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2017年12月11日

『林檎の樹の下で』コミック版が発刊
〜林檎の種子がイノベーションや新たなビジネスモデルに結実

こんにちは、井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか? 今年も「もういくつ寝るとお正月」とカウントダウンする時期となりました。

このブログ(2011年10月31日)でも紹介しました『林檎の樹の下で』のコミック版が、このほど光文社より復刊されました。上巻(禁断の果実上陸編)と下巻(日本への帰化編)の2部構成になっています。

この本は、アップル社の日本進出とマッキントッシュ(Mac)発表を中心に日本のパーソナルコンピュータの黎明期における数々のエピソードをまとめたドラマティック・ノンフィクションです。

濃淡はありますが、かつてアップル本社の日本でのパブリック・リレーションズ(PR)業務を全般的に担当していた私にとって、当時仕事で関わった人たちがほとんど登場していて、往時のやり取りが鮮明に蘇り、タイムマシーンで時間を遡及したような懐かしさを感じながら、楽しく読ませていただきました。

■復刊しよう、あの頃の「夢」と「衝撃」を!
さて、『林檎の樹の下で』のコミック版ですが、IT時代の寵児といわれ、著者の斎藤由多加さんとも親交のある堀江貴文さんが自ら復刊企画人となって実現したものです。

堀江さんは、巻頭で「俺は若い頃、アップルの下請け開発の会社でバイトをしていた。(中略)その時、遭遇したのがこの『林檎の樹の下で』という本だった。衝撃だった!なぜか?」。そして、「この新しい文化がこの閉鎖的な国日本をいずれ凌駕するぞ、というオーラを、この『林檎の樹の下で』という本は放っていた」と続けています。

読売新聞12月3日(日)朝刊の「編集手帳」でこのコミック版について、次のように紹介しています。知人の論説委員から私に連絡が入り、当時の様子を聞かれコメントを寄せさせて頂きました。

「米アップルのコンピューターが日本に初めて入ったのは、ちょうど40年前だという。持ち込んだのは、小さな企業を営む技術者と、夏休みを使って渡米に同行した知人の会社員だ◆製品の設計思想の美しさにほれ込む人がいれば、国内での事業成長を夢見る人もいた。今は世界屈指の大企業も、日本での普及初期には多くの個人が関わっていたと、斎藤由多加著『林檎の樹の下で』(光文社)は紹介する」

「(中略)◆同書に登場し、大学で教べんも執るPR会社の井之上喬会長は『起業精神を持つ若者は今も多い』と話し、若い人にもっと機会をと訴える。過去を懐かしむのではなく、今にいかす処方箋を探しているか。自問する。」

■赤と緑。これは偶然、それとも奇縁
2冊のコミックを見た瞬間、連想したことがあります。それはMacの国内発表(1984年1月24日)に合わせて私の会社(井之上パブリックリレーションズ)が作成したPRツール(宣材)となる2種のポスター(B全版)です。2冊のコミックと2種のポスターを並べてみました。赤と緑。これは偶然、それとも奇縁でしょうか。

このポスターでは、Macをこれまでのハードウェアやソフトウェアの進化とは全く異なる「新種のパソコン」として紹介しています。当時の福島正也社長のもとで発表されたMacに標準装備されたのは、ワードソフトのMacWriteと描画ソフトのMacPaintだけでした。ポスターのモニターに映るCGはMacPaintを用いて手書きで作成したものです。現在のCG機能と比べると他愛のないものかもしれませんが、当時としては画期的な出来事でした。

1977年4月、サンフランシスコで開催された「ウェストコーストコンピュータフェア」を訪れたハイテク企業を経営する日本人エンジニア(水島敏雄さん)が持ち帰った林檎の種子。

40年後の現在、このコミックに登場する人々だけでなく多くの人に支えられて枝葉を伸ばし大きく成長した林檎の樹は、さまざまなイノベーションや新たなビジネスモデルといった果実を実らせました。

このコミックも果実の一つであり、イノベーションのバトンを若者へ伝える格好のメディアとなり、ここから新たなITの未来が拡がっていくことでしょう。
できうれば、ITの未来が人類にとって望ましいものとなることを期待しています。

『林檎の樹の下で』の初版の解説を書いた猪瀬直樹(作家)さんが、発起人となり、このコミック版の復刊記念パーティが六本木のカフェを会場に12月22日に催されるとのこと。当日、関係者にお会いするのを今から楽しみにしています。

投稿者 Inoue: 2017年12月11日 12:40