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2006年10月20日

世論調査のパイオニア、ジョージ・ギャラップ
?世論を統計的に捉えた男

「世論を正確に把握するにはどうすればいいのか。」
20世紀初頭、米国において現代のパブリック・リレーションズが登場し、第一次世界大戦後、本格的な発展期を迎えた1930年代。PRの実務家にとって最大の関心事は「世論」でした。捉えにくい世論を客観的なデータとして把握する手法に取り組んだのは、ギャラップ調査で知られるジョージ・ギャラップ(George H. Gallup, 1901-1984)。

今回は、世論調査に科学的手法を採り入れることに成功した、ジョージ・ギャラップの一生を振り返ります。

1901年11月18日、ギャラップはアイオワ州のジェファーソンに生まれました。19年にはアイオワ大学に入学。23年に同大学を卒業すると、そのまま修士課程へ進学。25年に心理学で修士号を取得。同年、オフィーリア・ミラーと結婚。後に2人の男の子と1人の女の子に恵まれました。

28年には同大学で応用心理学の分野でPh.D.(博士号)を取得。博士論文の内容は、出版物に関する読者層調査。その題名は、「新聞記事における読者の関心度を測定する客観的手法」でした。後のギャラップ調査誕生の礎となる論文でした。

31年、ギャラップは独自に雑誌の読者調査を開始。調査員を使って15,000件の家を訪問。読者の記憶に残る広告を調査しました。そして、この調査から驚きの結果が明るみになったのです。

当時、広告主がアピールしたのは経済性と効率性でした。しかし面白いことに調査結果では、男性読者は質の高さやセックスを連想させる広告に関心を寄せ、女性読者もセックスや見栄えの良さ、質の高さを前面に打ち出している広告を最も強く記憶していたとの結果が出たのです。それまで広告主はセックスや虚栄心をくすぐる内容に消極的だったために、この結果は大きく予想に反したものでした。

■成人読者が一番好んでいるのはコミック
また同じ年の31年、ギャラップは新聞の読者調査を公表しました。40,000件に対して行なった調査の結果は、40~50%の読者が社説に注目しているのに対し、85%の読者が絵のあるページに注目。70%の読者が人気コミックを読んでいるというものでした。なんと、成人した新聞読者が一番好んでいるのはコミックだったのです。

この発表によりギャラップはマスメディアで一躍注目の的となり、それまでのアカデミックな世界からビジネスの世界へと方向転換することになります。

32年、ニューヨークへ移り住むと、広告会社のヤング・アンド・ルビカム(Y&R)社へ就職。同社で調査・研究部門を設置し、広告の質の測定や効果測定手法の開発を任されました。新聞読者の高いコミック人気をヒントに、コミック「牛のElsie」を特集した広告を展開。39年には見事に数々の広告賞を受賞し、97年には広告・マーケティングの情報雑誌、「Advertising Age」で20世紀の広告トップテンに選ばれました。

ここでの成果を評価され、37年には副社長に抜擢。自由で創造性を重視するY & Rの環境はギャラップの性質にあっていたようで、その後16年間にわたり在籍。

33年、ギャラップは同社に籍を置きながら独自の調査を続行。選挙結果を予測するデータを収集するため各州の有権者から選抜したサンプルと呼ばれる調査参加者に投票用紙を送付。34年の議会選挙の当選予測では誤差1%という驚異的結果を出したのです。

この結果を得て、全米各誌からの世論調査の結果配布や調査依頼が殺到。35年に自らの調査会社、The American Institute of Public Opinion(AIPO)を設立し、斬新な手法で一貫性のある調査を様々な分野でとりおこないました。

同年、ハロルド・アンダーソンとギャラップ調査を設立。AIPOで得た調査結果をギャラップ調査として定期的にメディアに提供するようになります。

■選挙でルーズベルトの圧勝を予測
そして36年、当選予測の調査を開始後初めての米国大統領選挙を迎えます。当時の大統領フランクリン・ルーズベルトが再選を目指した選挙でした。この分野で当時最も人気のあった季刊誌、The Literacy Digestは、対立候補となる共和党候補、アフル・ランドンの勝利を予測。

これに対し潤沢な資金を基に緻密なサンプリングを行い調査したギャラップ調査は、ルーズベルトの圧勝を予測。結果は531人の有効選挙人のうち、523人がルーズベルトに投票し、圧倒的勝利でルーズベルトが見事に再選されたのです。この出来事はギャラップ調査の名を世界に知らしめたと共に、科学的なサンプルの抽出が正確な世論調査を可能にすると歴史が証明した瞬間でもありました。

ギャラップは、選挙結果を的確に予測した独自のサンプリング手法の正確性を確信。48年のタイム誌のインタビューでは、科学的な手法で正確にサンプリングを行えば、3000人に対する調査で大統領選挙における全米すべての選挙人の投票を予測することができる、と語っています。

正確な調査がマーケティングの成功に不可欠と考えたギャラップは、39年にラジオや映画に関する世論調査会社The Audience Instituteを設立。48年には広告戦略の効率化と費用対効果の向上をコンサルテーションするGallup and Robinsonをクロード・ロビンソンと共に設立するなど精力的に活躍の場を広げていきました。

1984年7月26日、ギャラップはスイスの別荘に滞在中、心臓発作で倒れ、そのまま帰らぬ人となりました。83歳で他界するまで多くの賞を受賞し、タイム誌など数々の雑誌の表紙を飾りました。

AIPOの設立から70年。今日では、ギャラップが起した会社は、ギャラップ・オーガニゼーションとして世論調査はもとより、正確な調査結果を基にして様々なコンサルテーションを行なう世界的大企業へと成長を遂げました。これまでギャラップ調査の結果を取り上げた米国の新聞は120誌以上にのぼり、現在もCNN、USA Today, ニューズウィークなどに独占調査を提供。

パブリック・リレーションズを初めて理論体系化した、エドワード・バーネイズがいつも大切にしていたのは綿密な調査と的確な分析でした。世論を正確に把握する偉大な担い手となったギャラップ調査は、パブリック・リレーションズの効率化と質の向上にも大きく貢献しました。その調査手法は、現在でも重要なリソースとして組織体にとって不可欠なものとなっています。

こうしてギャラップの名は世論調査の代名詞となり、その正確さと一貫性を象徴する言葉として今日も生き続けています。

投稿者 Inoue: 2006年10月20日 19:25

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