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2006年03月31日

春爛漫、桜の季節に思いをはせる

こんにちは、井之上喬です。
いよいよ本格的な春の到来。桜が美しく咲き乱れる季節となりました。皆さん、いかがお過ごしですか。

日本の国花として愛される「桜」。古くは万葉集や古今集に歌われ、今も春の訪れを告げる花として多くの人に親しまれています。桜の雅やかな姿を愛でて楽しむお花見も日本の美しい文化のひとつです。

■恒例の新宿御苑でのお花見パーティ
私のオフィスは新宿御苑から歩いて数分のところにあるので、従業員のみなさんとの御苑でのお花見は毎年恒例となっています。今年も3月29日に桜の会を開きました。真昼の広い公園に光り輝く美しい桜の木の下の芝生で、皆でお弁当を広げてビールやワインなどで乾杯しながら日本の風情を味わいました。

新宿御苑といえば東京の桜の名所として知られています。2月の寒桜から3月にはソメイヨシノ、4月下旬のカスミザクラまで約2ヶ月のあいだ、約75種1500本もの桜が次々に花開き私たちの目を楽しませてくれるのが魅力です。

約17万6000坪の敷地はもと高遠藩内藤家の下屋敷があったところで、1879年(明治12年)に新宿植物御苑となり皇室の園遊会などに使われていました。第二次大戦後に一般に解放され、現在は国民公園となっています。

新宿御苑に面した通りには素敵なレストランがいくつかあります。なかでも「ラ・ボエム」というイタリアン・レストランは、高い吹き抜けの、公園側が天井までつづく一面ガラス張りのお店で、その向こうに青々とした木々を仰ぐことができます。さながら森の中のレストランといった感じです。その他にも有機素材を食材につかった、可愛らしいモダンな雰囲気の中華レストラン「礼華」や大木戸門入り口前の洋食レストラン「自由軒」など、緑を楽しみながらお食事がいただけるお店で、お花見の余韻を味わいながら食事をされるのも面白いと思います。

新宿御苑では今週末から来週にかけてソメイヨシノが満開を迎えるそうです。ちなみに開園時間は朝9時から午後4時まで(閉園は午後4時30分)で入園料は200円。通常は、毎週月曜が休日(月曜が祝日の場合は、その翌日)となっていますが、3月25日から4月24日までは特別開園期間で毎日開園。桜の清楚で雅やかな魅力を新宿御苑で味わうのも良い思い出になるかもしれません。

■思い出に残る、アップルの人たちとのお花見
この季節になると毎年ある光景を思い浮かべます。それはいまから20数年前、私の会社井之上パブリックリレーションズのオフィスが九段にあった頃のこと、当時クライアントであった米国アップル・コンピュータ社の日本法人(アップル・ジャパン)設立準備オフィスとして九段の事務所を提供し、サポートをしていました。そんな関係で、今は亡きアップルの福島正也さん(日系二世で初代アップル・ジャパン社長、2002年逝去)や米国本社から派遣され法人設立責任者のビル・ションフェルドさんなどと、オフィス脇の千鳥ヶ淵で満開の夜桜を楽しみながら、すき焼きパーティをしたときのことです。すき焼きの匂いに引き込まれた通りすがりの人たちが私たちの宴席に加わり、陽気なアメリカ人と飲んで食べて歌ったことを昨日のように想い出します。


最後に、心に残った桜の歌を一句ご紹介します。


「見渡せば 春日の野辺(のべ)に 
  霞(かすみ)立ち 咲きにほへるは 桜花かも」 
   詠人知らず 『万葉集』巻十 1872

投稿者 Inoue: 15:30 | トラックバック

2006年03月24日

『パブリック・リレーションズ』いよいよ今月30日に発刊!
「人」「モノ」「金」「情報」のすべてを統合する「第5の経営資源」

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。

3月30日、いよいよ私の著書『パブリック・リレーションズ』が日本評論社より出版されます。本日(3/24)から全国の大手書店に配本されるこの本は、2001年にPHP研究所から発刊された『入門・パブリックリレーションズ』を全面改訂し、私自身の35年にわたるPRの実践を通して得た知識や経験のエッセンスと理論を紹介したものです。パブリック・リレーションズの包括的な理解と、その奥深さ、幅広さを実感できる本に仕上がったのではないかと考えています。

内容としては、1月6日号の井之上ブログにもご紹介したように、パブリック・リレーションズの機能と役割を俯瞰するために、その基本概念とともに米国での登場・発展の歴史や日本での導入経緯をわかりやすく説明しています。また、現場での応用を考え、危機管理やIR、CSR、報道分析など実践に必要とされる技術や手法に加え、参考となるケース・スタディも紹介しています。そして辞書機能も果たせるようINDEXを充実させました。

この本では、初めてパブリック・リレーションズが「第5の経営資源」であると位置づけました。すなわちパブリック・リレーションズを経営システムの視点から捉え、「人」、「モノ」、「金」、「情報」というこれまでの4つの経営資源を個々に強化し、それらを有機的に統合して最短距離で目標(目的)を達成させる、重要な経営資源の一つであると規定しています。本書を読んでいただければ、組織経営でパブリック・リレーションズが如何に必要とされ、また重要であるかが十分に理解いただけるものと思います。


問題解決への確かな技法
インターネット社会の到来により地球規模で変化のスピードが加速するなか、私たちを取り巻く環境は複雑かつ多様性を増しています。出口の見えない混迷する社会にあって、一筋の希望の光を見つけ、まわりを照らし続け目的を達成する手法が、パブリック・リレーションズであるともいえます。あらゆる問題に対する戦略的なソリューション提供を可能とするこの確かな技法こそ、いまの日本に最も求められているものといえましょう。

この本は、パブリック・リレーションズの初心者から専門家の方々まで幅広く読んでいただける内容となっています。ある時はパブリック・リレーションズのテキストブックとして、またある時は解決法を求めて紐解くビジネスの指南書として、企業や公共団体など組織体のトップや広報部門、教育現場に携わる方々など、一人でも多くの方の手にとっていただくことができれば幸いです。

今回この本を出版するにあたり、日本評論社の担当部長でこの本の発刊にご尽力いただいた守屋克美さんには大変お世話になりました。そしてその他多くの方々のご協力を得てこの日が迎えられたことを心より感謝します。ありがとうございました。






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パブリックリレーションズ

最短距離で目標を達成する「戦略広報」
『パブリック・リレーションズ』 の紹介

書名:パブリック・リレーションズ

著者名:井之上 喬

発行日:2006年3月31日

判型:A5版上製

定価:\2,400+消費税

出版社:株式会社日本評論社      

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目次


はじめに


序 章 
パブリック・リレーションズは21世紀最強のリアルタイム・ソフトウェア
1 最短距離で目標達成を可能にするパブリック・リレーションズ 
2 パブリック・リレーションズを成功に導く3つのキーワード 
3 21世紀社会におけるパブリック・リレーションズの意義と役割 
4 パブリック・リレーションズは第5の経営資源 
5 不足するパブリック・リレ?ションズの専門家 

第1章 パブリック・リレーションズとは何か?
1 パブリックとは 
2 さまざまなリレーションズとそのターゲット 
(1)メディア・リレ?ションズ 
(2)インベスター・リレーションズ 
(3)ガバメント・リレーションズ 
(4)エンプロイー・リレーションズ 
(5)コミュニティ・リレーションズ 
(6)さまざまなリレーションズと能力 


第2章 パブリック・リレーションズの歴史的背景
1 パブリック・リレーションズの変遷とその定義 
2 パブリック・リレーションズの現代的定義と役割 
3 なぜ日本のPRは遅れをとったのか
  ――日本におけるパブリック・リレーションズの発展史にみる 
(1)日本のPRの発展に重要な役割を果たした社会・歴史的要因 
(2)日本にパブリック・リレーションズの歴史 
4 経済摩擦と海外PR 
5 日本で普及している市民(社会)運動 
6 日本文化とパブリック・リレーションズ 
7 メディアとパブリック・リレーションズ 

第3章 パブリック・リレーションズと組織体
1 パブリック・リレーションズに対する日本企業トップの意識 
2 企業のコミュニケ?ション戦略 
3 政府・自治体におけるパブリック・リレーションズ 
(1)政府・公共機関におけるパブリック・リレーションズの役割 
(2)メディアの政府に関する報道 
(3)合衆国情報庁にみるグローバル・パブリックリレーションズ・プログラム 
(4)選挙におけるパブリック・リレーションズの役割 
4 パブリック・リレーションズ専門家に求められる資質と能力 
5 PR会社の機能と役割 
6 企業・組織によるパブリック・リレ?ションズ業務のアウトソ?シング 
7 ユビキタス社会における企業PR 
(1)ユビキタス・ネット社会の到来 
(2)ユビキタス・ネットワーク社会に向けた企業の課題 
(3)ネットで効果的なメッセージを発信するには?――戦略的PRの重要性 
(4)ブログ(Blog)の効果的な利用 
8 急がれるパブリック・リレーションズの専門家教育 
(1)義務教育段階と高等教育での導入の必要性 
(2)高等教育における人材育成 
(3)組織体における受入れ体制の整備 
(4)PR専攻学生の卒業後における社会的環境の整備 
(5)国家的課題としての取り組みが必要 


第4章 企業・組織における危機管理
1 欠かせない危険・危機への備え 
2 危機管理を構成する3つの概念 
(1)イッシュー・マネジメント(Issue Management) 
(2)リスク・マネジメント(Risk Management) 
(3)クライシス・マネジメント(Crisis Management) 
3 事例に学ぶ危機管理とその教訓 
(1)パブリック・リレーションズの視点で捉える 
(2)2つの好対照の事例 
4 企業経営者に高まる危機管理意識 
5 危機管理の具体的処方箋とそのポイント 

第5章 戦略的パブリック・リレーションズの構築と実践
1 パブリック・リレ?ションズのライフサイクル・モデル
2 日米自動車交渉におけるPR戦略の実践例 
3 メディア・トレ?ニングによるスキルアップ 

第6章 パブリック・リレーションズ活動の評価と測定
1 PR活動の評価・測定の必要性と課題 
2 PR活動の評価手法 
3 最も威力を発揮する報道内容分析(CARMA) 

第7章 パブリック・リレーションズ活動のケース・スタディ
1 シンガポールの公立病院におけるSARSキャンペーン
(イッシュー・マネジメント・プログラム) 
2 マッキントッシュ(Mac)の日本市場進出プロジェクト
(新製品発表プログラム) 
3 ボーイング社とダグラス社の大合併
(エンプロイー・リレーションズ・プログラム) 

資料1 パブリック・リレーションズ関連団体 
国際パブリック・リレーションズ協会(IPRA)/米国パブリック・リレーションズ協会(PRSA)/社団法人日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)/社団法人日本広報協会/日本広報学会/情報文化学会日本インベスター・リレーションズ協議会

資料2 アメリカにおけるパブリック・リレ?ションズ発展小史 

パブリック・リレーションズ(PR)関連用語集 

参考文献 

おわりに 

索引 

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投稿者 Inoue: 18:00 | トラックバック

2006年03月17日

実務家に求められる10の能力
3.文章力を伴ったコミュニケーション技術

こんにちは、井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか。

良い文章に出会ったとき、私たちは心を動かされます。聖書や名著に不思議な力があるように、名文は私たちの内面に変化をもたらす何かをもっています。同じ内容の文章も書き方によって相手に与えるインパクトは大きく異なってきます。愛の手紙やお世話になった人へのお礼の手紙などを書き記すとき、自分の気持ちを伝える言葉を持つことは、そのひとの人生をより豊かにしてくれます。

これまで、実務家に必要とされる10の資質や能力として「統合力」 「判断力」を紹介しましたが、今回は、「文章力を伴ったコミュニケーション技術」と題して、読み手をひきつける文章を書くポイントをお話したいと思います。

広報担当者やパブリック・リレーションズの実務家は、様々なリレーションズを通して戦略的に設定された目標や目的を達成していく仕事です。具体的に行動する上で企画書やプレス・リリースの作成など、文章を書くことが要求される場面が数多くあります。したがってプロフェッショナルとして質が高くかつ説得力のある文章は、相手の理解と共感を得るのに有効です。

読み手をひきつける文章とは、伝えたいメッセージがわかりやすく表現され、読み手をひきこむスパイスがちりばめられている文章です。ここで一番大切なのは読み手の視点です。

まず最初に、文章を書く目的と用途つまり「読み手は誰」で「いつ」「どんな状態で使用するのか」を明確にします。

目的や用途が明確になったら資料や素材を準備し、流れを考え、実際に文章を書く作業に入ります。

準備段階では5W1Hなどの事実情報を集め、伝えたいメッセージなど盛り込みたい項目を整理します。ここでのポイントは、伝えたいメッセージを明確にし、それを支える正確な事実情報を網羅していくことです。


読み手の思考にあわせた「流れ」で魅せる工夫
次に文章の構成や流れを組み立てていきます。

一般的に用いられているのは「起承転結」の流れです。「起」で問題を提起し、「承」で起を受けて話を広げ、「転」で別の分野に話を転じ、「結」で結論や解決策を示します。たとえば、「(起)A社に対し新しいPRプログラムのプレゼンテーションを行った。(承)当初は予算面で難色を示したが(転)質の高いプログラムが評価されて(結)提示したフィーでの受注に成功した。」のような短い文章も「起承転結」で構成することが可能です。また、問題解決策を提示する文章やクライアントへの報告書などには、結論を最初に示すことも読み手をひきつける有効な方法です。

そのほか文章構成には、先週「判断力」で紹介した「演繹法」にみられる大前提から小前提を導き結論づける三段論法や共通項でグループ化し、グループ内の類似性から結論を導く「帰納法」などもあります。

文章の流れを組み立てる作業には、読み手の思考に合わせて話を展開(相手の視点)していくと共に、読み手を飽きさせないスパイスやハイライトを各所に配置することにより双方向性コミュニケーションが可能な環境を作り出します。

文章の内容と流れを決めたら、スタイルを選択し各々のルールやマナーに従って書いていきます。

ビジネス文で文体やスタイルを決めるときには、コンピューター画面で見やすい文章と印刷物として読みやすい文章が異なるように、その目的や用途によって使い分けができなければなりません。e-メールでは硬すぎない表現で画面を通して見やすい短めの表現や改行などに気を遣うのに対し、郵便による手紙では、拝啓・敬具などの冒頭や末尾の言葉のルールに沿ってより丁寧な表現で書くことが求められます。

また、プレス・リリースや記者会見でのスピーチ原稿などメディア向けの文章作成に関しては、日本の記者は質の高い文章を求めてくるので、より正確な表記や表現に気を配る必要があります。新聞社が発行する、用語手引書などを利用して正確な表記をチェックすることもひとつの方法です。

プレス・リリースの文体は、「ですます調」「である調」どちらも使用します。アメリカのプレス・リリースは新聞記事スタイルで作成されるので、最近の傾向として外資系企業では「である調」を使用するのが一般的です。一方、日本の企業は通常「ですます調」で作成しているケースが多いですが、このようなスタイルの違いも現場の知識として知っておく必要があるでしょう。

全体を書き終えたら、「構成はどうか」「誤字や脱字はないか」「漢字とひらがなのバランスは適当か」「魅力的な文章になっているか」など細かい点にも気を配りながら納得するまで推敲しましょう。以前に比べ、コンピューターの発達で編集機能が格段にアップしたので、大胆な編集作業が気軽にできるようになりました。その分、本文の作成により神経を使うことができ、短時間で内容のある文章作成が可能となっています。

前向きでポジティブな態度がコミュニケーションによる目標達成を加速する
文章はコミュニケーションのツールです。何より効果的に行うには、相手にメッセージを伝えたいという前向きでポジティブな気持ちや態度が大切です。また、そのような相手への想いが、わかりやすい文章を書くための大きな原動力になると思います。

ネット社会の到来で情報がますます氾濫する中、e-メールの急速な普及などにより文字表現によるコミュニケーションは以前よりはるか増えています。人をひきつける文章はコミュニケーションの潤滑油となり、目的達成に大きく貢献する力を発揮します。日々の実践をとおして、自分なりのスタイルを確立していただきたいと思います。その努力は、皆さんの人生に大きな成功をもたらすことになるでしょう。

投稿者 Inoue: 19:00 | トラックバック

2006年03月10日

実務家に求められる10の能力 2.判断力

こんにちは、井之上喬です。
皆さんいかがお過ごしですか。

広報担当者やパブリック・リレーションズの実務家はIR(インベスター・リレーションズ)や危機管理など、経営に重要な影響を与える機能と役割を担っています。その現場は決断の連続といえます。それを支えるのは判断力です。ひとたび判断を誤れば企業を破綻に追いやることにもなり、実務家には常に高度な判断力が求められているといっても過言ではありません。

前々回は、実務家に必要とされる10の資質や能力の一つとして「統合力」を紹介しましたが、今回は、「判断力」を採り上げたいと思います。

広辞苑によれば判断力とは「物事を認識、評価、決断する精神的能力」とされています。パブリック・リレーションズに要求される「判断力」とは、最短距離で目的を達成するために適切な方向付けをおこなうために必要な能力です。

「判断力」の必要性については古くからから論じられ、古代ギリシアで活躍した3大哲学者の一人、アリストテレス(B.C.384-B.C.322)は、人間の生き方について「よい人間であるためには、優れた判断力と人柄の善さ(倫理感)が必要である」としました。またドイツ古典哲学者であるカント(1724‐1804)は『判断力批判』の中で判断力は対象を意味づけ価値づけるものであるとし、美や自然などをそれぞれの視点で論じています。このように「判断力」は真理探求の場で、時代の変遷と共にさまざまな角度から論じられてきました。


判断までの3つのプロセス「理解・思考・決定」
私たちが何かを判断するプロセスは一般的に、問題を理解し、考え、結論を出すという3段階から成リます。判断する対象は「今この道を渡るべきか」という単純なものから、「この企業に就職するべきか」のように人生の行く末を左右する複雑なものまで、様々なレベルで存在します。私たちはどのレベルにおいても、無意識にこのプロセスを踏んで判断を実行しています。

では、最適な判断を行うために必要となるものは何でしょうか?

全てのプロセスを通して重要となるのは、大局的で複眼的なものの見方です。全体を俯瞰する力は目的達成への適切な方向付けを可能にし、プラス面とマイナス面、自分と相手の視点など複眼的な見方は、複数の当事者の利益にかかわる複雑な問題を判断するときに効力を発揮します。

まず第一段階として問題を正しく理解するには、必要な情報の質と量が成否を分けます。私たちはデータとしての情報や過去に培った知識、体験に基づいて物事を判断します。従って、日頃から十分な周辺情報を収集し、知識の蓄積をおこない、積極的に経験を積み重ねることにより、すばやく物事を理解する能力を身につけることになります。

次の考える段階では、原因となりうる要素を洗い出して因果関係を推測し、その因果関係に基づいて仮説を立てる思考のプロセスを知ることが大切です。思考のプロセスには推論を加える要素が多いために、未知の部分に対処する知恵や機転、発想力や想像力が非常に重要となります。

因果関係を論証し結論づける方法論として代表的なものに「演繹法」と「帰納法」があります。演繹法が定められた前提条件から結論を導く方法論であるのに対し、帰納法は個々の事例から一般的な結論を導きだすものです。

演繹法では、「鳥は空を飛ぶ。私は鳥だ。それゆえに、私は空を飛ぶ。」というように3段論法の形をとります。前提を論証し結論づけに至るまでひとつの論理がながれていて、全てのポイントが互いに導かれる関係にあります。この論証法は単純な問題を思考するのに役立ちます。

一方、帰納法では「A社は増収増益だった。B社の経常利益は予測を上回った。C社は最高益を記録した。ゆえに景気回復は始まっている。」というように個々の事象に共通項を見出しグループ化し、グループ内の類似性から結論(仮説)を推測するので、ものの見方によって異なった結論(仮説)が導き出されます。したがって、より精度の高い仮説を立てるには、より正確な情報を多く集めて様々な角度から検証することが肝要です。この論証法は多面性のある複雑な問題を思考するときに有効です。

いよいよ最後の決定です。このプロセスでは根拠となる明確な基準がそのスピードと精度を高めます。最も重要となるのは、私たちが人間として持つべき価値基準、倫理観です。この善悪の基準は、相手の視点を失った身勝手な結論づけを避け、後に問題が発生するリスクを軽減してくれます。また客観性や論理性も的確で公平な決定を可能にするので、複数の当事者となるインター・メディエータ(仲介者)には特に意識しなければならない基準です。


優れた判断力は目標達成をスムーズにする
判断力を磨くには、日常生活の中で多くのシミュレーションを行うことです。毎日のニュースや周りの出来事を常に自分なりに判断することは極めて有効な訓練になります。加えて自分なりの判断を結果と照らし合わせて検証すれば、修正点など今後の対処方法が明らかになり、良質な経験として私たちの中に蓄積されます。

ネット社会において複雑多岐な問題を扱う実務家は、常に難しい判断を迫られます。しかも状況の変化に応じてリアルタイムで対処なければならないため、スピーディかつ最善の判断が要求されます。そこで疲弊せずに最適な判断を下すには「何のために判断するのか」という目的意識と目的達成への強い意志を持つことです。

優れた判断力は目標達成を容易にします。また高い判断力は個を強くし、リーダーとしての素養をも向上させます。世界のリーダーたちが優れた判断力を身につければこの混迷の世界に平和と繁栄をもたらすことは難しいことではありません。ですから自発的に新しいことにどんどんチャレンジして判断力を磨き、皆さんには次世代を担うリーダーに成長していただきたいと思います。


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<講演会のお知らせ>:


3月29日(水)にネット広報の先駆者である蓮香尚文さんの主催する、第12回「広報達人会」(会場:赤坂エクセルホテル)に講師と招かれ講演をします。
蓮香さんが出版した『プレスリリースのつくり方・使い方』(日本実業出版社)]と、私の3月末発売予定の『パブリック・リレーションズ』(日本評論社)の発刊を記念しておこなわれるものです。詳細は下記のサイトにアクセスください。
http://s-pr.com/koho-lecture/event.php3?id=12


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2006年03月03日

留学を考えている皆さんへ

こんにちは。井之上喬です。
皆さん、いかがお過ごしですか?

月日がたつのも早いものでもう3月、「きょうは楽しいひな祭り」の日です。幼少のときに父の誕生日が3月3日ということもあり、家族で楽しい一日を過ごした情景を想い起こします。

また、この時期は卒業式のシーズンでもあり、社会に巣立つ人や海外留学をする人などそれぞれ新しい環境に入る準備で多忙のことと思います。

■留学の問い合わせが急増
このところパブリック・リレーションズの米国留学希望者からの問い合わせが増えています。そこで今回は、パブリック・リレーションズが設置されている米国の大学へ留学する際、参考となる情報をご紹介したいと思います。

学問としてのPR理論や技術を学ぶために、世界の最先端をいく米国の大学や大学院への留学は有効です。20世紀はじめにPRが発展・登場した米国では、200近くの大学でパブリック・リレーションズの学科が設置されています。

留学のタイミングや期間などは人によってさまざまだと思いますが、大学在学中に海外の大学に1年留学するケース、大学終了後大学院でPRを専攻するケース、そして大学卒業後いちど社会経験を積んでから大学院で学ぶケースなど、いくつかの形態が考えられます。いずれにしても何の目的で、何をどのように学びたいかを明確にして、目的にあった留学先を選んでいただきたいと思います。

パブリック・リレーションズは経済学、社会学、経営学、心理学、政治学など20以上の学問領域をカバーしており、学際的な要素が極めて強い学問です。したがって大学在学中に留学することも有意義ですが、大学で多様なコースを習得後にそこで学んだ知識を土台として、大学院でPRを専門的に勉強することも効果的であると思います。

■お薦めする米国の大学
そこで私がアメリカの友人(学者、PR実務家、ビジネスマン)などから得た情報をもとに、お薦めできる大学を6校ほどご紹介(順不同)します。


A. Syracuse University (NY) http://www.syr.edu/
B. Northwestern University (IL) http://www.northwestern.edu/
C. University of Maryland (MD) http://www.umd.edu/
D. Boston University (MA) http://www.bu.edu/
E. New York University(NY) http://www.nyu.edu/
F. University of Southern California (CA) http://www.usc.edu/

このうちどれがベストかは断定できませんが、それぞれ特色を持った大学です。
上の6校以外にも、自分にあったいい大学があると思いますが、選択するときのひとつの基準として、どのような実務経験をもった教授陣が配置されているのかチェックすることが大切です。特に将来実務家を目指す方は、理論の勉強も大切ですが、PR実務の視点をもって理論を学ぶことも重要で、卒業後に社会での実践を通して高い効果を得ることができます。

参考までに"WHERE SHALL I GO TO STUDY ADVERTISING AND PUBLIC RELATIONS?" http://ocean.otr.usm.edu/~w481504/wsig/へアクセスしてみてください。上記以外の大学が調べられます。

また留学中に是非体験していただきたいのは、セメスター間の長い休みにインターンシップ制度を利用して企業で実務体験をすることです。頭の中で渦巻いている理論に実体験が加わることで机上の理論が整理されると共に、理論を知る大切さも実感できます。インターンシップ制度は日本でも導入する企業が増えていますから、夏休みなどを利用して日本で体験するのも面白いかもしれません。

そして自分の育った環境から少し距離をおいて客観的に日本を眺めてください。すると今までと異なった側面が必ず見えてくると思います。文化や伝統のすばらしさなど忘れかけていた日本の良さを再認識する反面、閉鎖的な日本、はっきりした基準が見えないあいまいな日本など、修正すべき点も浮き彫りになってくるはずです。

さらに言えば、留学を通して自立した個を確立してほしいと思います。今までの私の体験から、「個が強くなければ、集団や組織も強くならない」と常々感じています。ですから、個が強くないと生きていくことが困難な海外経験をばねに、是非しっかりした自己を築いていただきたいと思います。

留学経験後、活動の場を海外へ移して世界を舞台に活躍する人、帰国して日本再生のために貢献する人など、さまざまな進路が皆さんの前に広がっています。将来、日本の発展や世界の平和と繁栄に寄与する人材が多く育ってくれることを心から願っています。

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