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2008年03月21日

家族力大賞?新しい絆を探そう

『家族力大賞?新しい絆を探そう』


こんにちは、井之上喬です。皆さん、いかがお過ごしですか。

先日、さまざまな感動的な生きざまに触れることができました。テーマは「家族力」。社会が複雑化するなか、関わりをもって生きていくことが希薄になってきています。「家庭が壊れている」といわれてから久しい今日。その核となる家族に光を当てようと、東京都社会福祉協議会が今年度から家族力大賞(エッセイ・コンテスト)を始めたのです。


■ 「コロンボ寄金」を囲む家族
いま日本の国力が落ちています。それを支えるベースは家族。その家族の崩壊を憂えた方から昨春連絡をいただきました。その方は、同協議会会長の大竹美喜(アメリカンファミリー生命保険最高顧問)さん。大竹さんは、「家族にはいろいろな形がある。あたらしく家族力大賞を設け、人間の絆に支えられた家族の大切さをひとりでも多くの人に認識してもらいたい」と熱く語られました。

昔と異なり、家族の意味合いも随分変化し、さまざまな人間の絆を家族に見ることができます。エッセイ・コンテストには多くの作品が寄せられましたが、審査員の一人として参加した私にとってすべてが新鮮でした。そこには私の普段の生活の中では見ることができない世界があったからです。最後に絞り込まれた13作品はどれも素晴らしいものばかりでした。ワープロで書かれたもの、手書きのもの、応募者それぞれの環境が読者に伝わってきます。

最終選考では審査員の意見も割れるほど。読み終えて、一人ひとりの作者に会いたいと思わせるほどの、澄み切ったなかにも迫力を感じさせる作品ばかり。結局全員一致で、13作品すべてを入賞にすることに決めたのです。

3月18日、京王プラザホテルで開催された授賞式。ほぼ全員が出席するなか、最優秀賞を始め13の作品が表彰されました。授賞式では選考委員会(委員長:金子郁容慶応義塾大学教授)のメンバーの間で誰がどのエッセイを書いたのか、作者と作品を結びつけることに喜々とした視線が注がれました。

最優秀作品(東京都知事賞)は「コロンボ基金」。松田征士さんの作品。ストーリーは松田さんのご家族と中国から語学留学生として日本にきたアイリーン馬さん、そして中国出身で日本人に帰化し、後に馬さんの夫となる医師、謝さんとの交流を描いたものでした。

馬さんとの出会いは10年ほど前。居酒屋でアルバイトをしていた彼女に初めて知り合った松田さん。語学留学を終え、家族のいるオーストラリアに戻った馬さんが難病治療のために来日します。久しぶりの再会でしたが、そこで彼女が重い肺の病気を患っていることを知ります。

日本で医師になった謝さんは、幼友達でもあった彼女の不治の病を知り、馬さんが日本で治療を受けられるために結婚を決意。しかし唯一残された方法は肺の移植手術でした。1億円という気の遠くなる数字に呆然とする二人。そんな中、松田さんは偶然にインターネットで相談した友人から送られてきた寄付金がきっかけで、全国で募金の呼びかけをおこなう決心をします。

創設された基金の名前は「コロンボ基金」。偶然に松田さんが馬さんとの最初の出会いの前夜TVで観た、刑事コロンボのヒスパニック系への思いやりをイメージした名前でした。手術に必要な金額には及ばなかったものの、全国から100名を超える人々からの暖かい寄付金が集まりました。

馬さんは病魔と闘いながらも基金を取り巻く人々の善意と夫の愛に包まれて命を全うします。この作品は彼らの心のひだを繊細な描写で描く、心温まるストーリーです。

東京新聞賞には、大島史美さんの「名プロデューサー」が選出されました。家族の中でいつも孤独だった父。その父を理解できない娘。しかし娘が父親から離れて上京し働き始めることで父を理解していく。 相手を責めるのではなく思いやることの大切さを教えてくれる作品です。

血縁関係をもとにした伝統的な家族と、共に生きようとする意志に支えられる新しい形の家族。人々の生活が多様性を極める今日には、懸命に生きる意志と心遣いがあれば、さまざまな家族形態があっていい。どの入賞作品もそう思えるものでした。

■ 社会の影に光を
とても気になった作品は森田圭さんの「僕の視線」。筋萎縮性の難病、少年時代に筋ジストロジー症にかかった作者。その彼が、悩み、傷つき、その苦しみの中で希望を見出すという心の軌跡を描いた物語です。彼の鋭い感性で描き出された世界は、障害を持った人の視点から見た世界。そこで私は、健常者がいかに鈍感な部分を持ち合わせているのかに気づかされました。

他にも看護師の現状を訴えた作品、郷里の祖母の生き方について語った話。また、壊れた家族が生活を取り戻していく作品などを通して私は日頃接することはできない世界に出会うことができました。 そこで私は生きていく上での葛藤と喜びを新鮮な形で味わい、人生における本当に大切なものとは何かを少し学んだ気がします。

グローバル競争に組み込まれ、社会の影になりながらも必死に生きる人たちはこの世の中に多くいます。 私たちPRパーソンには、パブリック・リレーションズを通して、そのような人々にも光を当て、彼らと社会とを結び付ける役割があるように思います。

社会が本当に必要とするものを提供できる国。私はこれらの作品に触れたとき、日本がそのような国になって欲しいと願わずにはいられませんでした。


上の写真の作品集『家族力大賞?新しい絆を探そう』には、13編の作品が紹介されています。東京都社会福祉協議会が発行元です。非売品ですが、50冊程度であればプレゼント可能だそうです。興味をお持ちの方は連絡してみてはいかがでしょうか。
Tel:03-5283-6894
Fax:03-5283-6997
e-mail: tomin-kigyou@tcsw.tvac.or.jp

投稿者 Inoue: 2008年3月21日 22:56

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