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2005年12月24日

クリスマス・イヴの夜話『ヨシュア』 ? 自由と解放をもたらすひと

皆さんこんにちは。
                               
今日はクリスマス・イヴです。今から約2000年前にユダヤのベツレヘムという村の「馬小屋」で生れた、イエス・キリストの誕生日(25日)の前夜をクリスマス・イヴといいます。

今日はクリスマスにちなんで米国で1983年に刊行されベストセラーとなった本『ヨシュア』のご紹介をしたいと思います。作者はカトリック司祭のジョーゼフ・F・ガーゾーンで、発売以来今日に至るまで推定約4000万人以上の人びとに読まれている本です。

『ヨシュア』は、日常の喧騒と葛藤の複雑な社会に生きる私たち読者に対し、精神的な安らぎと共に不思議な時間と空間を与えてくれます。

アメリカの片田舎のオーバーンという古い村にヨシュアとい名の若い男性が何処からともなくやってきます。彼は村のはずれの牧草と動物たちに囲まれた、古い小さな家に住み始めます。職業は木工で、村人や教会から頼まれるとたとえ小さなものでも丁寧にこなし、質素な生活をしています。接する人には誰にでも親切で、困っている人には心から手助けをし、謙遜のうちに人々の日常の些細な問題や相談事に誠実に応えます。

彼と接する人々は、その何かを超越した、寛容で神秘的な人柄に興味を持ちながら次第に引き込まれていきます。信仰について質問があれば、形ではなく如何に自由意志をもって信仰生活を日々の生活の中に活かすことが大切か、神と人間の関係を規則や規律で形づけるべきでないことなどを語りかけます。彼が人々にもたらす数々の奇跡や小さな愛の行為は人々の心をとらえ、村人にとって大切な存在となっていきます。

神を礼拝するところなら、プロテスタント、ユダヤ教、カトリックの教会と分け隔てなく出かけていきます。やがて、2000年も前にイエスがファリサイ派の人々に批判されたときのように、教会の指導者の批判の対象になっていきます。読者はヨシュアがいつもキリストと同じような目線を持っていることを感じます。

この本はとかく気ぜわしい日常生活を送りがちな私たちに、特別な空間を与えてくれます。もし「イエス・キリストのような人が現代を生きていれば、どのような行動をとるのだろうか、またどのように過ごしたのだろうか?」をイメージさせてくれます。それ故、読者はヨシュアに強く惹かれていくのかもしれません。

ストーリー内容はこれ以上ご紹介できませんが、本書は米国のキリスト教をテーマにした読み物ですが、人間の本質を丁寧に描いた傑作といえます。400頁に及ぶ読み応えのある『ヨシュア』は、忙しく毎日を送っている人には、食後のくつろぎのときや就寝前などを利用して少しずつ読むことをお勧めします。不思議な心の安らぎを感じると思います。

訳者の山崎高司さんは、原作者のガーゾーン神父との運命的な出会いをとおして、仕事の傍ら時間を見つけては翻訳されたとのこと。大蔵省〈現財務省〉で若かりし頃、英国留学中にスコットランドでプロテスタントの受洗をされた方で、私とはある縁でご本人が中心的な役割を果たす、毎月定期的に行われる朝食会でご一緒させて頂いています。

ちなみにギリシャ語の「イエス・キリスト」の「イエス」は名前にあたり、「キリスト」は「油を注がれたもの」を指します。そして、「イエス」はヘブライ語で「ヨシュア」の意味です。

最後にこの本の中で、山崎さんもまたこの私も、心に深く刻みこまれた箇所をご紹介したいと思います。それはヨシュアが少年マイケルに起こした奇跡的な出来事への医師の質問に対するものです。「日々の営みはすべて果てしない奇跡に満ちています。ただそれがあまりにもごく自然によどみなく日常的に流れていくので、(私たちは)つい当たり前のことと考えてしまう。しかし、小さな出来事の一つひとつ、時の流れの一瞬一瞬は創造の奇跡なのです」(353頁)。 

メリー・クリスマス。

投稿者 Inoue: 2005年12月24日 13:00

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