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2012年10月29日

“メードインジャパンの逆襲”に向けて
?トップのストーリーテリングとグローバルマーケティングが不可欠

皆さんこんにちは井之上 喬です。

今週で神無月ともお別れ、今年も残すは霜月そして師走のみとなってきました。2012年の締めに向けて頑張りましょう。

■アップル「iPad mini」につづき「Windows 8」
先週、エレクトロニクス業界ではクリスマス・年末商戦に向けた大きな発表が相次ぎました。米国時間の10月23日にはアップルが新世代のiPadである「iPad mini」を発表しました。

厚さ7.2ミリの薄型ボディに1024×768ドット(XGA)表示に対応したディスプレイを搭載したタブレット(多機能端末)。狭額縁設計を採用し、片手で持てるサイズを実現、重さはWi-Fi版が308グラム。

解像度はiPad 2と同じで、27万5000タイトル以上ある既存のiPadアプリケーションがそのまま利用できます。11月2日からWi-Fi版の出荷が開始される予定です。

そして10月26日にはマイクロソフトから、Windows 7の後継として開発されたPCおよびタブレット端末向けの基本ソフト(OS)である「Windows 8」が全世界で発売されました。

日本では世界で最も多い250機種のWindows 8搭載パソコンが登場予定で、目玉となるのはタブレットにもなるノートPCのようでアップルのiPad miniやグーグルの「ネクサス 7」、アマゾンの「キンドル・ファイアHD」なども巻き込み年末商戦に向けた競争はますます激化しそうです。

そんな週末にNHKスペシャル「メードインジャパン・これが逆襲のシナリオだ」が2夜連続で放送されました。

■日本メーカーの逆襲はなるのか?
番組では、ソニー、シャープとアップルの動きを年代とともに検証し何故今のようなアップル一人勝ちの状況が生まれたのか、日本企業の逆襲・復活のためには何が必要か、大企業を飛び出し起業する若者たちのさまざまな人間模様も交え非常に見ごたえのある内容の番組でした。

番組に登場したトップのなかで注目したのがソニー平井一夫社長です。流ちょうな英語を駆使し、スマートな話し方のなかにもきちっとメッセージを発信する。コーポレートPRの中でも重要な、企業トップによる明確なストーリーテリングの好例だと感じました。

またとても印象に残っている言葉が、現在のアップル急成長のトリガーとなったiPod発売時に前アップルCEOスティーブ・ジョブズ氏が語った「iPodはソフトウェア(SW)」の一言です。

実際、iPodを分解すると基本的な構成モジュールを中心にとてもシンプルな部品構成になっており、それまでのモノづくりの常識を変えるハードウェア(HW)構成になっています。

無論iPodの成功には日本の部品メーカーの貢献なしには語れませんが、このHWとアップル・ストアーとの組み合わせによる新しいデジタル時代、ネットワーク時代のビジネスモデルの創出が今のアップルを作り出したともいえるでしょう。

また、日本に追い付け追い越せで今や世界のトップブランドになった韓国サムスンのビジネス戦略も、日本企業にとって大きな教訓になるのではないでしょうか。

同じテレビでもその国に合わせたデザイン、価格設定をきめ細やかに行うことで世界シェアを獲得しています。

いまや技術だけではなく、グローバルな流通とマーケティングが不可欠であるのは明確で、番組の中でもソニーのインド向けテレビの色づくり戦略の結果、インドでテレビのシェアトップを獲得した事例を挙げていました。

この事例を見ても日本の技術力は世界のトップにあることは疑いの余地はありません。

しかし、今の日本のリストラの例を見ると希望退職者の多くに力のある人材が多数含まれ、その貴重な人材がアジアの企業などに流失している現実に歯止めをかけなければ逆襲のシナリオ作りは困難になるでしょう。

またイノベーションには若い人たちの結集が不可欠です。既成概念にこだわらない新しい発想で立ち向かってほしいと思います。

前述のNHKスペシャルには、大手家電メーカーを飛び出し仲間で作ったベンチャー企業でそれぞれ自分たちのやりたかった製品開発に従事する若者の姿が描かれていましたが、彼らには是非新しい産業を興してもらいたいものです。

新しいジャパンモデルの創出、そのためには海外を取り込みながら日本の英知を終結しなければなりません。リレーションジップ・マネジメントであるパブリック・リレーションズ(PR)が求められています。

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井之上喬著「パブリックリレーションズ」(2006年3月、日本評論社刊)は、おかげさまで5月30日付で第6刷が発刊されました。ご愛読ありがとうございます。

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投稿者 Inoue: 16:52 | トラックバック

2012年10月22日

京都大学でパブリック・リレーションズ授業始まる
?グローバルリーダーの養成を目的に

こんにちは井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか?

今学期から京都大学経営管理大学院(ビジネススクール)で、私の授業「パブリック・リレーションズ論」が開講しました。

京大でのこの授業の役割は、急速に変化する社会とグローバル化に適応できるグローバル・リーダーをそのインフラとなるパブリック・リレーションズ(PR)を通して養成することです。

これまでパブリック・リレーションズの授業は2004年から早稲田大学で教えていますが、早稲田以外の大学で教鞭を執るのはこれが初めて。

とりわけ紅葉が始まる京都での講義は、個人的にも日本の伝統文化や古都の落ち着いた雰囲気を味わうことができ、また気分の転換にもなり、毎回京都に行くのが楽しみです。

小林潔司教授との出会い
この授業を行うことになったきっかけは、昨年秋に2度にわたる関西での講演。10年来の知人で同経営管理大学院のアドミニストレーション・スタッフの嫁勢久恵さんから京大の大西有三副学長と小林教授を紹介されたことに始まります。

当時小林教授は経営管理大学院の院長(現在、同大学院経営研究センター長)でしたが、自らは工学系の方で、日本で唯一の文理融合型によるビジネススクールを設置し推進されています。

京都大学での講演後の夕食会の席上で小林教授は、「来年から京大でパブリック・リレーションズを教えてくれませんか」と言われたのでした。

若い学者時代から小林さんは、世界銀行や、WHOをはじめとする国際研究機関における経済職、欧米の主要12大学での経済学部の併任・客員教授等を歴任するなど、さまざまな海外の職場で数多くの異文化体験をされています。

日本人に欠け、必要とされているものが何なのかよくわかっておられ、私の講演の内容に共鳴してくださっていたようで、初対面であったにもかかわらず意気投合。

小林先生の物事を成就させるときのスピードと推進力、そしてノバルティスファーマ社の協賛なども仰ぎながら「パブリック・リレーションズ論」の講義が京都で実現するに至ったのでした。

それ以来小林教授とは、日本が直面しているさまざまな問題解決のために如何にパブリック・リレーションズが必要であるかを語り合ったのでした。そんなわけで、今年4月にスタートしたグローバルビジネス学会( http://s-gb.net ) の設立に、それほど長い時間は必要としませんでした。

■パブリック・リレーションズはグローバル人材養成のインフラ
IT技術の進展と昨年3月11日の東日本大震災は、日本に急速なグローバル化への対応を促しています。

とりわけアジア諸国への展開を急ぐ日本の組織体には、多様な現地の文化や宗教、民族性、商習慣などとどう向き合っていけばいいのかが問われています。

ここでは相手との間で価値を共有するための「倫理観」、多様性を認め健全な相互関係を構築するための「双方向性コミュニケーション環境」、そして必要な時に自らを修正する「自己修正能力」、これらがあらゆる事柄の基盤として求められます。

つまりインフラストラクチャーとしてのパブリック・リレーションズが必要とされています。

また日本企業にとって、途上国や新興国との価格競争に巻き込まれないためには付加価値をどのように高めるべきかはクリティカルな問題。また日本企業の特徴ともいえる現場主義や現地の市場環境への適応をどのように行うのかといった点においても、日本型ビジネスモデルの構築が急がれています。

日本企業のブランド力を維持しながら、企業の現地化を進めていくためには、現地国で直面するさまざまな課題に対処できるパブリック・リレーションズ能力を身につける必要があると同時に、これを構築・維持できるコミュニケーション力や文化的、歴史的素養をもつ人材を育成することが必要とされているのです。

*11月19日(月)13:30?17:45、京都大学稲盛ホールでシンポジウム、「グローバルビジネス人材育成を考える」が開催(主催:京都大学経営管理大学院、共催:グローバルビジネス学会)。筆者もパネルディスカッションのコーディネーターを務める。大学におけるグローバル人材教育はどうあるべきかがテーマ(入場無料: http://s-gb.net/contents/20121119.pdf )。

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投稿者 Inoue: 20:47 | トラックバック

2012年10月15日

水素社会の実現に向けて
〜世界初となるバイフューエル水素エンジン自動車を発表

皆さんこんにちは、井之上 喬です。

二十四節気のひとつである寒露(かんろ)を過ぎ、冷気も強まって本格的な秋の訪れを感じるようになりました。あの猛暑がウソのようですね。

今回は究極のエネルギー源として注目を浴びる「水素」をテーマにお話します。

2009年の春、私の私的研究会として「水素研究会」を立ち上げました。前年には地球温暖化問題をテーマに北海道洞爺湖G8サミットが開かれ、温暖化の元凶として化石燃料による二酸化炭素(CO2)問題が世界の共通課題として急速にクローズアップされました。

以降、脱石油を合言葉に、化石燃料からの脱却に拍車がかかりました。太陽光、風力、バイオマスなどの自然エネルギー、および原子力などの代替エネルギーの開発競争が世界の先進国の間で繰り広げられるようになったことは、皆さんもご存知の通りです。

■日本の未来を担うグリーン水素
私はこうした背景のなかで、「高温ガス炉」(原発の一種で軽水炉と異なり、冷却には水を必要としない)を使って生産するCO2排出ゼロのグリーン水素に一番大きな可能性を感じていました。日本がCO2ゼロエネルギーの生産国となり、これらの技術の輸出国になることも可能だと思いました。こうした可能性の追究と実現への想いが当初の「水素研究会」にドライブをかけていました。

記念すべき第1回「水素研究会」(2009年5月25日)では、研究会メンバーのひとりである独立行政法人日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター副所長の小川益郎さんに日本の水素研究の現況や高温ガス炉における水素生成についてのお話をお伺いしました。

この研究会のメンバーは、水素開発の専門家をはじめジャーナリスト、企業で水素関連事業を担当するエグゼクティブ、官僚OBなど十数名で構成されています。会合は2ヵ月に一度のペースで、私が経営する井之上パブリックリレーションズの会議室を会場に催しています。

分野毎に第一線の外部専門家やメンバーが講師となって「九州大学を中心とする水素社会実現への取り組み」、「軽水炉と高温ガス炉の違い」、「燃料電池(SOFC)の商用化動向」、「マイクロ水力発電」、「第三のエコカーとしての水素バイフューエル自動車」、「バイオマスを原料とする水素発生装置」などをテーマにこれまで18回の会合を重ねています。

この「水素研究会」での交流が基となって画期的なプロジェクトに参画することになります。

そのきっかけは、水素研究で日本の第一人者である山根公高さんとの出会いです。山根さんは東京都市大学(旧・武蔵工業大学)の総合研究所水素エネルギー研究センターの准教授で、日本における水素自動車の研究・開発で40年のキャリアをもつ科学者。

現代日本のトップレベルの科学者11名を取材した竹内薫さんの著書『ブレークスルーの科学者たち』(2011年、PHP研究所)では、先日ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥さんらとともに紹介されるほどの逸材です。

あるときその山根博士から同博士が技術指導を行っているベンチャー企業のITカーズ(本社:東京都千代田区神田)を紹介されたのです。同社は「ガソリン混合水素エンジン」自動車の実用化を目指していました。

そのITカーズがこのたび水素を主燃料としガソリン混合でも走る、「ガソリン混合水素エンジン自動車」の開発に成功したのでした。

■世界で10億を超えるガソリン車をどうするのか?
国内で約7,560万台(自動車検査登録情報協会2012年調べ)、世界では10億台を超えるといわれる保有自動車台数のほとんどはガソリンを主燃料とする内燃機関車です。

しかし100%水素を燃料とする水素自動車は世界のいくつかの自動車会社は開発を行っていても、ガソリンより容積当りのカロリーが小さい水素を他の燃料と組み合わせて走らせる試みはなく、世界のどのメーカーも手をつけていない未開発な分野でした。

ITカーズは、コンバージョン(機能変換)キットによる世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」を開発したのです。

このガソリン混合水素エンジンの実用化に向けて、コンバージョンキットの開発に中心的役割を果したのはITカーズ技術部長の今井作一郎さん。試作車は既に車検をクリアし公道走行を可能にしています。

今井さんは1998年のパリ・ダカールラリーにおいて市販車改造ディーゼル・クラス(T2-2)で2回目の参戦にして見事クラス優勝を遂げた伝説のエンジニア。

新エネルギー、環境対策の視点から次世代自動車の動力源について、これまで100年余の技術蓄積を有する内燃機関とするか、モーター系の電気自動車や燃料電池車(FCV)にするかについて国際的な議論を呼んでいます。この世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」は、既存の自動車製造のインフラを利用して新たなソリューションを実証することとなったのです。

私の会社がITカーズから委託を受けて9月25日に記者会見を催しました。TV、新聞、雑誌、通信社や海外メディアを含め50を超えるジャーナリストが集い、この世界初となる「ガソリン混合水素エンジン」試作車(スズキワゴンR)に熱い視線が注がれました。

*写真左は記者会見場に併設される展示場での試作車公開風景と右は試作車に設置された水素タンク

試作車のトランク部分に積んだ水素タンクやエンジンルームを食い入るように見つめるジャーナリストの姿勢を目の当たりにして、四半世紀近くも前のある記者会見でのシーンを想い起しました。

それは、アップル社がマッキントッシュを発表した記者会見(1984年1月24日)で日本初公開となったMacを食い入るように見つめるジャーナリストの熱い視線でした。

新しい時代を切り開くかもしれないという直観的な思いは、実現に向けての強いドライビングフォースになります。

前回の私のブログでは「新製品開発や新規事業進出で日本企業は一番風呂に入らない…」と書きました。

ITカーズは、この言葉とは逆にリスク覚悟で自動車業界における情報システムや市場戦略など新しいビジネスモデルの開発に果敢に取り組んできたベンチャー企業で、創業は2007年。

これまで困難な経営問題に直面する時期もあったようですが、新車ではない既存の自動車をエコカーに変え、自動車業界の中小企業(特に自動車整備工場)を活性化させたい、またそのことが日本の水素社会の推進に繋がるとする熱い想いを変えることなく「ガソリン混合水素エンジン」の開発を進めてきたといいます。

この開発を下支えした山根さんの口癖は「とにかくやってみること」。あれこれ考えているより、まず物事を始めることといいます。」

私はパブリック・リレーションズ(PR)の立場から、水素社会に向けた新たなソリューションとなるこのプロジェクトを、これからもサポートしていきたいと考えています。

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2012年10月08日

家電見本市CEATECの主役はEV?
〜厳しい今こそオールジャパンで革新的発想を!

皆さんこんにちは井之上喬です。

10月8日は体育の日で国民の休日、3連休の方も多いのではないでしょうか。

ポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋、などなど皆さん充実の秋を過ごしていらっしゃいますか。ビジネス界でも秋はさまざまなイベントが多くなる季節です。展示会やセミナー、そして学会の開催など国際的なイベントも多いですね。

先週10月2日から家電関係の見本市CEATECが開催されました。

CEATECは1月のインターナショナルCES(ラスベガス)、9月のIFA(ベルリン)と並ぶ国際的な家電見本市の1つに数えられてきました。

■激減する出展企業
過去形で書いたのには理由があります。日本経済新聞の10月5日朝刊には「これでいいのかシーテック」の見出しの厳しい社説が掲載されていました。

目を通された方も多かったのではないかと思いますが、一部を引用すると「今年は日中摩擦を受け中国企業が22社出展を中止したが、日本のITの競争力低下を背景に、海外からの出展は2年前から急減している。」と海外からの出展企業の落ち込みに触れています。

そして、「情報発信力の強化が急務だ。今年の出展は624社とリーマン・ショック前に比べ3割以上減った。海外からは161社とピークの半分以下で、来場者も2割近く減っている。国際見本市といいながら、国内色が強まっているのは残念なことだ」と言うもの。

この落ち込みは尋常ではありません。原発事故による風評被害の影響もあるかもしれませんが、日本市場への魅力が無くなったことに起因しているのではないでしょうか?

私が経営する井之上パブリックリレーションズは、インターナショナルCESの国際的なPRネットワークの1社としてさまざまなPRサポートを行っていますが、CESを担当するアカウントチームのメンバーもCEATECを視察した印象として上記の日経社説と同様な印象を持っています。

2012年のCEATECの主役は少し前までのテレビなどの家電から、電気自動車(EV)、次世代住宅スマートハウスに代わっていたようです。

トヨタ自動車が初出展するなどホール7,8の多くのスペース(実はこれまでは家電メーカーが新製品をこぞって出展していた)は、自動車メーカーが幅をきかせていたとのこと。

井之上PRのCESアカウントチームの1人は「展示会場に足を踏み入れると大きな空きスペースが目に飛び込んできた。開催直前の出展キャンセルによるものかと思ったが、これが無人で走るコンセプトカーのデモンストレーションの舞台だと知り驚いた」と様変わりした会場の雰囲気を伝えてくれました。

たしかにEV、スマートホームは大きな時代の流れではあると思いますが、これほど極端だとは想像していなかったようです。


一方、CEATECの主役であったテレビではソニー、東芝、パナソニックが従来のテレビの4倍の解像度の4Kテレビ、4Kのさらに4倍の解像度を誇る8Kテレビを展示していたようです。

特にソニーは84型の4Kテレビをブース正面に3台並べ来場者に技術力の高さをアピールしていたようです(写真)。画質はだれの目から見ても素晴らしく今後大いに期待できると思います。

それとともにスマートフォンやタブレットなど最先端のモバイル機器を支える、電子部品各社の出展は見ごたえがあったとのこと。

村田製作所、ローム、京セラなどは、0201サイズと言われる超小型のチップ抵抗器や積層セラミックコンデンサー、コネクタなどを“世界最小”“世界初”“世界最高速”の冠とともに展示しており、日本の電子部品メーカーの技術力の高さを印象つけていたようです。面白いことに、これら3社はいずれも京都を拠点とする会社です。

奇しくも会期中の10月5日はアップル創業者で前CEOスティーブ・ジョブズ氏が死去して1年。

ジョブズ氏の死後もアップルの勢いは衰えを知らず、2011年にアップルが調達した半導体は前年比3割増の172億ドルで世界最大の調達先になったようです。

また、配信するアプリは70万種類と業界一で、米国ではアプリ開発で21万人の雇用を創出したとのこと。

ジョブズ氏の新しいビジネスモデルが、大きく花開いたと言えるでしょう。

■日本企業から“世界最小”“世界初”“世界最高速”
日経産業新聞10月4日付け紙面では、調査会社大手ガートナージャパンの調査をもとに、クラウドモバイルソーシャルメディア(SNS)そしてビッグデータを加えた4つはIT産業で重要技術としながら、期待過多か幻滅される段階と評価し、長期的な視点でのビジネス戦略と組み合わせが重要であるとした興味深い記事もありました。

日本メーカーの最先端の部品技術力、テレビに見られるハードウェアの開発力はいまだ世界をリードしていると思います。

その潜在力と前述のクラウド、モバイルそしてSNSと連動しビッグデータを活用した新たな日本発のビジネスモデルをオールジャパンで創出する、ちょっと欲張りな発想でしょうか?

規模が縮小し、海外からの出展も減少している厳しい状況のCEATECで1つの光明と感じましたが。皆さんはどのように考えますか。

パブリック・リレーションズ(PR)にはスピードが求められます。この手法を取り入れ実践することで企業経営にスピード感が増してきます。

これまで日本企業の意思決定に至るまでの、社内手続きの煩雑性に起因するスピードの欠落は、ビジネスチャンスを大きく逃してきました。

とりわけ新製品開発や新規事業進出で日本企業は一番風呂に入らないと揶揄されてきました。生き残りのための新しいビジネスモデルの開発には、リスク覚悟でスピードを持って果敢に取り組む姿勢が強く求められているのではないでしょうか。


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2012年10月01日

「井之上ブログ」が400号を迎えました。
〜12万人を超える読者へ配信

こんにちは井之上喬です。
「光陰矢の如し」とはこのことで、早いもので今日から10月です。

2005年の4月から始めた「井之上ブログ」が今回で400号を迎えます。

発行のきっかけは、最初にPHP研究所から出版され、私が編著を行った『入門パブリックリレーションズ』編集長の中村由紀人さんの勧めでした。

最近でこそブログの文字数は落としていますが、一般的なブログと比べ文字数が多く、7年半の間、週1回の発行で総文字数は100万語を超えるブログに成長しました。そしていまでは、幾つかのサイトを通じて12万人以上の読者へ配信されています。

■7年半の間に様々なことが起きました
またいまでは業種を問わず、さまざまな読者に読まれていますが、このブログ配信の当初の目的は、2004年から早稲田大学で私が始めた次世代リーダーの育成を目指した授業、「パブリックリレーションズ論」の受講生や発展が遅れている日本の広報・PR業界に従事する方々への専門的かつ幅広い情報提供にありました。

自著の出版も、2006年に『パブリックリレーションズ』(日本評論社)、2009年には『「説明責任」とは何か』(PHP研究所)を上梓することができました。

大学での授業もこれまでの早稲田大学に加え、今月から新たに京都大学経営管理大学院で「パブリックリレーションズ論」を教えます。全国の大学にパブリック・リレーションズの授業を導入する夢が少しずつ実現しています。

それにしてもこの7年半、世界は大きく変化しました。

政治の世界では、米国はブッシュJr.大統領からオバマ大統領に、英国はブレア首相からブラウンそしてキャメロン首相。中国は、胡錦濤国家主席からほぼ間違いなく習近平へ、ロシアはプーチン大統領からメドベージェフそしてプーチンへ、フランスはシラク大統領からサルコジそしてオランド大統領へとバトンが渡されていますが、どの国も大きく変化する時代の流れに厳しいかじ取りを強いられています。

日本は恥ずかしながら、自民党の小泉首相から、安部、福田、麻生、そして民主党に政権交代するも鳩山菅首相、そして7人目に野田首相という異常な状態を世界にさらけ出し、著しい国力低下を招いています。

日本の政治的混乱に比例するかのように、この7年半の間にさまざまな分野で日本の停滞そして凋落がみられます。

各種統計データによると、まず日本の実質GDPは、2005年の503.9兆円から、東日本大震災はあったものの2011年の507.4兆円(前年度は約511兆)と横ばい(但し名目は、503.9兆から468.4兆)。

続いて国内自動車登録台数は、2005年の393.9万台から2011年の297.2万台、そして新設住宅着工戸数は、2005年の123.6万戸から83.4万戸と大きく落ち込んでいます。

日本人の海外旅行客数も2005年の1669万人から2011年の1699万人と円高傾向の中にあっても横ばい。右肩上がりの80年代が羨ましくみえます。

改善されたものは、交通事故死者の減少で、2005年の6,871人から2011年は4,611人。自殺者の数も僅かながら32,552人から30,651人と減少し、微増ながらプロ野球の観客動員数も、2005年の年間累計1,987万人が2011の年間累計2,157万人と踏ん張っています。

■世界の「断片化」にどう対処するのか?
いま世界はさまざまな分野で「断片化(fragmentation)」の方向へ進んでいると言われています。断片化とはどのようなものなのか身近な例で捉えると、30年前の山口百恵と現代のAKB48で比べることができます。

前者は、当時の国民の多くは彼女の歌を聞くとそれが山口百恵と認識できていましたが、AKB48の曲は若い同世代の人でさえも聞いてもわからない人が多いようです。

これは当時多くの人がTV(ラジオ)といった限られたメディアから情報を入手することで、その共有度合いが高まっていたのに対して、現代は、インターネット、つまりツイッターやフェースブックのようなSNSを介して、好きな時に好きなテーマで限定された人たちの間だけで繋がる傾向が強まった結果、メディアの断片化が進んでいることに起因していると考えられるからです。

もう一つの断片化の例に米国の政治体制の変化を挙げることができます。これまでの民主党と共和党の2大政党制が揺らぎ始めていることです。

背景には政治に関心を持てない人たちが増えてきていることが挙げられますが、これまでの純粋な政党支持から無党派層の出現で、Tea Partyのような新しい第三のグループが出現しています。

一方、欧州に目を向けてみると、ここでは経済危機の側面だけで取り上げられがちですがその背景には、欧州の各国を結びつけている歴史的文化的絆がほころび始めているとみることができます。

欧州のルーツである、ギリシャ、ローマに始まる欧州的価値観が弱体化したことにより、人と人とを結びつけるインターフェースが失われつつあるのではないかということです。

これらの3つの現象の根底には、相対主義(倫理・道徳的、政治的)の世界規模での広がりをみることができます。ここでいう相対主義とは、「確固とした信念や信義で行動しない」ことを指しますが、一見寛容に見えるものの人間の持つべき基盤が揺らぐことを意味してもいます。

パブリック・リレーションズ(PR)には、「倫理」、「双方向コミュニケーション」、「自己修正」の3つの原則が抱合されていますが、断片化することの意味をもう少し掘り下げ、別の機会にとり上げたいと思います。

日本は東日本大震災の経験を生かし、再生エネルギーや新技術への関心が高まり、新しい国づくりに向かってようやく動き出そうとしています。私たち一人ひとりの英知と行動が求められています。


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