okatte(おかって)にしおぎ」。今年1月7日の夜には、計8人の男女が集まったとのこと。食卓には七草がゆ、カニ汁、焼きナス、豚肉と青菜のにんにくいため、サーモンのサラダ、イカとサトイモの煮物、つくだ煮など、多彩なメニューが並んだそうです。

この日、参加者が支払った代金は1人250円。それと別に、水道・光熱費として100円の会費のみ。

誰がどんな食材を持ってきて、何を作るかといったことはネット上のスケジュールソフトで共有し、調理は早めに着いた人などが担当。

参加者の主たる目的は食事を通じたコミュニケーションにあり、食費を浮かすことは二の次。ただ大人数だからこそ実現できる「豊かな食生活」に魅力を感じているのは確かなようです。

こうした集食活動などの動きについて、私たちパブリック・リレーションズ(PR)の専門家からは、食文化の中に新たなリレーションシップ・マネジメントが生まれようとしていると見ることができます。

2017年に予定される消費増税で、食品全般にはこれまで通りの8%の税率を適用する見通しになっています。しかし、食品以外の支出増は避けられず、エンゲル係数の上昇はいったん止まる公算が大きいと推測されているようです。

私たちの世代では、エンゲル係数の上昇は食費が嵩んで生活が苦しくなるといった意味合いをもつ数値でした。

食生活の変化もありますが、貧富の差が拡がりつつある日本社会において、今後、エンゲル係数がどのように推移していくのか、注目していきたいと思います。

投稿者 Inoue: 16:41

2016年01月15日

恒例の「CES」レポート、存在感増す自動車など
〜キーワードはやはりIoT

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今週は成人の日がありました。新成人を迎えた皆さんおめでとうございます。様々なことにチャレンジして国際人としての活躍を期待しています。

ちなみに総務省の統計によれば、新成人は122万人で昨年と同数で男性は63万人,女性は59万人で昨年と同数になっているとのことです。

新成人人口について,この推計を開始した昭和43年からの推移をみると,第1次ベビーブーム世代の昭和24年生まれの人が成人に達した昭和45年が246万人で最も多くなった後,減少に転じ,53年には152万人となり、その後,昭和50年代後半から再び増加傾向を続け,第2次ベビーブーム世代の人が成人に達した時に200万人台(最多は平成6年207万人)となった後,平成7年に再び減少に転じて以降は減少傾向を続けているようです。

■自動運転技術などに注目
この時期の私のブログで恒例になりましたが、世界最大の家電見本市「CES」が米国ネバダ州ラスベガスで6日から9日の4日間開催されました。今年も年明け早々に現地ラスベガス入りし、CESのPRサポートを行った井之上パブリックリレーションズの担当者からの報告や報道記事をもとに今年のトレンドを追ってみました。

出展者数は3600社以上に増え、会場は例年にも増して混雑していたとのこと。業種も世界を代表する電機メーカーに加え自動車メーカー、ソフト関連企業などに拡大しています。その中での注目はやはり自動車メーカーの動きでしょう。

CESのあと11日からデトロイトで北米国際自動車ショーが開催されるにもかかわらず、自動車メーカーの出展が年々増えており、今年はトヨタ、BMW、アウディなど大手自動車メーカー9社、部品を含めると自動車関連企業が115社出展したとのことです。

写真は、インテル(写真1)、ソニー(写真2)、トヨタ(写真3)とベンチャー企業ブースが集まるEureka Park(写真4)。

20160115-1.jpg写真1:インテル

20160115-2.jpg写真2:ソニー

20160115-3.jpg写真3:トヨタ

20160115-4.jpg写真4:ベンチャー企業ブースが集まるEureka Park

自動運転などの新技術を披露するとともに、会期中に独アウディと米クアルコム、独フォルクスワーゲンと韓国LG電子が提携を発表、トヨタもシリコンバレーに設置したばかりの人工知能(AI)研究所の概要を公表、フォルクスワーゲンも電気自動車の新しい試作車を公開するなど、話題は家電を超えていたようです。

そのほかにも、CESの特徴の1つですがスタートアップ企業が、CESに合わせ自社技術や製品をこぞって出展しますが、今年は前年比3割増の約500社にのぼり、普及著しい3Dプリンター関連も3割増の約60社が出展したとのこと。

そのほかにもセンサーなどの電子部品技術、注目のドローンも多くの出展があったようです。

■IoTビジネスに必要な戦略的な連携
キーワードはやはりIoT(モノのインターネット)で韓国サムスン電子グループは、会期中の講演でIoT事業について他社との連携を積極的に進めることを表明、具体的なパートナーとしてBMWやマイクロソフトなどの名を挙げ業種、国籍を超えた連携を起爆剤にIoTビジネスを一気に加速させようとの意気込みが感じられました。

速報性の強いテレビのCES報道を見て感じたのは、残念ながら日本メーカーの存在感が薄くなっていることです。シャープ、東芝が様々な事情から出展を見送ったことなども影響しているのかもしれません。

IoTビジネスの本番はこれからです。日本メーカーがこの大きな流れの中で重要な役割を果たせる力を持っていると私は確信しています。しかし、一方で家電、自動車などとIT(情報技術)の融合が加速度的に進展しているのも事実です。

自社の殻を破り、企業規模にかかわらず様々な分野で世界の優れた企業との積極的な連携がなければIoT時代を生き残るのは厳しいのも事実でしょう。

今年のCESを象徴的な動きとして主催団体名が従来のCEA(全米家電協会)からCTA(全米民生技術協会)に改称したことをあげたいと思います。ITの進歩を背景に、ITと家電、自動車などの融合が急速に進み、新しい概念の製品やサービスが私たち消費者の身近な存在になってきている業界の流れを示したといえます。

日本企業の衰退は目を背けるばかりですが、来年こそ、日本のベンチャーややる気のある中小企業には、「ボーン・グローバル」精神でパブリック・リレーションズ(PR)の手法を駆使し、積極果敢にこの世界最大見本市に出展して欲しいものです。

既成概念にとらわれず進化し続ける、そのために自らチャレンジしていく。そのような世界の動きに敏感なグローバル人材を新成人の皆さんに期待します。

投稿者 Inoue: 09:27

2016年01月08日

2016年をどう生き抜くか
〜医療と介護は国民的喫緊の課題

新年あけましておめでとうございます。
旧年中はお世話になりました。
本年もよろしくお願い申し上げます。

皆さんはお正月をどのように過ごされましたか? 今年の正月三が日は久しぶりに仕事を一切持ちこまず、家族や親せきと恒例の新年会を行うなど東京でのんびり新年を楽しみましました。

以前このブログ(2012年10月1日号)でもご紹介しましたが、いま世界はフラグメンテーション(断片)化が進み大きな位相転換期にあると言えます。欧州、米国を中心にその根底をなす考え方が大きく変化しつつあるということです。

歴史的に欧州との結びつきが深かった中東でも、年初の報道にもあったようにサウジアラビアとイランとの国交断絶にみられるスンニやシーア派など宗派の対立や市民を巻き込んだ制御不能なテロによる武力闘争は混乱を極めています。

4日にはサウジに続き、バーレンとスーダンがイランとの外交関係を断絶し、中東情勢は一気に緊張を高めています。こうした不安材料に加え、中国・上海株の急落の影響を受け日本の新年相場も波乱の幕開けとなりました。

そうした中でも世界人口の60%を超え経済成長が著しいアジアが安定感を見せているのに心強さを感じます。

■医療問題解決は喫緊の課題
安倍政権による新3本の矢の行方は世界が注視していますが、課題先進国日本の目の前に大きく立ちはだかっているのは、医療・介護問題といえます。

我が国の65歳以上の人口は2010年(平成22年)の23.0%から、13年には25.1%で4人に1人を上回り、25年には30.3%(3657万人)に増え、35年には3人に一人の33.4%が65歳以上の高齢者になると見込まれています。

一方、総務省統計局の労働力調査(2015年11月速報)によると、全就業者数は6,379万人で産業別就業者を比べると、第1位が卸売・小売業(16.5%)、2位が製造業(16.3%)、次いで医療・福祉(12.5%)となります。

上位の卸売・小売業と製造業の就業者数が減少する中で、医療,福祉分野には増加傾向が見られ、近い将来に医療・福祉関連の就労者は全産業のトップに躍り出ると予測されています。

しかし、この中には低収入にあえぐ介護関係者も多く、このままいけば国家のGDPが大きく下がるのは火を見るよりも明らかです。

2014年度国家予算のおよそ12%を占める日本の医療・介護費は、今後も増え続け、団塊の世代が後期高齢者となり「2025年問題」と呼ばれている危機を迎えることになります。この現状を打破するには抜本的な医療改革しかないと多くの医療関係者が考えていますが、高齢化のスピードに反し根本的な施策が講じられていないのが現状です。

この問題解決にはいくつか考えられるようですが、一つの方法として、これまで別々だった医療と介護を統合することで、生産性の飛躍的な向上をはかる方法が考えられています。

これらは今年のグローバルビジネス学会(GB学会)のテーマにしたいと考えています。GB学会は昨年暮れに一般社団法人としてスタートしましたが、こうした社会のより良い発展のためのテーマに取り組む所存です。

■IWAOモデルとは?
医療と介護問題を考えていた時に、藤田保健衛生大学医学部、名古屋大学大学院経済学研究科の岩尾聡士教授が名古屋で推進するプロジェクトに目が留まりました。

昨年7月にGB学会の丹羽宇一郎会長と共に名古屋市主催の地方創生講演会の講師として呼ばれた際に初めて同教授にお会いしました。

岩尾教授が推進するプロジェクトは、先進的在宅医療の教育と質の向上を通して医療・介護周辺産業の創出を図り、地域インフラの構築を目指すもので、この分野では日本の最先端を走っています。

IWAOモデルの特徴は医療・看護・介護一体化と共に、1)土地や施設の所有 2)経営 3)現場(医師・看護師など)の3つを分離することで、それぞれに専門性を持たせ経営の効率化をはかろうとするものです。また事業性を勘案した直接投資の手法や フランチャイズシステムの導入など新たなシステムでやる気のある介護士が現場責任者になることで高額の所得が得れるチャンスを与え、業界全体の所得水準を引き上げようとするものです。

老年学の研究をベースに、病院、施設、自宅等々街全体で高齢の方を看守る仕組み作りを目標にしています。これらを総称してCBM(Community Based Medicine) ヘルスケアイノベーションIWAOモデルとしています。

このモデルを実践する医療機関には、岩尾教授が発足させた医療法人陽明会(理事長:岩尾康子)があります。陽明会では約600名の高齢の患者の世話を行い産官学協働でその実現を推進しています。

IWAOモデルは今後、820万戸を超える全国の空き家を自治体とも連携し、シニア住宅へ転用させるなど在宅医療の充実と医療看護介護をシームレスに連携させることにより最終的には、街全体で高齢の方を看守る仕組み創りが可能になるとしています。

この仕組み創りは、少子高齢化がより深刻化する大都市圏において最も重要であると考えているようです。また、今後日本の後を追う中国、シンガポール、韓国、タイなどの国の富裕層に向けて、このシステムの輸出が大いに期待されます。

学生時代ボクシングをやっていたという岩尾さんのほとばしるような情熱と目的完遂に向けたエネルギーに感銘を受けつつこの大きな問題には国家的視点で取り組むべきことを痛感しました。

パブリック・リレーションズ(PR)は、目的達成のためのリレーションシップ・マネジメントです。パブリック・リレーションズの専門家として今年はこの問題にも取り組んで参りたいと考えています。

投稿者 Inoue: 14:35

2015年12月31日

2015年のM&Aは過去最高、世界のビジネス環境激変の予感
〜新たな企業価値の創造と情報発信がより重要に

皆さんこんにちは井之上 喬です。

きょうは大晦日、この年の瀬をいかにお過ごしですか。新しい年2016年ももうそこまで来ていますが、大掃除や年賀状の準備などは万端でしょうか。

さて皆さんは、来る2016年をどう予測しますか?

ビジネス誌の多くは年末年始の合併号で、恒例の「2016年予測」を特集していましたが各誌の表紙を見てみましょう。

週刊ダイヤモンドは、「2016 総予測 再加速か停滞か」の大見出しで経済、産業、国際、政治・経済、地方、働き方、消費、スポーツ・文化の各分野を取り上げています。また、週刊東洋経済は、「2016 大予測」として、2016「まさか」のシナリオ、社長の先読み術、キーパーソンを直撃、政治・経済・産業、新年に買える株、生活・文化・テクノロジーの各項目をピックアップ。そして週刊エコノミストは、「世界経済 総予測2016」で2016年の世界経済はこう動く!米国、中国、欧州、株・為替、原油、となっています。それぞれの内容についてはこれから読み込むのを楽しみにしたいと思います。

年末年始に、来るべき2016年を各界の識者がどう見ているかビジネス誌を通し、じっくり読んでみるのもいいですね。

■2015年のM&A金額は過去最高に
個人的には2015年に世界規模で吹き荒れたM&A(企業の合併・買収)の動きが、2016年にはどうなるのか注目しています。

年末も押し詰まった12月29日の日本経済新聞朝刊1面の左に、「アサヒ、米飲料大手を買収」との見出しで、アサヒグループホールディングスが500億円で米飲料大手のトーキングレイン買収の方針を固めた、との記事が目を引きました。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、12 月 22 日付けで「2015年を振り返る 企業のM&Aが過去最高に」とのタイトルでM&Aに関する2015年の振り返りをしています。

それによると、企業のM&Aはそれまで金融危機以降低調であったものが、2015年の世界企業が結んだ買収契約では金額にして4兆6000億ドル(約557兆円、1$=約120円換算)に上り、これまで最高だった2007年を超えて史上最高になった、としています(調査会社ディールロジックの調査資料)。また、この増加をけん引したのは米国企業で、2兆3000億ドルの契約が結ばれ、こちらも史上最高記録となったそうです。

そして注目すべきは、買収金額が100億ドルを超えた件数が実に58件に上ったことです。従来の最多記録が2006年の43件だそうですから、それを大幅に上回っておりM&Aの大型化の傾向が見られます。

■世界規模での新たな買収戦略
また、2015年の特徴として同一業界内の企業が関わるM&Aが増加していることです。当然のことながら業界に大きな影響を及ぼし、少し前まで「同一業界で生き残れるのはトップ3」と言われる時代はすでに終焉し、世界規模で競争の質が大きく変化してきたともいえます。

2015年の世界の企業買収トップをみると、製薬業界での米国ファイザーのアラガン(アイルランド)買収が148.6B(10億)ドル(約17.8兆円)、ビール業界でのベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベイブのSABミラー(英国)買収が105.6Bドル(約12.7兆円)の2件が100Bドル超えで、欧州石油最大手の英国とオランダに本社を置くロイヤル・ダッチ・シェルの英国BGグループ買収が69.8Bドル(約8.4兆円)、米国デルの米国EMC買収が66Bドル(約7.9兆円)などとなっています。

また、分野別ではヘルスケア分野が687.5Bドル、テクノロジー分野が607Bドル、リアルエステート分野が381.1Bドル、石油&ガス分野が370Bドル、テレコム分野が328.7Bドル。

WSJは記事の中で、こうした合併のなかには、別の動きを起こすまでの1つの通過点に過ぎないものもあるとしていくつかの例を挙げています。その例としては、ヘルスケア分野でのファイザーのアラガン買収の案件は、買収後に企業が分割され、製薬業界に新たな大手プレーヤーが誕生する可能性を、また、総合化学大手の米国ダウ・ケミカルとデュポンの合併では売り上げ規模で約1300億ドル相当の価値を持つ企業が誕生するが、その後3つの新会社に分割することを明らかにしている、との例を挙げています。

米国企業を中心に2015年は、世界のビジネス界の環境を大きく変化させる動きが顕在化した潮目の年なのかもしれません。

■戦略的な情報発信がより重要な時代に
このような世界規模でのビジネス環境の大変革のなか、日本企業はどのような戦略をとるのか注目されます。

企業価値を見る1つの指針として時価総額がありますが、2015年11月末時点での世界時価総額ランキングでは、日本企業の最高位は23位のトヨタ自動車で195.76Bドル(約23兆円)、残念ながら50位までの日本企業は1社のみのランクイン。

米国企業を中心に規模の追求が進むなか、日本企業はどこに企業価値を見出すのか、何を目指すのか。こんな時こそパブリック・リレーションズ(PR)における、企業のレピュテーション・マネージメント(品格・評判の管理)がますます重要になってくるのではないでしょうか。

レピュテーション・マネージメントは、企業イメージや製品イメージだけでなく、企業収益、株主への配当額、CSR(企業の社会的責任)CSV(共有価値の創造)へのかかわりや企業の将来性などさまざまなファクターが関係しあって構築され、それをいかに戦略的に情報発信していくかが企業価値を高めるうえで重要となります。

規模も大事ですが単に規模だけではない、日本発のグローバル・ビジネスモデル、世界に通用する企業価値があるのではないかと考えます。

2016年はグローバルな視点を持ったパブリック・リレーションズへの取り組みをさらに加速したいと思っています。

皆さん、今年もご愛読いただき誠にありがとうございました、穏やかで良い年をお迎えください。

投稿者 Inoue: 10:13

2015年12月24日

クリスマスにちなんだ聖書の言葉
〜今日はクリスマスイブ

皆さんこんにちは、井之上喬です。

明日25日はイエスキリストの誕生をお祝いするクリスマスの日です。

今日はクリスマスイブですが、ここでキリストの誕生について聖書の言葉をご紹介したいと思います。

20151224.jpg

写真は、東京カテドラルに設置されている「馬小屋」



(以下、ルカ2・1-20より)

<イエズスの誕生>

2 1そのころ、全世界の人々を戸籍に登録せよという勅令(ちょくれい)が、ローマ皇帝アウグストゥスによって発布(はっぶ)された。2この登録(とうろく)は、クレニオがシリアの総督(そうとく)であったときに行(おこ)なわれた最初(さいしょ)のものであった。3人々は皆登録のために、それぞれに自分の町に帰って行った。

4-5ダビデ家とその血筋に属していたヨセフも、登録のために、すでに身ごもっていたいいなずけのマリアを伴って、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。6ところが二人がそこにいる間に、マリアはお産の日が満ちて、男の子を産んだ。7そして、その子をうぶぎにくるみ、あいばおけに寝かせた。宿屋には、彼らのために場所がなかったからである。

<羊飼いたちのイエズス訪問>

8さて、羊飼いたちが、その地方で野宿をして、夜どおし羊の群れの番をしていた。9すると、主の使いが羊飼いたちのそばに立ち、主の栄光が羊飼いたちを覆(おお)い照らしたので、彼らはひどく恐れた。

10み使いは言った。「恐れることはない。わたしは、すべての民に及ぶ大きな喜びのおとずれをあなたがたに告げる。11きょう、ダビデの町に、あなたがたのために、救い主がお生まれになった。このかたこそ主メシアである。12あなたがたは、うぶぎにくるまれて、かいばおけに寝ている乳飲み子を見るであろう。これがしるしである」。13すると突然、み使いに天の大軍が加わり。

14「いと高き天においては神に栄光、地においてはみ心にかなう人々に平安」

と、神を賛美した。

15み使いたちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行って、主が知らせてくださったその出来事を見て来よう」と互いに語り合った。16そして、急いで行き、マリアとヨセフと、かいばおけに寝ている乳飲み子を捜しあてた。17それを見て、羊飼いたちは、このみどり子について自分たちに告げられたことを人々に知らせた。18羊飼いたちが語ったことを聞いたものは皆、不思議に思った。19しかし、マリアはこれらのことをことごとく心に留めて、思いめぐらしていた。20羊飼いたちは、見聞きしたことがことごとく自分たちに告げられたとおりであったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。



幼子イエス・キリストのご降誕の恵みが、皆さんとまた皆さんのご家族そして皆さんの愛するすべての人の上に豊かにありますように。

メリー・クリスマス!

投稿者 Inoue: 21:27

2015年12月18日

今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング
〜親の想いや時代を反映

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

師走の定番ともいうべきベートーヴェンの交響曲第9番(第九)が日本で初めて演奏されたのは、およそ100年前の1918年(大正7年)。

第1次世界大戦で敗れ捕虜となったドイツ兵らによって初めて演奏されたといわれています。その舞台となったのが、徳島県鳴門市に置かれた「板東俘虜(ばんどうふりょ)収容所」でした。

故国から遠く離れた「板東俘虜(ばんどうふりょ)収容所」にいて、彼達はどのような想いで演奏し、歌ったのでしょうか。テレビやラジオ、街中で第九を聴く度に彼達への想いが私の中で膨らむことでしょう。

さて、今回のブログでは、「今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング」を紹介します。生まれる子供への想いだけでなく、名前ランキングは時代や社会の変化を映し出す鏡ともいわれています。今年はどんな傾向が見られたのでしょうか。

■最多は男の子が「大翔」で女の子は「葵」
恒例の「今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング」(明治安田生命保険調べ)がこのほど発表されました。

男の子の最多は「大翔」(ひろと=主な読み方)、女の子は「葵」(あおい)が、それぞれ1位になったとのこと。

「大翔」は2007年から11年まで5連覇の後、ランク落ちしていて4年ぶりの首位返り咲き。夢や希望に向かって羽ばたく雄大なイメージの強い「翔」に、人気が集まっているようです。

周知の通り北海道日本ハムの大谷翔平選手や中田翔選手のほかにも、人気グループ「嵐」の桜井翔さん、俳優の哀川翔さん、歌手の綾小路翔さん(氣志團)ら「翔」が付く名前の有名人はかなり多く、彼らの活躍が影響を与えているといいます。

また、今年の干支は「未(ひつじ)」(羊)。つまり、羊へんの漢字でもある「翔」の字が縁起が良いという理由もあるようです。

女の子の「葵」は、今年、「徳川家康公 薨去四百年」という節目の年にあたることから、徳川家の「葵」の御紋の効果が、「葵」人気にプラスしたのかも知れません。

男の子の2位は悠真(ゆうま)、3位が蓮(れん)と陽太(ようた)。女の子は2位が陽菜(ひな)、3位は結衣(ゆい)でした。

■「歩」は、256位から33位へと大幅にランクアップ
また、ラグビーの五郎丸歩選手の「歩」は、男の子の昨年の256位から33位と飛躍的にランクアップしたようです。

こうした名前ランキングを見ると、まさに時代や社会の変化を映し出す鏡ともいえますね。

私の生まれたのは、終戦間際で富国強兵が叫ばれていた時代です。時代を反映して、勝利(かつとし)や剛(つよし)、攻(おさむ)といった名前の友人・知人がおり、名前が時代や社会の変化を映し出す鏡といわれていることを実感します。

一方で、同じ表記でも読みが多様多種で混乱を招いているようです。例えば、今年の人気ランキングトップになった「大翔」の読みは「ひろと」「やまと」「はると」「おうが」「だいと」「たいが」「つばさ」など。

皆さんは、「大翔」をどのように読みましたでしょうか?

読みでは人気の名前に収束し、表記では個性を競うように多様化が進む――。最近の名前の流行にはこうしたメカニズムが働いているようです。

この「今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング」の中からパブリック・リレーションズ(PR)に関係する漢字を探してみました。

例えば、リレーションシップ・マネジメントであれば、「絆」や「信」、「結」、「和」などが連想されます。

男・女の人気漢字ベスト25を見ると、男の子については「和」と「結」が同じ23位に、女の子については「結」が6位にランクされていました。

このように、「今年生まれた赤ちゃんの名前ランキング」は、さまざまな視点から読み取ることができ、個人的にも興味あるデータでした。

投稿者 Inoue: 09:00

2015年12月03日

世界に類のないお年玉つき年賀はがき
〜時代を反映する賞品の数々

皆さんこんにちは井之上 喬です。

師走を迎え、年賀状づくりに余念のない方も多いことかと思います。今年の年賀状の引受開始は12月15日(月)からで、地域によって違いはありますが25日(木)までに投函すると元旦に配達されるということです。私の会社では、年賀状のデザインも決まり、丁度、印刷があがってきたところです。

以前のブログ(2011年12月6日)でも年賀状の「むかし」と「いま」を紹介しましたが、今回はその続編的な内容で、お年玉つき年賀はがきの変遷を中心に紹介したいと思います(出典:フタバ株式会社が運営するサイト「年賀状博物館」)。

■「当面の間」中止となった年賀郵便
今では、当たり前になっているお年玉つき年賀はがきの制度が始まったのは、1949年(昭和24)。前回のブログでも記しましたが、このお年玉つきという発想は、「官ではなく、民から」でたものだそうです。京都在住の林正治さん(当時42歳)のアイデアによるもだといわれています。

その背景には、1940年(昭和15)に、年賀郵便の取扱いが「当面の間」中止となり、翌41年(昭和16)の太平洋戦争突入以降は、さらに自粛の声が高まり、逓信省自らが「お互に年賀状はよしませう」と自粛を呼びかけるほどの状況がありました。終戦の年(昭和20)の正月には、どの家にも年賀状はほとんど届くことはなかったそうです。

林さんは、年賀状に賞品の当たるくじをつける、料金には寄付金を付加し社会福祉に役立てるといったアイデアをもとに、自ら見本となるはがきやポスターまでつくり、郵政省に持ち込んだといいます。

郵政省の会議では「国民が困窮している時代に、送った相手に賞品が当たるなどと、のんびりしたことを言っていられる状態ではない」との反論もあったそうですが、紆余曲折を経た後、採用が決定。世界にも類を見ない制度はこうして実現することとなったのです。

発売と同時に、この初めての年賀(専用)はがきは大きな話題を呼び、大ヒットします。戦後復興に向ける国民の思い、そして、伝統的な日本文化に基づく新年への祝賀の思い、そんな希望に満ちた気分に、この「夢のお年玉」はフィットしたのでしょう。

この年、年賀状の取扱量は大きく伸びます。これが起爆剤となり、年賀郵便の取り扱いは急伸し、1955(昭和30)年には戦前の記録を更新。その後も、同じペースで増え続けて1997年(平成9)には約37億通とピークを迎えることになります。

■来年は最高額(10万円)の賞品
以前のブログにも記しましたが、第1回(1949年)のお年玉つき年賀はがきの賞品は特等が「ミシン」で1等が「純毛洋服地」、2等が「学童用グローブ」、そして3等が「学童用こうもり傘」でした。

この時代の庶民の夢のひとつに、ホームメイドで洋服をつくることがあって「ミシン」や「純毛洋服地」が賞品に選ばれたようです。当時の収入に比べ、既製服が高価だったということなのかも知れませんね。

また、「学童用グローブ」や「学童用こうもり傘」のように視線が子供に向けられているのも、ベビーブームの反映と考えられているようです。

その後、毎年の最高賞品(1966年以降は特等が廃止になり、1等が最高賞)を見ていくだけでも、時代の移ろいを感じることができます。

1956年(昭和31)には電気洗濯機、60年(昭和35)にはフォームラバーマットレス、65年(昭和40)以降はポータブルテレビや8ミリ撮影機・映写機セットなどが続き、84(昭和59)年には電子レンジが、86年(昭和61)にはビデオテープレコーダーが登場します。

平成に入ってからは、海外旅行や最新式テレビ、パソコンなど数点の中から1点を選ぶ形式に変わります。バブル景気とその崩壊、そして、その間に進行した消費の多様化を反映した結果でもあるようです。

80年代に入ると写真年賀状の普及が進み、印画紙に家族などの写真と賀詞をいっしょに現像したはがきが急増します。

平成に入っても増加を続けた年賀郵便は1997(平成9)年の約37億通をピークに、微減傾向が続いています。これは、景気の長期低迷が続いたことやインターネットの普及で電子メールが盛んになったことなどが、その理由が挙げられています。

しかし、現在でも国民1人あたり約35通の年賀状が出されているというのは驚きですね。

ちなみに来年のお年玉年賀はがきの賞品は、1等が旅行・家電・現金(10万円)などで2等がふるさと小包など、そして3等はお年玉切手シートとなっています。

年賀状は、長い日本の伝統を背景に、日本の大衆が育ててきた文化ともいうべきものです。また、パブリック・リレーション(PR)の視点からは、関係者とのより良い関係性を維持、発展を図るリレーションシップ・マネジメントの有用なツールとして捉えることもできます。

投稿者 Inoue: 19:53 | トラックバック

2015年11月27日

装着型ロボットが医療機器に初承認
〜国際ロボット展2015でも"人協調型ロボット"に注目

皆さんこんにちは井之上 喬です。

暦の上で小雪を過ぎた今週、一気に寒さが増してきました。関東の山間部からは雪の便りも届き、本格的な冬も間近ですね。

■HALへの保険適用も検討、大きなうねりが日本でも
11月25日、厚生省は筑波大学発ベンチャーのサイバーダインが開発した装着型ロボットを医療機器として初認証し国内販売を承認しました。

ロボットの医療応用は内視鏡手術支援用ロボット「ダヴィンチ」が承認済みだが、患者さんが身に付けるタイプの製品では初めてだそうです。

厚労省は保険適用も検討しているとのことで、政府が成長戦略で重点を置くロボットの医療現場での役割が一気に拡大しそうですね。

承認された「HAL医療用下肢タイプ」は、筑波大教授でサイバーダイン社長の山海嘉之氏が開発したもので、全身の筋肉が次第に動かなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症など8つの難病のいずれかと診断され、体重や身長などの条件を満たした患者さんが対象。

テレビ報道などで実際に装着した映像をご覧になって方も多いのではないでしょうか。難病に苦しみ歩行困難な患者さんにとっては大きな朗報ですね。

このロボットを病気で歩く機能が低下した患者さんが下半身に装着。太ももなどに電極を取り付け、患者さんが動こうとしたときに脳神経系から発する微弱な信号を検知し、モーターでロボットが動き、患者さんの関節が動きやすいように補助。患者さんの体が歩き方を思い出し、機能改善に結び付けようというもの。

臨床試験(治験)では、患者さん24人が約3カ月間で9回の歩行運動に取り組み、何もしない患者さんに比べて歩ける距離を延ばした、といいます。

報道によると開発者の山海社長は「まず新潟病院など8つの病院に導入したい」のこと、1日も早い保険適用が望まれるところです。

HALが注目されたのはまず海外で、ドイツなど欧州ではすでに医療機器の承認を受けているようです。サイバーダインは3月に厚生労働省に医療機器としての承認を申請、優先審査の対象となる「希少疾病用医療機器」として当初は申請から9カ月での承認取得を目指してきたようですが、8カ月で審査が終わったそうです。

山海社長は異例の審査スピードに「新しい医療産業をつくる上で大きな改革が進んでいると実感する」とコメントしており、今後医療介護分野でのスピードが加速される感じがします。

■国際ロボット展も過去最大規模で来週開催
ロボットと言えば、「国際ロボット展 2015」が12月2日から東京ビッグサイトで開催されます。

少子高齢化、労働力不足といった社会課題解決のほか、モノのインターネット(IoT)などのテーマで開発された最新ロボット技術が展示されますが、2年に1度の業界のビッグイベントであるとともに、主催する日刊工業新聞社は、2015年11月に創刊100周年という節目を迎えたこともあり、今回の国際ロボット展は出展者数、出展規模とも過去最大のスケール大いに盛り上がりを見せているようです。

展示会はこれまで、工場などで活躍する産業用ロボット、工作機械の展示が多かったイメージがありますが、今回の大きなうねりと言えるのは"人と協調するロボット"だそうです。

この分野ではドイツのKUKAロボティクス社( http://www.kuka-robotics.com/ja/products/mobility/kmr_iiwa )、デンマークのユニバーサルロボット社( http://www.universal-robots.com/ja/ )などが先行しており、それを日本メーカーが追う形になっているようです。

人と協調するロボット? ちょっとイメージがしにくいでしょうが、これまでにない斬新なデザインで、製造ラインの中で人とロボットが安全柵無しで同じ仕事をしたり、人が急病などで休みのときにそれをカバーするロボットが自動で休んだ人の持ち場に移動して仕事を遂行する、言わば職場のアシスタント的なイメージのようです。今後どのように発展するのかちょっと楽しみでもありますね。

その他にも最新の介護・福祉ロボット、災害時の活躍を目指して開発されたロボットなどが一堂に展示されるようです。

子供のころに夢だったロボットとの生活が一歩一歩、実現に近づいているように思えます。

日本はこれまで人類が経験したことのない高齢化者社会に向かって突き進んでいます。

今後人工知能を活用した様々なロボットが市場に登場しますが、こうしたロボットの開発には単なる利便性・経済性の追求にとどまらず、倫理的な側面もカバーされなければなりません。

パブリック・リレーション(PR)の専門家には、インターメディエータ―として、これらの技術が社会と健全にかかわっていくことができるよう役割を果たしていくことが求められています。

投稿者 Inoue: 11:22 | トラックバック

2015年11月19日

世相を反映する2015年ランキング
〜有力候補に「五郎丸ポーズ」

皆さんこんにちは井之上 喬です。

この季節になると「読者が選ぶ10大ニュース(国内/海外)」とか「2016年ヒット予測」など様々な年間ランキングや来年の予測がメディアで紹介されます。その年、その年の世相を反映していて、いつも楽しみに目を通しています。

先週11月10日、ユーキャン2015年「新語・流行語大賞」の50候補が発表されました。「新語・流行語大賞」は、国内で紹介されたもので、今年、話題になった言葉を選ぶもの。2015年の新語・流行語大賞トップ10は、12月1日に決定します。

■多くの候補に安保法案関連の言葉
候補の中には、「戦争法案」「シールズ」「国民の理解が深まっていない」「アベ政治を許さない」「自民党、感じ悪いよね」や、安倍首相が野党議員に対して言った「早く質問しろよ」など、安保法案関連の言葉が多く入っていました。

また、集団的自衛権の必要条件である「存立危機事態」や「駆けつけ警護」といった言葉も候補入り。 このほかに、ラグビーのワールドカップ(W杯)で注目を集めた五郎丸選手のキック前のルーティーンを指す「五郎丸ポーズ」や、中国人観光客の「爆買い」、企業が内定を出した学生に他企業への就職活動を終了するよう迫る「オワハラ」などがノミネートされています。
過去5年の流行語大賞受賞語を見ると、2010年「ゲゲゲの」、11年「なでしこジャパン」、12年「ワイルドだろぉ」、13年「お・も・て・な・し」(この年は「じぇじぇじぇ」「今でしょ!」「倍返し」が複数受賞)、14年「ダメよ?ダメダメ」となっています。
果たしてどの言葉が、2015年新語・流行語大賞トップ10に輝くのでしょうか?是非、 12月1日の発表にご期待ください。

今回の新語・流行語大賞の選考委員会は、姜尚中(東京大学名誉教授)、俵万智(歌人)、鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)の各氏で構成されているとのこと。

■「インバウンド2000万人時代」へ
一方、こちらは「2016年ヒット予想」。日経産業地域研究所は大学教授や企業関係者、評論家など88人を対象に来年注目されそうな商品、サービス、技術など45のキーワードを基に調査を行い、その結果が日経産業新聞(11/12)で紹介されました。

首位にランクされたのは、「インバウンド2000万人時代」。来年に2000万人台が確実視される訪日外国人観光客(インバウンド)が日本経済に大きく貢献しそうだとの予想です。  

2位は「クルーズトレイン(豪華列車)登場」となりました。JR九州が13年に運行を始めた豪華寝台列車「ななつ星in九州」は最近の申し込みの平均抽選倍率が33倍と高く、いまだに予約が取りにくいほど人気だとのこと。
JR九州の豪華列車に続き、JR東日本は来春にも上越新幹線の新潟エリア(越後湯沢―新潟間)に臨時列車「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」の運行を開始予定。また、奥羽本線・五能線(秋田―弘前・青森)でも新型車両を夏に投入するなどで豪華列車の盛り上がりは必至とのこと。

3位は、「周年事業で盛り上がる二大テーマパーク」。東京ディズニーリゾートの東京ディズニーシー(TDS)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)はともに開業15周年の節目を迎える。「円安で値上げが相殺されるTDRと、京都観光とセット化できるUSJはインバウンドから支持を集めそう」と見られています。

4位は「北海道新幹線開業」。16年3月末に開業する北海道新幹線は1日13往復。運賃は競合する航空路線より2割弱安くなるようです。「本州と北海道が新幹線でつながるインパクトには大きなものがあります。国内旅行の好調も追い風」と期待が寄せられています。

5位は、来年8月開催のリオ五輪/パリンピックで、2020年の東京オリンピックへの機運も高まりそうです。こうした理由もあって「東京五輪待ったなし」が6位にランクされました。

7位以下は「定額配信サービス第2幕」、「リニューアル銀座」(8位)、「進む車の運転技術フリー(自動運転・自動ブレーキの進化)」(9位)、そして「マイナンバー」(10位)となっています。

さて来年は、この「2016年ヒット予想」はどのような結果となっていますでしょうか?今から楽しみですね。

こうしたランキングもパブリック・リレーションズ(PR)の視点で戦略構築を行うことで結果も違ってくるように思います。

投稿者 Inoue: 15:40 | トラックバック

2015年11月05日

第44回東京モーターショー2015から
〜自動車からハンドルがなくなる、免許証が不要?!

11月に入って寒さも一段と増してきた感がありますが、皆さんお元気にお過ごしでしょうか?

「第44回東京モーターショー2015」は10月29日(木)に始まり、11月8日(日)までの11日間、有明の東京ビッグサイトで催されています。
今回の東京モーターショーでは、「きっと、あなたのココロが走り出す」("Your heart will race.")をテーマに、世界一のテクノロジーを集めたモーターショーを目指し、乗用車、商用車、二輪車、車体、部品・機械器具、自動車関連サービスとSMART MOBILITY CITY 2015を含む総合ショーとして開催されています。

世界11カ国から合計160社が参加し、国内全ての乗用車・商用車・二輪車メーカー14社15ブランド、海外メーカー16社26ブランド(乗用車・商用車・二輪車)が出展しています。

マスコミの報道を通して既にご存知の方も多いと思いますが、今回のモーターショーでは人が運転しなくても走る「自動運転車」が展示だけでなくデモ走行に同乗して最新技術の体験もできるなど、大きな話題を呼んでいます。クルマ好きな方は、この週末に東京ビッグサイトへ出かけてみてはいかがでしょうか。

■事故率の圧倒的な軽減
東京モーターショーは、10月29日からの一般公開に先立って10月28日にはプレス向けにプレビューが行なわれました。当夜、日産のカルロス・ゴーン社長がテレビ朝日「報道ステーション」に生出演して自動運転について熱く語っている様子を目にしました。

日産の技術によると、自動運転は2020年、5年後の東京オリンピックが開かれる年に実用化が可能だといいます。番組では実際に自動運転のデモ運転の様子が流れ、運転席にはハンドルに代わって液晶画面があって、運転席のデザインは一変していました。

ゴーン社長は、自動運転の利点について次の二つのことを強調していました。

一つ目は圧倒的な事故率の軽減についてです。自動車事故の90%は人為的なミスといわれています。自動運転車にはAI(人工知能)が搭載され、前方は200メートル、後方70メートル、そして左右は30メートルまで認知して、判断されるといいます。

もちろん信号も認知され、このAIによって人間が運転する場合に比べて事故率は圧倒的に軽減されるだろうとのこと。

私の長年の友人で、MIT時代に人工知能研究(博士)に関わっていた、デビッド・シーゲル氏(現Two Sigma会長)は、人工知能こそがヒューマン・エラーに起因する問題の解決をしてくれると会うたびに熱っぽく語っていたことを思い出します。

そして二つ目は、運転手が不要になること。未成年や運転免許がない人で車を利用できるといったことも強調していました。

自動運転によって通勤の往復2時間がビジネスや読書に費やすことができ、映画も観ることもできます。居酒屋でお酒を飲んだ帰りに自動運転で家まで無事に帰ることができ、時間を有効に使えるといった内容でした。

ゴーン社長は、もちろんそのためには法改正やサイバー攻撃対策、地図整備などクリアにすべき多くの課題についても言及しました。

かつてUSC Annenberg Strategic PR Centerが発表したGAP?(Public Relations Generally Accepted Practices Study)によると米国CEOが企業の成功に貢献する重要な機能として、マーケティングや法務、財務などよりもパブリック・リレーションズ(PR)が第一に挙げられています(拙書『パブリックリレーションズ』第1版より抜粋)。

プレス向けプレビューの後にテレビ出演した自動車メーカーの経営トップは他にはなく、「報道ステーション」に生出演して自動運転を熱く語るゴーン社長を目にして、パブリック・リレーションズを何よりも重要視するCEOの姿勢が見て取れました。

■「ロボタク」の登場
米国グーグルは2009年から自動運転車の無人実験を始め、既に300万キロ公道を走行し無事故だったと伝えられています。

ラッシュや渋滞が少なく、日本とは道路事情が異なりますが、逆に訴訟社会とも呼ばれている米国においては、運転事故に対する賠償責任などのリスクも大きいはずです。こうした環境の中で、300万キロ無事故というのは評価に値することだと思います。

アップルも、カリフォルニア州内にある軍事基地の跡地で自動運転の走行を始める可能性があると、最近、米国で報じられています。

アップルやグーグルだけでなく自動運転化を目指す自動車市場は、様々な企業の市場参入を促しています。日本においてもベンチャー企業のロボットタクシー社、通称「ロボタク」が東京オリンピックまでに実用化を目指しているとのこと。

「ロボタク」は東京駅→新国立競技場といった限定されたルートであれば、2020年の早い時期に運用が可能だとしているようです。

2020年。そんなに遠い先ではありません。オリンピック競技以外にも水素カーや「ロボタク」が走る回る東京の景色が見られるとしたら、今から楽しみなことですね。

投稿者 Inoue: 16:09 | トラックバック

2015年10月29日

輝きの40代
〜来年のセ・リーグ監督の平均年齢は43.7歳

皆さんこんにちは井之上 喬です。

秋晴れの日が続いており、仕事にレジャーに様々な活動をするのには良い季節ですね。
ただ秋の花粉症には要注意。花粉症というと春のスギ花粉、ヒノキ花粉を連想しますが、ブタクサ(豚草)、ヨモギ、カナムグラなどの雑草やイネ科の花粉が飛ぶ「秋の花粉症」にもご用心ください。

秋と言えばスポーツの秋でもあり、ラグビーや野球、体操などの話題が毎日ニュースで流れています。

■若い感性に期待
プロ野球は日本シリーズたけなわですが、こうした中で来季に向けてすでに始動しています。

今年のストーブリーグでは、セ・リーグの新人監督人事が注目されました。顔ぶれを見ると、阪神の金本知憲新監督(47歳)、DeNAのアレックス・ラミレス新監督(41 歳)、そして巨人は高橋由伸新監督(40歳)の就任会見が10月26日に行われました。

これにより来季のセ・リーグ監督は、続投のヤクルト真中満監督(44歳)、広島の緒方孝市監督(46歳)、中日の谷繁元信監督(44歳)と6球団の監督全員がなんと40代、平均年齢43.7歳というフレッシュな陣容になっています。

ちなみにパ・リーグは楽天の梨田昌孝新監督(62歳)が最年長で、ソフトバンクの工藤公康監督(52歳)、日本ハムの栗山英樹監督(54歳)、ロッテ伊東勤監督(53歳)、オリックス福良淳一監督代行(55歳)、最年少の西武の田辺徳雄監督(49歳)も来年5月で50歳となり、平均年齢は54.2歳となっています。

企業の経営者も若返りが進んでおり、文字通り40代は働き盛り!といったところでしょうか。

40代で最近注目した人物に将棋の羽生善治四冠(45歳)がいます。

■知見と経験で潮目を読み切る!
10月26日に将棋・第63期王座戦五番勝負最終局が行われ、羽生善治四冠が佐藤天彦八段(27歳)をくだし、見事に4連覇を達成しました。これで羽生四冠は名人、棋聖、王位、王座と現在保持するタイトル全てを防衛したことになります。七大タイトル獲得は通算94期目で、相変わらずの強さには敬服します。

今回王座戦で対戦した佐藤八段は、今期最も勢いがある棋士とも言われており、対局前はさすがの羽生さんも危ういだろうと言われていたようですが、昨年と同じく最終局で勝負を制しました。

日本経済新聞で解説の豊川孝弘七段は、「シリーズを通して佐藤八段が押していたようにも見えたが、終わってみれば羽生善治。さすがの勝負強さというほかない」とコメントしています。

プロ野球、将棋と勝負の世界での40代を紹介しましたが、ビジネスの世界にも当てはまる要素があるのではないでしょうか。

私が生業にしているパブリック・リレーションズ(PR)の世界でも、日々の勉強と経験を生かし大きな潮目を的確に読み切り、一気呵成に攻めに転じることが重要です。

PRパーソンには幅広い知見や経験そして森羅万象を読み取る力が求められますが、40代の働き盛りの皆さんに負けないように、PRを通してよりよい社会の実現のために、これからも前に進んでいきたいと思っています。

投稿者 Inoue: 18:45 | トラックバック

2015年10月23日

「サステナビリティ」に関する国際シンポジウムから
〜1400余年も前から持続性は日本の伝統文化

皆さんお元気ですか、井之上 喬です。

先週イタリアのベネチア国際大学(Venice International University:写真)で、「サステナビリティに関する国際シンポジウム」(共催:アルカンターラ社、10月15-16日)が開催され、私もキーノートスピーカー、パネリストとして参加しました。

118の島々からなるベネチアの歴史は5世紀中ごろに始まりますが、会場は同大学があるサン・セルヴォロ島。

10か国を超える国の産業界、学術界からの専門家やポリシーメーカー、国連機関、NGO団体などで国際的に活躍する多くの関係者が集い、サステナビリティの重要課題に対処する議論が2日間にわたって交わされました。

また、アジア、ヨーロッパ、アメリカにおけるサステナビリティの現状や各国の規制の状況、また自動車産業とそのサプライチェーンにおけるサステナビリティがいかに変革の原動力となり得るのかなどについて熱く討論されました。

■シンポジウムで挙げられた3つの課題
1つ目は規制の枠組み。アジア、ヨーロッパ、アメリカにおけるサステナビリティ規制の主な違い。そして、これらの違いは今後、各地域におけるエコシステムへどう影響していくのかについて。

2つ目は財務への影響。企業が行うサステナビリティへの投資は、その業績にどのような影響を与えるのか。そして3つ目は、消費者にとってサステナビリティが、製品のプロセスや製品・サービスの選択を左右するほど重要な要因となっているのかどうかについてでした。

シンポジウムでは各国、各分野を代表した基調講演をはじめプレゼンテーション、双方向のラウンドテーブルやオープン・ディスカッションを通じて、それぞれの体験や実証的資料、公式の見解が前述の3つの課題を含めまとめられました。

シンポジウムはサステナビリティに関する共通のビジョン構築に貢献し、今後の活動の方向づけを行うこともでき、有意義な国際会議となりました。

写真右から呉燁(Ye Wu)教授(中国・清華大学環境学院)、ウンベルト・ヴァッターニ学長(ベネチア国際大学)、大聖泰弘教授(早稲田大学理工学部)と筆者


日本からの私以外の講演参加者は、自動車工学の専門家で早稲田大学理工学部の大聖泰弘教授、同時期にドイツ滞在中の世界初の燃料自動車Miraiのチーフエンジニアのトヨタ田中義和さんもビデオ・プレゼンターとして参加しました。田中さんは以前私の主宰する水素研究会水素燃料電池車(Mirai)についてお話しいただいたゲストのお一人。

私の基調講演では、「Japan's Tradition of Sustainability and a 2011 Tsunami Turning Point」をテーマにサステナビリティ概念の日本の伝統的な捉え方と、2011年3月11日に東日本を襲った津波が日本の諸政策に歴史的転換を促したこ
となどについてお話しました。


■脈々と流れる日本のサステナビリティ精神
以前、私のブログで「日本は世界最古の国家」であると紹介しました。日本の建国については諸説ありますが、考古学者たちが主張するように大和朝廷の基盤となる王権が畿内で成立した三世紀前期とした場合でも、1800年前となるようです。

建国だけでなく、創業1000年を超える企業が日本には7社もあります。世界的に見ても1000年以上続いた企業は12社で、上位6位までを日本企業が独占しています。

世界最古の企業は金剛組です。金剛組は寺社建築工事業を営む企業で、創業は飛鳥時代西暦578年に四天王寺の建立に携わって以来、1437年間も続いている組織体。

金剛組が今日まであるのは、これまで四天王寺が何回も火災に遭い、再建を通して建築ノウハウが後世に伝承されたとされています。

一方、伊勢神宮は20年に一度、建て替えします。その理由のひとつに「建築などの職人は30年で一世代がかわるので、師匠と弟子が技をゆずる期間を考えると20年に一度がちょうどいい」ということが挙げられているようです。

記録によれば神宮式年遷宮は、持統天皇が690年に行ったのが第1回目でおよそ1300年以上続いているとのこと。最近では、62回目の遷宮式が2013年に行われています。

持続可能性を意味する「サステナビリティ」は、近年、欧米を中心に企業活動分野でも広く用いられるようになりましたが、日本において同様な考え方が、既に1400年以上も前に存在し、これまで伝統として脈々と受け継がれてきたことになります。

また近江商人の経営理念に「三方よし」という江戸時代に由来をもつ言葉があります。「売り手よし、買い手よし、世間よし」というもので、売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということを意味しています。

近江商人が実践してきたこの理念は、パブリック・リレーションズ(PR)の根幹をなすリレーションシップ・マネジメントの萌芽といえなくはありません。

一般的にサステナビリティにはハード的側面とソフト的な側面があります。
これまで日本は幾多の困難に遭遇しながらも乗り越えてきましたが、先の大戦では、国土は完璧なまでに破壊し尽されたものの、こうしたハードウェアを失っても日本人の精神性やこれまで継承されてきた文化、技術などのソフトウェアは残りその後の「日本の戦後経済の奇跡」を起こす原動力となりました。

2011年3月11日の東日本を襲った未曾有の震災は、福島原発事故とも重なり、大参事となりましたが、一方で日本の産業やエネルギー政策に根本的な変革を迫り、日本はいま水素社会に向かって走り出そうとしています。

私たち日本人が長い時をかけて脈々と受け継いできた「サステナビリティ」は、水素社会実現のためのイノベーションに繋がることが期待され、さらに夢は広がります。

シンポジウムにおける私のスピーチを通して、人類の未来を支えるかけがえのない地球を次世代に渡すために、「倫理」「双方向性」「自己修正」を抱合するパブリック・リレーションズ(PR)が果たすべき役割への大きな期待を強く感じました。

投稿者 Inoue: 14:51 | トラックバック

2015年10月15日

NASAが「火星に水が流れている新たな証拠」を発見
〜宇宙開発の革新的な技術やアイデアのコンペも

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

米航空宇宙局(NASA)は先月28日、火星に液体の水が流れている新たな証拠を発見したと発表しました(9/29朝日新聞)。

同時に探査機が撮影した「水が形成したとみられるしま模様を示す写真」が紹介されていました。新聞やテレビでこの報道に接し、改めて火星に興味をもった人も多いことと思います。

■火星の生命探査の歴史
望遠鏡による火星観測に強い関心がもたれるようになったのは、19世紀後半から20世紀にかけてといわれます。火星の自転周期がほぼ24時間であることや四季の変化があることから、火星が地球に似ているという認識が生まれたようです。

当時は、明るい地形が陸地、暗いエリアは海と思われ、季節による色の変化は植物によるものと考えられたようです。やがて、火星表面にスジ状の構造が確認されると、これは火星に住む知的生物が建造した運河であるとする説まで登場してきました。

私が子供の頃、「火星人」といえばタコに似た生物をイメージしたものです。
これは、イギリスのSF作家によって書かれた1897年の小説『宇宙戦争』の中にタコのような宇宙人が登場しますが、そのイメージがそのまま定着したというのが有力な説のようです。

タコのような「火星人」はともかく、地球のすぐ隣の惑星に何か生物体が存在するかもしれないという想いに私は興奮し、火星に対する興味を深めていきました。

生物の存在を打ち砕いたのはマリナー4号でした。1965年にマリナー4号が撮影した火星の表面には、生物のいない荒涼とした砂漠が広がっていたこと。また、火星には生命にとって有害な紫外線を遮断する磁場が存在しないこと、加えて気圧が低く液体の水は存在できない等々、いずれも生物体の存在を否定する根拠が挙げられました。

その後も火星探査は続きます。1971年には、マリナー9号が火星周回軌道に到達。周回軌道上から約350日に及ぶ火星探査によって7000点以上の画像が得られたのです。

マリナー9号に送れること数日、ソビエト(当時)のマルス2号、3号が火星周回軌道に到達。米ソによる火星探査の競争が始まった時期です。

1976年には、バイキング1号が火星への軟着陸に成功。火星は高等な生物にとっては厳しい環境であっても、バクテリアのような生命体であれば火星にいるかもしれないという期待がもたれました。

1996年には火星からの隕石に生物の痕跡が発見され、NASAの研究者(デイヴィッド・マッケイ博士)が、火星起源の隕石に生物の痕跡らしき形状を確認したとサイエンス誌に発表。

2000年には火星からの隕石にバクテリアが生成する結晶が確認されました。 2002年、火星にメタンの存在確認、そして水の痕跡が2004年に発見され、2006年には数年前の新しい水流が、翌2007年には南極の氷が発見されます。

こうした発見を通して、火星での生命体の存在に期待が高まる中でのNASAの「火星に水が流れている新たな証拠」の発表は、「火星ファン」にとってまさに心躍る出来事でした。

■火星での居住施設の設計コンペで日本人建築家たちが最優秀賞
もう一つ、「火星ファン」の私をワクワクさせるニュースが最近ありました(10/10朝日新聞夕刊)。

NASAが、2030年代に火星で建設する宇宙飛行士用の居住施設の設計コンペを行っていて、ニューヨーク在住の日本人建築家、曽野正之さん(45歳)たち「Clouds AO と SEArch チーム」の作品が最優秀賞に選ばれたというものです。

コンペは、宇宙開発の革新的な技術やアイデアを一般から募る試みの一つ。NASAが35年ごろに計画する有人火星探査で、宇宙飛行士4人が1年間、火星に滞在すると想定し、安全で快適に暮らせる施設(約93平方メートル)を募集したもの。火星にある材料で宇宙飛行士の到着前にできていることが条件となっていたようです。

最優秀賞に選ばれた曽野さんたちは、火星の極地に大量にある氷に注目。ロボットが地下から削り取った氷を溶かして3Dプリンターに流し込み、壁などを作ることにした。居住空間は、厚さ5センチの氷壁をドーム状に二重に覆い、内部は4階建てで、キッチンやトイレ、寝室などが備わっているとのこと。

氷壁を採用したことで、昼は外光が差しこみ、夜は砂漠の一角に明かりがともったように見えるといいます。「人類が火星に到達した記念碑となる文化的で美しい施設を提案したかった」と話しているとのこと。

実際に建設されるには技術審査などに合格する必要があるようですが、何とも夢の拡がるニュースではないでしょうか。

私は今、ベネチア(イタリア)のマリオットグランドホテルで、このブログをしたためています。ベネチア国際大学が主催するシンポジウムで講演するために、一昨日、到着しました。

次回のブログでは、風光明媚なベネチアでのシンポジウムの様子や私の講演内容について紹介したいと思います。

投稿者 Inoue: 10:52 | トラックバック

2015年10月08日

連日の日本人ノーベル賞受賞でニッポンブランド大幅向上
〜世界市場での日本企業のブランド力はまだまだ

皆さん、こんにちは井之上 喬です。

今週は日本中を元気付けるニュースが続きましたね。

■大きなニュースが連続した1週間
そうです、日本人による連日のノーベル賞受賞のニュースには正直驚きました。5日には大村智北里大学特別栄誉教授が医学生理学賞、続く6日には東京大学宇宙線研究所長の梶田隆章教授が物理学賞をそれぞれ受賞。

本当におめでとうございます。

ノーベル賞のほかにも環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意、「1億総活躍社会」の実現を謳った内閣改造などテレビや新聞などマスコミが大きく取り上げるようなニュースが集中しましたね。

このように大きなニュースが続くときは、時として我々パブリック・リレーションズ(PR)会社にとっては悩ましい事態になることもあります。

記者会見やプレスリリースでクライアント企業が新製品や新技術を発表しても、大きなニュースに呑み込まれてしまい、通常でしたら記事になりやすい情報も流されてしまうケースがあります。

ニュースを予測することは出来ませんから致し方ないといえばそれまでですが、発表に向けて準備してきた努力が水の泡になってしまうときもありますから、PRでの情報発信のタイミングを計ることは難しいですね。パブリック・リレーションズ(PR)がリアルタイム・」ソフトウエアーであることの一例といえます。

しかし、今回のノーベル賞連続受賞は世界に向けて日本ブランドを強くアピールしました。

■世界ブランドランキング上位100社、日本勢はわずかに6社
そんな中、10月5日にブランドコンサルティング大手の米国Interbrand社は "Best Global Brands 2015"として、世界のブランドランキング上位100社を発表。

このランキングは、グローバルなビジネス展開を行う企業を対象に,そのブランドが持つ価値を金額に換算してランク付けするもので,今年で16 回目の発表となります。

それによると、首位は3年連続で米国アップル、2位も3年連続でグーグル。 アップルのブランド価値 は1,702億ドルとなり,昨年に対し43%増加、2位のグーグルは同じく12%増の1,203億ドルとなっています。

3位はコカ・コーラ(前年順位3位)、4位マイクロソフト(同5位)、5位にIBM(同4位)、6位がトヨタ自動車(同8位)、7位がサムスン(同7位)、8位がGE(同6位)、9位がマクドナルド(同9位)、10位がアマゾンで前年の15位から大きくランクアップしています。

日本勢は、昨年燃料電池車(MIRAI)を発表したトヨタ自動車が順位を上げ、同社を含め6社がランクイン。6位に浮上したトヨタは2008年以来の最高位。一方で2001年から毎年ランクインしていたゲーム機大手の任天堂が初めて100位圏外になっています。

自動車大手ではホンダは19位(前年20位)、キヤノンが40位(同37位)、日産自動車は49位(同56位)、ソニーが58位(同52位)、パナソニックが65位(同64位)となっており日本の自動車メーカーの健闘が目立っています。

Interbrand社のグローバルCEOジェズ・フランプトン氏はプレスリリースで、人々のニーズやそれに対応するサービスが、加速度的かつ全方位的に細分化されてきているとし、今日の世界では、成功するブランドが有する要素にも変化がみられることを強調しています。

また同氏は、「革命的な技術の発展に伴い、人々が瞬時に、真にパーソナライズされた特別な体験を求める中、ブランドは同じ速度でその要求に応えなければならない、今回発表されたTOP100ブランドの多くは,直感的に人々のプライオリティを見定め、一人ひとりの生活の中に入り込み、そしてシームレスに関係性を持ち続けることによって、ブランド価値を高めることに成功している」とコメントしています。

ビッグデータIoTなどのキーワードに見られるように、現代は私たちがこれまでに経験したことのないスピードで変化しています。企業の価値、ブランド力もこの変化を先取りする必要があるのではないでしょうか。

価値観が大きく変化する、そんな時こそパブリック・リレーションズ(PR)の役割が重要になってきます。今回紹介した世界ブランドランキングでも、100位以内にランクしている日本企業はわずかに6社です。その要因には、他社との差別化を図った開発に加え戦略的なPR展開の欠如があるのではないかと痛感しています。

皆さんはどのように感じられましたか。

投稿者 Inoue: 19:48 | トラックバック

2015年10月01日

国慶節で10月1日から7連休
〜中国人海外旅行に対する中国・韓国メディアの視点

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

前々回のブログでは、6年ぶりの大型連休となったシルバーウィークについて記しました。今回は中国の大型連休における海外旅行について中国・韓国メディアの視点を交え紹介したいと思います。

中国では、10月1日から国慶節に合わせ7連休となり、海外へ渡航する旅行客が増大しているとのこと。9月26日(土)と27日(日)の中秋節後の3日間(28、29、30日)を休暇にして12日間という超大型な連休を取る人もいるようです。

こうした大型連休を背景に中国の旅行社では、懐具合が厳しい旅行客を取り込むため、頭金だけ払えば出発できる「ローン旅行」を新しい商品として打ち出したともいわれます。

日中両国で活躍するジャーナリストで私の友人でもある徐静波さんが発行兼編集人を務める「中国経済新聞」(9/15号)では、江蘇省揚州市内の旅行社数社の取材記事を載せています。

■団体旅行から個人旅行や自由旅行へ
同紙によると、この国慶節期間中に中国人が選ぶ旅行先として日本をはじめタイ、香港、マカオ、台湾、アメリカ、欧州への人気が高く、次いで韓国やインド、マレーシアがダークホース的な存在となっているとしています。

また、中国から日本へ旅行する多くの観光客は従来型の団体旅行に満足しておらず、「東京?大阪」というお決まりの訪日ルートから離れ、地方観光スポットへと拡散する傾向も出てきているといいます。

自分のペースで日程を組み、観光先も自分で選ぶといった中国旅行者がだんだん増えてきているとのこと。つまり、団体旅行から個人旅行や自由旅行への移行が強まっていると伝えています。

外国人観光客、特に中国人観光客を呼び込もうと、国内最大手の家電販売店「LABI」(ヤマダ電機)新宿東口館をリニューアルの件も下記のように紙面で紹介しています。

「家電はもちろん、お土産や国産時計・バックなどのブランド品、くすり・化粧品・日用品などを集めた総合ショッピングセンターとして中国人観光客の呼び込みを図っている。」

■日中韓3カ国の旅行者の違い
韓国のモーニングトゥデイ(7月28日)は、「日中韓3カ国の海外旅行者を区別する方法」として旅行者の異なる特徴について次のように紹介しており、興味深く読みました。

「中国人は非常にうるさいが、金は勢いよく使う。日本人は静かで、入念に比較して買い物をする。韓国人は他国の遺跡にハングルで落書きをして痕跡を残し、仏教寺院で賛美歌を歌い、金を使わずに帰る。」

中国人旅行者の旅行費用は世界平均の2倍以上で4789ドル(約59万円)。その特徴は、目的の行動を先ず決定し、それに必要な旅行費用を後で計算するともいわれています。

また、旅先での活動は、ショッピング(63%)、観光(61%)、夕方の外出(57%)が人気。中国人が主に行く旅行先は、日本(34%)、カナダ(34%)、韓国(31%)、香港(27%)、オーストラリア(26%)の順で、パッケージ旅行(35%)より自由旅行(65%)を好むことが分かったとしています。

今日(10/1)から始まる中国の大型連休「国慶節」。爆買いで注目を集める訪日中国人が日本で何を購入したいかについて株式会社ホットリンクが提供するレポートサービス「図解中国トレンドExpress」でまとめています。

ベスト3の中で、先ず1位は、酵素ダイエット食品/サプリメント。中国では「酵素」を使ったダイエット商品が最近人気となっており、中国で購入するよりも品質が良く、安全かつ効果があるということで日本の「酵素」製品が上位にランクされています。

2位は、文房具(消せるボールペン、高品質のメモ帳やノート)。日本の可愛らしい文房具は中国の若い女性に人気が高く、さらに国慶節の時期が新学期開始から1ヶ月後となり、お土産として文房具の需要が高まると見られています。

3位のカーメンテナンス用品も、以前から日本製品の人気が拡大しているカテゴリー。自動車の車内用芳香剤を例にあげると、日本で300 円で売られている商品が中国では1,200 円もするといいます。中国ではこれからアウトドアシーズンに入ることもあり、この時期に人気が高まる可能性があるようです。

周知の通り中国からの観光客は年々増加しており、2014年度の訪日中国人は240万人を超えています。前年度比約80%増(=100万人以上増)という驚異的な伸長を示し、対訪日中国人ビジネスが有望な市場であることを示しています。

2015年1月からは中国人観光客に対するビザの発給要件がさらに緩和されたこともあって、この勢いはさらに強まると予測されます。

中国・韓国メディアに示された中国人旅行者の新たな変化、つまり中心都市から地方観光スポットへの拡散やパッケージ旅行(35%)から自由旅行(65%)を好む傾向などを踏まえた新たな対応が事業関係者に求められています。

とりわけ日中関係においては、先の尖閣問題でも見られたように、リスクファクターも考えながらビジネス展開を行うことも危機管理上必要となり、パブリック・リレーションズ(PR)戦略の見直しが迫られています。

投稿者 Inoue: 18:10 | トラックバック

2015年09月18日

シルバーウィーク国内旅行動向
〜大型5連休は6年ぶり

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

先週は、記録的な豪雨による茨城県常総市での鬼怒川の堤防決壊や東京湾を震源とするM5.2、最大震度5弱の大きな地震が発生するなど不安な事が続きましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

19日からシルバーウィーク大型5連休(9月19日?23日)がスタートします。当然、旅行客も平年に比べて多く、実際に予約状況を見ると、ルックJTBは80%増、エースJTB(首都圏発)は188%増で推移しているといいます。

(株)リクルートライフスタイルは、旅行サイト『じゃらんnet』上におけるシルバーウィーク期間(2015年9月19日?9月27日)の宿泊予約状況や国内旅行に関するアンケート結果よりシルバーウィークの国内旅行の動向についてまとめたデータを公表しています。

皆さんは、この6年ぶりに訪れたシルバーウィークをどのようにお過ごしになりますでしょうか。今回のブログではシルバーウィークの国内旅行の動向についていくつかご紹介しましょう。

■旅行先第1位は今年も「北海道」
先ずは、シルバーウィーク期間の人気旅行先ランキング・トップ10です。1位「北海道」、2位「東京都」で3位は「沖縄県」と昨年の順位と変わりません。

以下4位は「大阪府」(2014年5位)、5位「千葉県」(同4位)、6位「静岡県」
(同7位)、7位「神奈川県」(同6位)、8位「長野県」(同9位)、9位「兵庫県」(同11位)、そして10位が「京都府」(同8位)という結果となっています。

シルバーウィーク期間の旅行目的についてトップは、「地元の美味しいものを食べる」(41.0%)。次いで「温泉や露天風呂を楽しむ」(35.5%)、「宿でのんびり過ごす」(27.7%)、「自然や風景を楽しむ」(27.7%)、そして「名所・旧跡の観光」といった順となったそうです。

世代別の傾向を見ると、若年層とシニア層では、大きな相違が認められます。
若年層では、「宿でのんびり過ごす」、「買い物、アウトレット」、「テーマパーク(遊園地、動物園など)」が多く、シニア層:「温泉や露天風呂を楽しむ」、「自然や風景を楽しむ」、「名所、旧跡の観光」が多かったようです。

■「シルバーウィーク」の由来
「シルバーウィーク」(SW)とは秋の大型連休のことで、ゴールデンウィーク(GW)にあやかってできた造語で「秋のゴールデンウィーク」とも呼ばれるそうです。

「シルバーウィーク」の誕生については、一部の国民の祝日を月曜日に移動させ、土曜・日曜とくっつけて3連休にしようとするハッピーマンデー制度の恩恵によるようです。以前は9月15日に固定されていた「敬老の日」を第3月曜日に移動したことが引き金になっています。

そして、23日(水)が「秋分の日」に当たるため、「敬老の日」と「秋分の日」に挟まれた22日(火)も「国民の祝日」となり、5連休が生まれたということです。

というわけで、このシルバーウィークは毎年来るわけではなく、「敬老の日」と「秋分の日」のカレンダーの並び次第ということになります。この嬉しい大型シルバーウィークが次に現れるのは11年後の2026年だそうです。

「敬老の日」が含まれているから「シルバーウィーク」って呼ばれていると思っている方もいるようですが、その由来を下記します。

さて、「シルバーウィーク」の由来ですが、ハッピーマンデー制度の導入で、2009年に秋の大型連休ができるとなった際に三菱ビルテクノサービスが「連休の名前」をどうするかというアンケートを公募した結果、「シルバーウィーク」が選ばれたとのことです。

この結果、「シルバーウィーク」がテレビやインターネットで流され、旅行会社などがツアー特集でこの言葉を使い始め、人々の耳目に触れるようになったということのようです。

ちなみに、このアンケートの2位以下はオータムウィーク(2位)、プラチナウィーク(3位)、秋休み(4位)、そしてスペシャルウィーク(5位)の順だった 
そうです。

夏休み明けて間もなく訪れるシルバーウィーク。食欲の秋、行楽の秋とも称されるこの時期、大いにお楽しみください。

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2015年09月10日

第4次産業革命の先に「シンギュラリティ(技術的特異点)」
コンピュータは人間の知性を上回れるか?

皆さんこんにちは井之上 喬です。

9月の声とともに一気に涼しくなったと思いきや、東京は台風18号の影響で大雨に見舞われました。しばらくは不順な天候が続きそうですね。

■第4次産業革命真っ只中
メディアに登場するバズワードで産業界の最近の注目は、IoT(モノのインターネット)、Industry 4.0、先進運転支援システム(ADAS)などでしょうか。

日本経済新聞は9月6日(日)から紙面と電子版連動で大型特集企画「新 産業創世記」を開始しました。それによると現在を、1780年ごろの蒸気機関による第1次産業革命、電気エネルギーによる大量生産も可能になった1870年ごろの第2次産業革命、半導体技術が発達しコンピュータによるIT(情報技術)が浸透してきた1970年ごろの第3次産業革命に続く第4次産業革命の時期と位置付けています。

ビッグデータ人工知能(AI)、自動制御、クラウドと言った革新的な技術が次々と登場し、さまざまな産業分野の進化を加速しています。そして進化の速度は過去の産業革命時に比べケタ違いに速く、その影響も広く深いと現在を評しています。

確かにクラウドコンピューティング、AI、スマートデバイスを駆使したさまざまなサービスが登場し市場を席巻、成長する企業の大きな要素であるスピード感はますます増幅しています。

その代表格としてテスラ。モーターズの名前を挙げ、その株式時価総額は3兆円台後半に達し日産自動車に迫りつつあると紹介しています。さまざまな業界地図が一気に塗り替わる可能性を秘めた時代とも言えますね。

■「2045年問題」、ご存知でした?
特集の中で注目した言葉が「シンギュラリティ(singularity)」です日本語では技術的特異点と訳されています。

解説では、米国未来学者レイ・カーツワイルが提唱した「コンピュータが人類の知性を超える」とする説について触れ、米インテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが提唱した「ムーアの法則」を紹介し、コンピュータの演算処理速度は今後30年で10億倍と指数関数的に高まり、2045年に“その日”が訪れると予測。現在技術では予想不能な未来が訪れるとしています。

「2045年問題」については最近シリコンバレーのパブリック・リレーションズ(PR)関係者と意見交換する中でたびたび耳にすることがあります。一部のこの世界のギークの間では以前から話題になっていたようですが、最近になってこの話が現実味を帯びてきています。

確かにグーグルやソフトバンク、アマゾンなどは人工知能を活用した検索システムやロボットなど革新的な取り組みを現実のものにしています。

人間の持つ智慧の奥深さと広がりを機械が代替することなどありえないと信じる私にとって、コンピュータが人間の知性を上回るなどにわかには信じられませんが、コンピュータと人間の脳で思い浮かんだのは将棋の「羽生善治」(王座、名人、王位、棋聖)スーパーコンピュータ「京」です。

羽生名人は44歳と棋士としてのピークは過ぎたなどと言われた時期もありましたが、現在もさまざまなタイトル戦の常連で、若手棋士の挑戦を退けながら多くのタイトルを維持し続けています。我々には想像できないところで、羽生さんの脳は進化し続けているのでしょうか。

一方の「京」は、ご存知のように理化学研究所(理研)と東京工業大学、アイルランドのユニバーシティ・カレッジ・ダブリン、九州大学、富士通による国際共同研究グループが開発したスーパーコンピュータ。

本ブログ(7/16号)でも紹介しましたが、今年7月にはビッグデータ処理(大規模グラフ解析)に関するスーパーコンピュータの国際的な性能ランキングGraph500で、2014年6月以来の1位を奪還しました。

大規模グラフ解析の性能は、大規模かつ複雑なデータ処理が求められるビッグデータの解析において重要となるもので、今回のランキング結果は、「京」がビッグデータ解析に対し世界的にみても高い能力を持っていることを実証しています。

シンギュラリティが話題になりそうな今、日本古来の将棋の「名人」とコンピュータの「知性の進化」を“ゆっくり”観察したいと感じた秋の初めです。


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『パブリックリレーションズ』(第2版:5月発刊)
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パブリックリレーションズ複雑化するグローバル時代にあってリレーションシップ・マネジメント機能をもつパブリック・リレーションズ(PR)を正しく理解するための啓発書。また、最短距離で目標を達成する「戦略広報」の重要性を企業経営者や広報関係者へ説く内容となっている。

著者:井之上 喬
井之上パブリックリレーションズ社長/京都大学大学院特命教授

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2015年09月03日

戦艦ミズーリ艦上での降伏文書調印式
?マッカーサー元帥の5本のペン

皆さんこんにちは井之上 喬です。

東京は涼しい日が続き、秋の気配すら感じられる時節になりました。あの猛暑は何処へ行ってしまったのでしょうか。

8月13日の私のブログでは、8月15日の終戦記念日にあたって、終戦70周年特集を組ませていただきました。

1941年12月8日(ハワイ時間7日)の日本軍による真珠湾攻撃に始まり、45年8月6日の広島、9日の長崎への原爆投下、そして14日のポツダム宣言受諾を経て戦争は終結しましたが、今回は、続編ともいうべき戦争終結後の降伏文書調印のお話です。

丁度、私が原稿をしたためている70年前の今日(9月2日)、東京湾上の米戦艦ミズーリ号の甲板で降伏文書の調印式が行われたのでした。

この歴史的な調印式の舞台としてミズーリ号が選ばれたのは、当時の米国大統領トルーマンの出身州であるミズーリに因んでいるようです。同艦は1999年からハワイ州パールハーバーに保存されています。

■外交史料館で「降伏文書」原本を公開
日本がポツダム宣言を受諾した2週間後の1945年(昭和20)8月28日、米軍進駐部隊が神奈川県の厚木飛行場に到着。その2日後には連合国最高司令官のダグラス・マッカーサー元帥が厚木飛行場に降り立ったのです。

サングラスをかけ、コーンパオプを咥えて専用機のタラップを降りるマッカーサー元帥の写真を記憶されている方も多いことと思います。

そして9月2日には、東京湾上の米戦艦ミズーリ号の甲板で降伏文書の調印式が行われました。日本側の全権団は重光葵外相、梅津美治郎参謀総長らで、これを迎えたのがマッカーサー元帥をはじめとする戦勝国からの代表者でした。

降伏文書が調印されたことにより、足かけ5年にわたる太平洋戦争は公式に終了したのでした。

以後、51年(昭和26)9月の対日講和条約(サンフランシスコ講和条約、対日平和条約ともいわれる)調印まで、日本は連合国の占領下に置かれることになりました。

外務省は8月31日、米戦艦ミズーリ上で調印した「降伏文書」の原本(写真:共同通信)を東京・麻布台の外交史料館で9月12日まで公開しています。複製は常設展示しているが原本の一般公開は約20年ぶりとのこと。この機会に閲覧してみてはいかがでしょうか。

■調印式にまつわるエピソード
まず、ミズーリ号が停泊していた場所は、遡ること90年前にペリーが黒船ポータハン号を停泊させた位置とほぼ同じでした。米国は日本を開国に導いただけでなく、戦争にも勝利したということを90年越しに強調したかったのではないかといわれています。

ミズーリ艦甲板にはためいていた二つの星条旗。一つは、往年のペリー提督が用いた旗で、もう一つは真珠湾攻撃の際にホワイトハウスにあったものだそうです。

マッカーサー元帥は5本のペンを取り出して交代で文書に調印。彼の部下や陸軍士官学校、海軍兵学校に1本ずつ贈り、最後の1本は彼の妻のジェーンに残したという有名な話があるとのこと。

日本側の代表者重光葵大臣は、降伏文書にアメリカのペンは使いたくないというこだわりがあって秘書官のペンを借用したとも伝えられています。

70年前の9月2日、米戦艦ミズーリ号に乗り組んでいたアート・アルバートさん(現在88歳)は「署名が行われた机は一般兵の食堂で使われていた2メートル40の長テーブルだった」ことを明かしています(読売新聞:9/2朝刊)。
また、「自由と寛容と正義の完成を目指す世界が生まれてくることを望む」といったマッカーサー元帥の声を聴いたといいます。

日米関係だけでなく近隣国との経済的相互依存が深化する一方、さまざまな政治課題や主権を巡る摩擦や対立が増すなかで、甚大な被害や犠牲者を生んだ大戦直後のマッカーサー元帥のメッセージに真摯に耳を傾けるべき時ではないでしょうか。

フラグメンテーション化する時代にあって、平和な世界を希求し持続させるうえで、パブリック・リレーションズ(PR)の専門家の果たす責務はますます大きくなるのではないかと感じています。


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著者:井之上 喬
井之上パブリックリレーションズ社長/京都大学大学院特命教授

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2015年08月28日

大河ドラマ「花燃ゆ」佳境に
〜2018年の明治維新150年に向け「平成の薩長土肥連合」も発足!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

台風の影響でしょうかあの残暑が信じられないほど、東京は涼しい日が続いています。特に夜は窓を開けたままにしていると、肌寒さも感じるほどです。

■やはりワクワクする明治維新モノ
さて日曜日の夜は定番ともいえるNHK大河ドラマ、2015年は「花燃ゆ」。
NHKホームページによると、明治維新期に活躍した志士を育てた吉田松陰と、その松陰を育てた杉家の家族が同家四女の文(ふみ)を中心に、多くの困難を乗り越えていった杉家の強い絆と、松陰の志を継いだ若者たちの青春群像がダイナミックなスケールで描かれている、と紹介されています。

8月30日放送のあらすじを見ると、「薩長同盟が成立し長州藩は薩摩藩から密かに武器を入手し、幕府との戦いに備え始めた。そしていよいよ幕府軍が長州に迫ってきた。兵の数では圧倒的に幕府軍が上だが、長州藩は武士から農民まで一致団結し、士気は高まっていた。だが、敵を迎え撃つ準備が追い付いていなかった。・・・」いよいよドラマは佳境を迎えてきたようです。

例年のことですが、この大河ドラマの舞台となった地方ではさまざまな観光イベントが展開され、大きな経済効果をもたらしています。

山口県が発表した2014年の観光客などの動向調査によると、観光客数は前年比1.9%増の約2900万人でこれまでで最高、5年連続の増加となったとのことです。

大河ドラマ「花燃ゆ」放送に関連した事前の売り込みなどが功を奏し、宿泊者数も2.5%増の約448万人とこちらも5年連続で最高を更新したとのこと。2015年は年間を通じさまざまな集客イベントが展開されていますから記録更新が期待されます。

そんな2015年の8月31日(月)、江戸幕府のおひざ元であった東京で非常に面白い記者会見が開催されます。

■新たな地方活性化の取り組みに期待
それは「明治維新150年に係る薩長土肥連携事業連絡会議」主催による、「平成の薩長土肥連合」の盟約締結式、および設立共同記者会見です。

ご縁があって私が経営する井之上パブリックリレーションズが、この楽しい記者会見の運営に携わることになりました。

「平成の薩長土肥連合」の設立経緯などを少しご紹介しますと、2009年10月に観光産業の育成・強化を目的に鹿児島県観光連盟と山口県観光連盟が盟約を締結し「薩長連合」が発足。

まずは両県での観光情報発信や観光客の誘致などの展開を開始。その後、平成30年(2018年)の明治維新150年に向けた連携拡大について高知県、佐賀県に打診し、2014年2月に「明治維新150年に係る薩長土肥連携事業連絡会議」が発足、今回の平成の薩長土肥連合の盟約締結に至ったとのこと。

広域観光ルート形成、相互誘客体制の構築など、観光需要拡大に向けた本格的な連携が始動することになり、新たな地域活性化の取り組みとして注目されます。

当日は東京の明治記念館で、明治維新150年に向け「薩長土肥」、現在の鹿児島県(薩摩)、山口県(長州)、高知県(土佐)、佐賀県(肥前)の4県が連携した新たなプロジェクトの成功に向け各県知事や観光団体代表者などが集結し出陣式が行われます。

地方創生を目的とした取り組みが日本の各地で展開されていますが、2020年の東京オリンピック開催に向け多くの外国人観光客が急増している今こそ、日本の歴史、文化などを理解してもらうのには絶好の機会だと思いませんか。

ひいてはそのような取り組みが私たち日本人にとっても、歴史を改めて考える良い機会になるものと思います。

さまざまな取り組みを効果的に情報発信する、国内外に向けたそんな役割もパブリック・リレーションズ(PR)に関わるものとして担っていければと考えています。

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著者:井之上 喬
井之上パブリックリレーションズ社長/京都大学大学院特命教授

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2015年08月20日

まだ、夏休みに間に合う行楽地
〜東京エンタメ・スポットランキング

皆さんこんにちは井之上 喬です。

私は例年この時期、亡き母の故郷の瀬戸内海に浮かぶ美しい小島、「弓削(ゆげ)島」(愛媛県)で夏休みを過ごします。皆さんはどのような夏休みを過ごされましたでしょうか。

今年は高知や東京から大学の教え子やメディア関係者が来島し楽しい休みになりました。

さて今回は東京近郊をテーマにしたお話しです。
日経BP社発行の雑誌、『日経エンタテインメント』が東京近郊で行ってみたいエンタテイメント(エンタメ)・スポットはどこなのか?そして、実際行ってみて満足が高かったスポットはどこなのか?全国の男女1000人を対象に調査した結果を最近公表しています。

まだ夏休みが続きますが、これからでもご家族で、あるいは友人たちとお出かけする際に参考になればと思い、今回のブログでは日帰りで楽しめる東京のエンタメ・スポットを紹介します。

■ディズニーパークの人気が他を圧倒
「この夏、行ってみたい東京のエンタ・スポット」で、1位に選ばれたのは、東京ディズニーシーでした。2位は、東京ディズニーランド。いずれもオリエンタルランドが運営するディズニーパークが他を圧倒する人気を示す結果となっています。

得票数で見ると、回答者1000人のうち、約6割もの人がディズニーシーとディズニーランドの両施設に票を投じており、老若男女を問わず楽しめるという声が多かったといいます。

東京ディズニーシーでは8月末まで、スペシャルイベント「ディズニー・サマーフェスティバル」を開催。また、東京ディズニーランドでも8月末まで、ちょうちんに加え太鼓の音も流れる「ディズニー夏祭り」が開催されます。出かけてみてはいかがでしょうか。

3位は東京スカイツリータウン。高さ634mの東京スカイツリーを中心に300を超えるショップや「すみだ水族館」含む複合施設。「まだ行ったことがないから」(20代女性)、また、「お店や施設が充実しているから」(40代女性)という意見が数多く寄せられたとのことです。

4位に入ったのは三鷹の森ジブリ美術館。宮崎駿監督作品に代表される『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』など歴代のスタジオジブリ作品を展示しており、幅広い層に人気のスポット。

5位は東京タワー。東京スカイツリーに展望台としてのお株は奪われた感があるものの、今年3月にタワー内に大ヒットマンガ『ワンピース』をテーマにした大型テーマパーク「東京ワンピースタワー」を開園。オープンからからわずか48日で来場者が10万人を突破する人気ぶりで、「ワンピースの展示を見に行きたい」(20代男性)など、新たな客層を開拓しています。

以下、6位はリニューアルされた歌舞伎座。7位渋谷ヒカリエ、8位六本木ヒルズと商業施設が続き9位にはフジテレビ。今やフジテレビのあるお台場は一大観光スポットで夏休み恒例のイベント「お台場夢大陸」が8月31日まで開催中とのこと。10位は四季劇場がランクイン。

■満足度ランキングでは4?10位に変化
「満足度の高かった東京のエンタ・スポットランキング」のトップ3を見ると、1位は東京ディズニーシー、2位は三鷹の森ジブリ美術館で3位は東京ディズニーランドと先の「行ってみたいランキング」と順位的に大きな違いは見られませんでした。

しかし、4?10位に入ったスポットは、歌舞伎座を除いて、大幅に順位を上げています。それぞれの順位とその理由が記され、興味深いところです。

4位の四季劇場(行ってみたいランキングでは10位)は、『ライオンキング』や『アラジン』など劇団四季の公演を上演している常設劇場。8月9日に『サウンド・オブ・ミュージック』が開幕し、人気を高めているとのこと。

5位のキッザニア東京(同14位)は90を超える職業の中から子どもたちが好きな仕事に挑戦し、楽しみながら社会の仕組みを学ぶ体験型施設。子どもたちがいきいきと仕事に取り組む様子が見られ、親世代からの評価が高かったようです。

6位は国立能楽堂(同14位)で7位歌舞伎座(同6位)、8位東京宝塚劇場(同18位)、9位はニューヨークの"Blue note"を本店に持つジャズクラブ(行ってみたいランキングではベスト20圏外)で10位は浅草演芸ホール(同20位)という結果でした。

私は、「行ってみたいランキング」よりも「満足度ランキング」により関心を持ちました。4?10位に入ったスポットは、歌舞伎座を除いてそれぞれが大幅に順位を上げている点などです。

四季劇場やキッザニア東京、国立能楽堂、東京宝塚劇場、そしてBlue noteへの来場者は、それぞれの施設が提供するサービスのうち、どのようなエンタテインメント要素に満足や感動をしたのでしょうか?

このように来場者の満足度を分析し、そのデータを基にパブリック・リレーションズ(PR)を戦略的に構築し、継続的にPR活動を展開させることで「行ってみたいランキング」においても上位ランクを十分に狙えるのではないかと思います。

こうした分野においてもパブリックリレーションズの役割が期待されています。

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著者:井之上 喬
井之上パブリックリレーションズ社長/京都大学大学院特命教授

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2015年08月13日

戦後70周年特集
〜今こそ倫理観が求められている

8月15日は終戦記念日。今年は戦後70周年を迎えます。

1941年12月8日未明(ハワイ時間7日)の日本軍による真珠湾攻撃に始まり、45年8月6日の広島、9日の長崎への原爆投下、そして14日のポツダム宣言受諾を経て、70年前の8月15日に戦争は終結しました。

その節目となる今年、政府は、「国民の命と平和な暮らしは守り抜いていく」として、新たな安全保障関連法案が7月15日午後、衆院特別委員会で採決が行われ、自民・公明両党の賛成多数で可決されました。

この法案の与党による強硬採決をめぐり、反対を叫ぶ野党議員に浜田靖一委員長が囲まれている映像は全国に流れました。

関連法案は、武力攻撃事態法改正案、周辺事態法改正案(重要影響事態法案に名称変更)、国連平和維持活動(PKO)協力法改正案などの改正案10本を束ねた一括法案「平和安全法制整備法案」と、国会の事前承認があれば、いつでも自衛隊を紛争地に派遣することを可能にする「国際平和支援法案」の二本立てとなっています。

安全保障関連の法律を安保法制といいます。安全保障問題は昔から議論されていましたが、なぜ今なのでしょうか?

政府は日本を取り巻く安全保障環境が激変したことを挙げています。北朝鮮の核・弾道ミサイル開発や経済成長を遂げる中国の軍拡、また尖閣諸島をめぐる日中の緊張、中国の領土拡張を狙う野心など。

一方、相対的に国力を弱める米国のアジア太平洋地域でのプレゼンスの低下に対し、日本は、自国の役割を拡大することで東アジアを中心とした平和構築を呼びかけています。

■あの戦争は何だったのか?
ここで70年の節目に明確にしておくべきことは、太平洋戦争(第2次世界大戦)はなぜ起こったのか、あの戦争は侵略戦争だったのか、あるいは帝国主義を標榜する欧米列強の来襲に対抗した防衛のための戦争だったのか、まず日本国民が歴史を通して知っておくことが重要だと思うのです。

「侵略の定義がはっきりしていない」と一部の学者が異論を唱えていることを捉え、侵略の事実をあいまいにすることは、日本軍が相手国への進攻によりアジア・太平洋地域で2,000万人ともいわれる尊い犠牲者をだした国々の国民に対して、あまりにも誠実さを欠くことにならないでしょうか?

日本自体も、310万人(首相官邸Web)の日本の軍人・軍属・民間人の命が失われましたが、戦争に導いた首謀者への自からの責任追及を行うことなく、戦勝国による極東国際軍事裁判の結果に異論を唱えることだけでは、戦争に巻き込まれた国の人々に対して、また日本国民にも無責任といえないでしょうか?

明治維新以来敗戦まで、 日本は欧米列強によるアジア諸国の植民地化に対抗するために富国強兵策をとり続けてきました。 人種差別的な白人国家との対峙は日本国民として理解できなくはありませんが、問題はその過程で起きた軍部の独走を国家として止めることができなかったことです。

フランス領インドシナ連邦(仏印:インドシナのベトナム・カンボジア・ラオスにまたがるフランスの植民地支配地域)、オランダの植民地であった蘭印(現在のインドネシア)、インド、ビルマ(現ミャンマー)などを欧米列強から解放するという高邁な理想のもとで、アジアに進出し、一部を解放したものの、結局は台湾などの一部の国や地域を除いて、日本軍主導の統治は、破綻をきたし現地の強い反発にあいます。

中国大陸での日本軍の侵攻は、侵略戦争以外の何物でもないことは、柳条湖事件(1931年9月18日に関東軍の謀略によって起こったとされ、満州事変の発端となる鉄道爆破事件)や盧溝橋事件(1937年7月7日に起こった日本軍と中国国民革命軍第二十九軍との衝突事件)などの日本軍の行為をみても明白です。

今月7日の読売新聞と産経新聞の朝刊には中曽根康弘元首相による寄稿が載せられ、その中でアジアとの戦争は「侵略戦争だった」と中曽根さんは明確に述べています。

いずれにせよ、相手の領土を戦場にして戦うことは、正当化できるものはありません。

私は戦前の満州国大連市で生まれたこともあり、中国人と仕事の関係に入る際には今でも、必ず日本の過去の行為について詫びることにしています。そうすることでより良い関係が築け、相手の心の癒しになればと考えるからです。

沖縄戦で敗れ、国民を道連れにしてまで最後の本土決戦を敢行しょうとした日本軍の行動には、戦国時代の織田信長と戦い、小谷城に籠城し一族郎党討死した浅井長政と変わらない精神性を感じるのは私だけではないでしょう。

また、従軍慰安婦問題が取り沙汰されるたびに、政府は「証拠がない」と言っていますが、8月10日(月)読売新聞朝刊「戦後70年」のコラムに次の興味ある事実が紹介されています。

当時の内務省地方局戦時業務課の事務官だった奥野誠亮氏(元法務大臣、102歳)が各省の官房長を集め、終戦に向けた会議をひそかに開き、「証拠にされるような公文書は全部焼かせてしまおう」といった奥野氏自身による談話です。
これについて紙面では、「ポツダム宣言は『戦犯の処罰』を書いていて、戦犯問題が起きるから、戦犯にかかわるような文書は全部焼いちまえ、となったんだ」と書かれています。

終戦時に政府内で多くの書類が焼却されていたことは、他の関連書物を読んでも明白です(堀栄三著「大本営参謀の情報戦記-情報亡き国家の悲劇、文春文庫」)。事実ではないことを証明することが難しい状況の中で、政府の主張は諸外国からみると滑稽にさえ思えます。

安倍首相にはこれらを頭に入れて戦後70年の節目にふさわしい「安倍談話」を14日には発表してもらいたいものです。詫びることなく、済まされることではありません。

■政府の対応には倫理観が欠落していないだろか。
「国民の命と平和な暮らしを守る」ために安保法制を進めるのか、そうすることは、「逆に国民の命を危険にさらす」とする意見が真っ向から対立しています。

平時から有事まで「切れ目のない対応」を掲げる政府は、安全保障法制の見直しによって自衛隊の活動拡大を目指す結果、法律が定める「事態」がいくつもできることになってしまったようです。

皆さんは、「存立危機事態」「重要影響事態」「国際平和共同対処事態」。それぞれの事態が何を指すか、理解されているでしょうか?
以下は、2015.04.18朝刊の朝日新聞記事から抜粋・編集したものです。

1)「存立危機事態」
日本が直接武力攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、これによって日本の存立が脅かされるような明白な危険がある場合。

2)「重要影響事態法」
いまの周辺事態法は朝鮮半島有事の際に、自衛隊が米軍を後方支援することを念頭に作られているが、日本周辺という事実上の地理的制限があり、支援対象も米軍に限られていた。今回の改正で、地理的制限を名実ともになくし、支援対象も米軍以外に拡大し、法律名も「重要影響事態法」に変更。

3)「国際平和共同対処事態」
政府は、自衛隊を海外に派遣する場合は、期限や具体的な活動内容を定めた特別措置法をその都度つくってきているが、今回、恒久法「国際平和支援法」を設置することで、「国際平和共同対処事態」には、特措法をつくらなくても戦闘中の他国軍に後方支援ができるようになる。

これら安全保障上の3つの事態を理解させることは簡単なことではありません。「切れ目のない対応」は結果的に状況把握を複雑化させ、時の政権による閣議決定だけで恣意的に進められる危険性は排除できません。 何よりも国民の理解と納得が必要だと思うのです。

現に国会での論戦を聞いていても、明確化されているとは言い難く、質問に答える関係閣僚の中でさえ解釈がまちまちで統一されておらず、複雑すぎる内容に国民の理解を得るには未熟にすぎるのではないでしょうか。

現在の状況をパブリック・リレーションズ(PR)の視点で捉えると以下のことが言えます。

政権には、「国民の声をよく聴き、国民が納得し安心して生活できるようにする」といった環境が国民に保障できていないと言いうことです。つまりパブリック・リレーションズを構成する重要な要素の一つである「倫理観」が欠落していることになります。

現代の欧米先進国で捉えられている倫理観は、「最大多数のための最大幸福」を追求する「功利主義」と、そこから外れたマイノリティに配慮し対応する「義務論」が補完するものです。

安保法制における政府の対応を見ていると、法案設立に「反対」する国民が「賛成」を大きく上回り半数に迫る中で強行採決する構図が浮かび上がっていますが、議会制民主主義ですから、国会は選挙で選ばれた議員が立法の際に投票により決定されることでは間違っていません。

しかしながら、あまりにも多くの国民が今会期中での拙速な立法化に反対しているなか、倫理観が正しく機能しているとは言い難い状況にあることも事実です。また与党内でこの問題が双方向的に議論されている様子も見えません。そうした環境では自己修正が正しく機能することは残念ながらありえないのです。

「政治はきれいごとだけではやっていけない」という言葉をよく耳にしますが、日本の将来の形を根底から覆すかもしれない法案制定には、せめて倫理観が機能したなかで国民や議会少数派の意見をよく聞き議論してもらいたいものです。

そこでこの問題への国民の関心度合いをみるため、参考までに最近行われた安全保障関連法案をめぐる各報道機関の世論調査結果を紹介します。

6?7月の各調査結果をみると、質問の設定は微妙に異なるももの、法案への国民の支持は依然として広がっていないことが窺えるとしています(7/14朝日新聞)。

共同通信の6月20?21日の調査では、法案に「賛成」が27.8%、「反対」58.7%。毎日新聞は7月4?5日の調査で「賛成」29%、「反対」は58%。朝日新聞の7月11?12日の調査結果は「賛成」26%、「反対」56%)となり、共同、毎日と同様に「反対」が過半数示しました。

日本経済新聞・テレビ東京は6月26?28日の調査で、法案そのものの賛否は尋ねていないものの、今国会で成立させる方針について尋ねた結果、「賛成だ」25%、「反対だ」57%となっています。

また、安倍政権が法案を十分に説明しているかとの問いでは、多くの調査で政権に厳しい数字が並びます。

共同通信は「十分に説明しているとは思わない」が84.0%(6月20?21日調査)、日経新聞・テレビ東京が「不十分だ」81%(6月26?28日調査)、読売新聞も「十分に説明していると思いますか」と聞き、「そうは思わない」80%(7月3?5日調査)、毎日新聞も「不十分だ」81%(7月4?5日調査)と、軒並み8割を超える結果となっています。

こうした影響もあって、毎日新聞が8月9日夜に発表した世論調査では、安倍内閣の支持率は7月の調査から3ポイント減の32%となり、第2次安倍内閣発足以来、最低となったと記しています。

この支持率低下は、憲法に反した集団的自衛権を含む法案の閣議決定や強行採決など国民の声や相手の視点を無視した結果とも言え、説明責任を果たしていくことの大切さを教えています。

このように「法案への説明が不十分」とする声が8割を超える状況の中で、政府が参院での60日ルールを適用し衆院で強硬採決することになれば、憲政に大きな汚点を残すことになりかねません。

第2次大戦で自国はもとより、周辺国に甚大な被害を与えた日本は戦後「戦争放棄」を国是として驚異的な経済成長を果たし、「戦争しない国日本」の海外への人道的支援は相手国から絶大な信用と尊敬を勝ち得てきました。そうした世界での信頼が失われ、日本国民の安全のための法制が、違った形で海外支援を行う自国民を脅威に陥らせることにもなりかねません。

こちらが軍事増強すれば相手も増強し際限のない軍拡競争になるのは明らか。日本は外交力を高め、様々なリスク要因を軽減することで、不必要な軍事的拡大を排除することができるはずです。

戦後70年の節目に、様々なメディアで終戦特集が組まれていますが、戦争の悲惨さを改めて感じさせてくれます。戦争はあらゆるものを破壊します。核の時代に生きる私たちはひたすら争いのない世界の実現に向かって一人ひとりが努力する必要があると思うのです。

米国の歴史家ジョン・ダワー氏は朝日新聞のインタビュー(8/4朝刊)で、「(中略)世界中が知っている日本の本当のソフトパワーは、現憲法下で反軍事的な政策を守り続けてきたことです」とし、日本の反軍事の精神は、政府主導ではなく、国民の側から生まれ育ったものであると語っています。

パブリック・リレーションズ(PR)は,目的や目標達成のために、「倫理観」「双方向コミュニケーション」「自己修正」の3つの要素を統合する、リレーションシップ・マネジメントですが、複雑化する社会(グローバル社会)で基盤となるものです。

以前このブログで「ジャパン・モデル」について書きましたが、課題先進国日本は、ソフトパワーで世界貢献し、あらゆる国と友好関係を築いていくことが日本の安全保障にもなり得るものと確信しています。 

発刊540号となる今回の井之上ブログは、戦後70周年特集として長文になってしまいました。最後まで通読いただき誠にありがとうございました。

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2015年08月06日

メディア報道を通じて知る現実
〜デジタル化で加速するメディアの変貌

皆さんこんにちは井之上 喬です。

8月6日は70年前、広島に原子爆弾が投下された日です。原爆によって死亡した人の数は、約14万人と推計されています。9日は長崎原爆投下の日です。二度とこのような悲劇が起こらないことを願いながら黙とうをささげたいと思います。

■広島、長崎に原爆が投下されたのはいつ?
8月3日、被爆70年に合わせてNHKが行った世論調査の結果が発表になりました。

それによると、広島と長崎に原爆が投下された日付について聞いたところ、正しく答えられなかった人がそれぞれ全国で何と70%程度に上っていると、個人的には驚くべき数字が出ていました。

多くのメディアがこのニュースを取り上げていましたが、NHKは今年6月下旬に、広島市と長崎市、それに全国の20歳以上の男女を対象にコンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける方法で調査を実施。それぞれ1000人余りから回答を得たとのことです。

まず、広島に原爆が投下された日付について聞いたところ、「昭和20年8月6日」と正しく答えられた人は、広島で69%、長崎で50%、全国で30%だったとのこと。

また、長崎については「昭和20年8月9日」と正しく答えられた人は、広島で54%、長崎で59%、全国で26%だそうです。人類史上初の核兵器が広島、長崎で使用された事実が風化していくことに悲しみさえ覚えます。

あなたはこの現実をどう捉えますか?70年という年月が経過しましたが、あの悲劇は決して忘れ去ることのできないこと。次の世代にもしっかり伝えていく思い義務が私たちにはあると思うのです。

このような現実を認識させてくれるのはまさしくメディア報道に接したからに他なりません。

■米国ではニュースの担い手が変わっている現実
8月2日付の朝日新聞グローブは、私にとってちょっと気になる特集記事が掲載されていました。「米ニュースバトル 勝者はどこに?」との見出しで、記事の導入部分では以下のように触れています。

「世界のメディアの動きを先取りする米国で、ニュースをめぐるバトルが起きている。インターネット発の新たなメディアが、動画やソーシャルメディアを使った情報発信で億単位の利用者を獲得し、取材の現場でもテレビや新聞を脅かしている。ニュースの担い手は変わっていくのか。」

記事では、米国ホワイトハウスの記者会見室にVox、BuzzFeedなどの新興のオンラインメディアがトラディショナルなテレビ、通信社、新聞社に加え記者を送り込んでいること。

また広告市場でも、ネット広告が急成長していること、ピュリツァー賞でもデジタル系メディアが躍進していること、新興メディアに追い詰められ変貌を余儀なくされる既存メディアの動向などをワシントン・ポスト社長、ハフィントンポストCEOなどのインタビューを交え紹介しています。

記事中の解説部分の「ニュースメディア関連のキーワード」には、キュレーションメディア、ページビュー(PV)、ミレニアル、ユニークビジター(UV)、アプリ、ソーシャルメディアなど日本でもよく目にするようになったキーワードがいくつか紹介されており、改めて米国でのメディアの大きな変貌の一端を垣間見ることが出来ました。

キーワードはデジタル化です。日本でも7月に日本経済新聞が英国フィナンシャル・タイムズ・グループの買収を発表しましたが、活字離れとデジタル化、そしてグローバル化の進展が大きなきっかけになったことは想像に難くありません。

パブリック・リレーションズ(PR)にとって、ある情報をメディアを通し多くの読者、視聴者に伝えることの重要さは普遍的ですが、最近その流れが大きく変化したと感じることがあります。

フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアの存在が日本でも急拡大し普及していることです。

情報の流れがこれまでとは異なってきています。
細述すると、ファーストフード・チェーン、飲食チェーンでの異物混入問題などがメディアで大きく取り上げられたのは記憶に新しいところですが、まずソーシャルメディアに情報がアップされそれが拡散し社会問題化し、それを受けて新聞やテレビが取り上げて追及するという情報の流れの変化です。

つまり情報の担い手が大きく変化し、新聞の宅配制度や全国ネットのテレビ網などが存在する日本では、情報への信頼性とともに均一化、画一化が特徴であったわけですが、デジタル化、グローバル化の中で日本がこれまでに経験したことのない転換点を迎えているのは確かです。

グローバル規模でのデジタル化の流れのなか、PRに携わる1人の人間として、科学の利器に押しつぶされることなく、SNSを上手に扱いより付加価値の高いビジネス創出に向け挑戦していきたいと感じるこの頃です。

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2015年07月30日

日本の「祭」
〜人気トップは、青森ねぶた祭

暑中お見舞い申し上げます。

先週は、夏の風物詩を代表する「花火」について書きました。今週もやはり日本の伝統文化を代表する「祭」を紹介します。こうしてみると、四季のある日本は素晴らしいですね。

さて、お祭を見に行きたい旅行先を都道府県別に尋ねたJTBの最近のアンケート(複数回答)では、東北を代表する夏祭りの一つ「青森ねぶた祭」が人気を集め青森県がトップになったといいます。調査は5月7?14日にインターネットで実施され、2,508人が回答。

■青森、京都、北海道がベスト3
青森県を選んだのは、全体の3割弱に当たる702人。大半の人が青森ねぶたを挙げ「一緒に参加したら楽しそう」(30代女性)、「勇壮、美麗で郷土色が強い」(50代男性)とその魅力を語っていたそうです。巨大な人形灯籠で知られる「五所川原立佞武多(たちねぷた)」への関心も高かったといいます。

奇しくも1986年(昭和61)の今日7月30日は、東北自動車道の浦和?青森間674kmが全線開通した記念日にあたります。こうした新たなアクセスが青森県をトップに押し上げた要因になっているのではないかと思います。

第2位は京都府(561人)。「祇園祭」や「葵祭」、「時代祭」だけでなく京都ならではの観光に対する人気も高かったようです。

第3位の北海道(304人)では「さっぽろ雪まつり」に加え「あばしりオホーツク流氷まつり」などを推す意見もあったようです。4位は、福岡県「博多どんたく港まつり」で5位は徳島県「阿波踊り」の順。

「祭」に誰と一緒に訪問したかについては、1位が「夫・妻」で、2位が「家族」、3位は「友人」、4位は「1人」、5位は「その他」となっています。その他の回答は「職場旅行で」や「出張の際に祭りを見に行く」「恋人と行く」などが寄せられたといいます。

■「ねぶた」と「スター・ウォーズ」のコラボ
去る7月11日、イタリア・ミラノ国際博覧会(万博)で、日本の文化を紹介するジャパンデーが催されました。目玉行事として、東日本大震災の復興支援への感謝を込めて東北各県の祭りが集結する「東北復興祭りパレード」が挙行されたといいます。

参加したのは、青森ねぶた祭、秋田竿燈(かんとう)まつり、盛岡さんさ踊り、仙台七夕まつり、山形花笠まつり、福島わらじまつりなど東北6県を代表する祭りに加えて、福島県内からの四つの祭り。

この日、万博会場では数百人の踊り手たちが行進。「東北の元気を届けたい」(実行委員会)との願い通り、威勢のよい掛け声や華麗な踊りが披露され、会場からは割れるような拍手と「ブラボー」と称賛の声が響いたといいます。

青森市とウォルト・ディズニー・ジャパン(東京)は、今年8月の青森ねぶた祭に、人気SF映画スター・ウォーズを題材にした小型ねぶた4台を登場させると発表しています。今年4月に同社から青森市に正式な打診があって実現にこぎつけたとのこと。

4台は前夜祭(8月1日)で、特設会場でお披露目されます。関係者によると、そのうち1台は、最新作に登場する新キャラクターを題材に制作中だとのこと。2日(日)?7日(金)の期間中は、運行はせずに市の観光施設「ワ・ラッセ」に展示するようです。

これは、12月に公開される映画の最新作に合わせ、伝統文化のねぶた祭と融合させ、海外に発信することが狙い。市観光課は「海外に青森ねぶたを知ってもらえる。多くの人に来てほしい」と期待を込めたコメントを出しています。

青森の夏の夜をダース・ベイダーやR2?D2、ヨーダといったキャラクターが彩ることになりそうです。どのような光景が観られるか、楽しみですね。

ミラノ万博での称賛や「スター・ウォーズ」とのコラボなどは、まさに日本の「祭」が観光資源として世界的に評されている何よりの証左と言えます。

前回のブログでも記しましたが、海外で日本独自の様々な文化が高い評価を受けているなかで、パブリック・リレーションズ(PR)の力によって、地域に根づいた伝統文化が観光資源としてインバウンド拡大に大きく寄与することに期待が高まっています。

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2015年07月23日

夏の風物詩「花火」
〜徳川家康も伊達正宗も観た!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

19日午前11時、気象庁は「関東甲信地方は梅雨明けしたとみられる」と発表しました。梅雨が明け、早速、連日の猛暑が続きますが、熱中症など体調管理にはくれぐれもご留意ください。

明後日の夜(25日19:05?20:30)は、夏の風物詩を代表する隅田川花火大会です。昨年は95万人の人出で賑わったそうです。粋な浴衣に団扇をもって歩く若者の姿を楽しむのもいいものですね。

この隅田川花火大会は、江戸中期の1733年(享保18年)に始まり、関東随一の伝統と格式を誇る花火大会といわれています。隅田川で2つの会場(桜橋下流?言問橋上流と駒形橋下流?厩橋上流)に分けて打ち上げられます(小雨決行、荒天時は翌日に延期)。両会場合わせて、約2万発の花火を楽しむことができるとのこと。

■花火のルーツは?
花火のルーツを辿ると古くは紀元前3世紀の古代中国に、火薬の基本となる硝石が発見されてからといわれています。

日本での歴史上の記録に残る花火の第1号は、それから約2000年後の天正17年(1589年)7月、伊達正宗が観賞したのが最初ともいわれます。

また、慶長18年(1613年)8月駿府で徳川家康に、英国人ジョン・セリーヌが、同行の中国人の手で花火を見せたという記録もあるようです。

その後、江戸に興隆してきた町人文化に支えられてきた花火人気は衰えることがありませんでした。江戸以外でも三河・近畿・信州・越後・九州といった地方で盛んだったといわれます。

明治のはじめ頃、西洋からの輸入により、塩素酸カリウムやストロンチウム、バリウムなどの彩色光剤を得て、日本花火の歴史上最大の躍進の時期を迎え、今日の世界一といわれる日本花火の基礎がつくられたといわれています(以上出典は日本煙火協会)。

日本花火が世界一といわれる背景には、花火を愛でる日本の文化と、何よりも観客に大きな感動を与えるために切磋琢磨する花火師たちの弛まない努力が挙げられます。

Yahoo!ランキング( http://hanabi.yahoo.co.jp/ranking/craftsman/ )では、プロの花火師が選ぶ「絶対に見逃したくない美しい花火大会」2015年版10選を次のように紹介しています。

現在、日本三大花火大会と呼ばれているのは、「長岡まつり大花火大会」(新潟)と「全国花火競技大会 大曲の花火」(秋田)、「土浦全国花火競技大会」(茨城)の3つ。そして、これらがYahoo!ランキングのベスト3を占めているとのこと。

第1位の「長岡まつりの大花火大会」(今年は8月2日と3日)。この大会は、新潟県長岡市・信濃川で毎年2日間にわたって開催され、100年以上続いている伝統的な花火大会。見どころは600m上空に打ち上げられる巨大な「正三尺玉」や5箇所から5色で登場する「ワイドスターマイン」などだそうです。

私の会社(井之上パブリックリレーションズ)で、この夏休みに「長岡の大花火大会」を観に行く社員がいます。休み明けに花火大会の感想を彼から聞いてみたいと思っています。

第2位は、「秋田:全国花火競技大会 大曲の花火」(同8月22日)。この大会は、1910年(明治43)に始まり、「全国花火競技大会」と言えば大曲の花火を指すほど、規模、権威ともに日本最大の花火大会だといわれています。

第3位の「茨城:土浦全国花火競技大会」(同10月3日)は、秋に開催されるということで花火師にとって総決算ともいえる競技会とされ、1年間創意工夫してきた技を存分に盛り込んだ、質の高い花火が見られるのが特長だといいます。

4位以下10位までは、「赤川花火記念大会」(山形)、「ふくろい遠州の花火(静岡)」、「豊田おいでんまつり花火大会」(愛知)、「常総きぬ川花火大会」(茨城)、「古河花火大会(茨城)」「熊野大花火大会」(三重)、そして水戸黄門まつり花火大会(茨城)の順になるようです。

■花火の褒め方は?
夜空に拡がる花火を観て、「ワァー素敵!」とか「素晴らしい!」、「凄い!」といった感嘆の声を良く耳にします。ここでは、花火通や玄人受けする花火の褒め方をいくつか紹介しましょう。

先ずは「座り」について。花火玉が筒から打ち出されて、最高点に達し、落下はじめる境を「座り」というそうです。この時点での花火の開花が理想とされています。

「この玉は座りが良い」あるいは「悪いね」といったように使われます。座りを良くするためには、打上火薬量や打上筒と花火玉の隙間、導火線の長さなどの微妙なバランスが要求されるとのこと。

打ち上げられた花火玉が開花し、中の星が飛び出し描かれる円を「盆」といいます。四方八方からみても真円に見え、大きく均整がとれたものが良いとされています。

「この玉は盆が大きくて良い」とか「盆が小さいからあまり良くない」といったように使われます。「盆」を大きく、美しくするには花火玉の総合的なバランス(割薬、星の精度、玉貼りなど)が不可欠となるようです。

花火が開花し、中の星が燃え尽きた状態を「消え口」といいます。約200個から300個の星が同時に着火し、 同時に消え、残り火を出さないのが良いとされています。「もっと消え口を良くしないといけない」とか「この玉は消え口がよい」 といったように使われます。

このところ衣食住に限らず日本独自の様々な文化が海外で高い評価を受けていいます。「花火」もまた、地域に根づいた伝統文化として、インバウンド拡大に大きく寄与する観光資源であり、こうした分野でもパブリックリレーションズ(PR)の役割が期待されます。

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2015年07月16日

「インフラ ウォーズ」って?
〜日本の優れたインフラ技術を世界に輸出!

大型で非常に強い台風11号が日本の南海上を北上し、西日本に上陸のおそれがあるとのこと。予想進路に近い地域にお住いの方々は、くれぐれも急な天候の変化にお気を付けください。

■大型連載企画の意図するものは?
そんな今週、日経産業新聞を見て驚きました。7月14日から新しい連載企画「インフラ ウォーズ」がスタートしました。第1部のテーマは異次元の総力戦。この連載企画はこんな文章で始まっていましたので少し引用してみます。

「世界のインフラビジネスで未曽有の総力戦が始まった。最前線で新旧、官民が入り交じり、国境や業種を超えて火花を散らす。国家の威信も試され、もはや過去の流儀にとらわれては勝てない。その危機感に多くの日本企業が突き動かされ、世界を駆ける。・・・・」連載のタイトルもそうですが、記事冒頭の文章からもこの企画への記者の強い思い入れが感じられました。

私も常々、情報通信、鉄道や空港などの交通、発電などのプラント、道路や上下水道など日本のインフラ技術の素晴らしさを実感、さまざまな機会でそのことに触れてきました。日本のインフラは新興国を中心とした世界的な人口増加と都市化が抱える大きな社会的な課題への解決策として、そして国の新たな輸出産業としての両方の側面を持つインフラ技術は日本の成長や世界での存在感を高める上でも重要だと思っています。

わずか150年前に明治維新を経験した日本には、西洋の科学技術を吸収しながら自国や戦前の満州国や台湾、そして戦後のODAと連携した海外での豊富なインフラ整備の知見があります。

この連載企画をスタートさせた理由をある関係者に聞いたところ、真っ先に日本のインフラ輸出が新たな段階に入ったことをその理由に挙げていました。

とりわけ安倍政権になって、官民一体の動きが活発になり、発電所、鉄道、水処理、港湾、通信網などの分野での大型受注を勝ち取ってはいるものの、一方では欧米企業や韓国・中国企業との競合も激化し、入札で競り負けるケースも少なくないとしています。

また「インフラ関連企業は長く国内に偏った体制をとってきたが、日本は海外での営業や企業連合の組み方で新機軸を打ち出す必要に迫られている」とコメントしています。

そして、中国が主導し、欧州勢も巻き込むアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立がどのように日本や米国にも影響を与えるのか、日本企業の取り組みの最前線を追うかたちで、インフラ輸出を巡る新たな潮流を読み解き、競争に勝つための方策を示したいとしています。

皆さんは世界のインフラビジネスの市場規模はどれほどのものか考えたことはありますか?

この企画では経済協力開発機構(OECD)がまとめた試算として、2030年までの世界のインフラ投資は累計でなんと53兆ドル(約6500兆円)を超すこと、さらにアジア開発銀行(ADB)の予測では2010年から20年に8兆ドル(約1000兆円)の投資がアジアだけで見込まれると紹介、その規模の膨大さを示しています。

この大きな潮目に日本企業が乗り遅れないようにと警鐘を鳴らすのにも、今回の大型企画の役割は大きく個人的にも応援したいと思っています。

そして、B to B分野でのパブリック・リレーションズ(PR)の重要性がますます高まってくるでしょう。なぜなら競争が激しさを増せばますほど、リレーションシップ・マネジメントを駆使するパブリック・リレーションズが有効になってくるからです。

■スパコン「京」ビッグデータ処理能力ランキングで首位奪還!
この大型連載が始まったまさにその当日、富士通と理化学研究所(理研)が共同開発したスーパーコンピュータ「京(けい)」が、ビッグデータの処理能力ランキングである「Graph500」で第1位を獲得したとの発表がありました。

スーパーコンピュータの性能ランキングには、演算処理能力を競う「TOP500」と「Graph500」のカテゴリーがあり、単なる演算ではなく、複雑なデータを分析するグラフ解析能力で2014年6月以来、約1年ぶりに京が首位を奪還したとのこと。京のシステム全体をより効率的に利用するためのアルゴリズム改良などの成果とのことです。

詳しい分析は専門の方々にお任せするとして、ビッグデータ解析能力でトップの評価を得たことは大いに称賛されることだと思います。

このような断片的な情報をいくつか並べる中でふと思いついたのは、これら世界に誇れるインフラ技術を組み合わせ、日本オリジナルの新しく高度なシステムの創造が可能なのではないかということです。

身近なところでは短時間ごとの、狭い地域での天気予報は今でも実用化されていますが、例えば京のビッグデータ分析をベースにある地域の自然災害の被害予測を分析、それに基づく道路、上下水道など災害に強い都市整備計画そのものを輸出する、など。

日本ではものづくりの世界を中心に、良いモノ、良いサービスを提供すれば黙っていても世界中どこでも売れる、と言った幻想にまだまだ囚われているのではないでしょうか。

しかし、日本と同じようにものづくりにこだわり続けているドイツは、IoT(モノのインターネット)時代の大きな流れのなかで新しい概念であるIndustry 4.0を掲げ、メルケル首相も先頭に立って世界標準のインフラ基盤でイニシアティブを確保するための戦略的な取り組みを行っています。

安倍首相には日本経済の持続的な経済成長のために、より強いリーダーシップと世界に向けたわかりやすいメッセージ発信をともなう、パブリック・リレーションズ(PR)に重要なトップのストーリーテリングを期待します。

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2015年07月09日

世界シェア調査から。
〜日本勢は、素材・部品で存在感を示す

皆さんこんにちは井之上 喬です。

平年、関東甲信地方の梅雨明けは21日頃といわれています。まだ2週間ほど憂鬱な天候が続くようですが、体調管理にご留意ください。

■首位は米国で、日本は欧州に続く3位
日本経済新聞社が実施した世界の「主要商品・サービスシェア調査」(世界シェア調査)の結果が7月6日の紙面で紹介されました。

この世界シェア調査の対象は、50品目(自動車、パソコン、半導体製造装置、風力発電機、造船、中小・大型液晶パネル、スマートフォン、タブレット、複写機・複合機、医療用医薬品、化粧品、炭素繊維、冷蔵庫、洗濯機、デジタルカメラ、産業用ロボット、炭酸飲料、たばこ、紙おむつなど)に及び、世界規模でそれらのシェアを調査・発表するものです。

ハードウェア品目だけでなく、検索サービス、セキュリティー対策ソフト、音楽ソフト・配信などのソフトウェアもカバーされています。

記事によると、首位は米国企業の16品目が最多で、日本は9品目で欧州の10品目に続き第3位を占めたといいます。韓国は8品目で、中国が6品目だったとのこと。

調査によると日本が首位を占めた9品目について次のように紹介されています。

先ずは、東レの炭素繊維(36.9%)。航空機用など高機能品が得意な東レは品ぞろえ拡充で首位の座を盤石にしています。

ソニーはスマートフォン(スマホ)での撮影に使う「CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサー」(39.5%)でシェアを拡大。米アップルなどスマホ大手が軒並み採用し、スマホ市場の拡大で出荷が増えたことが首位となった要因とのこと。また、ソニーはゲーム機器でも42.9%を占め、2位のマイクロソフト(29.2%)に大きな差をつけています。

工場の組み立て工程で使う産業用ロボットはファナックが首位(16.6%)。消費者向けではデジタルカメラ(31.4%)とレンズ交換式カメラ(43.3%)の2品目でキヤノンが首位を占めたとのこと。

その他には、自動車品目でトヨタ自動車(11.4%)、マイコン品目でルネサスエレクトロニクス(21.5%)と白色LED品目の日亜化学工業(25.4%)が首位の座を占めています。

BtoC分野において日本勢は、巨大な母国市場を持つ米国や中国企業の後じんを拝しているものの、BtoB分野でその存在感を示すことができたようです。

■世界シェアと国際特許出願数との相関
国連の世界知的所有権機関(WIPO:World Intellectual Property Organization)が、国際特許出願制度の利用状況に関する調査結果を発表(2015年3月)しています。

特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく昨年の国際特許出願件数を国別にみると、米国が最も多く、出願件数は6万1,492件(全体に占めるシェアは28.7%)となったと発表。

2位は日本の4万2,459件(シェアは19.8%)。3位の中国は2万5,539件(シェアは11.9%)だったとのこと。

4位以下はドイツ(17,968件)、韓国(13,119件)、フランス(8,247件)、イギリス(5,261件)、オランダ(4,204件)、スイス(4,091件)、そして10位はスウェーデン(3,912件)の順となりました。

一般的に特許出願が多くなされている国は、企業などの研究・開発が活発であるといえます。加えて外国出願・登録件数が多い国は、将来的な海外生産拠点、市場の確保に対し積極的な戦略を展開していると考えられます。

世界シェアと国際特許出願のランキングをみると米国と日本、韓国、中国の4国がいずれも上位を占め、両者に見事な相関が認められ興味深く感じました。

それにしても日本、中国、韓国の東アジアグループの躍進には目覚ましいものがあります。その出願件数は上位10か国の実に半分に迫りつつあり(43.5%)、数字を見る限り世界経済の重心が東アジアを中心としたアジア圏に移動してことを印象づけています。

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2015年07月02日

もうすぐ夏休み!
〜子供たちにニュースに親しんでもらいましょう

皆さんこんにちは井之上 喬です。

早いもので今週から7月ですね。梅雨明けはもう少し先でしょうが、あと2週間ちょっとで夏休みを心待ちにしている小中学生も多いのではないでしょうか。

時間がたっぷりある夏休みに元気に外で遊ぶのと同時に、毎日、新聞に目を通すことを薦めてはいかがでしょうか。活字離れが言われて久しい日本ですが、まだ多くの家庭では新聞が宅配されています。

■中身が濃い子供向けニュース解説誌
毎日の新聞は、テレビ欄とスポーツ欄だけでなく社会、経済、政治、文化、技術などの情報に触れる良い機会だと思います。一般紙をそのまま読むのは難しいと思いますが、小中学生向けにニュースをやさしく解説する、朝日新聞出版の1からわかるニュースマガジン「月刊ジュニアエラ」、毎日新聞の10歳からのニュース百科「Newsがわかる」などの雑誌を活用してみるのはどうでしょうか。

ちなみに月刊ジュニアエラ7月号の特集は「女と男はどこが違うの?」、他の目次を拾ってみると、新銀行「AIIB」で存在感を増す中国、沖縄・辺野古から日本を考える、明治の産業革命遺産が世界文化遺産に、など。

同じくNewsがわかる7月号は、自動車未来へGO!、TPPのなぜ?、軍艦島など世界遺産へ、大阪都構想に「ノー」、ドローン急浮上、など両誌とも実にタイムリーなニュースを取り上げてわかりやすく解説を加えています。

いくつか誌面から紹介すると、ジュニアエラの特集「女と男はどこが違うの?」では、どうして女性と男性がいるの?からはじまり、「性別分業」は高度成長期に定着した、性的少数者って知ってる?誰もが生きやすい社会にするためにどうすればいいの?と8ページの特集記事が組まれています。

性に関する根本から始まり、日本社会が女性の活躍する環境で遅れた歴史的な背景、そして少子高齢社会でのダイバーシティの重要性を世界男女平等ランキングなどのデータを駆使して説明しています。

Newsがわかるの「自動車未来へGO!」では、今注目の自動運転について7ページを割いて特集。センサーを駆使した自動ブレーキや白線検知システムなどの技術解説とともに、最近の交通事故による死者数で高齢者の死亡事故が目立ってきている傾向をデータで示し社会問題になっていることを指摘。

ご存知のように自動運転には人工知能が搭載されていますが、自動運転技術を活用することで、運転が楽になり高齢者の事故も激減し行動範囲も広がると、社会問題とその解決策の一端を紹介しています。

ニュースのテーマ自体は、まさに私たち大人が日常的に注目しているもので、少年期からのこうした利用は、選挙権が18才に引き下げらた今こそ政治への参画意識を高めることに貢献することになるのではないでしょうか?

■わかりやすく説明することの難しさ
もし子供たちに「TPPって何?」、「AIIBって何?」、「大阪都構想って何?」などと聞かれたときに、あなたはどこまでわかりやすく説明できますか?

パブリック・リレーションズ(PR)のプログラムの1つに、スポークスパーソンのためのメディアトレーニングがあります。その中で必ず触れるポイントとして、「インタビューは1対1でも、記者の後ろには何十万人、何百万人と言う読者、視聴者がいることを忘れず、出来るだけ専門用語は避けてわかりやすく説明しましょう」と強調しています。

自分の立ち位置だけを意識し情報発信を行うとき、当たり前に使っている専門用語、社内用語が相手に通じないと感じることがあります。ましてや世界で通じるかと言われるとちょっと不安になる方も多いのではないでしょうか。

誰もがわかりやすく、かつタイムリーに情報を伝える、そのための解は夏休みの宿題にしようかと思います。

ところで私が経営する井之上パブリックリレーションズは7月4日で満45歳を迎えます。これまで事業を継続できたのは国内外の素晴らしいクライアントや関係者に恵まれたこと、そして何よりも優秀な社員に恵まれたことが大きいと感じています。

これからも切磋琢磨して、パブリック・リレーションズ(PR)を通じより良い社会の実現に向けて頑張ってまいります。皆さん、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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2015年06月25日

成長戦略の柱の1つロボットに注目
〜介護などへの多様化進展でロボット大国日本は大きなチャンスを掴めるか?

皆さんこんにちは井之上 喬です。

梅雨空が続いていますが体調管理は怠りないでしょうか。じめじめした天候の後にはスカッとした夏空が待っていることを期待し頑張りましょう。

ITバブル超で株価は約18年半ぶりの高値を記録し、梅雨空とは正反対に日本経済は好調を持続しています。6月24日の東京株式市場の終値は前日比で58円61銭高の2万868円03銭と、ITバブル時の2000年4月につけた高値(2万833円21銭)を上回り、終値としては1996年12月以来、約18年半ぶりの高値となりました。

ギリシャの債務問題を巡る金融支援の交渉が合意間近との見方が広がったことや米欧株の上昇を受け4営業日連続で上昇、甘利明経済再生担当相は同日の会見で「(今回は)バブルではない。実体経済の回復に裏打ちされた株価だ」、菅義偉官房長官も「アベノミクスでデフレ脱却に全力で取り組んできた。そうした成果が反映されている」とコメントしています。

いま日本には、バブルとは無縁の健全な経済成長に向けた、具体的な政策の実行が期待されますが、政府は6月22日に構造改革を進め日本の生産性向上を狙う成長戦略「日本再興戦略」の素案をまとめた、との報道がありました。

ポイントとしては、ロボット開発ビッグデータへの投資を企業に促すほか、地方経済や中小企業にも改革を求め、生産性を高めることで人口減による労働力不足に対応し、安倍政権が重視する持続的な経済成長を実現させるというもの。

成長戦略の素案が示す解決策の中身にはロボットのほか、あらゆるモノをインターネットにつなぐIoT(インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータの活用強化などが盛り込まれています。

ロボットと言えばこれまで日本はロボット大国と称され、工作機械分野を中心に世界のロボット産業をリードしてきました。しかし、世界規模で少子高齢化が進むなかでロボットの応用分野もこれまでの工作機械などのイメージから、手術ロボットなど医療、介護、農業、インフラ管理などへ多様化しています。

■ペッパー、1分で売り切れ!
それを象徴する現象がソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」です。6月20日に予約受け付けを専用サイトで開始したところ、何と1分間で初回の1000台が売り切れたと発表しています。次回の販売時期は、7月中だそうですが早期に、月1000台の生産体制の確立を急ぐそうです。

ペッパーの生産はiPhoneなどApple製品を多く手掛けるフォックスコン・グループ(本社:台湾、鴻海科技集団)で生産地は主に中国ですね。ロボットが多様化するとさまざまな複合技術が必要になってきます。

AI(人工知能)をベースに、デザイン、新素材、半導体、センサー、駆動系技術、組み立て技術などが不可欠で、これからのロボットは、このような様々な最先端テクノロジーの集合体だからです。

これまで世界のロボット技術をリードしてきた日本にとっては絶好のビジネスチャンスともいえましょう。高い技術で付加価値の高い製品を世界に先駆けて製品化することで、新しい産業として育成することも可能になり、少子高齢化による労働力不足など社会問題解決の一助にもなると考えます。

しかしそこで不可欠になるのが日本にはびこる、様々な規制緩和ではないでしょうか。最近、ドイツのKUKAロボティクスやデンマークのユニバーサルロボットの協調ロボットに触れる機会がありました。

これまでの工作機械的なイメージを払しょくする斬新なデザインと柔軟性を兼ね備えた小型ロボットは、工場で人間の隣で人間と同じ仕事を正確かつ継続的に実行し続けます。Industry 4.0、IoT時代の生産現場での大きな可能性を感じました。

■急がれる政府の規制緩和
日本はロボットのモーター定格出力80W規制緩和が2013年に実施され、2014年から安全柵がない生産現場でヒトとロボットの協調が現実味を帯びてきました。欧州に比べると何年も遅れてのスタートになりますが、日本の大手ロボットメーカーを中核に優れたロボット関連技術を持った企業間の連携は不可欠です。

すでに世界規模でのロボットメーカーをめぐるM&Aの動きも活発化しており、ロボット大国日本が家電王国日本の二の舞にならないとも限りません。

そんな中で気になるニュースがありました。6月14日の日本経済新聞電子版では「災害ロボット、日本惨敗の衝撃 迫るグーグルの影」とする見出しで、米国ロサンゼルス近郊で開催された災害対応ロボットコンテストで日本勢が惨敗したとの報道でした。

敗因について専門知識を持ち合わせない私ですが、ロボット大国と呼ばれ、工作機械、ヒト型ロボットで世界をリードきた日本のロボット産業が新しい世界的な波に乗り遅れないように、国を挙げて取り組む必要があると思います。

そう言えばロボットスーツ「HAL」で世界的に高い評価を得ている筑波大学大学院教授の山海嘉之氏が設立したサイバーダインも、初めは海外での評価がきっかけで現在の普及につながっています。

IoT、Industry 4.0時代で忘れてならないのは最先端のテクノロジーだけではなく、知能を持ったロボット、自動運転の車、インテリジェント化したFabを結ぶシームレスなインフラ環境ではないでしょうか。政府には思い切った規制緩和を望みたいところです。

新時代のロボット大国日本を目指して、リレーションシップ・マネジメントの手法を駆使した、ダイナミックなパブリックリレーションズ(PR)が求められています。

投稿者 Inoue: 18:46 | トラックバック

2015年06月11日

訪日観光が一層盛んに
〜訪日外国人は昨年1341万人で消費額は2兆円強を記録

皆さんこんにちは井之上 喬です。

気象庁は8日、関東甲信地方の梅雨入りを発表しました。平年並みの梅雨入りということですが、昨年に比べると3日遅いとのこと。

また、梅雨明けは平年7月21日頃になるといいます。ジメジメした不順な天候がしばらく続きますが、健康管理には十分留意しましょう。

■アジア地域の経済成長が訪日客増加の要因
政府は6月9日、2015年版の観光白書を閣議決定しました。これによると訪日外国人は昨年、1,341万人となり、消費額は2兆円強を記録。それぞれ過去最高で、「日本経済に対しても一定のインパクトを有する存在」と指摘しています。

観光白書では訪日客増加の大きな要因として、アジア地域の経済が成長し同地域からの訪日客が増加したと分析しています。

また、訪日客へのアンケート調査では、日本で商品を購入する理由として「品質が良い」の回答率が高かったことを紹介。為替の円安や、消費税の免税制度拡充なども寄与していると加えています。

こうした訪日外国人の増加傾向は、今年に入ってからもさらに勢いを増しています。

観光庁がまとめた2015年1?3月の宿泊旅行統計調査(第1次速報)によると、外国人の延べ宿泊者数は1,276万人泊と前年同期比38.8%増と大きく上回ったとの。国籍(出身地)別では中国が2.3倍と急伸し、外国人全体の27.7%を占めているようです。

同時に発表した4月の速報値でも外国人の宿泊は前年同月比50.0%増となっており、訪日観光が一層盛んになりつつあることを窺わせるものでした。

外国人宿泊者を国籍(出身地)別にみると、中国が132.5%増の327万人泊と2位の台湾(24.9%増の218万人泊)以下を伸び率、人数とも大きく引き離しています。伸び率ではフィリピン(91.7%)や韓国(47.2%)、タイ(38.2%)、インドネシア(37.1%)などが?く、注目されます。

こうしたアジア地域での訪日観光客の増加を受けて博報堂がまとめた「アジア14都市の生活者の日本への観光意識」調査によると、今後の訪日意向の伸びが高いのは、シンガポールやフィリピン・メトロマニラ、中国・広州、タイ・バンコクなどの住民だといいます。

彼らの訪日目的についての複数回答では、14都市全体で「文化的歴史的な建造物の見物」「名物の食事を楽しむ」などが7割を占め、「ファッション関連」「家電製品」「化粧品関連・サプリ」の買い物もそれぞれ4割前後と高い数値を示したとのことです。

■官民における観光客の誘致諸策
政府は6月5日に「観光立国推進閣僚会議」を開催し「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2015」を策定。これまで2020年を期限としてきた年間訪日外国人旅行者数2000万人の達成を、早期に実現する考えを示しています。

このアクション・プログラムでは、「稼ぐことを明確に意識して推進する」と明示され、訪日外国人客の消費額を2014年の約2兆円から、2000万人達成の年には年間4兆円に倍増させています。

そのための施策としては、地方の免税店を現在の約6600店から2万店にまで増やすことや、観光による地方創生により全国で40万人の新規雇用創出をめざす方針、そしてビザ発給要件の一層の緩和強化などを挙げています。

インフラ整備の面では、空港での入国審査のブースの増加による待ち時間の短縮や羽田空港の年間発着枠の拡大。また、訪日外国人からの要望が強い無料公衆無線LANは、約20万スポットに一度の登録で利用できる仕組みを構築するなどとしています。

観光産業の中心である小売、飲食、宿泊の各業界でも意欲的な取組みが見られます。免税店への登録で売上拡大を図ること、ハラールなど宗教上の理由で制限のある食事に対応すること、宿泊ホテル・旅館施設の充実、外国語への対応やインターネット環境の整備などコミュニケーションの便宜性を向上させることなどです。

また、観光産業を中心に周辺産業にもインバウンド・ビジネスの波及効果が期待されます。
例えば、エコツーリズムやグリーンツーリズムなどでも提唱される自然環境の中での体験ツアーを実施することにより、農業、水産加工、伝統工芸など多様な産業にも外国人旅行者を誘導できるとしています。

中小・小規模企業の多く存在する製造業は国際競争で厳しい局面にありますが、これからの成長が期待されるインバウンド・ビジネスの可能性は、地方経済や全国の中小・小規模企業にとって大きなビジネスチャンスを秘めているといえます。

私が副会長を務めているグローバルビジネス学会http://s-gb.net)の「第3回全国大会」が来る7月4日(土)と5日(日)の日程(主会場:早稲田大学国際会議場-井深大記念ホール)にて開催されます。今大会の統一テーマは、「地方創生とグローバルビジネス」(Revitalization of Japan’s Local Economies and the Role of Global Business)。

地方創生を国家的テーマに推進する、内閣府官房まち・ひと・しごと創生本部 地方創生総括官の山崎史郎氏による基調講演をはじめ、地方創生のための様々な試みを行っている長野県知事の阿部守一氏や大学、地方金融機関などからのパネリストによる討論が続きます。

また、TPP研究会によるTPPが創出する日本経済、とりわけ地方経済に与えるインパクトについての報告と討論、さらには地方創生を掲げる自治体首長(湯崎広島県知事)や地元企業家ら4名の発表者により、地方創生の現状と直面する様々な課題などについて語っていただきます。

この「第3回全国大会」は、地方自治体やローカル企業、そして全国に広がる中小企業が観光事業を柱にインバウンド・ビジネス拡大の可能性を探るうえで、最適な機会ともなるはずです。

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■グローバルビジネス学会「第3回全国大会」のお知らせ
日時・会場:7月4日(土)早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
7月5日(日)早稲田キャンパス3号館 701号室/702号室
※全国大会の詳細プログラムについては、http://s-gb.net/form_nc_jp/ を参照ください。

参加費と参加申込み (定員制)
・学生:大会参加費 無料/懇親会3,500円                           
・一般:大会参加費5,000円/懇親会5,000円
・会員:大会参加費4,000円/懇親会5,000円
※参加申込みは同学会のホームページ
http://s-gb.net/form_nc_jp/ )の
「申込みフォーム」をご利用ください。

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2015年06月04日

2015年に大型M&Aが増える予感
〜IoT、Industry 4.0などでさらに求められる企業のスピード感

皆さんこんにちは井之上 喬です。

6月に入り街の中の紫陽花が色付き出しましたね。もうすぐ季節は梅雨。今年もじめじめした天候が続くのでしょうか。

梅雨空とは対照的に、世界経済は欧米そして日本をはじめとするアジアでも安定成長を続けており、企業は好調な業績を背景に次の成長に向けた戦略的な企業買収(M&A)に積極的に取り組んでいます。

■あのインテルが創業以来最大規模のM&Aを
特にIoT時代、Industry 4.0時代を前にIT分野でのM&Aには驚きます。先日も米国半導体大手インテルが、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)でザイリンクスに次ぎ業界2位のアルテラを167億ドル(1ドル120円換算で約2兆円)で買収することで合意したと6月1日に発表しました。このインテル創業以来過去最高規模となる買収案件には驚きました。

この買収は、パソコン(PC)向け半導体の需要が鈍るなか、インテルがIoT時代を見据えデータセンター向け半導体など利益率の高い製品への事業転換を図るため、行ったとの報道もありました。

半導体業界ではその直前に業界最大の買収案件として、米国アバゴ・テクノロジーズがブロードコムを370億ドル(同4兆4400億円)で買収することも発表、今後も安定成長が見込める半導体産業では業界での優位性を確保するための大型M&Aが続いています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズのクライアント企業も、たびたび買収の噂の中で買収する側、される側でニュース報道に登場する機会が増えています。

そのほかにも2015年だけでも5月13日 にはVerizonがAOLを44億ドルで買収へ、4月16日 米セグウェイをシャオミ出資の中国企業ナインボット(九号机器人)が買収、4月15日フィンランドの Nokiaが仏Alcatel-Lucentを156億ユーロ(約2兆円)で買収、4月8日英国とオランダに本拠を置くロイヤル・ダッチ・シェルが英国BGグループの買収で合意、買収金額は702億ドル(約8兆4240億円)で石油業界では過去10年余で最大の買収となりました。

さらに4月7日には 米国フェデックスがオランダ物流大手TNTエクスプレスを44億ユーロ(約5700億円)での買収に合意したと発表しました。3月23日には中国国有化学大手の中国化工集団が伊タイヤ大手ピレリを71億ユーロ(約9200億円)で買収、3月1日にはオランダのNXPセミコンダクターズが米国フリースケール・セミコンダクターを買収することで合意したと発表するなど、3月以降でも枚挙にいとまがないほどです。

日本企業による主な買収案件としても、3月11日 ブラザーがロンドン証券取引所に上場する産業用印刷機大手の英国ドミノ・プリンティング・サイエンシズを10億3000万ポンド(約1890億円)で買収。

2月24日には日立製作所がイタリアの防衛・航空グループ、フィンメカニカの鉄道事業の買収で基本合意、2月23日には旭化成が米国電池材料メーカーポリポア社を買収、2月18日には日本郵政が豪物流トール・ホールディングスを6000億円で買収、2月10日にはキヤノンがスウェーデンのネットワーク監視カメラ事業会社アクシス社を買収するなどがあり、日本企業もグローバル戦略の中で積極的にM&Aに取り組んでいる姿勢が見られます。

■M&Aの質的変化に注目
こうしたグローバルレベルでのM&Aラッシュをみるにつけ、いま世界は企業の生き残りをかけた企業買収を行っていることがわかります。

また最近の傾向として感じるのは、従来のようにM&Aを通じ売上げの拡大=マーケットシェアの拡大=成長、と言う側面だけでなく、今回のインテルのアルテラ買収のように、新しいビジネストレンドの中で競争力を強化しようとしていることです。

単純な売上げの追求ではない持続可能な成長のための技術力、開発力、創造力を自社に取り込む、つまり人的リソースを含めたM&AにIT業界を中心に軸足が移っているように感じます。

そしてM&Aに関する企業トップの決断のスピードもますます加速しているように感じてなりません。翻って日本企業はどうでしょうか。グローバルでのこのような流れにちょっと取り残されている気がしませんか。

M&Aが全てとは言いませんが、アベノミクス効果、株高円安傾向が続き企業業績が好調な今こそ、スピード感を持って5年後、10年後を見据えた投資が日本企業に必要ではないでしょうか。

スピーディな決断と投資を確実なものにするためにも、リレーションシップ・マネジメントを駆使したパブリック・リレーションズ(PR)が機能するはずです。

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2015年05月14日

「女性が活躍する会社ランキング」と「女子大学生の就職人気企業ランキング」をみる
?素晴らしい取り組みをきちっと外部に情報発信しましょう!

皆さんこんにちは井之上 喬です。

5月の第2日曜日、今年は5月10日が母の日でしたね。カーネーションを求める家族連れを目にすることも多かったような気がします。

一昔前は女性は家庭を守り、男性は外で仕事をするのが当たり前でしたが、少子高齢化が進むなかで女性の能力を活かし新たな日本の成長戦略を描くためにも、女性の活躍が不可欠になっています。

母親はもちろんのこと女性がいきいきと活躍できる社会の実現は重要ですね。

■「女性が活躍する会社ベスト100」の傾向
5月7日発売の日経ウーマン6月号に2015年の「女性が活躍する会社ベスト100」が発表になっていました。

これは日本経済新聞社グループの「日経ウーマノミクス・プロジェクト」と働く女性向け月刊誌「日経ウーマン」が実施した企業の女性活用度調査によるもので1988年から不定期で実施、今回が13回目とのこと。

結果は資生堂が2年連続の首位で、2位はセブン&アイ・ホールディングス、3位は全日本空輸(ANA)となっています。「上位には女性の働く意識を磨きながら、リーダー登用に積極的な企業が並んだ」と評価しています。

この調査は1?2月中旬に国内有力企業4293社を対象に実施、過去最多の539社から回答を得たようです。採点の項目は、1)女性役員の有無など女性の管理職登用度、2)ワークライフバランス(仕事と生活の調和)度、3)女性活用度、そして4)男女均等度の4項目で総合点を算出しています。

3位以下のランキングを見てみますと4位がJTB、5位が第一生命保険、6位が日本IBM、7位が高島屋、8位がリクルートホールディングス、9位がパソナグループ、10位が住友生命保険となっています。詳細なランキングは日経ウーマン6月号などをご覧ください。

日本経済新聞は5月9日(土)の紙面で「成長の源泉 女性育成急ぐ」とする見出しでランキングの概要と、ここ3年で著しく順位を上げたセブン&アイ・ホールディングスの妊娠・育児中の社員の意識向上の取り組みやJTBのメンター制・研修による女性幹部育成法、そしてリクルートホールディングスの場所を問わない働き方改革など3社の取り組みを紹介していました。

記事のポイントを拾ってみると、ランキング上位企業の顔ぶれは働く女性を取り巻く環境の変化とともに大きく変わっており、男女雇用機会均等法施行の2年後にあたる1988年に調査した第1回目は小売りが上位11社中7社。女性が活躍できる制度も風土も十分整っていないなか、百貨店やスーパーなど女性社員の数が多い企業がランクインしたとしています。

そして、2006年は日本企業に先んじてダイバーシティー(多様性)を進めた外資系企業が1位(P&G)と3位(日本IBM)に入り、2005年の次世代育成支援対策推進法施行を受け、両立支援やワークライフバランスを強化した電機業界の3社、シャープ(4位)、松下電器(6位)、SONY(7位)がトップ10入りしています。

2012年末に誕生した第2次安倍内閣が女性活躍推進を経済成長戦略の重要な柱と位置付けた以降は、女性リーダーの育成に力を注ぐ企業が増加し、2015年の上位企業で目を引くのは女性役員の育成・登用への取り組みの強化だそうです。上位10社中8社に生え抜きの役員がおり、4社には女性役員登用に関する数値目標がある企業がランクアップされているとのこと。

第1回目のランキングから30年。働く女性を取り巻く環境が大きく変化しているのがわかりますね。

■「大学生の就職人気企業ランキング」にみる傾向
その一方で、就職情報会社のダイヤモンド・ヒューマンリソースが5月12日に発表した2016年卒業予定の「大学生の就職人気企業ランキング」にも注目してみました。

女性部門だけを見てみると文系女子は金融が上位にランクインし、1位は三菱東京UFJ銀行(前年2位)、以下、東京海上日動火災保険(同1位)、みずほフィナンシャルグループ(同7位)、三菱UFJ信託銀行(同3位)、伊藤忠商事(同5位)となっています。

一方、理系女子“リケジョ”は食品メーカーの人気が高く、1位はサントリーグループ(同2位)。2位はロッテグループ(同1位)、以下、明治グループ(明治・Meiji Seika ファルマ)(同4位)、森永乳業(同6位)、森永製菓(同5位)となっています。昨年3位だった資生堂は9位に下落しているようです。

文系女子はメガバンクなどの金融、理系女子は食品・飲料メーカーの人気が高いようです。この結果については「大手金融機関は採用数が多く、育児休業制度なども充実しており、入社できる可能性の高さと長く安心して働ける点が人気を集めた」と分析しています。

こうしてみてみると、「女性が活躍する会社」と「女子大学生が入社したい会社」の顔ぶれが違うように感じます。

これらの傾向の違いは、女性が活躍している会社なのに女子大学生にはしっかりと情報が伝わっていないことに起因しているのかもしれません。

その時代で就職事情が異なるのは当然ですが、「長く働ける環境を整えているのはどの企業なのか?」 もしかすると企業の素晴らしい取り組みや将来に向けたメッセージがきちっとターゲットに伝わっていないのかもしれませんね。

特に日本企業は外部に誇るべき制度や実績を達成しても、それを外に情報発信することを良しとしない文化がまだまだあるように思います。

経営環境が激変する中で、有能な女性人材の確保がこれからの成長の鍵となる企業にとって、パブリック・リレーションズ(PR)を通じ、きちっと社会やステークホルダーに企業情報を戦略的に発信していくことが、より重要になっているのではないでしょうか。

投稿者 Inoue: 14:49 | トラックバック

2015年05月07日

米国における消費の新潮流「ミレニアルズ」
〜消費行動の変革を迫る新世代

皆さんこんにちは井之上 喬です。GWは、いかがお過ごしでしたか。

最近、米国情報を伝える報道の中で「ミレニアルズ」というワードをしばしば見かけます。

例えば、「(米国市場で)ミレニアルズを含めた35歳以下の顧客が、2004‐2014年の11年間に購入した車で最も多かったのが、アコードとシビックになるという。」(レスポンス)

[若い層ほど同性婚の支持率が高いことも分かった。例えば10代後半?30代のミレニアルズ世代は7割が同性婚を支持している。](CNN)といった文脈の中に見ることができます。

この新たなワードについて、タイムリーにも朝日新聞「ワールドけいざい――20代中心の新世代」(4/26朝刊)で特集され、興味深く読みました。

「ミレニアルズ」(Millennials)の定義は専門家により異なるようですが、1980年頃から2000年代初めに生まれた世代を指し、2014年時点では米国の人口の約3割を占めるといいます。

中核は20代。10代からスマホを持ち、インターネットに慣れ親しんだ最初の世代。働き始めるころにリーマン・ショック(08年)以降の経済停滞に直面し、上の世代とは消費行動が違うことが注目されているようです。


米国では、こうした若い世代の台頭が小売りやサービス業に変革を迫っていて彼らの消費行動に対応できず、苦戦を強いられる企業も多いとのことです。

■買い物はネット、そして保有よりも共有
「買うよりレンタル、共有で十分」と考えるミレニアルズのクルマ離れは、米国自動車業界に共通する悩みとなっているようです。

上の世代には「力強い走り」を訴えると効果的だったものが、若い世代には逆効果になるといいます。米最大手ゼネラル・モーターズ(GM)も若者向けの広告では「おしゃれ」や「燃費性能のよさ」を前面に出しているのはこうした理由によるとか。

幼少からネットやソーシャルメディアに親しみ、ヘルシーな食事や旅行にはお金を使うけど、家や車を持つことに関心がない。米国で約8600万人いる新世代の台頭に、最初に打撃を受けたのはファストフード業界だったとのこと。

マクドナルドの米国における昨年売上高は、前年より2.1%減と2年続けてのマイナス。健康志向の強いミレニアルズには、「ハンバーガーは食べない」といった傾向があるようです。

米コカ・コーラも主力の炭酸飲料が売れず、昨年の通期決算は純利益が17 %減ったとのことです。

実店舗が中心の小売りも苦しんでいるようです。今年2 月、米家電量販2位のラジオシャックが経営破綻。専門知識がある店員による接客が持ち味だったものの、家電のネット購入が広がり、若者が店に来なくなったことが大きな要因。

「ラジオシャックの破綻はミレニアルズの影響力の大きさを象徴した」(米調査会社)と報告されています。

■ミレニアルズを意識したマーケ戦略
10 年後はミレニアルズが米国の消費の主役となるため、この世代をどう取り込むかは、小売りやサービス業界の大きな課題となっているようです。アナリストたちが「ミレニアルズへの浸透度」を、企業業績予測のものさしにするケースも出てきているといいます。

米ホテル業界は「個人のスマートフォンが鍵になり、簡単にチェックイン」などの次世代型サービスを相次ぎ打ち出しているとか。その背景には個人の自宅の空き部屋をホテルのように貸し出し「共有」する新サービス「エアビーアンドビー(Airbnb)が急成長し、危機感を募らせているからだとしています。

炭酸飲料離れに苦しむコカ・コーラは昨年、個人のファーストネーム入り缶や名前だけでなく「Friends」や「Family」といった親しみのある言葉を表示している商品を登場させています。

スポーツ用品のナイキは、若者に向けたソーシャルメディアによるブランド戦略が成功し、「健康的で、おしゃれ」という評価を得て、業績好調が続いているようです。

ボストンカレッジのステバン・ブラゼル准教授は「ミレニアルズは商品の評判について、ソーシャルメディアを通じ世の中や企業に発信する最初の世代。独自の消費スタイルを生み出すので、存在感は増すばかりだ」と今後のマーケティング戦略の方向性を示唆するコメントを寄せています。

米国のミレニアルズと日本の氷河期世代 (Lost Generation) 後期、真性団塊ジュニア(ポスト団塊ジュニア)とか携帯世代、ゆとり世代などと呼ばれる世代との間に多くの共通点が認められます。

日本のユニクロが昨年、個人の写真やイラスト、文字を自由にデザインし、オリジナルTシャツをプリントして提供するといった新しいビジネスモデルを発表していましたが、これなどもミレニアルズを対象とした新しいマーケティング手法なのかもしれませんね。

日米ともにその存在感をますます増大させる新たな世代のライフスタイルを研究・分析し、コミュニケーション戦略にいかに反映させていくか―― 私たちパブリック・リレーションズ(PR)の実務家に求められているといえます。

投稿者 Inoue: 16:55 | トラックバック

2015年04月30日

「ニュース検定」をご存知ですか?
〜情報感度を高め"PRの潮目"を的確に読む

皆さんこんにちは井之上 喬です。

いよいよGW突入!皆さんはどのような計画を立てていますか?
まとめて休みを取れる良い機会です。新緑の中で有効に時間を使いたいですね。

私はカレンダー通りですが、5月2日から6日までの5連休はエキソサイズや読書をするなど、久しぶりにゆっくり過ごす予定です。

■新年度の目標に検定へチャレンジ
新年度がスタートして1カ月が過ぎました。新たな目標を設定し頑張っている方も多いのではないでしょうか。さまざまな資格・検定取得も目標設定には良いですね。

その中の1つに「ニュース検定」があります。
正式には「ニュース時事能力検定」で、特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会をはじめ、株式会社毎日教育総合研究所および全国の新聞社や放送局が共催しています。

新聞やテレビのニュース報道を読み解くための「時事力」を認定するもので、「時事問題」の理解に欠かせないキーワードや、社会の仕組みと流れについての知識を小学校中高学年から中学校1年レベルの5級から、程度の高い1級まで6段階に分けて測定する唯一のニュース検定試験です。

同協会のホームページによると、ニュース検定の5つの特徴として、1)第一線のジャーナリスト、学識経験者らで構成されたスタッフが、今を読み解くために必要なテーマを厳選して出題しているとしています。

また、2)政治、経済、暮らし、国際問題、社会・環境の5テーマからバランスよく出題され、総合的な時事力を測ります。3)検定級は6段階に分かれており、学生から社会人まで各受検者の到達目標に合わせた受検が可能。4)受検者全員に「結果通知」が送付され、全ての問題の正誤表や解答をもとに受検者が復習したり、弱点の克服が容易となります。5)使いやすさに配慮した公式テキストや問題集を使って自学自習も可能で、「どのように勉強したらよいかわからない」といった不安を解消し、学びやすい教材となっています。

また、「時事力」が基盤を固め、情報感度を高めるとし、時事力については、歴史の縦軸、世界の横軸の中心に自分を置き、様々なテーマを自分の問題としてとらえる習慣が身につくことで備わる能力としています。

この時事力は、激変する現代社会で求められる力の土台となり、また膨大な情報から必要な情報を取捨選択して社会で活用する「情報感度」の中核を構成するとし、検定に挑戦し、自分の時事力の客観的把握をとおして「情報感度」の高まりを実感することを促しています。

ニュース検定の全国の累計志願者数は、2007年の第1回から2014年度までで小学生から高齢者まで22万人以上に達しているとのこと、2015年度は6月21日(日)と11月22日(日)に一般受験を実施予定とのことでから今から準備を進めチャレンジしてはいかがでしょうか。

■的確な情報分析で外部環境を把握する
パブリック・リレーションズ(PR)の仕事では、基本的なイロハのイとして新人社員がまず覚えるのがクライアントの動向を中心とした記事のモニタリングです。

朝、出社すると多くの新聞、雑誌そしてオンラインの媒体に目を通し、クライアントに関連する記事情報を取捨選択し報告します。

この作業は毎日続き一見地味な仕事ですが、記事の内容を分析することが、次のPR戦略を立てる上で重要なことは言うまでもありません。

クライアントについての直接関連情報だけではなく、時には競合情報、そしてグローバルを含めた業界全体の動向を把握、ひいてはクライアントを取り巻く外部環境の変化を把握することで、最適なPRコンサルテーションが可能になるからです。

毎日の情報収集と分析をベースに、タイミングを見極めて戦略的なPR活動を実行に移しPRの目的を最短で実現する。このようなダイナミックなPR活動の"潮目を読む"ためにも、日々の膨大な情報を的確に分析する能力がPRパーソンには求められているのです。

情報感度を高め外部環境を把握することは、ニュース検定の目的と相通ずるものがありますね。

投稿者 Inoue: 19:57 | トラックバック

2015年04月23日

リニア、世界最速の時速603キロを達成
〜ギネス世界記録に登録を申請

皆さんこんにちは井之上 喬です。

JR東海の発表によると、2027年の開業(品川-名古屋)を目指すリニア中央新幹線の走行試験で4月21日、鉄道の有人走行として世界最速となる時速603キロを記録したとしています。

■半世紀を超える研究の成果
リニアモーター推進浮上式鉄道の研究を開始したのが1962年(昭和37年)で、今日まで半世紀を超える歳月が流れています。

研究開始から10年後(72年)に超電導磁気による浮上走行が成功。87年には有人走行で時速400.8kmを達成しています。その後、99年に552キロ、03年には581キロを出し、今月16日には時速590キロに達していました。

今回の記録達成は7両編成でJR東海社員49人を乗せ、21日午前10時48分に時速603キロに到達した。600キロ以上で10.8秒間、1.8キロを走ったといいます。


世界第2位はフランスの高速鉄道TGVで、07年の試験車両による時速574.8キロ。JR東海は、ギネス世界記録に登録を申請するとしています。

営業時の最高時速は500キロですが、今回の試験は高速走行時の設備のダメージを探り建設コスト低減につなげるためのもの。高速域でのデータ収集にめどがついたとして、これ以上高速での走行試験は考えていないとのこと。

JR東海では、この世界記録の達成を契機に政府が成長戦略に掲げるインフラ輸出の一環として米国への売込みに注力していく方針としています。

高速鉄道分野ではカナダのボンバルディア、仏アルストムや独シーメンスなどライバルも多く、競争優位性を確保していくためにも戦略的なパブリック・リレーションズ(PR)が不可欠となります。

こうした国際競争分野へも、私たちパブリック・リレーションズ実務家の果たすべき役割が拡がっています。
 
■飽くなきスピードへの挑戦
リニアが今回達成したスピード(時速603キロ)と他の交通手段(乗物)と比較してみましょう。

先ずは旅客機。旅客機の巡航速度は、時速約800?900kmといわれますが、世界最速の旅客機はどれくらいのスピードで飛んでいたのでしょうか。

世界一のスピードを誇るのは、03年に27年にわたる運航の歴史に幕を引いた超音速機「コンコルド」です。その最大速度はマッハ2.4(時速約2450km)で、ロンドン?ニューヨーク間を3時間45分で運航していました。これはジャンボ機の2倍以上のスピードにあたります。

次いで東海道新幹線(東京―新大阪)の「のぞみ」。92年の登場以来、時速270キロで走行していましたが、今年3月のダイヤ改正から最高速度を285km/hへ、23年ぶりにアップしています。この高速化は「うまく曲がり、早く止まる技術」を追求し続けた成果だといわれています。

三番目は船舶。船は、一般に遅い乗物というイメージがありますが、現在営業航海しているフェリー船を例にとると時速30ノット程度(50?60km)が最速といわれているようです。

陸・海・空の代表的な交通手段(乗物)を紹介してきましたが、いずれも研究者やエンジニアの飽くなきスピードへの挑戦で生まれたものです。どこまで最速記録が伸びるのか、これからも楽しみに見守っていきたいと思います。

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2015年04月16日

大型GWに印刷博物館の「ヴァチカン教皇庁図書館展」はいかが
〜人類の遺産を後世に伝えるCSV活動にも注目

皆さんこんにちは井之上 喬です。

もうすぐゴールデンウイーク(GW)。今年は4月30日、5月1日、そして7日、8日に休暇を取るとしたら何と12連休も可能なカレンダーですね。

なかなかそう上手くはいかないでしょうが、貴重なお休みを有効に使いたいものです。

■テーマは「書物がひらくルネサンス」
GW直前の4月25日(土)から東京で興味深い展覧会が開催されます。印刷博物館での「ヴァチカン教皇庁図書館展? 書物がひらくルネサンス」で7月12日(日)まで開催されます。

印刷博物館で、ヴァチカン教皇庁図書館をテーマにした企画展が開催されるのは、2002年の「ヴァチカン教皇庁図書館展―書物の誕生」以来で今回が2回目だそうです。

前回の展示では、グーテンベルクが発明し15世紀に登場した活版印刷によって、書物が写本から印刷本へと変遷していった過程を展示していましたが、今回はルネサンスをテーマに、ルネサンスという大きな文化運動の流れの中で、印刷書物がどのような役割を果たしたかを展示するようです。

ホームページに見ると、ヴァチカン教皇庁図書館所蔵の中世写本、初期刊本、地図、書簡類計21点を中心に、印刷博物館および国内諸機関所蔵の書物を加えた計69点を展示し、ルネサンス精神の比類なき生き証人としての書物の魅力に迫るとしています。

デジタル版より"紙派"の私としては、印刷書物がどのような形で人間の歴史に貢献してきたのか足を運んで体験してみたいと思っています。

それにしてもポスターがゴージャスですから、皆さんも是非ご覧になってはいかがでしょうか。

この印刷博物館は、2000年に凸版印刷が設立100周年記念事業の一環で開設したもので、印刷文化に関わる資料の蒐集や研究活動、活版印刷などの印刷を実体験するなどの実践・啓発活動を行っているユニークな博物館です。

■何とヴァチカン3000冊の手書き文献をデジタル化
ヴァチカン教皇庁図書館の関連で、ユニークな取り組みを行っているのがNTTデータのヴァチカン図書館デジタルアーカイビング事業です。

この事業はヴァチカン図書館に所蔵されている、貴重な手書き文献を後世に残し永続的な文化の継承を実現する目的で行われているもので、NTTデータは、この人類への貢献ともいえるヴァチカン図書館の取り組みに賛同し、2014年4月からデジタルアーカイブ事業に参画、約3,000冊の手書き文献を4年間でデジタル化するために自社技術で貢献しています。

活動内容としては、文献のデジタル画像化作業や電子化された文献画像データの長期保存システム、画像公開用の閲覧ビューワーを含むデジタルアーカイブシステムの構築だそうです。

その結果、2014年10月20日より、デジタル画像化したデータを高機能閲覧ビューワーで閲覧することが可能となり、ヴァチカン図書館のウェブサイトから直接アクセスできるようになっています。

このビューワーは、高精細・高操作性を備えるとともに、PCだけでなくスマートフォンやタブレット端末などからの閲覧にも対応しています。

これにより世界中の人々が、時間や場所を問わず、高精細にデジタル画像化された手書き文献を閲覧することが可能となり、ヴァチカン図書館の貴重な人類資産の学術、美術、教育分野などにおける活用促進が期待できる、とNTTデータのホームページで紹介しています。

この取り組みは、このブログでも何回か触れていますが、まさにハーバード大学ビジネススクール教授マイケル・E・ポーター氏が、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念とし提唱しているCSV(Creating Shared Value:企業の共通価値の創造)そのものですね。

CSV活動を通じ世界の文化遺産を後世へ継承する。多くの日本企業が、このような世界規模での社会貢献活動が展開できるよう期待したいところです。これこそパブリック・リレーションズ(PR)の醍醐味だと思います。

投稿者 Inoue: 15:41 | トラックバック

2015年04月10日

東京五輪を技術見本市に
〜政府・都が1000社募集

桜に皆既月食。桜に雪。寒の戻りと椿事が続きましたが、皆さんお元気にお過ごしですか。

政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、東京都と共同で、競技会場や街なかで使う自動運転のバスや水素エネルギーの活用など最新技術の開発に乗り出すとのこと(4/9日経夕刊)。

日本企業が得意な技術を下記9分野にわけ、開発に参加する企業の募集を始めるとしています。

■新技術開発の9分野
1.車や信号機などが互いに通信し、自動制御する
 「次世代都市交通システム」
2.英語や中国語、アラビア語などの多言語に対応
 した音声翻訳システム
3.環境負荷の少ない「水素社会」のモデル
4.高度な分析技術を持つ監視カメラシステム
5.障害者の競技観戦を補助したり、パラリンピック
 競技者のトレーニングに使う支援ロボット
6.ゲリラ豪雨などを予測する気象予測技術
7.映像技術
8.エボラ出血熱などの感染者探知技術や
 情報収集・分析システム
9.夏でも花を長持ちさせるバイオ技術

競技会場内で使う製品は五輪のスポンサー企業の提供によるものの、それ以外では参加企業が実際に製品や技術を納入できる可能性が高いといいます。

募集企業数は1000社規模を想定しており、東京五輪を日本の最新技術の見本市とし、世界にアピールするとともに、ビジネスチャンスを拡大したいとしています。

1964年の東京オリンピックでは、会期に合わせて東海道新幹線や東京モノレール、首都高速などの交通・社会インフラの整備やカラーテレビの普及など、その後の日本経済発展の起爆剤にもなっています。

こうしたことが、今回の最新技術の開発プロジェクト取組みの背景になっているのではないかと思います。

社会インフラに幅広く関わるシステムが多いため、政府や東京都、様々な業界の企業がオールジャパンで開発にあたり、4月中にも民間企業の募集を始め、実用化を早める方針を打ち出しています。

■加速する水素社会の到来
私が特に関心をもった開発項目は、「3. 環境負荷の少ない『水素社会』のモデル」です。

日本各地の太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった電気から水素をつくり、大型タンカーなどで首都圏へ運ぶ。都内の水素ステーションに蓄積し、競技会場や選手村、燃料電池車で使う電気にあてるとしています。このため安全で大規模な運搬技術や電池の開発が課題となるようです。

このブログでも何度か紹介しましたが、私の経営する会社井之上パブリックリレーションズでは、ちょうど6年前の2009年4月に、1日も早い水素社会の実現を願って「水素研究会」を立ち上げました。

自社のCSR活動の一環として立ち上げたこの研究会のメンバーには、同じ思いと考えを共有する水素開発専門家に加えジャーナリスト、企業で再生エネルギーや水素関連事業を担当するエグゼクティブなど、十数名の個人の資格で参加する人たちで構成され、2カ月に一度、会合をもち議論を重ねています。

究極のエネルギーとういうべき水素は、エネルギー小国の日本が初めて膨大でクリーンなエネルギーを得る可能性を持つ夢のエネルギーです。

東京五輪に向けた国を挙げての取り組みが、水素社会の到来を加速するものと期待できます。パブリック・リレーションズ(PR)の専門家として夢の実現を後押ししてまいりたいと思います。

投稿者 Inoue: 17:07 | トラックバック

2015年04月02日

新入社員はロボットのワトソン君!
〜身近になる人工知能型コンピューター

皆さんこんにちは井之上 喬です。

新年度がスタート。皆さんの会社にもフレッシュな新入社員が配属されたのではないでしょうか。

新入社員の皆さん、何事にも好奇心を持ち常にチャレンジ精神を持ち、グローバルな視点で新しいビジネスを開拓してください!

近未来のオフィスの朝、「山田社長、おはようございます。今日からお世話になりますワトソンでございます。どうぞよろしくお願いいたします」。このような日常的な日本のオフィス、でも挨拶したのがロボット人工知能としたらどんな感じがしますか?

日本経済新聞電子版の3月20日付に「ついに人工知能が銀行員に「内定」IBMワトソン君」の見出しの記事がありました。

ビッグデータ分析でコールセンターの概念を覆す人工知能活用法
それによると「人の言葉を理解する米IBMの認知型コンピューター「ワトソン」。米国生まれで母国語は英語だが猛勉強によって日本語を習得し、三井住友銀行から「内定」を得た。クイズ番組に興じていたワトソン君が、年内にも銀行マンとして日本で働き始める」と言うもの。

記事を見ると「ワトソンは利用者が入力した文章を自然言語処理の技術で解釈し、ビッグデータ分析などの技術によって質問の答えを導き出す。三井住友銀行のオペレーターが顧客から受けた質問をキーボードで入力すると、ワトソンは5つの回答候補を瞬時に出す。回答は確からしい順に、その確率を付けて表示する。オペレーターは候補と確率を参考に、顧客に応答する」と言うもの。

同行は、2014年9月から年末までに行われた入社試験にあたる技術検証の結果、実用化の手応えをつかんだようです。応対スピードをストップウオッチで測定したところ、人間と五分五分だったというから驚きです。

また、経験の浅い人でもベテラン並みのサービスができるなど、顧客対応の標準化と底上げができることも期待されているようです。オペレーターにも「膨大な資料を調べなくても答えが得られる」などと評判だということです。

メガバンクでは、みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行もワトソンの導入を進めているようです。ワトソンを本格導入するには数億円以上かかるようですが、顧客対応などのサービス品質を引き上げたり人手に頼っていた複雑な業務を効率化したりできるため、投資以上の効果があると試算されています。

銀行員のコールセンター以外にも、新たな仕事の依頼が舞い込んでいるようで、日本郵政の西室泰三社長は、2月18日の記者会見でかんぽ生命保険の保険金の支払業務に「日本の保険会社として初めてワトソンを導入する」と発表しました。

また、ワトソンの国内展開で日本IBMと提携したソフトバンクは、予備校と組んで学生の成績などから苦手分野を見つけ出すサービスなどの検討をしているようです。人工知能の進化には目を見張るものがあります。

■人工知能=ロボットも人とコミュニケーションできる?
人工知能の進化により、ロボットの仕事が増え人間の仕事が減るとの調査結果がボストン・コンサルティング・グループなど様々な調査機関から出されています。ロボットは今や人間にとって脅威の存在なのでしょうか。

別の見方もできませんか?日本のような少子高齢化が進む国では新たな働き手としてロボット:人工知能を活かす方法もあるのではないでしょうか。労働力不足をロボットで補完し、さらに人工知能でこれまでの匠の技を継承していく。

結果、国内に工場が戻ってきたり、新たな雇用の場が創出され、新産業の誕生の可能性も高まってくるのではないでしょうか。人とロボットがコミュニケーションできる時代はまだまだ先の話しでしょうが、労働力不足と言う社会的な課題を解決する1つの解になるかもしれません。

12月2日からは2年ごとに開催される「国際ロボット展」が東京ビッグサイトで開催されます。従来の工作機械としてのロボットに加え、介護や福祉などのサービスロボットに関する情報にも注目したいと思います。

人工知能といえば1980年代、MIT(マサチュセッツ工科大学)の人工知能研究所所長のシーモア・パパート教授パブリック・リレーションズ(PR)の仕事の関係で何年か深く関わっていました。

あれから30年、人工知能がこのような形で社会と関わりを持つようになってきたことに、人間の英知の素晴らしさに驚嘆するとともに、科学技術の重要性を考えずにはいられません。

投稿者 Inoue: 17:02 | トラックバック

2015年03月19日

日本の高校3年生の英語力は中卒程度?
〜まずは中学レベルの英語でコミュニケーション

皆さんこんにちは井之上 喬です。

もうすぐ4月ですね。日本では新年度、新社会人、新入学など新たな人生を踏み出す節目の月を迎えます。新たな気持ちで桜の季節を迎えたいものです。

■閣議決定の目標にほど遠い結果
文部科学省は3月17日、高校3年生の英語力を国が統一して測るために初めて実施した英語力調査の結果を公表しました。新聞報道などで目にされた方も多かったのではないでしょうか。

この調査は英語力を把握するため、2014年7?9月、無作為に抽出した全国の国公立約480校、約7万人の高校3年生を対象に実施したもので、満点を取れば英検準1級程度と判定されるレベルの設問だったとのこと。

民間の資格検定試験と同じ様に「読む」「聞く」「書く」「話す」という英語の4つの技能について調べています。その結果、平均的な生徒の英語力は、実用英語技能検定(英検)に換算して、中学校卒業程度の3級以下と判定されたようです。

それによると「書く」「話す」の2分野は「0点」の生徒も多く、特に苦手としているようです。

文科省は2013年6月の"閣議決定"で高校卒業時までに、英検準2級から2級程度の英語力を持つ生徒の割合を50%にすることを目標としていましたが、この結果に担当の文科省国際教育課は「結果を受け止め、授業の改善に生かしたい」とコメントしています。

もう少し詳細に見てみますと、各技能の満点に対する平均点の割合は「読む」(満点320点)が40%、「聞く」(同)で37%、「書く」(満点140点)で19%、「話す」(同14点)で32%となっており、いずれの技能の平均点も、国際基準規格「CEFR」では6段階で最低の「A1」と判定されたとのことです。

ちなみにA1は英検で3級?5級、英語能力テストの「TOEIC」で200?380点に相当するレベルとのこと。

「書く」分野では自分の意見を英文で表現する問題などが出たが、29%の生徒は無回答で0点だったとのこと。また、「話す」は音読や試験官との質疑応答などを出題した結果、13%の生徒からは発言がなく0点とされたようです。

英語力をどの程度まで身に付けたいか、との質問に対しては「国際社会で活躍」が8.8%にとどまったのに対し、「海外旅行などでの日常会話」が36.7%で最多、また「学校の授業以外での利用を考えていない」は25.1%だったそうです。

英語教育を受験用の文法偏重型ではなく、英語学習の真の目的を把握させ、その効用や楽しさを感じとらせる工夫が大切ではないでしょうか?

■グローバル人材のコミュニケーション力とは?
国際社会で活躍するグローバル人材の育成に向け英語教育は重要ですが、この結果を見ると文科省の目標と現状との差は大きく、達成は容易ではなさそうです。

でも。グローバル人材に必要な英語力は本当に英検で測れるようなものなのでしょうか?

私は中学校2年生で習う程度の基礎英文法を理解していれば、外国人と英語で対等にコミュニケーションができると考えています。さらに言えば動詞は、canとhaveでほとんど足ります。あとは、話す環境を増やすことです。そこからレベルを上げていけば十分だと考えています。

海外に行くと分かることですが、英語圏以外のところでは文法に関係のないブロークンな会話が交わされています。

コミュニケーション力をつけるうえで何よりも大事なことは、上質な英語を耳で繰り返し聴くこと。また、and、but、becauseなどの接続詞を使い簡単な文章をいくつかつなげること、そして相手からの「どうして?」「何故?」などの質問に対して怖がらずに積極的に応えていくことだと思います。

グローバル人材にとってコミュニケーションツールとして英語は必須ですが、コミュニケーションを取れることと英語力は必ずしも一致しないのではないでしょうか。

会話するときの状況を理解し、具体的にイメージをつくり、それを短い英語の文章をつなげることで恥ずかしがらずに積極的に話してみる。そうすることで新しいコミュニケーションが生まれてくるはずです。目的は、「文法を間違えないで話す」ことではなく、「自分の考えを相手に伝えるために」、コミュニケーションツールである英語を使用するということではないでしょうか?

グローバルにパブリック・リレーションズ(PR)を行う場合にも英語は必要ですが、英語のための英語にならないように気をつけたいものです。

投稿者 Inoue: 16:20 | トラックバック

2015年02月26日

春を前に北陸新幹線開業、常磐道全線開通
〜地方創生にもPRのプロが不可欠に

皆さんこんにちは井之上 喬です。

早いもので来週は弥生3月ですね。道理で今週は東京も暖かい日が多かったですね。雪国にももうすぐ春がやってきますね!

■東京?金沢が最速2時間28分に
3月14日のJR東日本のダイヤ改正では、大きな目玉として北陸新幹線の長野?金沢間が開業します。開業により東京?金沢間は最速で2時間28分で結ばれ、最大で1時間23分と大幅な短縮となります。また、東京?富山間は同じく最速で2時間8分となり最大で66分短縮されます。

長野?金沢間の開業まで1カ月となった2月14日、開業日の前売り切符がJR各駅などで発売されましたが、金沢、東京両駅の一番列車となる最速タイプの「かがやき」は、ともに午前10時の発売開始からなんと約25秒で完売したとのこと。これを見ても開業に向けたフィーバー振りがわかりますね。

先日一足早く関係者の試乗会で搭乗した知人が、「車内が揺れもなくとても静かだった」とその感想を語っていましたが、これまでは飛行機に頼っていた首都圏から北陸への移動が北陸新幹線の開業により大きく変化しそうです。

北陸新幹線開業による経済効果について石川県は、観光客などの増加による消費増大、産業の活性化、首都圏への販売ルート拡大、企業進出による雇用増大などが見込まれ、購買客の首都圏への流出(ストロー現象)、通過型観光の増加や宿泊数の減少などのマイナス面を差し引いても単年で約120億円を予想しているようです。

■東日本大震災被災地の活性化に期待大
北陸新幹線の開業より2週間前の3月1日に1つの高速道路が全線開通します。常磐自動車道(埼玉県三郷市―宮城県亘理町)の福島県内の常磐富岡IC(インターチェンジ)?浪江IC間が開通し、常磐道は全線が開通することになります。

1966年(昭和41年)に東京?いわきの予定路線が決定されてから49年での全線開通となり、東北自動車道とともに首都圏と仙台圏を結ぶダブルネットワークが完成します。

今回開通する区間は、東日本大震災で事故を起こした東京電力福島第一原発に近く、空間放射線量の問題が懸念されていましたが、2月20日には環境省が路面舗装などの効果による線量低減を期待した「除染方針」(平成24年8月31日公表)の達成状況の確認を行ったと公表、除染対策にお墨付きを出す形で震災発生から4年目を前に全線開通となりました。

福島第一原発事故の爪痕はまだまだ深いですが、福島をはじめ宮城、岩手など東北の被災地を多くの観光客が訪れる機会が増えることを祈るばかりです。

安倍政権の政策の大きな1つに「地方創生」があります。北陸新幹線の開業、常磐自動車道の全線開通はともに周辺自治体にとっては新たな活性化のための起爆剤として期待は大きいと思います。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、これまでに静岡県、長野県などさまざまな地方自治体の観光振興や人材育成のために、パブリック・リレーションズ(PR)の視点からコンサルテーションを行っています。

いかに地元の魅力を情報発信し、国内外からの人、モノ、カネそして情報の流れを持続させることができるかが問われていると思います。そのためには戦略的なPRプログラムを実行するPRのプロの存在が不可欠です。これまでの45年のパブリック・リレーションズ(PR)の経験が地方創生に役立てられるのではと感じています。

投稿者 Inoue: 19:04 | トラックバック

2015年02月19日

「善い会社」が求められる社会に
〜高い収益性と社会貢献が企業の評価基準に!

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

今週は東京でも雪が降るなど変わりやすい天候でしたね。これも春が少しずつ近づいている証でしょうか。

■良い会社、強い会社、そして善い会社へ
2月9日付けの「日経ビジネス」の表紙には『善』の毛筆による一文字が書かれていました。同誌として初めて「善い会社」のランキングを掲載したものです。

サブタイトルは、「いま必要とされる100社ランキング」、で全上場企業の中から同誌が選んだ善い会社100社ランキングが掲載されていました。あなたの会社はランクアップされていましたか?

「良い会社」ではなく「善い会社」が必要とされるのはなぜか、巻頭の"編集長の視点"で田村俊一編集長は「1980年代前半、日経ビジネスは『良い会社』というシリーズ特集を組んだことがあります」「90年代には『強い会社』というシリーズ特集がありました」そして「21世紀に求められる企業とは何か。日経ビジネスが今回提示したのは『善い会社』です。成長の原動力となる収益性と社会への貢献を両立する企業、それが善い会社の定義です」とのこと。

それでは日経ビジネスの「善い会社」ランキングから10位までを見てみましょう。ちなみに得点の満点は100点で内訳は営業利益率40点、従業員増減、法人税額、株価変動率の3項目が各20点となっています。

1位はソフトバンク(70.7点)、2位ファーストリテイリング(65.4)、3位キーエンス(65.2)、4位ファナック(63.9)、5位ヤフー(63.5)、6位イオンモール(62.4)、7位楽天(61.9)、8位マニー(60.2)、9位日本たばこ産業(59.8)そして10位が武田薬品工業(59.7)となっています。ランキングなど概要にご興味の方は紙面をご参照ください。

なるほどと納得する企業名もありますが、「へ?この企業が?」と感じる企業名もありますね。

個人的に興味深かったのは、特集の初めに見開きで書かれていたファーストリテイリング会長兼社長柳井 正氏のインタビュー記事。見出しは、ブラックにあらず成長こそ「善」。同社は今回のランキングでソフトバンクに次いで2位にランクされています。

柳井会長はランキングに素直に喜びを表すとともに、同社が数年前、インターネットや報道で労働環境の厳しさなどが取り上げられ「ブラック企業」というレッテルを張られたことにも言及しています。

「善い企業」と「ブラック企業」、この対極にある評価が同じ企業に同時期に下されるほど、世間の評価基準は多様化、複雑化していると思います。

その原因は社会の価値観の変化、企業自身の問題もあるのでしょうが、情報伝達方法が激変していることも考えられます。

■SNSで誰でも情報発信できる時代
インターネットが普及しそしてSNSが一般化し、誰でも情報の受け手から、簡単に情報の発信者になれる時代になっています。

前出の柳井会長も「ネットの共鳴作用が働いていて、血祭りにあげているのだろう。ヒステリックで寛容性のない風潮が広がっている」とSNSを介した情報の拡散についてコメントしています。

情報発信の方法が変化し、瞬く間に情報が拡散する現在において、企業は本業できちっと収益を上げること、そして社会の公器として社会貢献を行うことは当然のことですが、より重要になってきているのが企業を取り巻く様々なステークホルダー(利害関係者)と自らが上手にコミュニケーションをベースに関係構築を行なうことだと思います。

そのためには柳井会長にみられるように、企業トップ自らがメディアに登場しきちっとストーリーテリングすることが不可欠となります。企業が何を考え、どこを目指して活動しているのか。トップが自らの経営哲学を織り込み発信し続ける、これからの経営者に求められる大きな資質だと思います。

企業活動を継続していると、良い時ばかりではないでしょう。とりわけネット時代では、いつ危機的な状況に陥るかわからない予測困難な事態に陥りかねません。そんな時代こそ、リレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズ(PR)の役割が重要になってくると感じています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、多くの国内外企業の危機管理のコンサルテーションを行っていますが、具体的な受け皿として社内にこの春「危機管理支援室」を設けることにしました。

常に危機的な状況に備え、ステークホルダーから「善い会社」と評価されるようになるためにも、企業経営者は常に緊張感を持って外部環境を読み、情報発信に気を配る時です。そしてコミュニケーションのプロである、私たちパブリック・リレーションズに携わる者の役割がさらに重要になっていると強く感じています。

この「善い会社」特集のサブタイトル「いま必要とされる100社ランキング」のリードに「会社とは何か。単なる『営利組織』という定義は、もはや通じなくなりつつある。(中略)いま必要とされるのは、利益の向上と社会への貢献が一体化した『善い会社』だ。」と記しています。

ハーバード大学ビジネススクール教授であり、企業の競争戦略論で知られるマイケル・E・ポーター氏は、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念としてCSV(Creating Shared Value:企業の共通価値の創造)を提唱していますが、その中でCSVが進化すると「営利と非営利の境界の区別がつきにくくなる」と論じています。

これは企業の社会化が進み、非営利組織の営利化が進むためで、CSVの価値は「競争に不可欠で、コストと比較した経済的便益と社会的便益」にあるとしています。

このこのように「善い会社」の評価基準とポーター教授の提唱とが相通ずる面が見られます。今回の日経ビジネスの特集がCSVの意義を企業や社会に対して認知されるきっかけになればと期待しています。

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2015年02月12日

目前に迫った2016年春の「電力自由化」
〜巨大市場を巡る大きなうねり

皆さんこんにちは井之上 喬です。

2月11日は国民の休日「建国記念の日」でした。改めて日本とは、そして日本人とは、について日本国民は思いをはせてみる良い機会だと思います。

■電力10社体制からの大改革が本格化
2015年のキーワードの1つに2016年4月の「電力の自由化」が挙げられると思います。では、電力自由化とはどういうことなのでしょうか?

この件についてWikipediaをみると、「電力自由化、または電力市場の自由化とは、従来自然独占とされてきた電気事業において市場参入を緩和し、市場競争を導入することである。電気料金の引き下げや電気事業における資源配分の効率化を進めることを目的にしている」としており、具体的に行われることとしては以下の項目を挙げています。

●誰でも電力供給事業者になることができる
 (発電の自由化)
●どの供給事業者からでも電力を買えるよう
 にする(小売りの自由化)
●誰でもどこへでも既設の送・配電網を使って
 電気を送・配電できるようにする(送・配電の自由化)
●既存の電力会社の発電部門と送電部門を切り
 離すことで競争的環境を整える(発送電分離)
●電力卸売市場の整備

電力自由化はすでに段階的に始まっており、2000年からは中小工場やスーパー、中小ビル向けなどの特別高圧契約が自由化されました。その後、昨年6月の電気事業法改正により、
2016年4月からは家庭向けを含め全面自由化されることになるのです。

従来は販売シェアの4割を占める家庭や商店向けの小売りは、東京電力など電力10社が地域ごとに独占していましたが、経済産業省は自由化によって開放される市場規模を約7.5兆円と試算し、8000万件以上の家庭や商店が電力の購入先を選べるようになるとしています。

この巨大市場を狙いさまざまな業種から、さまざまな企業・団体の市場参入が相次いでおり、2014年1年間で344社が新規の電気事業者の届け出をし、2015年に入ってからも届け出が相次ぎ、新電力の数は500社に達したようです。その中にはホンダ、ヤマダ電機、シャープ、日立造船、コープこうべなどが含まれているようです。

■賢い選択ができるようにPRの立場で何ができるか
自由化によってさまざまな電気料金やサービスの向上も期待できます。例えば電力とガスのセット販売、スマートフォンなどの通信料金と電気料金をセットにしたサービスを東京電力やソフトバンク、楽天などが検討とのニュース報道もあります。

それだけ我々消費者の選択肢が増えるわけですが、新電力会社のエネットは2月9日にニュースサイト「電気を選ぶ.JP」で電力自由化にまつわる疑問や不安などをさまざまな角度から解説するサイトを開設しました。

同サイトでは、電力自由化に関する基本的な記事や、電力自由化の歴史、すでに自由化が進んでいる海外各国の現状などのニュースを提供していくとのことです。

ちなみにエネットは、2000年にNTTファシリティーズ、東京ガス、大阪ガスが出資して設立された会社で、現在、日本全国の2万件を超える顧客に対し電力を供給し、新電力の約50%のシェアで第1位となっています。

この電力自由化の動きはさまざまな業界に波及しており、出版界では日経BP社が1月に電力改革が拓く新ビジネスをテーマにした「日経エネルギーNext」を創刊。

日本の見本市・展示会業界トップのリード エグジビション ジャパンは2月25日から27日に東京ビッグサイトで開催する「スマートエネルギーWeek 2015」のなかで電力自由化をにらんだ「電力自由化EXPO」を初めて開催するなど大きな盛り上がりを見せています。

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、今年設立45周年を迎えます。この間、「パブリック・リレーションズを通して、平和で希望のある社会づくりをめざします」という当社のミッション達成に向けさまざまな努力を続けて参りました。

例えば、今年30年を迎える通信市場の開放・自由化や日米半導体貿易摩擦解消と国内市場の開放、自動車アフターマーケット市場の規制緩和、AED設置に関する法改正など、その実現に向け、パブリック・リレーションズ(PR)の立場から国内外の企業や団体に対してコンサルテーションを提供してきました。

電力自由化に際してもパブリック・リレーションズのプロ集団として、消費者が正しい選択ができるような情報発信を積極的に行い、新たなエネルギー社会づくりに寄与していきたいと考えています。

投稿者 Inoue: 19:30 | トラックバック

2015年02月05日

受験シーズン真っ只中!
〜将来の日本を担う人材育成が可能な教育システムに

皆さんこんにちは井之上 喬です。

大雪情報が出るなどまだまだ寒い日が続いていますが、2月3日は節分、4日は立春と1日1日、暦の上では春が近づいてきました。

この季節は受験シーズンの真っただ中、受験生の皆さん、風邪などひかずに日ごろの成果を精いっぱい出して"サクラサク"を手に入れてください。

■日本の近隣各国は高学力ぞろい
2月2日の日本経済新聞朝刊のGlobal Data Mapに「教育は国を作る 日本の隣人は高学力ぞろい」の見出しで経済協力開発機構(OECD)が実施している学習到達度調査(PISA:(Programme for International Student Assessment))の結果が紹介されていました。

このPISAは、OECDが進めている国際的な学習到達度に関する調査で日本では国立教育政策研究所が調査を担当、15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野について、3年ごとに本調査を実施しています。

最新の2012年調査は、OECD加盟34カ国、非加盟国・地域31カ国の65カ国・地域の約51万人の生徒を対象に実施されました。
詳しい結果は以下をご参照ください。
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/

記事では数学的応用力、読解力、科学的応用力の3項目について、問題と国別の平均得点ランキングを掲載するとともに、日本の将来を担う子供たちの学力が世界の中でどの位置にあるのかについてコメントしています。

それによると「日本の高校生の学力を見ると、OECDのPISAによる『平均像』も世界のトップクラス」で数学的応用力、読解力、科学的応用力はそれぞれ、7位(前回9位)、4位(同8位)、4位(同5位)と順位を上げています。

面白いことに前回調査で上位に入っていたフィンランド、スイス、カナダなどが脱落したことです。「PISAの上位で目立つのは中国、シンガポール、香港、台湾、韓国などの儒教文化圏の国や地域。『学びて時にこれを習う』(論語)と言う教育熱心さは学習塾通いの多さからもうかがえる」と結果の背景にも触れています。

2000年の初回調査への参加国は32カ国で以降、参加国・地域は増加傾向にあります。その中で、日本の成績は2003年、2006年と続落し、文科省の「ゆとり教育」の問題点が指摘され、2008年に学習指導要領を全面改訂、「脱ゆとり教育」に転換しその後の2009年は3分野とも順位が上昇したという流れもありました。

2015年の大学入試センター試験から、脱ゆとり教育に即したセンター試験に変更されたのは記憶に新しいところです。

■「暗記世代」「ゆとり世代」「脱ゆとり世代」つぎは「グローバル世代」?
そういえば、大卒で入社5年目までの若手社員が「ゆとり世代」に当たりますが、これまでの常識が通じなくて困る、など「つめこみ教育世代」「暗記教育世代」の上司たちが悩んでいる話しを耳にすることもあります。

大学入試では、1979年の共通1次試験の導入以来約40年ぶりの大学入試改革が2020年度導入を目途に動き始めています。中央教育審議会が昨年末にまとめた答申は、知識を使いこなす力など多面的な評価を重んじる方針を打ち出しており、教育改革を重視する安倍首相や下村文科大臣の意向が大きく反映された形になっているようです。

少子高齢化、厳しい経済環境などさまざまな課題先進国である日本にとって、グローバル化は不可欠ですが、グローバル人材の育成に日本のこれまでの教育は十分に対応できていないとの