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2018年03月20日

日本、女性の取締役登用で世界に大きな後れ
〜世界基準のESG投資の観点からも具体的な取り組み強化を

皆さんこんにちは、井之上喬です。

このところの温かさに誘われ、東京でも3月17日、桜(ソメイヨシノ)の開花宣言がありました。平年より9日、昨年より4日早く、観測・統計を始めた1953年以降で最も早かった2002年と2013年の3月16日に次ぐ3番目の早さだそうです。

皆さんの地域の桜の開花はいかがですか?

■女性取締役登用で54カ国中49位の中東並み
東京での桜開花宣言の前日、3月16日の日本経済新聞に、個人的に非常にショッキングな見出しが目につきました。「日本、女性取締役登用に遅れ 中東並みの低水準 女性取締役が1人以上の比率、54カ国中49位」というものです。

(この調査は、100社以上の上場企業のデータが取れる54カ国を対象に、取締役会に1人以上の女性取締役がいる企業の割合が高い順にランキングしたもの。)

記事のポイントを紹介しますと、日本経済新聞がQUICK・ファクトセットの協力を得て調査したところ、女性取締役が1人以上いる上場企業の比率は日本が20.2%と、54カ国中49位にとどまったとのこと。何と、女性の社会進出が制限されている中東諸国と並ぶ水準で、女性取締役の積極登用を求める社会的要請とは裏腹にお寒い現状が浮き彫りにされ企業は早急な対応を迫られていることを示しています。

ランキングをみると首位はノルウェーで89.4%。インドが88.4%、中国が86.2%、イスラエル84.3%と続き、役職の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」の導入が進んでいる欧州だけでなく、中国やインド、タイなどアジアでも上位に入る国が目立っています。

日本は主要経済国では最下位で、日本より下位にはヨルダン19.8%、クウェート16.1%、アラブ首長国連邦14.0%など中東諸国が並んでいます。

日本で女性取締役の登用が遅れているのはこれまでも指摘されていますが、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたが、総合職で採用された女性の多くが離職した現実もあるのではないでしょうか。

■サステナブルな視点からも女性登用を急げ
女性取締役の登用は喫緊の課題になっています。グローバルで環境、社会配慮などに取り組む企業を評価する「ESG投資」の流れは一気に強まっており、米国の機関投資家は女性取締役がいるかどうかを議決権行使の判断目安の一つに採用しているとのこと。

ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。ESGに関する要素はさまざまですが、例えば「E」は地球温暖化対策、「S」は弱者や女性従業員の活躍、「G」は取締役の構成などが挙げられます。

その大きなうねりのなか、厚生年金と国民年金の年金積立金を管理・運用する機関である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、投資するために企業の価値を測る材料として、これまでのキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報に加え、非財務情報であるESG要素を考慮するESG投資を重視しています。

2017年10月、GPIFは投資原則を改め株式にとどまらず、債券など全ての資産でESGの要素を考慮した投資を進めていく、と宣言し日本でも一気にESG投資が注目されているのはご存知の通りです。

しかし、今回の日本経済新聞の調査結果は政府の肝いりがあるにもかかわらず、まだまだ世界から評価されるには程遠い現実にあることをまざまざと示しています。

記事は非常に興味深い点も指摘しています。それは、女性取締役の登用と収益力には一定の相関関係があるとのこと。ボストン・コンサルティング・グループによると、女性取締役の割合が20%以上の企業は10%未満の企業よりも自己資本利益率(ROE)が4ポイント高いということです。その理由としては、海外に積極進出するなどして収益を伸ばしている企業ほど、女性取締役の登用に前向きなためとみられる、と分析しています。

日本経済が好調な今こそ、企業はサステナブルな企業経営の観点からもグローバル水準で高い評価を得られるような、大胆な女性登用策に取り組むことが求められているのではないでしょうか。

このような環境でもパブリック・リレーションズ(PR)を活用し、企業がステーク・ホルダーとの関わりを通して、取り組み成果をしっかり社会に伝えていくことが大切です。

投稿者 Inoue: 21:12

2018年03月12日

伊・ベネチアでの国際シンポジウムに参加
〜「地球温暖化と脱炭素社会」をテーマに開催

皆さんこんにちは、井之上喬です。

3月1日、2日の両日にわたり、アルカンターラ社とベネチア国際大学(VIU)の共催により「変化への対応:地球温暖化と脱炭素社会」(Coping with Change: Global Warming and Decarbonization)をテーマに開催された国際シンポジウムに参加しました。当地へは2015年以来2度目の訪問となります。

会場は、イタリア・ベネチア潟に位置するサン・セルヴォーロ島にあるベネチア国際大学のキャンパス。島までは水上バスで10分程度です。同大学は、1995年に創立されたコンソーシアム(共同利用施設)で、世界中から16の会員大学が参加し、加盟大学からの教員による授業はすべて英語。日本からは早稲田大学が加盟しています。

アルカンターラ社は、高級自動車のシートをはじめとした多様なブランド商品で使用されている素材を提供しているイタリア企業です。今回は第4回目シンポジウムで、2016年の第3回シンポジウム『サステナビリティと企業価値』は東京で開催されました。

当時日本で開かれた初めての国際サステナビリティ・シンポジウムで、日本経済新聞、ベネチア国際大学、早稲田大学の協力を得たものでした。

■世界から参画した有識者30名
今回も国際シンポジウムの講演者は、世界各国から、科学者、エコノミスト、研究者、企業経営者、サイエンスライターら約30人。地球温暖化と脱炭素化が人間の生活、企業の行動、情報発信に与える影響を考え、それらに対処するテクノロジーとイノベーションの役割について講演やパネルデスカッションが組まれました。

マッシモ・イングッシオ教授(イタリア学術会議プレジデント、ゲオルク・ケル博士(国連グローバル・コンパクト創立者、前エグゼクティブ・ディレクター、アラベスク・パートナー社会長)、ダニエル・クリンゲンフェルト博士(ポツダム気候影響研究所 所長室事務長)、そしてジョヴァンナ・メランドリ元文化財大臣(Human Foundation Giving and Innovating創立者会長、MAXXI財団チェアマン)ら多数の多国籍企業、国際的な専門家がその知見を述べ、地球温暖化や脱炭素化に関連する問題に対処するためのビジョン、投資例、技術的プログラムを披露しました。

日本からは、田中義和氏トヨタ自動車ミライチーフエンジニア)をはじめ、守谷隆史氏(本田技術研究所、FC開発シニアチーフデザイナー)、古谷博秀氏(産業技術総合研究所 福島再生可能エネルギー研究所 可能エネルギー研究センター長)、千代亮氏(川崎重工業 水素チェーン開発センター シニアスタッフオフィサー)、大聖泰弘氏(早稲田大学、次世代自動車研究機構 特任研究教授/名誉教授)、山根公高氏(山根公高水素エネルギー研究所代表)、がキーノートスピーカーとして招かれました。

トヨタ自動車の田中義和氏は、水素ベースモビリティ構築に向けてのトヨタの取り組みを紹介。

「トヨタでは1992年から燃料電池電気自動車(FCEV)の独自開発を始め、2014年末に販売を開始しました。次のステップは導入コストを下げて、水素自動車の利用をさらにポピュラーにすること・・・」

そのほか日本からのスピーカーはそれぞれの立場から、将来の水素社会の到来を見据えた話が多かったように思います。

私は大会2日目午後のまとめのセッションでパネリストとして参画(写真右)。新技術や新しい運動を社会に伝えるコミュニケーションの役割としてのリレーションシップ・マネジメントの主柱となるパブリック・リレーシヨンズについてお話しました(写真右)。

閉会にあたりボラーニョ会長とウンベルト・ヴァッターニ学長は、今回のシンポジウムは意見交換を続けていくための、また学術界、科学者、世界的な専門家の交流を通じてソリューションを提案するための出発点と考えている、と述べて締めくくりました。

また今回のシンポジウムは日本のプレゼンスに関心が向けられました。日本からの参加者がまとまり、未来のエネルギー、水素(Hydrogen)について具体的に語ったことで世界の関係者に衝撃を与えたのではないかとの印象を持ちました。

左写真:右から3人目が筆者で隣は田中氏、そしてボラーニョ会長
写真右:左が筆者で隣はゲオルク・ケル博士、そして山田厚史氏(朝日新聞元編集委員)

短期的経営を強いられる世界企業にとって、長期的戦略に基づいた日本の参加企業の取り組み姿勢に高い関心が集まったように思います。

閉会翌日、前回乗れなかったゴンドラにようやく乗ることができました。

「グローバル市場ではブランドが競争力の一つとなっています」と前回のブログに記しました。サステナビリティはブランド価値として、また市場ポジショニングにおける差別化要因として、企業の重要な資産のひとつとなるものです。

アルカンターラ社はボラーニョ会長の強いリーダーシップのもとに、2009年以来継続して事業活動で発生したCO2の全排出量を測定・削減・相殺し、イタリア企業として初めて「カーボン・ニュートラル」認証を取得しています。

また、同社はブランド力を高め、世界で成功するためにリレーションジップ・マネジメントをコアとするパブリック・リレーションズ(PR)に注力するグローバル企業の一社ともいえます。

投稿者 Inoue: 13:36

2018年03月05日

「5G」がもたらすものは?
〜東京オリンピックでの実用化が前倒しに

皆さんこんにちは井之上喬です。


いよいよ弥生3月、春も目の前に迫っていますが、昨日まで私は、国際シンポジウムでベネチアに行っていました。

この季節には珍しく雪にみまわれゴンドラに乗る防寒服姿の観光客が印象的でした。

■MWCに見る次世代通信インフラの動向
この時期スペインのバルセロナで、恒例の世界的なIT関連の展示会「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が、今年は2月26日から3月1日まで開催されました。ヨーロッパでもさまざまな報道機関が取り上げています。

世界規模でのIT関連の展示会は1月のCES、2月のMWC、6月のCeBIT(ドイツ・ハノーバー)、8月のIFA(ドイツ・ベルリン)そして10月に日本で開催されるCEATECの名を挙げることができます。

その1つであるMWCの2018年の注目は、CES同様にAI(人工知能)、ボイスインタラクション、コネクテッドカーなどですが、なかでも2019年に商用化が実現すると言われている5Gに大きな注目が集まっているようです。

「5G」

最近頻繁に目に、耳にするようになった通信規格用語ですが、第5世代移動通信のことで現在中心の4Gに続く新しい規格です。

日本でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックで実用サービスを計画していますが、最大通信速度は20Gbps(ギガビット/秒)。

4Gよりも40〜50倍も速く、また、遅延は1000分の1秒以下となり、遅れはほぼゼロという規格とされてます。

また、多数の通信端末との同時接続も可能になるなど、5Gインフラを活用したIoT(モノのインターネット)やコネクテッドカーなどの新しいビジネスの創出が期待されています。

期待のほどを象徴するかのようにMWCの開幕に合わせ、日本経済新聞は2月27日付けの1面トップでMWCにおける5Gの動向を扱っていました。リード文は以下です。

「世界の通信事業者や機器メーカーが次世代高速通信規格『5G』の2019年商用化に向けて一斉に動き出した。当初計画を1年前倒しする。スマートフォン(スマホ)向け高速通信のほか、あらゆるモノがネットにつながる『IoT』の進化やつながるクルマ「コネクテッドカー」の開発など、世界的な投資やサービスの高度化に弾みがつきそうだ」

記事では米国、中国、韓国、日本、欧州など各国の取り組み状況と各国の通信会社やノキアなどの通信機器メーカーの実用化に向けた取り組みに触れています。

■世界をリードする存在になるためには?
その方策として5Gに関しては、日本が過去最高のメダルを獲得した平昌冬季オリンピックでもさまざまな実験が行われたようです。

テレビでユニークな映像がいくつか流れていたのに気付いた皆さんもいたかと思いますが、映画マトリックスのような回転映像のタイムスライスや選手の視野から疑似体験できるオムニビュー、シンクビュー、ホログラム動画をリアルタイムで映し出すホログラムライブ、
またVR360といった新手法の映像が 日本でもテレビ放送の一部に取り入れられ、従来にない新しいスポーツ観戦の手法が始まっていることが感じられました。

このようにそれぞれの国や関連各社が実用化に向けた技術開発にしのぎを削っているのは明らかです。

次の技術競争の舞台は従来通りのスケジュールである2020年東京オリンピック、とこれまで考えられてきましたが今回はそうではないようで、事実5Gについては現時点でも1年前倒しされる勢いです。

莫大な先行者利益が見込める新しいビジネス分野での競争はますます熾烈になってきそうです。

東京オリンピックまでには、5Gをインフラとした画期的なサービスが実用化されるのは確実のようです。

その時、日本や日本の企業が世界をリードする存在になるような、ほかの国や企業を巻き込んだ世界戦略が必要になってくると思います。

まさにパブリックリレーシヨンズ(PR)の支柱である、リレーシヨンズマネジメントを駆使した戦略が求められてくるのではないでしようか?

ガラパゴスだけはなんとしても避けたいものです。

投稿者 Inoue: 10:07